梅棒20th Breakdown『FINAL JACKET』開幕!レポ&コメント 新体制11人で挑む梅棒を感じて | ランランエンタメ! - Moe Zine

©飯野高拓・角田大樹

ダンスエンターテインメント集団「梅棒」の20回目となる本公演が始まった。ダンスとJ-POPの融合はさらにその世界観を広げ、新たな境地に突き進んでいる。そしてその根底にある「楽しい」という思いは終始、会場を包み続けていた。

ダンスエンターテインメント集団「梅棒」による本公演「梅棒20th Breakdown『FINAL JACKET』」のゲネプロが11月8日(土)、東京・サンシャイン劇場で初日の幕開けを前に行われた。

台詞を使わず、ダンスとJ-POPの融合で演劇を見せるダンスエンターテインメント集団「梅棒」による記念すべき20回目の本公演は、新メンバーSuGuRuを加えた新体制11人で、3年ぶりとなるメンバー全員出演。絶海の監獄を舞台に、“伝説のジャケット”を巡って繰り広げられる、スリリングでユーモアあふれる冒険が描かれる。

開演とともに、下手(しもて)側の客席入り口からレオン(鶴野輝一)が入ってくるところから始まる。何が始まるんだ!?というワクワク感の中、レオンは、ステージにあがり、「報酬次第でなんでもこなすマグナス(櫻井竜彦)」の「交渉の窓口役」であることを語る。

そんなレオンのもとに、ある依頼者から電話が入る。連絡をしてきたのはチャド(梅澤裕介)という男。「バルザック様の忠実なしもべ」だという。リヴァイアサン(牢獄)からの電話だった。バルザックが牢獄から出られるように助けて欲しいというのがチャドの依頼だった。

バルザックは「例のアレ」を手に入れようとしているという。「例のアレ」それが<FINAL JACKET>だった。

この世のすべてを手にすることができるファイナルジャケット。そのありかを刻んだ石板をもとに探し出す、パーツがバラバラになったジャケットをめぐる冒険と戦いが始まり、それぞれの運命が一気に動き始めた。

キャスト紹介を兼ねたオープニング。王八宝役のSuGuRuのキレのいいダンスから入り、ダイナミックなカリム役の多和田任益、さらに、バオズ(野田裕貴)、ピエール(天野一輝)、アロン(楢木和也)と、次々に登場、11人目に登場したのは、バルザック役の伊藤今人。それぞれのキャラクターがステージ上ではじける。フルメンバーの迫力を冒頭から感じさせる展開だ。

マグナスとレオンはバディとしてバイクでファイナルジャケットを追い求める旅に出る。出会いや策略、アクションが「梅棒」ならではの多彩な楽曲とともに軽快に描かれる。

途中、カンフーをマスターした男たちがいる“極東の国”へ。曲とダンスでその世界に引き込む。さらに、マグナスと為政者ギデオン(遠山晶司)の関係性や、そこに含まれた思いが台詞のない物語であるのに、明確に伝わってくる。

誰もが聴きなじみのあるJ-POPの名曲が時にストーリーに寄り添い、時に、そうしたストーリーを吹き飛ばすごとく、ハイクオリティなダンスとともに見る者を引き込んでいった。おなじみの曲が連なるたびに、ストーリーのページをめくるように物語が進んでいくようだった。

豊かな世界観は、場面が変わるごとに、ステージの彩りを変える。とくに“サーカスの国”にたどりついた時には、そこはまさに妖艶な魅惑を放つアロンを中心としたパフォーマンスで一つのエンターテインメントショーの一幕を観た思いになった。

それぞれの国でそれぞれの出会いとアクションと人間模様が繰り広げられ、いよいよファイナルジャケットの大団円が気になってくる。壮大なエンディングに向かっていく緊迫感の中、そこには「マジかー」という展開が爽快に襲い掛かり、たどりつく世界観に思わず拍手を送りたくなった。

あっという間の2時間余り。生身のカラダの迫力と、繊細さが根底に流れ、エンターテイメントの原点を見るような幸せな時間。積み重ねてきた本公演の歴史は、また「楽しむ」というシンプルで、しかし、そう簡単に到達できない世界を軽やかに、そして壮大に見せつけてくれた。

