マルコ・デ・ヴィンチェンツォがエトロ(ETRO)のクリエイティブディレクターに就任して3年。彼はこのブランドのコードに、新たな方向へと弾けることができる柔軟性があることを見事に証明している。そして2026年春夏シーズン、彼は華やかさと祝祭のムードを最大限に高め、イタリアで今勢いのあるシンガー、LA NIÑAとタッグを組んだ。デザイナーはシチリア出身で、シンガーはナポリ出身。かつては同一の王権下にあった両シチリア王国の出身という、ふたりのルーツには重なる点がある。
政治と情熱、そしてイタリア南部の女性たちの力強い歌声が織りなすコーラスをフィーチャーしたLA NIÑAによる等身大のパフォーマンスは単なるBGMではなく、彼女こそがこのコレクションを燃え上がらせる火花のように映った。彼女の魂はデ・ヴィンチェンツォの手によって解き放たれ、ランウェイには色とクラフツマンシップ、装飾、フリルやフリンジの渦巻く嵐が繰り広げられた。地中海南岸を経由し、リオのカーニバルの熱狂へと向かっていく様子をイメージしてほしい。煌めくスパンコールに揺らめくヘムライン、喜びに満ちたセンシュアルでボリューミーなシルエット。それはまるで、テクニカラーで染められたパレードのようだった。