ケイト・モスがビューティブランドの設立から3年で清算手続きへ セレブブランド台頭の中で - WWDJAPAN - Moe Zine

ケイト・モス「コスモス」創業者 COURTESY PHOTO ©︎ FAIRCHILD PUBLISHING, LLC

モデルのケイト・モス(Kate Moss)が設立したビューティブランド「コスモス(COSMOSS)」は全事業の終了手続きを正式に開始し、6月24日付で清算手続きに入った。「コスモス」は約300万ドル(約4億3200万円)の負債を抱えており、その大半はモスが設立したモデル事務所であるケイト・モス・エージェンシー(KATE MOSS AGENCY)に対するものだった。同社は、2023年に英企業登記局へ財務記録を提出したのが最後だ。モスは「コスモス」の大株主であり、ビューティ・ウェルネス業界に特化したブティックブランドインキュベーターのワルシャワ・ラブズ(WARSAW LABS)と3人の個人投資家がそれに続く。米「WWD」は、モスの代理人にコメントを求めている。

「コスモス」について

モスは22年に「コスモス」を設立し、ビューティ業界に進出。フレグランス“セイクリッドミスト”、プロコラーゲンを配合したマルチオイル“ゴールデン ネクター”、“フェイスクリーム”、洗顔料“フェイスクレンザー”、朝用の紅茶“ドーン ティー”、夜用の紅茶“ダスク ティー”という6つの製品を発表した。それ以来、無香料のフェイスクリームや洗顔料、150個のポジティブなメッセージを詰め込んだブックレット“ラブレターズ”など、ビューティとウェルネスに寄り添う製品を拡充。ブランド設立から数年のうちに国際展開も進め、アイルランドやフランス、ドイツ、アメリカの小売店やリゾート、スパに出店した。

モスは23年、「『コスモス』は私にとってとてもパーソナルなもの。自分が信じているものや、分かち合えるものを作りたかった。可能な限り自然由来の原料を採用し、精神や魂に語りかける製品を追求した。『コスモス』はルールではなく、リチュアル(儀式)を伴うブランド。私は私のやり方で、魂と感覚のためのウェルネスを創造した」と米「WWD」に語った。

ケイト・モス「コスモス」創業者 COURTESY PHOTO ©︎ FAIRCHILD PUBLISHING, LLC

「コスモス」がアメリカ市場へ進出した際、モスはアメリカとの“運命的な結びつき”について言及した。「私のキャリアはジョン・F・ケネディ国際空港で始まった。『コスモス』がアメリカに上陸し、アメリカの皆さんに手に取ってもらえることがうれしい」。モスは1990年代にアメリカで、モデルエージェンシーのストーム・モデル・マネジメント(STORM MODEL MANAGEMENT)」のサラ・デュカス(Sarah Doukas)創業者にスカウトされ、モデル業をスタートさせた。

生き残るセレブリティーブランドは?

セレブリティーブランドの成功は、本人の物語や思いによる説得力が重要だ。セルフラブ(自分自身を大切にし、愛すること)とウェルビーイングを追求するモスの姿勢は、ブランド設立当時から一貫して事業展開や製品開発に現れていた。そんな「コスモス」の清算は、多くのセレブリティーがビューティ業界に参入し、活況を呈している時に行われた。6月にはシンガーソングライターのシャキーラ(Shakira)がヘアケアブランド「イシマ(ISIMA)」を設立。5月末にはヘイリー・ビーバー(Hailey Bieber)のスキンケアブランド「ロード(RHODE)」が10億ドル(約1440億円)と推定される取引で米コスメ企業エルフ ビューティ(E.L.F. BEAUTY)に買収された。これは、19年以降で最大規模のM&A取引の一つとなった。

本文中の円換算レート:1ドル=144円

Write A Comment

Exit mobile version