元アイドルでカレーを作るシンガーソングライター? ルカタマの過去と現在を山下康男(春日井アイドル)と語り合う | Mikiki by TOWER RECORDS - Moe Zine

常に気になる存在ではあるのだが、いまいちその正体が掴めない――それが女性ボーカリスト・ルカタマに関する印象だった。アイドルグループの一員としてデビューし、グループ脱退後はソロのシンガー(シングライター)として活躍。一方で、安井かずみと加藤和彦らの名曲をカバーするという一面も持ち、かと思えば、店主を務める押上の〈cafe 宙〉では自ら調理したカレーを供し、ライブの際にもカレーを作って振舞うことがあるという。そのような断片的な情報がネット上にも錯綜しており、肩書きがひとつに絞れないというのが現状だったと思う。

そんな彼女が、愛知県で春日井アイドルのプロデュースを手掛ける山下康男が作詞/作曲/プロデュースを担当したアルバム『にこにこぴっちゃん』をリリースした。パンクやニューウェーブをルーツに持つ山下は以前からルカタマと交流があり、今回、すべての作詞・作曲を手掛けている。パンク/ニューウェーブはもちろん、ピコピコしたテクノポップや遊び心あふれるインタールードも含むアルバムだ。このリリースを機に、これまであやふやだったルカタマのバイオグラフィーを微に入り細に入り辿りつつ、山下とのコラボレーションがどのような化学反応を起こしたのかに迫るインタビューを実施した。コラボレーターである山下ですら知らなかったというルカタマの来し方行く末が今、明らかになる……!?


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大変だった、でも今につながるアイドル時代

――ルカタマさんは小さな頃はどんな音楽を聴いていましたか?

ルカタマ「いちばん初めの記憶は、お父さんがビートルズを好きだったのでずっと家でかかっていたことです。あと、情操教育を意識していたのか、クラシックとかジャズのスタンダードも。それとユーミンですね。でもずっと同じ曲がかかっているから頭がおかしくなりそうだなって、子供ながらに思ってましたね」

――歌い始めたきっかけは?

ルカタマ「中学校の時に音楽部に入って、その時に合唱で初めてちゃんと歌を歌いました。ただ、その頃は音域が狭すぎて、歌うのは恥ずかしくて苦手でしたね。それが、ある時突然声が出るようになって、そこから楽しくなって。先生にも褒められたので、歌、やりたいかもって思いました。

高校の時はチャットモンチーのコピーバンドをやって、文化祭で演奏したりとか。その後上京してボーカルスクールに入り、そこからなぜかアイドルグループに加入して……という感じです」

――なぜアイドルグループに入ったんでしょう?

ルカタマ「そもそもアイドルは別に好きじゃなかったんですよ。ちゃんと聴いたこともないし、自分でやったこともないのに、先入観でなんとなくそう思っていただけなんですけど。

でも、そのスクールの同期にアイドル志望の子がいて、その子が和田輪ちゃんだったんですよ。後に和田ちゃんはブグガ(Maison book girl)に入ったんですけど、それが衝撃的で、それからアイドルが気になって仕方なくて。今までアイドルは好きじゃないとか思ってたけど、やったこともないのにそんなことを思ったりするのはよくないと思って、自分もアイドルグループに応募してしまって。で、正式に加入することになって」

――アイドル活動は楽しかったですか?

ルカタマ「とにかくライブの本数が多いし、正直それで生活していける感じじゃなかったので、バイトをいくつも掛け持ちしながら夜はライブっていう生活でした。でもその時に出会った人たちが今もライブに来て応援してくれているから、本当にやってよかったなと思いますね。

今押上で〈cafe 宙〉っていうカレーを出すカフェバーをやってるんですけど、それも元々私がアイドルとして表に出る活動をしてなかったら、多分うまくいってなかったと思うんです。お店を作る時はクラウドファンディングをやったんですけど、ファンの人が応援してくれたからうまくいったし。お店を始めてすぐにファンの人がいっぱい来てくれて、ファンの人が落ち着いた頃に地元のお客さんにも定着して。その辺は全部アイドル時代のことが今につながってるなって思います。大変だったけど、後々思い返すと良かったことしかないですね」

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