Search for:
Actress 女優

「泥棒と若殿」山本周五郎【一度は読むべき名作】



「泥棒と若殿」山本周五郎【一度は読むべき名作】

一生に1度は読むべき名作チャンネルへ よう こそ本日は山本小五郎の短編時代小説泥棒 と若殿をお届けし ますこの物語は廃れた屋敷で繰り広げ られる1人の若侍と1人の泥棒との心 温まる物語 です若侍茂信は家争いの末に世から絶され た暮らしを強いられていまし た彼の人生はアルバン屋敷に忍び込んだ 泥棒伝苦労との出会いによって一変し ますこの物語はよせぬ友情と人生の意外な 展開を描いてい ますしのは伝苦労の人間らしい温かさに 触れ彼との共同生活を始めることを決意し ますの間には互いの存在が生活を豊かに するという感覚が生まれ ますしのにとって電苦労との暮らしはこれ までの孤独な生活とは異なる初めて味わう 本当の人間らしさを感じる時間でし たしかし物語はここで一転し ますある日茂信の元にケラが訪れ家督を 相続するよう求め ますこの突然の出来事はしのべに深い葛藤 をもたらし ます彼は今の暮らしを守るかそれとも以前 の立場に戻るか苦悩することになり ますこの選択はただの個人的な決断では なく彼の人生感と価値観を根底から 問い直すもの です伝クロとシノの関係は単なる泥棒と 被害者の関係を超えています 彼らの間には共感と理解が芽ばえ互いに 人生の意味を再発見するきっかけを提供し てい ます山本小五郎の筆はこの不思議な絆を 巧みに描き出し読者に深い感動を与え ますこの物語は人生の不確実性と良きせの 出会いがもらす可能性についての洞察を 提供してい ますそしての最終的な決断は彼の人生感を 反映してい ます彼が選ぶ道は単なる生き方の選択では なく事故の本質と向き合う旅でもあり ます茂信と伝苦労の物語は人間関係の奥深 さと人生の複雑な選択を美しく描き出して い ますさてこの感動的で深い意味を持つ物語 棒と若殿の朗読をこれから始めますご成長 くださいこの物語が人間の深い絆と選択の 重要性について新たな視点を提供すること でしょう泥棒と若の山本 清五郎 1そのものは始め広宴の辺りから聞こえ た縁側の板がギシッとかなり高くなったの

で ある茂信は本能的に枕本の刀へ手を伸ばし たしかし指がさやに触れる と今更なんだという気持ちになって手を 引っ込め たもうたくさんだどうにでも好きなように するがいい飽き飽きし たこう思いながら仰向きに寝たまま腹の上 で手を組み合わせ た右側の壁に切ってある高の戸の隙間から 月の光が青白い財布を引いたように目筋 流れ込んで いるついさっきまでヤグの裾の方にあった のが今はずっと短くなってやれ畳の中ほど までを染めているにすぎないするともう3 時頃なのだなと思っ た物音は広宴から戸の前入っ たひどく用人深い足付きで ある床板の落ちているところが多いから そこでも時折りぎしぎしっときしむがその 度に物音ははぴたりと止まってしばらくは 息を潜めている様子だっ たそのうちにあまり用人しすぎたせい だろう畳の破れにでもつまづいたらしく ドサださとよけ様何かを踏み抜く激しい音 が聞こえ た霧へ踏み込んだ な茂信はこう思ってついニヤニヤした うたえた相手の顔が見えるようで あるヘな人間をよしたものだと苦笑いを 漏らした時そっちでブツブツつぶやくのが 聞こえ たおいてすりむいちまった葬しなんて家だ どこもかしこもギシギシなりやがって こんなおとし穴みてなものまでありやがっ てえお前にすっからかんでどこに何がある かわかりやしねちしまるで化け物屋敷 だすりいたところを縛るのだろう手ぬいか なにか咲く音がし た今度は人がいないものと信じたか1人 仕切りに愚痴や不平をこぼしながら しばらくそこらをゴソゴソやってい たそれからやがて襖を開けこの心所へと 入ってき たずんぐりと小柄の男だっ た短い反転のようなものを着て毛引きを 吐き素足でほかぶりをしてい たもちろん武士ではないし資格などという ものとも類いの違う人間 だとするとこれはことによると盗人という やつかもしれぬ そう思うとおかしくなってしのはつい クスクス笑い出し た相手はぎょっとしたらしいこっちへ 振り返り目をすぼめてそこに敷いてある

ヤグを眺めその中に人間の寝ているのを見 たそれから 突然ヒょというような規制を上げて飛び のい ただ誰だなんだ 男はこう叫びながら及び腰になってこちら を覗い たしのは黙っていた仰向きになたまま 身動きもし ない男は迷って逃げようかどうしようかと 考えその挙句やっと決心したのだろう やおら片手の出羽包丁を持ち直しそれを 前方へ突き出して怒鳴っ たやい起きろ金を出せ起きてこい やろう金を出せってんだ大人しくあり金を 出しあよししのの抜かすとただお金どてっ ぱいこいつをおめ申す ぞしのはやっぱり黙ってい た男はじっと様子を伺い人足そろっと前へ 出た 不てえ野郎だたぬきねりなんぞしやがって それとも何か計略でも歓迎てやがるのかえ こっちはな表に30人から待ってるんだぞ ピーっと1つ呼び吹きよ え命知らずの野郎どがダンビラもを光らし て飛び込んでくるんだジタバタすると命は ねえ ぞ面白いな1つそれを吹いて みろ何をななんだと 野郎その呼び子を吹いてみろと言うん だ含み笑いをしながらしのがそう言うと男 はうっと詰まりそれから出羽包丁を ゆらゆらさせ精一杯すごんでわめき立て たふざけるなしゃらくせえや何を抜かす 笑わせるなやろうち正明やい何でもいい から金を 出せ気毒だが金は ないてめえ俺を素人だと思ってるのかこれ だけの大屋敷で金がねえへ金はないって やがるバカにするなってんだやい起きろ こっちはちゃんと目をつけてきたんだしの の抜かすとやしををする ぞそれはいい思いつきだ遠慮はいらない からすぐやって みろ茂信はさらにこけ加え た探してみてもしもあったら俺にも少し 分けて くれふざけたことを言いやがるしらせや バカにしやがるな野郎見ていろそこを動く と命はねえぞ 高きを白してこちらがじっとしているのを 認めそろそろやさしに取りかかっ たしかしそれはそう安楽には行かなかっ た襖はすぐ倒れるし戸棚の戸は開けるなり 落っこちたガラガラっと何かが

