組合とも交渉が必要です
Image:Disney
5月15日、Epic Gamesは同社の人気ゲーム『Fortnite(フォートナイト)』内にコラボレーション企画として登場する映画『スター・ウォーズ』のキャラクター、ダース・ベイダーの声にオリジナルの声優であるジェームズ・アール・ジョーンズ氏のAI生成レプリカを使用していると発表した。
これに対して、全米映画俳優組合(SAG-AFTRA)は19日、全国労働関係委員会(NLRB)に、Epic Games子会社で組合との労働協約締約者であるLlama Productionsが「その意図を一切通知せず、適切な条件について我々と交渉するでもなく」人間のパフォーマーの仕事をAIに置き換えるという不当労働行為(ULP)を働いたとする申し立てを行った。
SAG-AFTRAは現在、ゲームを含むインタラクティブメディアとの協定に基づくストライキを実施中だが、2023年8月以前に開発が開始されたタイトルについては、例外措置として組合員の参加を許可しており『フォートナイト』もその中に含まれる。
AIレプリカを使用することに関して、Epicはジョーンズ氏の遺産管理団体と合意していると述べている。だが、SAG-AFTRAは現在、俳優や声優その他パフォーマーたちの権利をめぐり、ゲームを含むインタラクティブメディアとの協定に基づくストライキを実施するとともに、雇用・契約条件に関する交渉をしている最中だ。
そんななかでLlama Productions(Epic)が、組合に無断でジョーンズ氏のAI生成音声を使用したことは、業界と組合による「誠意ある交渉を怠り、拒否」するものだと組合は述べている。ディズニーは、2022年にジョーンズ氏とその家族からAIを使って映画やテレビで彼の声を再現する許可を得た。そして、2024年にジョーンズ氏が死去したため、いまやベイダー卿の「オリジナルボイス」を新録しようとすれば、AIに頼らざるを得ない。
もちろん、別の声優を起用することはできるが、SAG-AFTRAは声明で、「かつてビデオゲームでダース・ベイダーの象徴的な話し方におけるリズムやトーンを再現する仕事をしていた人々を含む、会員の仕事を代替する音声の使用に関する条件交渉権は守らなければならない」と強調した。
ちなみに、ULP申請は全米労働審査委員会(National Labor Review Board)によって審査され、審問や差止めの命令につながる可能性がある。もしそうなった場合は、和解が成立するまでの間、Epic Gamesに対し、ゲームからダース・ベイダーを削除するよう裁判所が求める可能性もある。
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