ユウショウコバヤシ 2027年春夏コレクション - 地上に出て涙を流す、人魚姫の物語 - ファッションプレス

ユウショウコバヤシ 2027年春夏コレクション – 地上に出て涙を流す、人魚姫の物語 – ファッションプレス

ユウショウコバヤシ(yushokobayashi)は、2027年春夏ウィメンズコレクションを2026年9月2日(水)に渋谷ヒカリエで発表した。今季より、デザイナーは主に布帛を担当する小林裕翔と、ニットを担う上原碧海の2人体制となった。

地上に出なければ知らなかった“人魚姫の悲しみ” ユウショウコバヤシ 2027年春夏コレクション - 地上に出て涙を流す、人魚姫の物語|写真54

出発点となったのは人魚姫の物語。海の底で暮らしていた人魚姫は地上の世界に憧れて人間となり、それと引き換えに声を失った。地上に出なければ知らなかった、人魚姫の喪失や悲しみをデザインに投影した。

ユウショウコバヤシ 2027年春夏コレクション - 地上に出て涙を流す、人魚姫の物語|写真44

クリエーションを行いながら、デザイナーの小林裕翔は人魚姫の喪失と自分の感情を重ね合わせたという。「TOKYO FASHION AWARD 2026」を受賞したことを機に、自分達のいた場所が実は“アンダーグラウンド”であったことに初めて気付いたという小林。その時の気持ちを「今まで空だと思っていたのは、水面だった」と振り返り、「私は何と引き換えに、地上に上がれるのだろうか」と自問する。

美しく、儚い人魚たちの姿 ユウショウコバヤシ 2027年春夏コレクション - 地上に出て涙を流す、人魚姫の物語|写真56

ランウェイに登場したのは、地上に上がり、人間の世界を知って涙を流す人魚たち。海の色彩をそのまま写し取ったかのようなブルートーンのニットや、海藻のモチーフを中心に据えたニットは大きくほつれ、歪んだ裾や袖からはだらりと糸が垂れ下がっている。

ユウショウコバヤシ 2027年春夏コレクション - 地上に出て涙を流す、人魚姫の物語|写真28

所々が色あせたブラウスにはパールやチェーン、リボン、そして貝殻などが無造作にあしらわれ、まっ白なレースドレスには、段ボールを切り張りした尾ひれつきのハーネスを大胆に重ねた。心惹かれるような遊び心に退廃的な要素を組み合わせることで、美しくも儚い余韻を漂わせている。

ノスタルジックな塗り絵 ユウショウコバヤシ 2027年春夏コレクション - 地上に出て涙を流す、人魚姫の物語|写真1

クリエーションのリサーチの過程で見つけた、“塗り絵”も着想源の1つとなっている。地上の光を受けて輝くスパンコールドレスには手描きのヒトデや海の生き物たちの絵が浮かび、シースルーレースのエプロンドレスからは赤い大きな魚が透けて見える。

ユウショウコバヤシ 2027年春夏コレクション - 地上に出て涙を流す、人魚姫の物語|写真46

カニや魚、カメを描いたクッション状のパーツを連ねたハーネスや、花やリボンを表現した切りっぱなしのアップリケパーツなど、手作り感のある装飾にも、どこか懐かしくて切ないノスタルジーのようなエッセンスがぎゅっと詰め込まれている。

浮遊する立体的なシルエット ユウショウコバヤシ 2027年春夏コレクション - 地上に出て涙を流す、人魚姫の物語|写真25

シルエットは浮遊感のある、立体的な造形が目を引いた。凛としたブルーのオーガンザが煌めくドレスは、ウエストの位置を高めに切り替え、スカート部分に分量感を持たせることでふんわりと浮かび上がるような、幻想的な佇まいに。バルーンスリーブと裾のラッフルで緩急をつけたジャケットや、アシンメトリーに絵柄の異なるレースを複雑に折り重ねたケープなど、柔らかくも構築的に仕立てたピースが披露されている。

黒を差し込んだ、二面性のあるドレス ユウショウコバヤシ 2027年春夏コレクション - 地上に出て涙を流す、人魚姫の物語|写真67

ランウェイの最後に登場したのは、靴を手に持ったモデル。軽やかなメッシュで覆われたドレスは白いレース地とブラックの生地を組み合わせた、二面性のあるピースだ。晴れて人間となり地上を歩み始めたところで、足の裏の痛みに気付く姿を暗に示している。