倒れいてという声がしたと思うとまたどこ かを踏み抜いたと見え板のへし折れる 激しい音が聞こえ たええイましこちしなんて家だなんて ひでえ家 だこういった途端男はバリバリドスンと どこかへ落ち込ん だ 2助けてくれと言ったようでもあるだが そうではないかもしれ やいとかしらせ真似をするなというような 罵り声は確かに床下の方から聞こえてき たそれからしばらくゴソゴソやっていたが 間もなく生い上がったのだろうそこでまた ブツブツ不平をこぼし たとんでもねえ家減っちゃったガタガタで すっからかんで満足な盾の1つありゃしね うぺぺチし何か口の中へ飛び込みやがっ ただがまだ諦めきれないと見え難度の方へ 行って何かかき回してい たそのうちに天井から大きな石で持ちた ようにガラガラずしメリメリと凄まじい 物音がし た男は悲鳴をあげ飛びのく途端に柱へ頭で もぶっつけたものかコツンという音がして 今度はもっと大きな悲鳴が聞こえ たおいたくさんだもう よせしのは吹き出しながらこう呼ん だ本当に何もありやしない探しても無駄だ からやめるがいい ああびっっくりしたとんだ目にあった ひでえ家だなっちゃねえ やこんなことを言いながら男はこっちへ 戻ってき たやい本当に何にもねえの かお前の言う通りすっからかんだ俺も初め にそう言ったではない か笑いごちゃねえやうい 男はホボを撫で回しながらヤグのそばへ来 て座っ た右足の毛引きをまくり上げてそこを 布切れで縛ってあるさっきすいたところな ん だろう男は辺りを眺めありため息をつい たするとその時彼の腹の中でクークー ぐるぐると妙な音がした 腹が減ってるんだ何か食うものはねえ かないようだ な晩飯の残りでいいんだ何か食して くれそれがないん だ舌打ちをして男は立ち上がったそれから クリアの方へ行ったが何かガタガタやり ながら広く腹を立てたよう に だだっぴくて何がどこにあるかわからねえ

と かここにかがあるとすればと かジこいつも空っぽだとか色々独り言を 言った後がっかりしてまたヤグのそばへ 戻ってき た米びつも空っぽみてだが米もねえの か俺は嘘は言わ ないじゃあおめえどうしてるん だご覧の通り さだって飯は食ってるん だろう今日で3日何も口へは入れ ないしょうがねえ なあ男は太行をついてこちらを眺め たするとまた腹がクークーとなったので 生葉を飲みながら立ち何か考えていたが もう 一度しょうがねえなとつぶやき広宴から どこか外へと出ていっ たしのはまもなく眠った らしい誰かゆりおこすものがあるので目を 覚ますと生子がほの明るくなりすぐそばに さっきの男が立ってい た起きて顔を洗わねえか飯ができた ぜ 飯どうしたん だどうしたっていいや早く起き ね男はクリアの方へ去っ た年は345だろうか色の黒い愚直そうな 顔で力仕事をしたものに特有の小言だ たましい方と外へ曲がった太い足とが 目立った それも 面白い苦笑いをしてしのは置き少しばかり フラフラするがすぎWHOの廊下から井戸 の方へと出ていっ た表の方は正門から段下がりに畑や他の ある村里へと開けているが裏は2000つ に余る庭がそのまま片方は黒谷の深い渓流 へ下がりへ行けば自然と鬼塚山へ続いて いるそちらにも昔は柵を回してあったのだ がずっと前に口倒れて今ではヤの教会が何 もないそれで鹿とかいし市とか時には熊 などまでのこのこ入ってくるし狐やたぬき などは上中の巣を持っているよう だ20年以上も人が済まずもちろん手入れ なども長くしないので木という木は勝手な 方へ伸びたいだけ伸びお互いの枝と枝歯と 葉を差しかわし重ね合うところへやからし やフやクなどがむやみに絡みついている からどれが末どれが梅とも差別がつか なかっ たもちろん見る限り夏草のしみで地面の 見えるところはごくわずかしか ないその一とろちょうど栗の外に当たる ところに井戸がありその死後県先には山水

を集めた細い流れが夏でも指のこえるほど 冷たい水を叩いて屋敷の内を横切ってい た顔を洗って戻るとヤグが上げてあり広え の方へ寄って男が前後をして いる大きな鍋からは香ばしい味噌汁の匂い が広がり蓋を取った釜から飯の湯毛が立っ てい た顔を洗ったかじゃあここへ座ん ね男はこう言って前のそっちを指さし た 3座って箸を取ったもののしげのは ちょっとそこで躊躇し たつまらないような話だが貸しても当然の 水を飲まずということが頭に浮かんだので あるどうしたんだ食わねえの かいや食わなくはない がじゃあさっさとやんねえなちっと免除 することはねえんだ気持ちいい時はお互い 様よ人間3日も食わずにいてたまるもん かこいがやはりしのは食べようとし ないどうしたんだと男はいぶかしげに こちらを見守っ たそれから不に肩を怒ら せそうかおめえこの米や味を俺が盗んでき たと思ってるんだな冗談じゃあねそんな べらぼーなおめえとんでもねえこっ た本気に怒った顔で口をとらし たほらみを出してこの米も味噌もちゃんと 買ってきたんだぜ嘘だと思うなら言って 聞いてみねえこの下のザクの花の咲いて いる百小屋だイシスみてに超えた神さん からちゃんと買ってきたんだ からいや勘弁してくれ俺が悪かったそれで は思想に なるほっとしてしのは茶碗を持っ 終わると男は前を下げクリアから出ていっ て向こうの流れで汚れ物を洗う らしいしのは風通しのいい古助員へ行って 横になりぼんやり庭の木立ちを眺めやっ たまもなく男がやってきた手を吹きながら ありを見回しさてと言ったが何か迷うよう にこちらを見て武将髭の伸びた顎を撫で たりぼんのくぼを描いたりし たじゃあこれでオーラ行くがおめえまだ ずっとここにいるの かまあそう だそれでその飯なんぞどうするんだ何か 当てはあるの か何にも ないないいったってそんなおめえそれ じゃあかえて死んじまう ぜまあそう だろう男はまた音を撫でぼのくをかい たこちらを見たり肩をゆすったりして何か 曖昧なことを言って不決断に1度出て