◆メンバーコメント
伊藤 今人
新作・再演織り交ぜつつも、20作品をこの世に送り出すことができたのだと思うと、演劇の道を選んだ人生に意味があったかもしれないとようやく思えそうです。
決してずば抜けた才能に恵まれているわけでもない自分が、梅棒メンバーや素晴らしいスタッフの皆さん、そして梅棒を楽しんでくれるお客様と出会えた幸運に心から感謝をしています。
新メンバーSuGuRuを加えた新体制11人でお送りする、梅棒2025年の現在地。梅棒のこれまでとこれからを感じられる今作を、ぜひ劇場でご覧になってください!
梅澤 裕介
おかげさまで梅棒も昔よりも沢山の人達に観てもらえるようになりました。
でもできることなら全国、いや全世界にお届けしたい。そんな願いも込めつつ公演を作り続けて今回で20回目となりました。聞くところによると梅棒は【梅棒でしか観れないもの】があるみたいです。まだ観たことがないという方は、是非騙されたと思って観てもらいたいです。
鶴野 輝一
梅棒が劇場進出するとなった時。あまりピンと来ずただ言われるがままついていった気がします。
そこから段々と劇場も大きくなり、メンバーが増えたり減ったり増えたり。
沢山のゲスト陣に助けてもらい
沢山スタッフに迷惑をかけ
沢山の方に応援していただいて
今20回目の公演になりました。
これまでの感謝とこれからの力になるような
そんな20回目になったらいいなと思ってます。
遠山 晶司
梅棒が舞台公演を始めて記念すべき20回目の公演。これまで沢山の方にお力添え、ご声援をいただけたことにより”面白い事をしたい”という梅棒の”熱”を絶やす事なくここまで来れました。
この道のりの中で、受け取った想いが様々な力となり、梅棒のパフォーマンスを押し上げていきました。感謝の想いを胸に熱く舞い踊り、まだまだ面白くなっていくメンバーの力を、是非とも劇場でご堪能ください。
塩野 拓矢
塩野拓矢です!梅棒オンリーの新作は実に10作品ぶりになります。
その時とは環境も、顔ぶれも大きく変わりました。
それをちゃんと受け入れて受け止めて前に進んできた公演になって、メンバーだけだからこそできる内容、挑戦含めどうか今の梅棒を見てほしい。
体温のあがる作品になってます。どうかお楽しみに!
櫻井 竜彦
今作は、ハリウッドでリメイクするとしたら、ロケ地やエキストラ代だけでも莫大な予算のかかる大規模な作品です。約2時間、非日常な世界に没頭していただけたら嬉しいです。
楢木 和也
まずは、ここまで20回も公演を続けられている事に感謝しています。
初めての公演は2012年でした。気がつけば、あの頃見上げていた諸先輩方と同じ年代になろうとしています。
梅棒の今が詰まった『FINAL JACKET』という作品。
そして、新生梅棒の門出!ぜひ見届けてください!
天野 一輝
第1回公演『スタンス』が2012年
第10回公演『OFF THE WALL』が2020年
最初の10回に辿り着くのに8年かかったのに対して、次の10回は5年で到達することができました。しかも、この5年間には本公演以外のコラボ公演やプロデュース公演も上演されていたり、ファンクラブ「ひのまる弁当」が本格的に稼働するようになっています。
メンバー編成や取り巻く環境が変わってきたりしているけど、何も考えずにお越しいただき、笑って泣いて、晴れやかに劇場を後にして欲しいという根幹は全く変わっていません。
みなさんがそう思える作品と共に劇場でお待ちしております!
野⽥ 裕貴
今作、第20回目の梅棒公演となる『FINAL JACKET』は11人の梅棒メンバーが勢ぞろい!
東京公演では回替わりで梅棒に縁のある華やかなゲストの皆さんもお招きしてお届けします!
フルパワーの梅棒を体感していただけたらうれしいです。
みなさまと劇場でお会いできるのを楽しみにしております!
多和⽥ 任益
新メンバーSuGuRu加入で振付・キャラクターの幅と彩りが増しました。
20回目となる本公演、これからの梅棒を感じていただけるよう、全力で駆け抜けます。
そして、メインを張る櫻井竜彦は梅棒でこそ見られる最高にかっこいい主役になっています。必見です。
梅棒を応援してくださる方々の「これが観たかった!」と、初めて梅棒を観てくださる方々の「梅棒って楽しい!」が沢山聞けますように。
SuGuRu
梅棒メンバーとして迎える初の公演!
初めてのことだらけで、すでにテンヤワンヤしております!笑
それでも、これまで自分らしく積み重ねてきた経験を活かして、振付も役作りも精一杯やりました。ここからは、一味も二味も違う新しい風を巻き起こしていけるように全力で挑みます!
そして、先輩方の追い風になれるようにタギって鼓舞していきたいと思います!
ぜひ、梅棒 20th Breakdown『FINAL JACKET』を楽しみにしていてください!!!

