あのちゃんが語る「ファッションブランド『ヘルブラウ(HELL BLAU)』に込めた想い」 - WWDJAPAN - Moe Zine

「ヘルブラウ」のアイテムを着るあの

PROFILE: あの(ano)/アーティスト、俳優

PROFILE: 若い世代の⼥性を中⼼に⼈気を誇る「あの」。2020年9月から「ano」名義でのソロ⾳楽活動を開始。22年4⽉、トイズファクトリーからメジャーデビュー。同年10月オンエアのTVアニメ「チェンソーマン」エンディング・テーマに「ちゅ、多様性。」が抜擢。23年12月、1stアルバム「猫猫吐吐」を、25年3月に2ndアルバム「BONE BORN BOMB(ボンボンボン)」をリリース。今年9月3日には、自身初の武道館ワンマン公演を成功させた。9月4日から自身のファッションブランド「ヘルブラウ(HELL BLAU)」をスタート。⾳楽活動だけに留まらずタレント、俳優、モデル。クリエイターとマルチに活動する。

アーティスト、俳優、モデルと幅広く活躍し、そのユニークな存在感で話題をさらってきたあのちゃんが、ついに自身のファッションブランドを立ち上げた。その名は「ヘルブラウ(HELL BLAU)」。ドイツ語で“水色”を意味するブランド名が示すように、彼女の象徴的なカラーを軸に据えつつ、1stコレクションでは“スクール(school)”をモチーフにしたアイテムを展開。テーラードジャケットやプリーツスカートなどといった定番のアイテムに、独自のシルエットやディテールを施すことで、かわいらしさと強さ、親しみやすさと違和感のあるユーモアが同居するような世界観を描き出している。一見日常的なモチーフを選びながらも、そこには音楽活動と同じく「あのちゃん流の遊び心」が宿っていて、オリジナリティーは抜群。誰かのためではなく、自分が着たい服を徹底して追求したという「ヘルブラウ」は、多くの人が待ち望んだ彼女の次なる表現の場であり、強烈なインパクトを与えるに違いない。ブランド立ち上げの背景について、あのちゃんに訊いた。

「ヘルブラウ」立ち上げの経緯

あの

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——ついにファッションブランドを立ち上げましたね。構想はいつ頃からあったんでしょうか。

あの:やりたいという気持ちは前からあって、ファンの子たちからも「やってほしい」って言われ続けてきて。でも、今じゃないなってずっと思ってたんですよ。それでようやく、自分の着たい服を作ろうと決めた。ただ、やっぱり動きはじめてからもすごく大変で、時間はかかりました。

——今じゃないと思っていたのはなぜですか?

あの:まずは音楽をしっかりやりたかった。とはいえ、ファッションが優先順位低いというわけではないんですけどね。まずはやるべきことをやってからかなと思って。

——「HELL BLAU」というブランド名に込めた想いは?

あの:「HELL BLAU」って、ドイツ語で「水色」っていう意味で。ぼくはやっぱり水色が好き。服も小物も水色が多いし、そこにこだわりたかった。「HELL」は英語で「HELL YES」みたいな形で「絶対そう」という意味としても使われるので、そういう「絶対水色!」的な想いでつけました。強い意思を込めて。

——意思がすごく伝わってきて、あのちゃんらしいブランド名だなって思います。

あの:ふふ。ありがとうございます。

——そもそも、あのちゃんが初めてファッションに心を揺さぶられたのはいつ頃なんですか?

あの:ぼくは、小学校の頃ずっとお兄ちゃんのおさがりを着てたんですよ。でも、「しまむら」でこれかわいいなっていう服を見つけて着てみたら、こんなに楽しかったの? ってくらいに気分が上がって。そこから自分で服を選ぶようになりました。そういえば、その時も水色のチェックのベストで、ファーがついてて(笑)。友達がすぐに真似して買ってた。

「水色」は自分の運命の色

あの

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——あのちゃんといえば水色、というイメージは世間的にもすでに定着してますけど、自分の水色好きを自覚しはじめたのはいつ頃からですか?