行こうとしたがすぐ引き返してき てしょうがねえ冗談じゃ ねえこう言って赤子の頭ほどの風呂式包み を腰から取りしのの前へどさりと置い たまさかおめえが上人をするってのに俺が 見捨てて行かれるもんじゃねえ飛んだとこ へ引いちまったこんなべらぼう話がある もん かだがまあしょうがねえなんとかするから これでも食べて待ってい ねえお前それでどうするん だどうするったってどうしようもねえじゃ ねえかなんとかするよりしょうがねえま いいからここに待ってい ねえ男は怒ったような顔でどこかへ出て いっ た土地の人間ではない なしのはこう思っ たこの付近は言うまでもない城下町なもの でさえこの鬼塚山のの点が廃屋であり 近づくことを禁じられそれを犯すとばっせ られることを知って いる時折り百姓とかカリドとか木こりなど にやして周りをうろうろするものがあるが それは滝沢一派の監視者たちでその中には 茂信の命を縮める役を受け持った人間も いるので ある3年前にここへされるまで茂信は江戸 の京橋小町にある中屋敷にい た彼は大井神しの次男に生まれしの側室で ある聖母とともにずっと中屋敷で育っ た大井神は一度大阪上代で5年近くエド ルスにしたがその他の時は自社業とか 若年寄りとか感情業とか老などとかいう 具合に住職の席から離れることが少なく3 金の糸まで領地へ帰るのもごく稀であっ たそういう多忙なためでも あろう茂信は20歳になるまで数えるほど しか父に会ってい ないまた丸の内にある神屋敷には長男の したの他に女姉妹が3人いて兄とは平日に は挨拶に行くので話もしたが姉や妹たちは 名前を聞くだけで顔を見たこともなかっ たしのは15の年にたから容姿に望まれた ほとんどまとまりかかったらしいが父の しとがどうしても承知せずその後も23 そういう話があったのにみんな断ったそう で あるこれが思わぬ紛争の原因になったわけ だが茂信としては自分を話さないのは父が 自分を愛しているからだと思い非常に感動 したことを覚えて いるだが父の大神は彼が21歳の時卒中で 倒れ兄のしたと彼を巡って家督問題の 激しい争いが始まっ

た 4前にも記したように大井神は常々公務に 追われるため反の政治は老心に任せきりの ような形だっ たその主犯は江戸の筆頭ヶで滝沢ずのすと いい風貌も裁判もずば抜けた一名失政と いう表の高い人物でもあっ たずは15近くその席にいたそれだけの 能力と人望があったの だろうしかし一方では彼に反感を持ちその 政策に不満を抱くものも少なくなかっ たうがち好きな人たちに言わせると大神 その人がすでにずのすを嫌っていたそうで ある反滝沢派の中心は梶田十衛門であるが 彼が大神のそ人だったところから考と案 それが事実であったかもしれ ない滝沢派は兵部したの家を言い張った もちろんそれが正論であるしたは長男で あるし8歳の時将軍に目見えも住んで いるただ13歳の時脳をひどく止んで体 だけは丈夫であるが頭が悪く時々お菓子の 挙動をしたり言語がはっきりしないような ところがあるそれが問題であっ たかは茂信を両立しようとし たしたが脳を病んだ直後から大井神はしの に家を直すつもりであったいくたびも容姿 の話があったのを大井神が断り通したのは そのためで ある彼らはこう主張しその反面丈が白地で あるということを幕府の閣老の間に宣伝し た らしい大井神は卒中で倒れて寝たきりだっ た全身の麻痺で口を聞くこともできなかっ たよう だ茂信は詳しい行たては知らない知りたい とも思わなかったが3年前の2月の初めの あるよいつもそばに使えている鮫島平と いうものが来 てかじた十衛門が突然謹慎になったこと その一派の重だったものは皆食をめずらし 3人ほど追放になったものがあること そして若殿の実にも類が及ぶかもしれない ので十分に注意してもらいたいことなどを 顔色を変えて慌しく申し述べ た注意するもしないもなかっ たそそ翌朝茂信は見知らぬ侍たちに 取り囲まれ本所の下屋敷へと移された そして一月すると上屋敷から死者が来て 大神の名で次のようなことを申し訳れ たお前は一部の関心と図って兄したを差し こし自分が家に治ろうと立て たこの事実は我が家法の十火であって到底 許すわけにゆか ないそのため国元へ長の実教を申しつける もので

ある茂信は一度父に会いたいと言ったが彼 らは耳にも入れなかったし中屋敷にいる 聖母と別れを告げる暇もなくすぐさま両地 へ送られてしまっ たこの鬼塚山の御殿というのは前の漁師の 三相だそうで松田家が風してきてから茂信 の祖父にあたる大神茂光という人が しばらく隠居所に使ったことが あるそれもごく短い期間のことであまりに 荒れているし城とゴリも離れていて不便な ため間もなく辞めた らしいそれから後は万人も置かず後輩する ままにしてあったという が国元へ着くとすぐ茂信はここへ入れられ たのであっ た初めのうちは侍5人と下僕が数人ついて い たそのうちに侍が1人ずつ減って行き下僕 も去り今年の春からしの1人だけ取り残さ れ たしかし米だけはどうにか届いていたのだ がそれもだんだん魔道になりついには米も 来なくなっ た城からは時々様子を見に来るしこの屋敷 回りには妙な人間が常にうろうろしている 3度ばかりしのを差しに忍び込んだものも あったごく最近も表の文板所の影から広え にいる彼に矢をいいかけたことが ある城から様子を見にくる役人に従者の 欲しいこと食料の届かないことまた資格の ことなど度々訴えてみ たすると役人は自分たちは全て江戸からの 申し付け通りにしているがあなたの行いが あまりに祖母で従者が皆逃げ出してしまう のである食料はきちんと届いているはずで あると答えまた資格の件については次の ように言っ たそんなことはあろうとも思えないがもし 事実とすればかた一派の回し者であろう あなたのお命を縮めて警視問題の密謀を闇 に葬るつもりではない かしのはやるかなと思っ た餓死か暗殺かもう運命は決まっ たジタバタするだけ無駄で ある高覚悟を決め全てを投げ出した気持ち で米が1粒もなくなるとともにそこでうじ ぬつもりで寝ていたのであっ たこういう状態のところへ俗が入っ たおそらく他国から来たもので何にも事情 を知らないのであろうが襟にえってこんな ところへ入るというのは皮肉 すぎる俺を素人だと思うかなどと言ったが おそらくその通りに違いない人柄も悪人に は見えないし自分の銭で米みそを買い 煮炊きをして食わせさいし

