TOGA(トーガ)の2026年春夏コレクションを紹介。
平凡な服に宿る個性
「ORDINARINESS, MEDIOCRITY, VERSATILITY(平凡さ、凡庸さ、汎用性)」と題した今季、デザイナーの古田泰子は「どうしたら単純なものを個性的にできるか」という点に思考を巡らせた。出発点となったのは、ポップアートの巨匠と言われる彫刻家、クレス・オルデンバーグのインタビュー番組だ。
アイスクリームやのこぎり、スプーンなど日常のありふれた物を超巨大に複製したインスタレーションで知られるクレス・オルデンバーグ。モチーフとなるのは平凡なものだが、それらを引き延ばし、巨大化することで人々の心をくすぐる“意外性”を生み出している。今季のTOGAも、ベースとなるのはごくシンプルなアイテム。だがそこにフォルムの変化を加えることで、“平凡”な服に個性を宿している。
取り外し可能なパネルでフォルムを変化させて
たとえばファーストルックに登場したミニ丈のポロワンピースは、スカート部分にラッフル状のパネルをあしらい、ミニマルな佇まいに意外性をプラス。控えめに波打つのこのパネルは、スカートやショーツなどボトムスの随所にあしらわれ、キーピースとしてコレクションを彩った。ボタンで取り外すことができ、様々な用途に対応できる“汎用性”も備えている。
“袖を捲り上げる仕草”から着想したスリーブデザイン
トーガ流の軽やかなユーモアは、「普段見逃しそうな仕草」に着目したというディテールにも見て取れる。シャツやブラウスには“袖を捲り上げる仕草”をパターンとして落とし込み、くるんとめくれたようなスリーブデザインを採用。タックパンツの裾も折り返し、プレイフルな花柄をちらりと見せている。
海のモチーフを取り入れたセーターやバッグ
春夏シーズンらしい、海のモチーフが散見されたのも印象的だ。スイムウェアを思わせる素材のボディスーツをはじめ、貝殻やサンゴのチャーム付きチェーンがじゃらじゃらと揺れるセーター、ビーチサンダルとクリアサンダルがドッキングしたシューズなどが登場。カラフルなマクラメ編みのバッグは、クリアなトートバッグのインナーバッグとして使用し、軽快なビーチルックのエッセンスをもたらしている。
70年代ヴィンテージプリントで温かさを
70年代のヴィンテージの壁紙からインスピレーションを得たプリントが、コレクションにノスタルジックな温かみを添えている。淡いブルーの小花柄ブラウスや、深いグリーンの木を描いたシャツ、やさしいイエローの花々が揺れるミニスカートなど、どこか懐かしさを感じさせるピースでモードな雰囲気を中和させた。
イギリス発音楽ラジオ局「NTS」とコラボ
またランウェイには、音楽好きの古田ならではのコラボレーションも。イギリス発の音楽ラジオ局「NTS」のボックスロゴをフロントに配したタンクトップが披露された。2026年春には、「NTS」とのカプセルコレクションも発表される予定だという。





