ボトックス全盛の時代に、グウィネスが示した“素肌の逆襲”
注入治療や整形手術が「例外」ではなく「常識」になった今。ボトックスからフェイスリフトに至るまで、美容医療の世界的な施術件数は昨年42.5%も増加した。そんな時代に、ありのままの肌を堂々と見せつける存在は稀有だ。しかもそれがグウィネス・パルトロウであれば、そのインパクトは計り知れない。
ニューヨーク・ファッションウィークで自身の新ブランド「GWYN」を発表した直後、彼女はインスタグラムに複数の投稿を公開。その中の一枚が人々の目を釘付けにした。52歳のパルトロウが写し出されたのは、質感のある肌、表情ジワ、年齢とともに現れる自然なライン。そこにあるのは、完璧に“凍りついた”不自然さではなく、生命力あふれるヘルシーな輝きだった。むしろシワや動きがあるからこそ、彼女はフレッシュで人間らしく、美しく見える。
長らく「有名人は何歳でも完璧でなければならない」という暗黙のルールが存在してきた。パルトロウは、ボトックス漬けのサイクルから離れ、リアルな女性の美しさをさらけ出すことで、そのルールに真正面から挑戦しているのだ。もちろん、顔に何を施すかはすべて女性自身の選択だ。しかし、毛穴ひとつない50代、60代のセレブの画像があふれかえることで、私たちの“普通”の感覚は容易にゆがむ。そこに届かなければ“失敗”だと感じさせられる。その歪んだ理想が、眼瞼下垂の手術やディーププレーンフェイスリフトといった施術の増加につながっているのかもしれない。
とはいえ、彼女が美容医療を一切避けているわけではない。彼女は、ボトックスの代替とされる「ゼオミン」との“愛憎関係”を率直に明かしてきた。「うまくいったこともあれば、そうでないこともある」と。だからこそ、彼女が主に支持するのは、より穏やかでホリスティックなアプローチだ。フェイシャルマッサージやリンパドレナージュ、表情筋を鍛えるエクササイズで自然なリフトアップとハリを追求する。そして言うまでもなく、彼女の美の根幹は“内側からのケア”。サウナや水風呂、ワークアウト、水分補給、栄養価の高い食事を徹底することで、日々のコンディションを支えている。