◆中村「16話があって良かった」 2つの話で完成したキャラクター像
──中村さんご自身も、本作で「挑戦したこと」はありますか?
中村 僕はいつも作品でキャラクターを頂いた際「今回はどういうことに挑戦してみるか」と、自分の中だけで何かしらの目標を作るんですが、今回の黙殺でいうと“全くしゃべらない”という特徴はありつつモノローグが、まぁべらぼうな量あるんですけど(笑) それをどういう風に表現にするといいのかなと思って、結構声を抑えたんですよ。心の声としてどう表現するかなと、感情ラインをそんなに出さない方がいいのかもなと色々考えながら挑戦してみたんです。
中村 ただこれ、正直僕の中では失敗していて…(笑) もっとこう“音にならない”つもりでやっていたんですが、実際はしっかりマイクに乗っていて「最近のマイクはやっぱ り性能がいいんだな!」と(笑) もちろん僕の中の狙いと違っただけで監督たちからはOKが出ているので、悪い意味じゃないですけどね。今度はもっと気をつけます!
──“声を発さないキャラクター”を演じる上で、特に難しかったところは?
中村 “表”に対して言葉を発していないキャラクターなので、そこが課題でした。実際にしゃべったらどんな風に声が出るか、本当のところは分からない。ずっとしゃべっていないから、1発目に声がひっくり返って「あのっ!(高音)」って言っちゃうかもしれない(笑) モノローグで声が出ないなんてことはないんですけど、やっぱり“これまで黙っていた人間がしゃべり出している”というイメージを入れなきゃいけないなと思ったんです。声が聞き取りにくい方がいいのかなとか、話す内容を上手に整頓できないようにしゃべる方がいいのかなとか──。
中村 なので、15話はそのニュアンスがちょっと入っているんですけど、16話は比較すると流暢(りゅうちょう)に、もうちょっと自然な流れでしゃべっています。結局思うのは、“周りのことに動かされている状況を演じる方が、いろんなものを含んで乗せやすいんだろうな”と。15話は一切会話がなく、自分の中にあるものをただただ語っていく──その中にニュアンスとして僕が入れたかったものがそこまで乗らなかったんですが、16話は自分の中で発するんじゃなく相手から言われたことに対してモノローグで答えたりしているっていう受けの反応なので、これは面白くなっていたなと思いました。
──そんな<黙殺>編の見どころは?
中村 黙殺は事前のキャラクター資料だと結構ゲームのデータみたいな感じで『盗撮された映像がSNSに投稿されたことで、黙々と豚をさばくイケメンとして人々の信頼を集めた』と書かれていたんですが、実際15話のお話を見るとよりネガティブな印象で、すごく悲しい人物だなって思いました。<黙殺>編は結構重めなスタートを切ると思います。
中村 ただ、そこが魅力的というか。16話ではコミカルな、“しゃべらないギャグ”“すれ違いギャグ”みたいなものが展開されたりもして(笑) だから、この2つの話でキャラクター像が1つ完成しているなって思いました。16話があって良かったと思います!
中村 (黙殺の)初登場あたりでは本当に何を考えているか分からなかったり、ちょっと変質者的な見え方というのもあるんですけど、彼がどういうことを考えて取った行動だったのかという説明がどんどんされていくと、皆さんに(真意が)伝わっていくのかなと思います。15話・16話と、この2エピソードが両方で1つのお話になっていて、(黙殺の)過去とこれからというのを描いていますから、そこを見ていただければ! 先の回への期待を持っていただく大事な回なので、よろしくお願いします!
【中村悠一】
香川県出身。2月20日生まれ。株式会社インテンション所属。特技はゲーム。
『出禁のモグラ』モグラ、『アンデッドアンラック』アンディ、『呪術廻戦』五条悟、『WIND BREAKER』梅宮一、『葬送のフリーレン』ザイン、『Dr.STONE』獅子王司、『ジョジョの奇妙な冒険 黄金の風』ブローノ・ブチャラティ、『アベンジャーズ(シリーズ)』キャプテン・アメリカ(スティーブ・ロジャース)など、多くの人気作で主要キャラクターを担当。
アニメ『TO BE HERO X』
毎週⽇曜朝9時30分〜フジテレビにて放送中
毎週⽉曜12時〜Netflix &Prime Videoにて最速配信中
毎週⽔曜12時〜ほか配信プラットフォームにて順次配信中
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