ミラノ:ジョルジオ・アルマーニの不在が影を落とすファッションウィーク - FashionNetwork 日本 - Moe Zine

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2025年9月20日

ファッション界は今週火曜日、喪に包まれたウィメンズ・ファッションウィークのためミラノに集結する。9月4日に逝去したジョルジオ・アルマーニの存在は、誰もの心に深く刻まれていることだろう。とりわけ9月28日(日)の夜には、2026年春夏プレタポルテ・コレクションに特化した催しの締めくくりとして、イタリアを代表する同名メゾンのショーが予定されている。パラッツォ・ブレラの中庭で開催されるこのショーでは“キング・ジョルジオ”の最新クリエーションが披露され、メゾンの50周年を祝う。感情に満ちたこの1週間のクライマックスになるのは確実視されている。

ジョルジオ・アルマーニ、今年1月のパリ・オートクチュール・ウィークにてジョルジオ・アルマーニ、今年1月のパリ・オートクチュール・ウィークにて – ©Launchmetrics/spotlight

同メゾンはこのクロージングショーに加え、9月25日(木)に行われるヤングライン、エンポリオ アルマーニのダブルショーを正式に発表。さらにブレラ絵画館(Pinacoteca di Brera)では、彼に捧げるアーカイブから150体のルックによる展覧会も開催される。「私たちは、ファッションウィークの創設者の一人であるジョルジオ・アルマーニに敬意を表し、そしていまファッションが直面する変革期においてきわめて貴重な、彼の創造的・起業家的・人間的な教えを称えながら、このファッションウィークを祝います」と、イタリア・ファッション協会(CNMI)会長のカルロ・カパサは、濃密なミラノのプログラムを発表しながら強調した。

9月23日から29日まで、前回2月と同じくフィジカルのショー54本を含む計171のプログラムが予定されている。さらに最終日の29日(月)にはクロージングとして4本のデジタルショーが加わる。Maxiviveに加え、新顔としてイタリア人デザイナー、ロレンツォ・サラによるMein Corp、2008年創設のウクライナ・ブランド、Nadya Dzyak、そしてカメルーン出身のポール・タノンクーのレーベル、Zenam(これまでメンズのカレンダーに掲載)が名を連ねる。

今季は、復帰組(ファッションスクールの合同ショー、ミラノ・モーダ・グラジュエイトを含む)や新進レーベルによる10の新顔がランウェイに登場し、10の欠席を補う構図だ。半世紀にわたりシーンを牽引してきたジョルジオ・アルマーニが去った一方で、ロンバルディアの州都ミラノは今週、若き才能の台頭、多くの復帰、そして名門メゾンの舵取りを任された新クリエイティブ・ディレクターたちを迎え入れる。

まずはグッチのデムナ(グヴァサリア)が、9月23日(火)のプレゼンテーションでケリングの看板メゾンに向けた初ルックを披露。26日(金)も同様に、ダリオ・ヴィターレが、近年プラダ・グループ傘下に入ったヴェルサーチでの初陣に臨む形で、非公開性の高い形式が採られる。

9月24日(水)にはシモーネ・ベロッティがジル サンダーでデビューを飾り、9月27日(土)にはルイーズ・トロッターがボッテガ・ヴェネタで初コレクションを発表。前回2月を見送った同ブランドは、今回カレンダーに復帰する。もうひとつのハイライトは、シルヴィア・ヴェントゥリーニ・フェンディ監修のもと、メゾンの100周年の掉尾を飾る24日(水)のフェンディの男女合同ショー。関係者によれば、サプライズゲストとしてフランスのメゾソプラノ、アクセル・サン=シレルがハープ伴奏で6曲を披露する見込みだという。

Knwls、今シーズンはロンドンのキャットウォークからミラノへKnwls、今シーズンはロンドンのキャットウォークからミラノへ – ©Launchmetrics/spotlight

同じく24日(水)には、英国のプレタポルテ・ブランド、Knwlsがミラノのキャットウォークに初登場。セクシーでY2Kなシルエットと女性のエンパワーメントを打ち出し、このロンドン発のレーベルはここ数年、多くのセレブリティに支持され、快進撃を続けている。英国人のシャーロット・ノウルズが、パートナーのカナダ人アレクサンドル・アルセノーとともに2017年に立ち上げ、2022年のLVMHプライズでファイナリストに。現在は世界中の50以上の有力マルチブランド・ブティックで展開されている。

