ザラのその先へ──マルタ・オルテガが描く、世界最大のファッション企業の未来 | Vogue Japan

ザラのその先へ──マルタ・オルテガが描く、世界最大のファッション企業の未来 | Vogue Japan

マルタ自身も、インディテックスは同社の傘下で働く労働者たちの社会的・環境的状況を改善すべく、真剣に取り組んでいると語った。サステナビリティについては自ら率先して旗振り役になる意思を示し、2040年までに温室効果ガスの排出量を実質ゼロにする「ネットゼロ」を達成する目標を掲げている。

ファッションのサプライチェーンにおける社会的サステナビリティの専門家、ハカン・カラオスマン博士は、現在のインディテックスの取り組みについて、社会問題よりもウォーター・フットプリント(製品のライフサイクル全体で直接的・間接的に消費される水の総量)に力点を置いていると指摘する。それでも、近隣の地域に事業を移転し、コスト削減と機敏性を両立させるニアショアリングを確立したことを理由に、「サプライチェーンの設計に関しては、非常に先進的です」と、同社を高く評価する。

「私たちのビジネスは、需要志向が非常に強いという特徴があります」とマルタは語る。「在庫レベルを低く保ち、売れ残りを限界まで減らすことがカギを握ります。売れ残り率は1%以下を保っています。大量出荷はしません。それではうまくいかないですし、倉庫に保管するとムダが生じるからです。外部からはファストファッションと呼ぶ声もあるかもしれませんが、私たちのビジネスモデル自体は、これまでで最もサステナブルだと言ってもいいはずです」

2022年には、同社は「Zara Pre-owned」プロジェクトを開始した。これはザラの衣類のリペアやリセール、寄付を手軽にできる、環境に配慮したプラットフォームで、現在英米を含む12カ国で展開されている。

一方、ザラとの2年にわたるプロジェクトに着手したガリアーノは、これを同ブランドのアーカイブのアイテムに「新たな権威を与える」試みだと説明している。とはいえ、最初にマルタからザラとの協業を打診された際の反応は、「ありえない」というものだったと認める。乗り気になれなかった理由は、「あらゆる人と同じ」で、同社に関する「ゆがめられた、あるいは伝聞の情報」に基づいていたと、彼は振り返る。それでも、インディテックスの本部を視察し、サステナブルな素材のギャラリーを目の当たりにして、彼は考えを改めた。「クチュリエなら誰もが使う素材がいくつかありました。シルクのシフォンやオーガンザです。でもインディテックスのスタッフからは『いや、これは使えません。可燃性が高すぎます。こちらなら使っていいですよ』と言われました。とても意識が高いんです」