たケたちが俺の命を縮めようとしているの に盗賊は俺に飯を食わせてくれた妙な 世の中 だ茂信はこうつぶやいて男の置いていった 包を開けてみた 中には味そをまぶした大きな握り飯が3つ 入ってい た 5薄暗くなってから男が帰ってき たおお今蹴った ぜ男は広えのところからそう叫ん だ遅くなっちまった腹が減ったろ今すぐに 飯にするから な裏へ回っていく男の後ろ姿を見送り ながらしの部はふと胸の温まるような感動 を誘われた自分では理解しがい温かく胸の 潤うような感動で ある彼は久しぶりで机に向かいそれへ両肘 をついて口の物と懐かしいような気持ちで 聞いてい た食前は味噌汁と飯の他に8いっぱいの 梅干が出てい たこれもみんな買ってきたもの かよせや嫌なこと言う な男は目を三角にし口をとらし た人間1人抱えておめえ泥棒なんぞでやっ ていけるもんじゃねえや はあそういうもの か1人身ならそれはまあ泥棒でも食って いけるかもしれねえけれどもおめえという ものを抱えてみりゃ真面目に稼がなくっ ちゃお付き合しねえ やはあそれは木の毒だ な嫌な挨拶をするなよ木の毒だったって別 に俺だってそんなに泥棒なんぞしたかは ねえやまあ食おう飯が少し家庭かももしれ ね夜になるとヤグを並べて寝 た恐ろしく疲れたと見えて男は横になると すぐ眠り込ん だ大きないびきを描いたりドタバタンと 手足を投げ出したりヤグの外へ転げ出たり ブホ極まる寝方であっ たしのはいつもの癖でかりを炊きながら とかを引き寄せて夜過ぎまで本を読ん だある朝も男はどこかへ出かけたが出て 行く時しのに昼食のあるところを教え今日 は何か魚の干物でも買ってこようと言っ たところでなめが知れねえで不便なんだが おら電ク店だ電って言えばいいんだが おめえの名は何て言うん だ俺か 俺の名はのぶ だただのぶだけかいお侍らしくないじゃ ねえ か何の何のぶというわけじゃねえの

かいやそれでいいのぶでいいん だただののぶ佐藤ただのぶ か芝居ですスれや怒りを背負ってくる役だ などと間違った車両を言いながら出ていっ た レクロは言った通りその日八目という魚の 干物を買って帰っ たここへ幽閉されてから初めての魚と言っ ても 良いしのは行く度もうまいと言いそうに なっては口をつん だこうして3日4日と経っ た電は大川の堤防工事で働いていという それはいいがいつも厳しい監視者はどうし たのか電クのような人間が出入りしている のにどうして捨てておくのかそこがしのに は不信に思われ たこの屋敷へで配りして誰かにとめられた ことはなかった か一度そう聞いてみた ところらそんなヘなことはしねえよ 電クロはさもずるそうに笑っ たこの近所の百姓だって俺たちがここに いることはしっちゃいめ高島のものなんざ 言うまでもねえさそこは俺だって歓迎てら なこのぐらいうちに出て暮れてから帰る雪 木とも黒谷の渓流に沿ったそ道を取るので まだ途中で人に出会ったこともないと言っ たこれまでの監視ぶりはそんなことで ごまかされるような生ぬるいものでは なかったとすればあるいは監視が緩んだの かもしれ ないそういえば城からの見回りもしばらく 来ないようだ が茂信はこんな風に考えてい た甚奇妙な一種の共同生活がこうして続い ていっ た男は言葉つきこそ対等であるがその他の ことは主人に使える召使いのようだっ た労働をして稼ぎ煮炊きをしてしのに食べ させ洗濯までするので ある家臣に使えられて育ったしのすら時に はすまないと思いなぜこんなにしてくれる のかといかしなることもあっ たおめえって人は実に不思議だ 電クロは電クロでそんなことを言っ たほら生まれてからこんな気持ちになった な初めてだがおめえを見ていると変に 楽しいような嬉しいようなこうなんと言え ばいいかその世の中も案外いいもんだって いうような気持ちかな不思議にそんな 気持ちがするん だこれまではそうではなかったの かそうでねえからこそ泥棒にでもなっちめ て両家にもなったのよ思い出しても腹端の

煮えるようなひ目にばかり合ってきたから な 6電クロはごくたまにそれも極めて断片的 に自分の身の上話をした 生活の環境が違うし細かい部分は話さない からごく荒まのことしか分からなかったが 全体としてその過去は痛ましいほど運が 悪く聞く方でも安全となるようなことが 多かっ た彼は江戸の下町の生まれで家はちょっと した物屋だった父親は大人しい公人物で あったが酒を飲むと人が変わりあるだけの 酒を持って飛び出したきり5日も6日も 帰らないようなことがしばしばあっ た結局は店を飲みしてしまい親子3人で 長い引っ込むとまもなく父親は休止した 休止と言っても酔って川へ落ちて死んだの で あるおらそれで7つの年からしみを売りに 出たもんだ 母親が五歩を迎え彼は日本橋の方の解散物 のトヤへ小僧に行っ た義の父という人がまた頭抜けた酒のみで 母親は随分苦労したらしいそのためか3年 ばかりして亡くなっ ただから1さておらみなしごになったわけ だ本当はみなしごなんだが残ったその義の 親父てのが いるこいつが俺の薬神になりやがっ た心臓というその男は妻に死なれてから3 日にあげず店へき た電を呼び出して小遣い線をねだるいつも ひどく酔っていて大きな声をあげたり時に は暴れたりし た何かの職人だということだがもう前から 仕事などはしない らしい爆打ちにでもなっているのか風景も 悪いし嫌な人相だっ たトヤの主人もそんな人間にしげしげ来 られるのは迷惑だっ たろう心臓が 度々こんな給金の安いところへ置くわけに はいかねえなどと言うのを幸い2年足らず で底よく店から暇を出され た電はた拾いをしたこもりもした石や盛車 や米 や色々な家へ小僧に行っ ただがそれは食を覚えるためでは ない年期暴行の約束で先にいくらいくらと 洋NUが金を取るそうして少し立つとそこ を逃げ出すのであるつまり先取りの金が 目的なの だ中には方向先が良くって逃げたくない この家で暮らしたいそう思うことが あるすると日本橋のトヤの霊で洋服が毎日

