「根深いコンプレックスが、美しさや若さの執着として出ることがあります。その根底には、心の病があることも少なくありません。若さへの執着の背景には不安があり、自分自身が不幸になってしまう可能性もあるのです」と語るのは、キャリア10年以上、3000件以上の調査実績がある私立探偵・山村佳子さん。彼女は、メンタル心理アドバイザー、夫婦カウンセラーの資格を持つ。
山村さん連載「探偵はカウンセラー」は、山村さんが心のケアをどのようにしていったのかも含め、さまざまな事例から、多くの人が抱える困難や悩みをあぶりだしていく。個人が特定されないように配慮をしながら、家族、そして個人の心のあり方が、多くの人のヒントとなる事例を紹介していく。

今回山村さんのところに相談に来たのは65歳の久美さん(仮名)だ。「娘が変なことをしていないか調べてほしいのです」と連絡をしてきた。
久美さん夫妻には2人の娘がおり、同居する35歳の次女は作業療法士として活躍している。久美さんが「問題」とするのは40歳の長女のこと。幼少期に男の人の膝にすぐ乗ろうとするので「媚びる」と嫌っており、小学2年生のとき長女が友人の文具を盗んだ時には何度も平手打ちをしたという。久美さん自身も「娘が苦手だ」と本音を漏らすほど、溝は深いようだ。
娘は19歳のときに一度授かり婚の末、21歳のときに家を逃げ出して離婚、それからは実家や付き合っている相手の家に暮らしていた。35歳の時に55歳の裕福な会社社長と再婚をして5年になる。
40歳の、お金に困っていない長女をなぜ調査するのか。久美さんが連絡をくれたのは、街で派手な服装をした40歳の長女が若い男性と歩いているのを見かけた直後だった。久美さんは長女が美容整形をしていることと、ラーメン店でアルバイトを始めたことに疑念を抱いたのだ。もし浮気をしているのなら、今の夫に離婚されてしまうのではないか。その心配から、事実を調べ、長女を説得しようとしたのだ。
果たして調査の結果は。
娘夫婦の自宅に行くと
久美さんは娘の生活を全く知らないので、朝8時から娘の家を張り込むことにしました。横浜の住宅街にある洋風の一戸建てで、外から見るとつるバラが絡まるアーチや、よく手入れされた広い庭があります。

9時にジャケットを着た娘の夫が出てきてガレージに向かいます。後から娘も見送りに出て、夫にじゃれている。娘の容姿は小柄で顔が小さく手足が長い。40歳ですが、遠目には20代に見え、とても若々しい。娘の夫も楽しそうにやり取りしたあと、大きな白い四駆で出かけて行きました。
それからほぼ動きはなく、16時に娘が出てきました。近くで見ると、かなり細いのに、バンドTシャツから不自然に胸が盛り上がっていることがわかります。久美さんが「豊胸手術をしている」と言っていた意味がわかりました。バスで移動する娘を見ましたが、明らかに美容整形の痕跡がある。肌はパンと張っており、唇の輪郭がはっきりしていて、目がとても大きい。若いというよりも、幼く見せるための施術とメイクをしていることがわかります。