ロレアル プロフェッショナルにとって、ファッションウィークは実験場 - FashionNetwork 日本

ロレアル プロフェッショナルにとって、ファッションウィークは実験場 – FashionNetwork 日本

掲載日
2026年10月1日

すでにスタイリング済みの髪を立て直し、積み重なったヘアスプレーをリセットし、モデルが登場する前にルックを組み直す——持ち時間はわずか30分。クレージュのファッションショーのバックステージでは、ヘアにミスは一切許されません。ロレアル プロフェッショネルにとって、それこそがバックステージの醍醐味なのです。

クレージュ 2027年春夏コレクションのバックステージクレージュ 2027年春夏コレクションのバックステージ – DR

「これは『過酷なテスト』です」と、ロレアル プロフェッショネルのグローバル ジェネラルマネジャー、クレール・ル・ブレイ氏は言い切ります。この言葉は、同ブランドがパリのランウェイの裏側で何を求めているのかを的確に言い表しています。今シーズン、クレージュでは48人のモデルに対し、23人のヘアスタイリストが動員されています。緊張が走るこの密度の高い現場では、製品は持続し、再び手直しが利き、固定し、造形し、時には数分前の仕上がりをなかったことにできるほどでなければなりません。ロレアル プロフェッショネルは、こうした厳しい条件を自社の処方を検証する場としても活用しています。

「私たちにとってバックステージは、製品の一部をテストし、他と比べて劣るのか優れているのかを見極める場所でもあります。開発中のものも少なくありません」と、ル・ブレイ氏は説明します。

このように、ファッションウィークはロレアル プロフェッショネルにとって、技術的な制約と創造性が交わるまたとないフィールドです。「私たちはメゾンのために働く立場です。クリエイションと対話し、ルックを共同開発し、発明するのは彼ら。ですから、こちらのアイデアを押し付けたり、ひとつのレシピを別のメゾンに横展開することはしません。仕事はアーティスティック・ディレクターやヘアスタイリストとの対話の中で形づくられます。私たちは、アクセスをひらき、ツールキットを手渡す存在なのです」と、同氏は続けます。この線引きは、ブランドがショーの現場でどのようなポジションを目指しているのかを理解するうえで重要です。

この関係は、時間をかけて育まれてきました。ロレアル プロフェッショネルは、若手デザイナーのプレシアやウェンサントをここ数年支援してきた一方で、今シーズンはミュグレー(初提携)やクレージュといった、より確立されたメゾンとも協業しています。ミュグレーのエネルギーから、クレージュが追求する素材やイノベーションに至るまで、幅広いクリエイティブの領域を行き来できるこのポートフォリオによって、ヘアを単一の型に押し込めることなく表現することが可能になっています。

ただし、こうした舞台裏で起きていることを、バックステージの扉の内側だけに閉じ込めておくわけにはいきません。

クレージュ 2027年春夏コレクションのバックステージクレージュ 2027年春夏コレクションのバックステージ – DR

そこで、もう一つの仕組みが活きてきます。「私たちは、肖像使用が可能なモデルを選抜し、ショーの最中に行われる変化の一部を記録しています。チームは、ヘアスタイリストの手にかかる一連のプロセスを追い、手元の動きや各種テクニックを可視化・解説します。そうして得られたコンテンツはまずライブ配信し、その後“ステップ・バイ・ステップ”の教育用フォーマットへと編集して、ルックをより身近なものにしていきます」と、ル・ブレイ氏は付け加えます。

ねらいは、単なるファッションウィークの報道を超えることにあります。「私たちの仕事は、いわば“バックステージをオンステージにし、可視化する”こと。トレンドが生まれるその瞬間に、ライブでアクセスを提供するブランドになる、ということです。」

ロレアル プロフェッショネルにとって、ショーはトレンドが芽吹く瞬間に、ヘアのプロフェッショナル・コミュニティをダイレクトにつなぐ手段でもあります。同ブランドは世界で300万人規模のオーディエンスを抱え、60の市場で展開。プロフェッショナルと一般消費者という二つのコミュニティ双方に、こうした映像やテクニックへのアクセスを提供していく考えです。

美容師にとっての関心は、単なるランウェイのイメージそのものよりも、そこから何が実践できるかにあります。トレンドの兆しを捉え、そのつくり方を理解し、使用された製品や所作を特定する——そのすべてが、サロンワークを豊かにする糧になります。「彼らは、自分たちが日頃使っている製品や“裏ワザ”を見つけることも好きなんです」とル・ブレイ氏。何より、顧客がSNSや雑誌で目にするであろうトレンドと、常に接続していたいと考えています。

この取り組みは、ショーだけにとどまりません。パリでは、第11区シャロンヌ通りに専用スペース「Backstage Transformation」を開設し、チームが選抜したゲストのヘアスタイリングを行っています。モデル、スタッフ、コンテンツ、オーディエンス、そしてゲスト——誰一人取り残さず、同じ体験へと巻き込むアクティベーションです。パリ・ファッションウィークは依然として重要な舞台ですが、取り組みはそこで終わりません。ロレアル プロフェッショネルはすでに、ミラノのThe AtticoやニューヨークのProenza Schoulerなど、複数の国際ファッションウィークを支援しています。 

こうしてロレアル プロフェッショネルにとって、バックステージはトレンドを伝播させる真のツールとなっているのです。

財務面では、ロレアル プロフェッショネルはロレアル グループに属しており、同グループは美容のさまざまな領域を網羅する40の国際ブランドを擁しています。グループ全体の売上高は440億ユーロを超えています。