のように酔っ払ってきて前がりを増せとか 急筋が安いとかわめきたて店先へ寝たり 暴れ回ったり するそれで大抵向こうから暇が出た 25で妻をもらった時電クロは本所で盛の 手伝いをしてい た妻は居酒屋などにいた女らしく洋服が 連れてきていつくようにさせたのであるが 以来その長屋の人間は爆のようになっ たいつも妙な人間が出入りをし夜通しサコ や花札の音がしてい た妻はクロなどそっちの気でその仲間と爆 を打ったり酒の相手をして騒いだりまるで 夫婦というようなものではなかっ たその女は100日もいたかなまもなく その仲間の1人とどこか行っちまった実は それがその女の本当の亭主だった らしい洋夫は彼を絞れるだけ絞り通した そしていやんで死んだのであるが寝込んで から息を引き取るまで半年以上もの間彼を 不幸もと言ってののしり続け たレクは30になってい た初めて自分1人の好きなように生き られる時が来 たそう思ったのであるがこれと言って手に 食があるわけではないし年がもう年でその 時々の仕事を点々と稼ぐより他に仕方が なかっ た31で2度目の妻を持っ たもう23になる気の強い女で1度嫁に 行ったことがある らしいこまめに働くのはいいが口 やかましい上に愚痴っぽくて恐ろしい隣色 でしかも平気で嘘をつい たその自分おら車力をしていたが親方に 見込まれて古石の近くへ丁場を持たせて もらった硬いところを見込まれたんだろう 車を12台と引こ3人預かっ たかしぐもするわけなんだがその引子の中 に七五郎という男がいてこいつは俺より 古株なんだが悪い野郎でみとたねうちにに 長場の金をさらってずらかるやがったそれ ばかりならいいが12代の車も人にうる 約束でその金も持ってきやがったには びっくりし たもちろん彼はその親方とは縁が切れ た一方では妻の隣色と嘘つきと口 やかましいのに愛そうをつかしてい た神々と言いたい放題のことを言ってそれ こそ倍の飯を2杯に詰めてそうして自分は へそくりを溜めるという風だっ たもう顔を見るのも声を聞くのも嫌らしく なったので古石の丁場が潰れるとすぐ彼は 江戸を逃げ出し た

7この土地へ来るまでには随分ほぼを 渡り歩いたがどこにも落ち着く場所は なかっ た政権はせがれし人間はずるくて不人情で おら小股を救われたり落とし穴へ 突き落とされたりひでえ目に愛しだっ たさすがの俺も豪が煮えてやけっぱちに なってそしてえくそそっちがそうなら こっちもと思っ てだが知恵のねえやつはしようがねえ泥棒 に減ったのがこの化け物屋敷だよへ全くの ところうまくできて やがる話はごくとびとびで前後が取り違い たり同じことを何度も繰り返したりした その上しのには理解のつかないところが たくさんあるたひいとかしじみ売りとか その他非の暮らしなどはほとんど分から なかっ たしかししのにはその話は楽しかっ た楽しいと言っては違うかもしれない事実 は痛ましく哀れなのだ聞いて思わずため息 の出るようなことがしばしばであっ たけれどもそこには茂信などの知らない 生き生きした生活があり人間のあさな姿が 感じられ た夜半に目が覚めて隣に熟睡している電の 寝息を聞きながらしのはしみじみとした 思いで酔って川へはまって死んだという彼 のジップのことを想像し た7つという年でしみを売り歩いたという 下のりた寒い早朝の町のひっそりした景色 を目に描いみ たこの俺がもしそのような身の上だっ たらしのは彼と自分とを置き換えてみた すると置き換えた方が人間らしく生きがい のあるように感じられ た古井しの丁場から金をさって逃げたと いう 男ケチで嘘つきで口 望彼を苦しめ絞れるだけ絞りながら死ぬ まで彼を親不幸者とのしたという洋 NU妻とは名ばかりで爆竹を打ち酒を飲ん で騒ぎ実は他に本当の亭主があったという 初めの 女みんなそれぞれ狡猾で いやらしいだがそうやってデクを痛めつけ 彼を騙し彼を憎み彼からくすねたり奪っ たりしながら彼ら自身もそれほど恵まれは しなかったで あろう今でもどこか世間の住の方で それぞれの苦しい生活に追われ時につねと ため息でもついているのではないだろう かみんな気の毒な哀れな本当は良き人たち なんだ少なくとも俺の周囲にいる人間より は人間

らしい20日あまり一緒に暮らすうちしの はすっかり伝苦が好きになっ た彼の体には生きた世の中の匂いがついて いる良いところも見にくいところも癒しさ も清らかさもひっくるめた正直なあるが ままの人間のが感じられ たおおのぶさんおめえ土上汁食う かよく知らないが食う だろう食うだろうって土上汁も知らねえの かえおめえ知らねえものばかりじゃねえ かうんまあそんなところ だよっぽど家が貧乏かそれともお大名の若 様みてだ ぜこんな風でまだ口にしたことのないもの も色々食べ た武家の生活とは違って不法な下品なよう な感じであるが全てに情があり真実がこっ てい た炊きたての飯に熱い汁をかけて食ううさ 肌の茶漬け青しその香をきかした 冷ややっこ さらに鍋底の狐色に焦げたところへ塩を 振った握り飯など品も左方もなくうまかっ たこれが本当の食べ物だという気がし たおもしれえことがあるぜのぶ さんあるよ遊を取りながら天郎がこう言っ た世の中は広大だ俺がドジだと思ったら俺 に輪をかけたが嫌 がるそれはいることはいる だろういるったってそれがおめえ泥棒だ ぜバカなことを まさかそれがそうらしいんだ白勝みてえな 格好なんだが表の兵の周りや裏庭の奥の方 を時々うろついて いるら気がつかね風で見ているいるが さっき飯を炊いてる時もちらっとしやがっ た馬屋のぶっ壊れたのがあるあの影の ところ だしのは顔をうけた表情の変わるのを見 られたくなかったので ある電クロはまるで気がつかずニヤニヤし ながら面白そうに言っ た今夜あたり経ってくるかもしれねえそう したらほんだ俺が見物する番だ つのめったり踏み抜いたりとたんバタン 1人で暴れて誇りまみれの汗だくになって それですっからかんの何にもなしとくらへ 野郎びっくらしてバカにでもなっちまう なだがその世は何事もなかっ た 8 どうしようってんだあの野郎何をいつまで まごまごしてるんだまだヘール決心がつか ねえのか な天郎はもどかしそうに舌打ちをし

