シャネルの新たなエレガンスの継承「コメット コレクティヴ」 | marie claire [マリ・クレール] - Moe Zine

2022年から、「シャネル」では「コメット コレクティヴ」と名付けられた3人の若きメイクアップ・アーティストたちが、シャネル メークアップ クリエイティブ ストゥディオと協働しプロダクトをクリエイションしている。メゾンの歴史を継承し、新たな風を吹き込む3人の来日に際し、特別インタビューを行った。

コメット コレクティヴ今回の来日では、インタビューやトークショーなどで精力的に活動。クリエイションへの想いを豊かな語彙で語る3人は、プロダクト開発やメイクアップのみならず、“伝える”技術にも長けている。〈左から〉セシル パラヴィナ、ヴァレンティナ リー、アミィ ドラマ

──メイクアップ・アーティストである3人とメゾンが、協働でクリエイションを行っているのが特徴的ですね

「私たちは3人で協力して開発を行っています。異なる背景を持つからこそ、多様な視点を掛け合わせたものづくりができています。それが限界を押し広げ、結果的に『シャネル』のDNAを継続することに繋がっているのです」(セシル)。アミィは日々のインスピレーションも教えてくれた。「制作にあたり、メゾンのアーカイブや研究者の意見、アートも参考になりますね。最近、ロンドンで見たノアデイビス展では、ヴィンテージの写真を再構築した絵画があり、私たちの活動との共通点を感じました」。ヴァレンティナはこう続ける。「最近、日本のファッションモデルの山口小夜子の書籍を購入しました。白い顔に、赤い目元と唇、首元に金箔をあしらったルックに注目しています。ゴールドは美しい色ですが、他の色と組み合わせるのが難しいところ、彼女は私が好きな色のレッドと合わせていた点が素晴らしくて、参考になりました」。多くのメゾンはクリエイティブ・ディレクターがひとりでクリエイションを行うのに対して、「シャネル」では3人のアーティストがチームで行うからこそ、生まれるイノベーションがあるということだ。事実、彼女たちが手がけるプロダクトは、シーズンごとに万華鏡のように多彩な魅力が感じられる。

カメリアフトゥーラ今年の春先に発表された、セシルが監修した「カメリア フトゥーラ」のコレクション。アジアで特に人気を博したという

──メゾンの持つエレガンスと、現代の新たな価値観についてどう捉えていますか?

「私たちの使命は、ガブリエル シャネルのクリエイションを後世へ繋げ、継続すること。人々の美意識や価値観は常に進化しています。例えば、50年前はエレガンスを象徴するリップの色が“赤”だったとしたら、今はその色が“ベージュ”になっているかもしれません。メゾンの歴史と時代の変化を見つめながら、新たな提案を行っています」(ヴァレンティナ)。まったく新しいものをゼロから作るのではなく、あくまでもメゾンの持つ歴史にリスペクトを持ち、継承者として自らを捉えているのだという。セシルはこう続ける。「ガブリエル シャネルは革新的なスタイルを生み出した女性でした。かつて“アヴァンギャルド”だったものは、今は“クラシック”となっています。ときには、リスクを取ることも大切です」

──日本という国や、人々のメイクの印象は?

「私は歌手の浜崎あゆみのファンで、彼女にインスパイアされてメイクアップ・アーティストになりました。アニメや漫画などのポップカルチャーも大好きです」。アジア人としてのアイデンティティを持つエネルギッシュなヴァレンティナのことを“ベイビー”と評するアミィとセシルは、日本にしかない美しさについて教えてくれた。「日本の繊細でフェミニンな色使いに注目していますね。欧州にない独自の文化を感じています」(アミィ)、「華道の器の釉薬(ゆうやく)に着想を得て、リクィッド リップを開発しました。日本の女性たちは、まるでプロのようなメイクテクニックを持っていると感じますね」(セシル)。

ル ルージュデュオ ウルトラ トゥニュ3人によるおすすめのプロダクト。アミィはスティックタイプのフェイスカラー、セシルはリクィッドリップ、ヴァレンティナはクッションファンデーションがお気に入りだそう。〈左上から反時計回りに〉ボーム エサンシエル スカルプティング ¥7,040、ル ルージュデュオ ウルトラ トゥニュ 174 ¥6,270、レ ベージュ ヘルシー グロウ クッション SPF30 PA+++ 全8色 ¥10,340 /すべてシャネル

「トレンドを作ることではなく、イノベーションを生み出すことが使命」と話すコメット コレクティヴ。昨今のプロダクトは、目新しくフレッシュな色使いでありながら、エレガントさもあわせ持ち、独自性に満ちている。彼女たちの感性が吹き込まれ、いきいきとした魅力を開花させる「シャネル」の今後にますます期待したい。

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