◆記念すべき第20回公演の開催に際し、梅棒を温かく見守ってくださる劇団☆新感線のいのうえひでのりさん、古田新太さんより、応援コメントを頂きました。
劇団☆新感線 主宰・演出家 いのうえひでのり さん
まずは20回公演おめでとうございます。
「梅棒」のような台詞を一切使わず、ダンス・身体表現のみで物語やオモシロを見せてくれる集団がここまで活躍が続いているのは、本人達のパーソナルな魅力もさることながら、絶えず新しいアイデアやスタイルを追求・挑戦をしてきた結果だと思います。イヤ本当に凄い。
「梅棒」との出会いは強烈でした。
“JーPOPに乗せて、ものすごく馬鹿馬鹿しいことをキレッキレッの踊りで表現する”
演者たちのダンススキルにも驚かされましたが、J-POPを使用した構成と楽曲のハメ方には感心しました。特に某カリスマバンドの曲での強引な展開には毎回爆笑でした。こうしたパフォーマンスを、ポップかつゲラゲラ笑えるようにやれるのは「梅棒」が唯一無二。これからも応援していきたいです。
劇団☆新感線 俳優 古田新太 さん
梅棒は卑怯な集団である
ダンス大好きおじさんの古田は結構ダンスチームの友達が多い
東京ゲゲゲイやs**t kingzやビートニクスやイデビアンクルーなどなど
みんな格好良かったり面白かったり、いろんな素敵なところがあるのだが
梅棒は違う。観終わった後「ニヤついて」しまうのだ
この間も観に行った時、隣がパパイヤ鈴木だった
終演後、二人のダンス好きおじさんはニヤつきながら
「もぉ〜」と言って席を立った
さぁ皆さんも卑怯な梅棒を観て
「もぉ〜」って言ってみて。気持ちいいから

◆梅棒 20th Breakdown『FINAL JACKET』あらすじ
遠い昔、人々の心をひとつに束ねることができる”伝説のジャケット”が存在した。
ーー計り知れない力が秘められたそれを人々は<ファイナルジャケット>と呼び崇めたが、その余りある力はやがて文明すらも崩壊させた。
その後、ジャケットは5つのパーツに引き裂かれて世界各地に散り、いつしか伝説は忘れ去られようとしていた。
ある日、ひとりの男が偶然その一片を手に入れた瞬間、欲望の渦が動き出す。
強大な力を手にしたい政府軍、絶海の監獄にうごめく野蛮な囚人たち…
あらゆる勢力が動きだし、裏切り、復讐、野望が火花を散らす!
力と陰謀がぶつかり合うこの世界で、最後に袖を通すのはいったい誰になるのか。
これは、壮大で、そして限りなくバカげた“最後の一着”を巡る大冒険!

梅棒 20th Breakdown『FINAL JACKET』
【作・総合演出】伊藤 今人[梅棒]
【振付・監修】梅棒
【出演】
伊藤今人、梅澤裕介、鶴野輝一、遠山晶司、塩野拓矢、櫻井竜彦、
楢木和也、天野一輝、野田裕貴、多和田任益、SuGuRu [以上、梅棒]
【日替わりゲスト】(出演日順)
千葉 涼平[w-inds.]…11/11(火)・11/12(水)、福田 悠太[ふぉ〜ゆ〜]…11/13(木)、
滝澤 諒…11/14(金)、高橋 健介…11/15(土)、松崎 祐介[ふぉ〜ゆ〜]…11/16(日)、
辰巳 雄大[ふぉ〜ゆ〜]…11/18(火)、鳥越裕貴…11/19(水)、
越岡 裕貴[ふぉ〜ゆ〜]…11/20(木)、小越 勇輝…11/21(金)・11/22(土)
【日程・会場】
<東京>2025年11月8日(土)〜11月24日(月・祝)@サンシャイン劇場/24ステージ
<愛知>11月29日(土)〜11月30日(日)@ウインクあいち/3ステージ
<大阪>12月5日(金)〜12月7日(日)@COOL JAPAN PARK OSAKA TTホール/5ステージ

公式HP http://umebou20th.dynamize.net/

写真:飯野高拓・角田大樹

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