掲載日
2025年9月30日
若手ブランドがパリで創造的な存在感を確かなものにし、プレスやバイヤーにとって欠かせない存在となっている。2026年春夏のウィメンズ・プレタポルテの2日目は、ことのほか高揚感に満ち、創造性に新風を吹き込む刺激的なショーが続いた。その筆頭が、火曜日にファッション・シーンを揺さぶったZomerとMatières Fécalesだ。
コレクションを見るマティエール・フェカレス、2026年春夏コレクション – ©Launchmetrics/spotlight
パリの公式日程での初ショーとなったマティエール・フェカレスは、クチュールのカッティングとテクノ・ゴシックの美学のあいだを行き来する、妖艶で退廃的なムードのモードで強烈なインパクトを放った。まるで失われた王国から現れたかのように、この神秘的な「部族」のメンバーは、超インクルーシブなキャスティングで、堂々たる装いのままパリを席巻。眩暈がするほどのプラットフォームと反り返るスティレットヒールのパンプスを履き、磁器の人形のように白くメイクされたモデルたちは、うつろな眼差しで、ときに仮面(ルー)で目元を覆って登場する。
型にはまることは、このブランドの創業者にとって優先事項ではないようだ。カナダ出身のハンナ・ローズ・ダルトン(29歳=ショーのオープニングとクロージングを務めた)と、ガイアナ系とスリランカ系のルーツを持つスティーヴン・ラジ・バスカラン(31歳)の2人は、自らのスタイルを確立するまでに長く実力を証明してきた。モントリオールからニューヨークに渡りDJとして頭角を現したのち、パリで成功をつかむ。まずはリック・オウエンスとその妻ミシェル・ラミーの薫陶を受け、続いてドーバー ストリート マーケットの総帥エイドリアン・ジョッフェの支援を得ながら、レディー・ガガやマドンナをも魅了した。
2人はクチュールのコードを見事に弄び、巧みに覆しながらも、決して安易な挑発には走らない。たとえば、シャネルを想起させる淡いピンクのツイードのスーツは、襟を取り払い肩を大胆に露出し、ジャケットとスカートの縁は意図的なほつれで仕上げられている。
シルエットは、時に身体に沿う細長いライン、時に肩を強調しサイドにボリュームをもたせた彫刻的なプロポーション。コルセットが主役となって女性らしい曲線を際立たせ、シックな帽子とオペラグローブがグラマラスなムードを添える。
エレガンスは、仕立ての冴えわたる服で頂点に達する。メンズスーツ、サテンのセットアップ、1940年代風のレトロなテーラード、官能的なジャンプスーツ、チュールのギャザーを寄せたカクテルドレス、さらにはガーターストッキングをのぞかせるペニョワール風トレンチまで。ショーの締めくくりには、泡立つようにチュールを重ね、バラで飾ったクリノリンが登場した。
ストリート色の強いワードローブも揃い、色落ちデニムは程よくダメージを施し、トラックジャケットには「Never conform」のスローガンを大胆に配置。穴あきの黒Tシャツには、しおれたバラと「la vie en rose」の文字をプリント。仕上げに、黒レザーのピースでBDSMのニュアンスを差し込む。
コレクションを見るゾマー、2026年春夏コレクション – ©Launchmetrics/spotlight
ステージの中央には巨大な絵の具のパレットが鎮座し、モデルたちはその上で足をこすりつけ、白いランウェイに色の足跡を残していく。ゾマーには常に遊び心があり、喜びや軽やかさ、楽しいディテールがしばしば語られる。
誇張か、それとも抑制か——。それが今シーズン、ブランドの2人のデザイナー、タタール人のダニアル・アイトゥガノフとオランダ系カリブのイムルー・アーシャが向き合ったジレンマだった。
その結果、ニュートラルカラーのベーシックと、より凝ったマルチカラーのピースを知的に組み合わせたコレクションに着地。各ルックには毎回、突飛さや機知の利いた仕掛けがひとひねり効いている。例えば、蝶結びにしたネクタイをミニ丈のブルゾンや極小のシャツの上に配したり、ドレープドレスのウエストを留める特大のベルトバックルなど。
このプロポーションの攪乱において、デザイナーは一貫してウエストラインを太ももの高さまで下げ、その極端に低い位置をベルトで強調。スカートやバミューダショーツは脚に沿ってずり落ちたように見え、下には異素材や別配色のインナーの上端がのぞく。すべてが陽気なミックス&マッチで重ねられていく。デニムのミニスカートがスパンコールのペチコートにはめ込まれ、クロコ調の台形スカートは白いポプリンのサマードレスの上にぴたりと重ねられる。
傘のフォルムをめぐるバリエーションは、コレクションで展開されたもうひとつの独創的なアイデアだ。ロングドレスやハンカチーフヘムのスカートは、尖った裾のドレープを描き、鋭角的なレザーのフリルを幾重にも重ねて肩にボリュームを生み出す。別のルックでは、スカートが膝までまっすぐに落ち、裾は傘のようにアーチ状に開く。