た思い切って減りゃいいじゃねえかな こっちは手だしはしねえんだ見ていて笑っ てやろうってだけなんだ発泡を開けっ ぱなしで待ってるんだよっぽどの臆病者に ちげえ ねえ彼がいくら不平を言ってもやっぱり 泥棒の入る様子はなかっ たするとある日電苦がその話をしてから7 日ほど経っていたが曇り日のむしむしする 午後茂信が古助員で横になって本を見て いると前庭の方 で若殿の若のという声がし たしのは頭だけそっちを向けて誰だと物に 答え た平馬でございます鮫島平馬でござい ます茂信はだるそうに本を投げ た鮫島平馬ああ江戸の中屋敷にいた男か そう思ったが起きていく気持ちにはなれ なかっ たなんだ俺に何かよう か急ぎますので要点だけ申し上げます大殿 のにはご高いにございますご承知で いらっしゃいます か知らない初めて聞い た5月10日に制御したというのを聞き ながらしのは目をつって口の中で そっと血と呟い た平馬はさらにかじた十衛門が過労に就任 し滝沢武之助が大名になったことつまり 情勢が大きく変化し始めたことを述べ たしかし茂信にはもうそんなことは興味が ない誰が勝ち誰が負けようと権力の席が どう変わろうと彼には何の関わりもない ことだ そうか乳上はお亡くなりなすったのかご 輪中は平安だったろうか中屋敷の母親はお 名残りを申しに上がれたろう か平馬は名を続けてい たこの三相は早くから自分たち同士のもの で守ってきたすでに滝家の監視は緩んで いるが情性がはっきり決定するまでは油断 ができない非常手段を打たれる心配もある から今しばらくこのまま影から守護して いる若殿にもそのつもりで辛抱して いただきたいなどとも言っ たその中で1つ意外なことがあっ たそれは3度現れた資格も不に矢を 言いかけたものも皆かた一派の人間だった ということでこれにはしのもびっくりし た誠にやむを得ぬ苦肉の柵でございまし たヘマは歯を食いしった声でそう言っ た滝沢島では兼ねてから若のお命を落ち しめ申す手立てに愛見えましたそれで逆手 を打ったのですが彼らは幸いこれを見破る ことができず手を濡らさずして目的を

達すると思った様子でございました かな事情で晩やむを得ない給与の作です からグレーの団はどうぞ育にもお許しを 願い ます茂信はしまいまで横になっていたそう して平馬が去ろうとした 時みんなにそう 言えもう俺に構うないいか俺のことはって おけ と資格が自分の味方だったということは 何よりしのを不愉快にし たそれは苦労ではないかその時しのは真剣 であった本当に暗殺されるかもしれないと 思っ た枕のそばへ刀を置く習慣も夜よく熟睡の できないくせもみんなそれ以来身についた もので ある 資格などが来るとすればかじ一派の回し者 で あろう城から来た見回り役人がそう言って 霊障したことを 思い出す彼らは裏を書かれていたわけで あるが茂信の身にすれば裏を書くことの方 がずっと恥ずかしかっ た嫌だつづく嫌な世界 だのはこうつぶやき何もかも忘れたいと いうように頭を激しく左右に振っ た 天空2人でどこかへ行く かしのはそのよそう言っ た悪くはねえなおめえさえいてくれりゃら はどこでどんな苦労でもする ぜ何俺だって何かするさ そりゃ先行き麻さ人間遊んで食ってちゃ テト様に申し訳がねえけれどもせくことは ねえぜおめえの体が丈夫になりそういう 気持ちが出てからの話 さ俺は体は丈夫だ よ自分じゃそのつもりだろうがそうじゃあ ねえおめえの体は病んでる病気てもじゃ ねえかもしれねえ が電クロは気真面目な顔でこちらを見 たそうよ体か心ん中かわからねえが とにかくどこか相当痛ん でるおらこれでそういう感は割り方確かな ん だ ほおそんな風に見えるか な心配することはねえんだぜのぶさん俺が ついてるからな 大船てわけにはいかねえが俺にできるだけ のことはするつもりだまあいいから当分 おめえは呑気にしてい ね

9しのは本気であったデクと一緒にここを 出版しどこでもいい好みで働いて人間 らしいつましい生活をしよう 電クを騙し絞りくすねののしり恥ずかしめ たような人間はどこにでもいるに違いない しかしそれも指して悪くはない権力争奪の 海来にされるよりはるかに人間らしく 生きがいもありそう だ出て行こう電クと一緒に自分で働いて いきよう しのがそう決心するのと反対に電クロは なかなか動く景色がなかっ た堤防工事の人足の親方がだいぶ彼に就寝 でその頃はもう小頭に引き上げていた先へ 行っては一現場任せてもいいような口ぶり らしい自分でも嫌なんだがどうも俺には そういうところがある らしいレクはテレよなきをし たおら綺麗なんだそういうことは嫌なんだ けれども古石の時もそうなんだが変に信用 されるところがあるらしい別におべっかを 使うようなことはねえつもりなんだ がしかし信用されてみれば悪い気持ちでは ないしこちらもそれだけのことをする義は ある天クロはそういうつもりのよう だ ここはこの通りぶっ壊れの化け物屋敷で誰 に邪魔をされる心配も ね完成で呑気で俺たちがこうしているにゃ 持ってこいだぜとにかくもうちっといて みよう やこんな風に言っているうちに10日 ばかり立ってしまっ たその日はよく晴れて秋を思わせるような 爽やかななや強い西が朝から仕切りに木々 の枝を鳴らしてい た電が出かけて一時ありたったろうか遠く から馬庭の音が近づいてきて表ものところ で止まっ た五木はいる らしいしのはドキッとして刀を引き寄せて そっちを見 た平馬が言ったように滝沢派で非常手段を 打ちに来たのかもしれない もうややと打たれはしない ぞこう思っていると洗剤を回って5人の 武士が入ってき た中に1人塗りがをかったものがいてその ものだけがそこで傘を脱ぎ刀を自社に渡し てこちらへ進んできた他の4人はその場に 膝をついて控えたが鮫島平の顔もその中に 見えた こちらへ来たのは室球左門というものだっ た江戸の上屋敷で度々あったことがある 中老閣で確かずっと馬まり支配をしていた

