7月10日（現地時間）、米国最大のビューティー専門小売企業である「アルタ ビューティ（Ulta Beauty）」は、英国を拠点とする高級ビューティーリテーラー「スペース エヌケー（Space NK）」を、投資会社マンザニータ・キャピタル（Manzanita Capital）より買収したと発表した。買収金額は非公表。今回の買収により、アルタ ビューティは英国市場へ初進出する。
スペース エヌケーは、1993年にロンドンのコヴェントガーデンで創業された高級ビューティーリテーラーで、現在は英国およびアイルランドに83店舗を展開している。オンラインプラットフォームも運営しており、スキンケア、メイクアップ、ヘアケア、フレグランスなどのカテゴリーにおいて、世界中から厳選したラグジュアリーかつ革新的なビューティーブランドをキュレーションし、紹介する場として高い評価を得ている。中でも、美容に敏感な消費者やプロフェッショナルから支持されており、既存ブランドだけでなく新進気鋭のブランドとの出会いを提供する“ビューティーのセレクトショップ”として確固たる地位を築いてきた。
なお、買収後もスペース エヌケーは独立した子会社として運営され、CEOのアンディ・ライトフット（Andy Lightfoot）を中心とした既存の経営チームが引き続き経営を担う。
アルタ ビューティの社長兼CEOであるケシア・スティールマン（Kecia Steelman）は、今回の買収について「スペース エヌケーのブランドを通じて英国市場へ参入できることを大変喜ばしく思います。国際展開は当社の成長戦略において不可欠であり、今回の買収は成長著しい英国市場に実績あるブランドで参入できる非常に魅力的な機会です」とコメント。また、「今後はメキシコや中東市場での取り組みとも連動させながら、長期的な収益成長の実現を目指していきます」と付け加えた。
一方、スペース エヌケーを23年にわたって保有してきたマンザニータ・キャピタルのCEO、ビル・フィッシャー（Bill Fisher）は、「スペース エヌケーは当社にとって非常に重要な存在であり、ニッキー・キナードからの買収は、当社がラグジュアリーおよびニッチなビューティー・フレグランスブランドを見極め育成する専門性を築くきっかけとなりました」と振り返る。「アルタ ビューティとスペース エヌケーの現経営陣によって、さらなる成長が期待できる」と期待を寄せた。
スペース エヌケーのCEO、アンディ・ライトフットは、「アルタ ビューティの持つスケールやブランドネットワーク、豊富なリソースは、当社の成長にとって非常に魅力的な後押しになるでしょう」とし、「今後もビューティーに情熱を持つ消費者に対し、革新性と専門性のある提案を続けていきます」と意欲を示している。
なお、同件はアルタ ビューティが保有する現金および既存の信用枠により資金調達されており、2025年度の財務業績に大きな影響はない見通し。また、株式買戻しプログラムを含む資本配分方針にも影響はないという。
今回の買収により、アルタ ビューティは既存の米国市場を基盤に、英国、メキシコ、中東を含む新たな市場に事業を拡大しつつ、グローバルビューティー市場での影響力を高めていく構えだ。
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