また、9月26日(金)には、レーベル「サ・ス・フィ」の初ショーも開催。金融と経営のキャリアを持つサラ・フェレロと、デザインのエキスパートでクリエイティブ・コンサルタントのスザンナ・クッコが、パンデミック真っ只中の2021年に立ち上げたウィメンズ・レーベルだ。クッコは自身のエージェンシーCuccoとともに25年以上にわたり名門メゾンと協業してきた。ラグジュアリーなニットウェアからスタートした同ブランドは、エレガントでタイムレスなミニマリズムのトータルルックへと発展し、現在は世界中の約70の有力リテーラーに支持されている。

この9月のエディションではこのほか、ここ数シーズン不在だったボス、カルカテラ、ジ・アッティコ、ステラ・ジーンの復帰に加え、英ナイジェリア系デザイナーのイニエ・トーキョー・ジェームズもラインアップ。彼は2022年2月にミラノで初のショーを行った後、一時姿を消し、今年3月にデジタル形式で復帰した。また、ベトナム人デザイナーのファン・ダン・ホアンも、2024年9月のミラノでのデビュー後はいったん見送っていたが、再登場する。さらに、これまで1月まではメンズのカレンダーに掲載されていたインドのドゥルヴ・カプールとピエール=ルイ・マシアが、ウィメンズのプログラムに加わる点にも注目だ。

プレゼンテーションのカレンダーにも、少なくとも14の新顔が加わる。若手フランス人クチュリエ、アンリ・パリは、Davii、Daizy Shely、Forte_Forte、Îacaré、Kasai、Moja Rowa、Nissa、Pé de Chumbo、Saman Loira、Seafarer、通常メンズ期間にショーを行うSimon Cracker、Vespa、そして改装した自社ブティックでのイベントも予定するJW Andersonと並び、洗練されたクリエーションを披露する予定だ。トラサルディの復帰も特筆に値し、28日には映画館アンテオでエヴァ・ヘルツィゴヴァとフェルナンド・リンデス主演の短編映画が上映される。

ミラノ・ファッションウィーク、今シーズンは171のイベントを開催 - CNMIミラノ・ファッションウィーク、今シーズンは171のイベントを開催 – CNMI

今シーズンの欠席としては、ヴェルサーチとグッチがランウェイを離れプレゼンテーション形式を選択。ショーのカレンダーからはマルニとバリーも不在で、いずれもクリエイティブ面の移行期にある(マルニの新クリエイティブ・ディレクター、メリル・ロッジは来年2月にミラノでショーを行う予定)。一方、フィオルッチは6月にメンズのファッションウィークへと移行。プログラムには、2023年9月からミラノでショーを行ってきたスウェーデンのレーベルAvavavと、3月にドルチェ&ガッバーナの支援でショーを行ったスーザン・ファングも含まれない。フィリップ・プレイン、K-Way、DSquared2も今回は見送る。

それでもミラノ・ファッションウィークは、例年通りプラダ、モスキーノ、ロベルト・カヴァリ、フェラガモ、ドルチェ&ガッバーナ、エトロ、マックスマーラなど、メイド・イン・イタリーのスターたちに支えられるほか、数多くの併催イベントでも盛り上がる。まずは23日の「マエストリ・デッレチェレンツァ賞」(「マエストリ・ドゥ・エクセレンツァ賞」)。テリオスとLVMHがイタリア・ファッション協会(CNMI)および職人連盟コンファルティジャーナートとともに主催し、イタリアの優れた職人を表彰する。

ケリングも「Cinemoda Club」を開催。ヴォーグ イタリアとともに25日から27日まで、ファッションと結びついた映画祭を行い、26日から28日までは、フランス人のジャンヌ・フリオットをはじめとする環境配慮型の若手クリエイターを紹介する「S|Style」を展開する。このほか、24日には第3回ブラック・カーペット・アワード、27日にはCNMIサステナブル・ファッション・アワード(2017年にイタリア・ファッション協会が創設した、サステナブル・ファッション界の“オスカー”)の授与式が行われ、クアドリラテロ・デッラ・モーダでは新店舗のオープンが相次ぎ、各所でカクテルやパーティーが催される予定だ。

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