はず だ年は四十三死野牛流の達者だと聞いた ように思う が今見ると体操痩せて左右の瓶が白くなっ たして尖ったような顔に落ちんだ目だけが 強い光を帯びてい たお見忘れでございましょうか室球左門に ござい ます縁先に片膝をついて彼はこう言った そうして頭を下げたまましの部に長い信郎 をさせたことを詫び城へ迎えるために来た こと詳しい事情は城へ行ってから申し上げ ようご上場を引いてきてあるからすぐ支度 をしてお立ちくださるようにと言っ た俺に構うなヘマにそう申したはず だちのは正座して静かにそう答え た白えはゆかぬ嫌 だ私は5日前に江戸からこちらへ到着 いたしました当地におきましてのおいしい 5日常は江戸でもあらまし承知しており ましたがこちらへ参り3年以来の詳しい ことを聞きまして恐れながらご体も砕け まじい新婚の消える思いにございまし た俺が飢えていたことも聞いた か茂信はむしろ微笑みながら言っ た俺が泥棒に食わせてもらっていることも 聞いた か恐れながら全て承知いたしております そのものとのお暮らしぶりもそのお暮らし ぶりが虚いに召したというご様子もまた ゴミ分を捨てて世に隠れるおぼしめしの ことも全て承知いたしており ますこれはしのには思いがけない言葉だっ た 平馬かとも思ったが平馬にもそこまで 分かるはずはない出版して庶民の中へ 入ろうという試案は電の他に知るものは ないはずで あるでは電 かそう考えてきて茂信ははっと目を上げ た電な足を止めたのはその方ども かとのどもが計いました知れざるように手 を回して賃金も多く使わし役もつけ今後も 長く統治にいて身の立つようにとも計って ござい ますそれで俺が城へ帰ると思うのだ なしのは冷やかなしかし強い調子でこう 言っ た俺は嫌だもう俺に構うなお前たちの海来 になるのはもうごめんだ俺は人間らしく 生きることを知った俺は人間らしく 生きるその大世は覚悟の上で参りまし た球門はこう言って静かにこちらを見上げ た10 おし通り姿勢の人となり魚儀のままにお

暮らしなされば本命を1つ何の心遣いも なく無事安穏にお過ごし遊ばすことができ ましょうしかしそれだけでようござい ましょう かご自分だけ気まま安楽にお過ごし遊ばせ ば他のことはどうなろうと構わぬそうお 思いなされますか 球左門の目はキラキラと光っ たただいまその方どもの海来と押せられ ましたがこの度のご警視問題では3名の ものが説服しており ますか殿を始め同士の者ども皆命を 投げ出し簡単を砕いて本訴いたしまし た今日までの若殿の長いご艱難はもうも 恐れ多い次第ですが我らもまた死ぬ覚悟で やってまったの です滝沢どの一等が兵部様ご相続をしい ましたのは恐れながらご風雪に渡せられる を幸い己れの牽制を欲しいままにし先生 ことを行う手段でございまし た次第に声が激しく調子もぐんぐん強く なっ た これまでも滝沢殿の一等の戦乱は目に余る ものがあり大殿にもよほどご心痛を遊ばさ れたと伺っております兵部様ご風の後より 若殿をご世子に直しそれによって就職の 交代と政治の更新とご試案あったと 受け賜りまし たさればこそかたとのはめ我ら同士のもの は骨を砕き肉を削る思いでやってまったの ですお家のため政治を立て直すためひては 7万5000億の良民のため にそうしてようやく今日という時が参り まし たこの日のために皆神命を投げ出して働い たの です若とのこなた様はこれらの物を捨てて 自分を1人だけ安穏に暮らしたいとおしし ます かいつかしのは目を伏せてい た球門は声を和らげそっと息をついて続け た人間には身分の遺憾を問わずそれぞれの 責任がある庶民には庶民のには侍のそして 領主には領主のそれぞれが各自の責任を 果たしてこそ世の中が動いていく漁師と なって一般の家臣を束ね良民の生活を 安んずる良き政治を取るということは姿勢 の人になるよりは困難で 苦しいしかし大殿も千大殿もその苦しい 困難な責任果され たきまま安楽に行きたいと思う前に自分の 責任ということも考えなければならぬで あろう我々同士ばかりでなく一般を上げて あなたを待っているみんな手を差し伸べる

思いで待っているので ある左門はこう言って涙でうるんだ目で じっとこちらを守っ たお帰りください若殿のお願いでござい ます目を伏せたまましのはややしばらく 黙ってい たさっきから見ると頬がこけ眉の辺りに 一種の旧の現れが 見える彼はやがて静かに顔をあげ泣きかに 頷きながら言っ たわかっ た城へ 帰ろうそれが聞こえたのだろう洗剤の脇に つくばっていた4人の者たちが一斉に芝の 上へ手をつき耐えかねたようにすすり泣き の声をあげ た天は俺にとっては恩人とも言うべきもの だ 行末をくれぐれも 頼む必ず魚通りに捕まり ます俺は明日1人で帰る彼と人よ名残りを しみたい今日はこれで引き取るよう にしのは彼らが去ってからも長いこと底に 座ってい たそれから庭へ出て行き荒れはてた店内を あちらこちら歩き回っ た彼の消防は 引き締まり辺りを見回す目には強い意の色 が現れ た 電俺は帰る よ口の中でそっとつぶやき風の渡る 晴れ上がった空へと悲しげに目をやっ た 電が帰ってきた時しのはかどで汁をこえて い た頭から灰まみれで煙に巻かれたのだろう 目の周りを黒く汚してい た電はびっくりし飛んできて彼の手から ひきだけをひったくっ た何をこんなおめえが何もこんなことを することはねえじゃねえか冗談じゃねえお 天気が変わら 今日は俺がするよわけがあるん だわけがあったっておめえにできるこっち じゃね俺が変るから向こうへ行っ ていやもう住んだん だしのは鍋の蓋を取りざにあげてあった 刻み大根を入れ た飯も炊けたし魚も焼いて あるこいつはびっっくり点だんじゃね せっかく続いていたひよりがこれできっと おじになる ぜまあ足を洗えそして飯に しよう

