「MILBON BEAUTY PROGRAM」開催、『カメラを止めるな!』上田慎一郎監督が“ショートフィルム”と“美”について語る(オリコン) - Yahoo!ニュース - Moe Zine

【写真】「MILBON BEAUTY PROGRAM」でトークショーを行った上田慎一郎監督

 「MILBON BEAUTY PROGRAM」は、2022年からショートフィルム配信プロジェクト「MILBON BEAUTY MOVIES」や、SSFFと共に「MILBON BEAUTY AWARD」を設立するなど、美とショートフィルムがコラボレーションした企画を行ってきた株式会社ミルボンが実施する「ショートフィルムや映像を通じた“美しさ”から、心豊かなひとときの過ごし方」を問うプログラム。

 『カメラを止めるな!』で社会現象を巻き起こし、近年では企業と組んだ縦型ショートフィルムで数々の“バズり”を生み出している上田監督は「僕の両親が美容師なんです」と美容サロン用ヘア化粧品を扱うミルボンとの縁を述べると「ワンアイデアだけでもチャレンジしやすいところや、作ったものを観てもらうときのハードルが低い」とショートフィルムの魅力を語る。

 この日は、“美しさ”をコンセプトに、ミルボンと映画祭が、応募総数4592本の中から選出した3つのショートフィルム、『クロネズミ』、『マイディア』、『信じる心』の3作品が上映された。

 『クロネズミ』は、認知症を患う祖母の謎めいた世界を理解しようと奮闘する7歳の少女の物語。『マイディア』は、聴覚に障がいのある25歳のガウルが、卒業制作のチームプロジェクトに参加するかどうか、悩んでいたなか、AIアプリ「MYDEAR」との出会いで、さまざまなことを前に推し進めようとする姿が描かれている作品。そして『信じる心』は、子供の可能性を信じ寄り添い続けるお母さんの姿が描かれている。

 どの作品も、映像の美しさはもちろん、描かれる人々の一途な思いがにじみ出る心の“美しさ”が特筆される作品だが、上田監督は「美しさというのは人それぞれ」と定義すると「自分はまったく無駄のない、どのセリフ、シーンにおいてもすべてが必然性を持って有機的に繋がっている作品を観ると美しいなと感じます。例えば映画で言うなら『バック・トゥ・ザ・フューチャー』や、漫画だと『進撃の巨人』」とストーリーラインの妙に“美”を感じるという。

 作品について『クロネズミ』は「普通だと子供が見えないものが見えて、それに大人が寄り添うのですが、この作品はお祖母ちゃんに架空のものが見えて、それを孫がお祖母ちゃんの気持ちを慮るところが新しい」と述べると、『マイディア』については「僕も縦型ショートフィルムでAIやマイノリティを描く作品を作ってきたのですが、主人公が聴覚障害を持つという設定が斬新」と、どちらもオリジナリティあふれる視点に称賛を送る。

 また『信じる心』については「ドアノブの描写だけで、いくつもの意味を込める見せ方がとても美しい」と上田監督の考える“美”に合致した作品であることを強調すると「この作品はとにかく子供の可能性を信じる映画でしたが、僕などはずっと『映画監督なんてなれない』と言われ続けてきて、それが反骨精神になった。短編ではそういった二律背反する複雑さの一部は提示できますが、それがすべてではないということは、なかなか伝えられない」とショートフィルムならではの難しさにも触れていた。

 今回上映された3作品は、映画祭オンライングランドシアターで配信、および後日「MILBON BEUTY MOVIES」のサイトで配信される予定。

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