11食前に向かうと電クロはもう一度驚い たおめえこれはこれはどうしてちゃんとし たもんじゃねえか ちゃんとしたものとは何が だ飯も上出だし魚の焼き方もいいしおまけ に競りの下下を驚いたこいつは大した驚き だカブを脱いだ ぜしのは笑って何も言わなかっ たお侍はこえてことを言うが全くだな すまして肘を張ってるがいざとなりゃ こんなこともできるんだやっぱり修行って もが違うんだ なそう褒めるなまぐれあたり だご謙遜にゃを呼ばねえと思い出したんだ がおめえさっきこれにはわけがあるとか 言ったようだがあれは何 だうんしかしそれは食べてからにしよう 気を持たせねえでくれ心配になる ぜ食事をしながら話すつもりだっ たしかし箸を取ってみると口が切れない それで一時伸ばしたわけであるが食事が 済み後片付けが終わっていつものロバへ 座ってからも紫の詰まるような気持ちで どうにも話ができなかっ た どうしたんだわけてのは何 だ何大したことではない さ大したことでねえにしても話を聞かなく ちゃ落ち着かねえ言ってくんねえ なしのはかりの煙にむせて咳をしながら脇 へ向き笑い ながら実はわけも何もないあの時の出任せ だと言っ た冗談じゃね本当かいそりゃ本当に何にも わけやねえのか い1度ぐらいは俺が煮炊きをして電工に 食べてもらいたかっ たお前には随分長い間世話になった からやめたやめたそんな水くせえことは 聞きたかねほら横に鳴らしてもらう ぜレクロはそこへ寝転び手足をうーんと 思いきり踏みのばし たいつもそうしてその日の仕事場の出来事 などを話し終わりの方は下がもつれてあび があびに継ぐようになるとそのままそこで 眠って しまう夜中になって気温の下がる自分しの が起こして寝床入れてやるのだがその世は いつもより早く10時頃にはゆり起こし たさあ寝るんだ風を引く ぞレクはほとんど夢中のようではってヤグ まで行くとそれなり手足を投げ出して 眠りこけ たしのはその寝姿をややしばらく見守って いたが裏庭の木を渡る風の音を聞いて我に

帰ったように立ち上がっ た今だ今ゆかぬと気が くじける時が経つほど未練が強くなる朝 までというつもりだったが早い方が間違い なしと思って何もかもそのまま立っていっ て素早くみくをし た袴を吐き刀を持てば良い広えの身をよけ てくの雑を探り そうして前庭へ出ていく途端後ろから電の 声がし たおめえ言っちまうのかのぶ さんしのは身のすむ思いで立ち止まっ た俺を置いて行っちまうの か電ク堪忍してくれ しのは頭を垂れ声を殺していっ たお前はこの土地で立派に生きて行ける俺 も行きたい俺も武士として行きたくなった お前がお前らしく生きるように俺も俺 らしく生きたくなったん だ世話になり離しで済まない誠にすまない が俺をゆかせて くれ 晩の飯はこのためだったんだ なレクは広えの柱を抱いたまま行っ たおらのぶさんと一緒にいたかった一生 2人で暮らせると思ってたん だのぶさんと暮らすようになってから 初めてら生きる張り合いができ世の中が 明るく見えてきたようやっと人間らしいに なれたの に今んなっておに行かれちまうのぶさんて ものがいなく なる天空がかわいそうだた思っちゃくれ ねえの かしのは夜の空を振り合いだ頭を激しく 左右に振りきっぱりと力を込めていっ たまたお 天空人間にはそれぞれの道がある俺は俺の 道を行くんだ達しでいてくれサラバ だしのは思い切って大股にぐんぐん歩き 出し たそれじゃあいっちまうんだなのぶ さん電クロの声が後ろから追ってき たおらもう止めねえよどうか立派に出して くな祈ってるからな病まねえようにし ていつかもしできたら会いに来てくんな のぶさんおら待ってる ぜ歯を食いしり耳を塞ぐ思いでしのは ずんずん門の外へ出 たするとそこに誰かいてつくばっ たおおつまり ます島平で あるしのは頷いてそのまま道を下っていっ たまだ西風が強く夜空は散りばめたような 星であっ

たのぶさんいっちまうのかのぶ さんしのの耳には電クロの悲しい声がいつ までも聞こえてい た著者 紹介本名は清水 里1903年山梨県に生まれた彼は小学校 卒業後に東京小町の七店山本小五郎商店に 固定として住み込みましたここでの経験が 彼の失明の由来となり ます若き日のシゴ郎は雑誌者などを経て 1926年にスデ付近で分断に 登場この作品は彼が関西時代の体験に 基づいて書いたものでその後の彼の作家と しての道を大きく開いたの です彼の作品は庶民の立場から武士の口中 や姿勢の人々の相観を描いた時代小説歴史 小説で知られています特に1943年の 日本不動機が直木省に押されるも彼は受賞 を持しました彼はその後も多くの章に押さ れましたが全て辞退し読者からの評価を 最も大切にしていまし た山本修郎は大衆文学と純文学の教会を 超えた作品を残しまし た彼の作風は良い小説と悪い小説しかない という信念のもと普遍的な妥当性と技法へ のこだわりが見て取れます特にもみの木は 残った赤髭診療丹青べか物語などの作品は 彼の代表作として高く評価されてい ます山本修郎は1967年2月14日63 歳でこのよ去りましたが彼の作品は今も なお多くの人々に愛され読み継がれてい ます 庶民派の作家としてまた姿勢の生活を描く 優れたストーリーテラーとしての彼の名は 日本文学史に長く刻まれているの です

【目次】
0:00 「泥棒と若殿」の読みどころ
3:15 本文
01:23:21 著者紹介

「眠りの森」の朗読チャンネルへようこそ🌙

泥棒と若殿は、山本周五郎の感動的な物語で、家督争いに敗れた若殿・成信と泥棒・伝九郎との奇妙な友情を描いています。
幽閉された古びた屋敷での出会いから始まり、二人は人生の価値と友情の意味を見つけながら、互いの孤独を癒していきます。
成信の悲しい過去と伝九郎の野望が交差する中で、彼らは互いに人生の教訓を学び、真の友情の力を発見します。
この物語は、人間の矜持と善悪の相対性を探求し、時折ユーモラスで心温まるシーンを提供します。
泥棒と若殿は、人間の本質と友情の美しさを称え、読む者に笑いと涙を提供する、感動的な物語です。

【本チャンネルについて】
夜の帳(とばり)が下り、星が輝き始めたら、眠りの森が開かれます。
眠りの森で、女性の優しい朗読が夜の疲れを優しく包み込みます。
眠れないあなたの心を、森の中の穏やかな物語で安らぎへと導きます。
おやすみ前の静かなひとときを過ごしてください。
今日も一日お疲れ様でした。

◆チャンネル登録はこちら
@yomazu

#睡眠朗読 #睡眠導入 #日本文学全集 #睡眠用BGM #山本周五郎 #泥棒と若殿

2 Comments

Write A Comment