あの:水色はずっと好きだけど、自覚しはじめたのはこの仕事を始めてからです。なんか昔、皆ピンクだった。学校に行っても、小物とか筆箱とか皆ピンクを持ってて。かわいいなと思って自分もピンクのものを持ったりしたけど、なぜかしっくりこなかった。この活動を始めてから、水色がやっぱり自分の運命の色だなって思えるようになったんですよ。

——あのちゃん以降、「水色界隈」みたいなことも言われて、水色が時代を象徴するカラーとしてすごく人気になってきました。そういった世の中の流行がある中で、今回あのちゃんがアプローチしている水色はそれらとは違うものなのでしょうか。

あの:「水色界隈」みたいなのが出てきて、ぼくが昔から身につけている水色とは少し違うなって感じもあったかもしれない。女の子からしたら、水色ってそんなにかわいい色じゃないと思うし、男の子っぽいところもあるじゃないですか。ぼくはそれを、強さだと思ってきたんです。水だからどうしても川のせせらぎのように流れていくイメージがあるんだけど、ぼくはむしろそこには流されない芯の強さを感じる。

あのちゃんらしい
“スクール・キル”

あの

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——なるほど、あのちゃんにとって水色は、「強さ」なんですね。ちなみに「ヘルブラウ」の1stコレクションは“スクールテイスト”を軸にしていますが、「学校」というコンセプトはどうやって生まれたのでしょうか。

あの:普段のファッションでもいろんな恰好をするので、本当はコンセプトを作りたくないくらいの気持ちなんですけど。思い返してみるとスクールっぽい服装は好きだし、それだったらいいかなぁと思って。音楽もそうだけど、ぼくは今の活動自体を復讐心から始めているんです。学校が嫌いだったんですよ。そういう理由もあります。

——スクールテイストとは言いつつも、やっぱりそこはあのちゃんなので一筋縄ではいかなくて。すごくユニークな世界観になってると思うんですけど、それを「スクール×〇〇」と表現するとしたら何になりますか?

あの:「KILL」かな……?(笑)。スクール・キル。学校嫌いだから。

——スクール・キル! あのちゃんらしさ全開ですね。今回初めてブランドを立ち上げるということで手探りのところも多かったと思うんですが、まずはどうやってアイデアを形にしていきましたか?

あの:何も知らないし分からないから、とにかく自分が着たい服を作りたいという気持ちで進めていきましたね。そう考えていくと、やっぱりジャージとかそういうところからアイデアを作っていって。今までも、自分が着たい服をファンの子たちが真似してくれたりするから、誰かのためというよりも自分の着たいのを作ればいいんだなって思ったんです。もちろん、サイズ展開はいろんな人のことを考えてますけど。

「一番こだわったのはシルエット」

あの

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——アイテム展開は、どうやって考えていきましたか?

あの:やっぱりテーラードジャケットもプリーツミニスカートも、自分が着たいものを考えていったかな。でも、テーラードジャケットなのにレースのラインが入ってたり、カジュアルに着れるのがポイント。あと、一番こだわったのはシルエットですね。普段着る服も、自分の求めるシルエットのものがなかなかなくて。ルーズに着たいけどそれだとウエストがゆるかったり、そういうことが多い。男の子っぽいシルエットだけど腰まわりは細くしようとか、かなり細かくこだわりました。

——ということは、ターゲットやペルソナといったものはほとんど考えず、あのちゃんが自分自身をめがけて作っていった感じ?

あの:ターゲット……うん、自分ですね(笑)。でも、同じような悩みを持っている人は多いと思うし、結局自分が着たいものをイメージして作ったら皆が着れると思う。

——「ヘルブラウ」を作っていくにあたって、スタイリストの神田百実さんなど、あのちゃんが普段やり取りしている人からの影響もありますか?

あの:それこそウエストやシルエットの話は、スタイリストさんに言われて気づいたことも多いです。そういったバランス感覚の部分では影響があると思いますね。

——あのちゃんは、服そのものとスタイリングの境界をどのように捉えていますか? どちらの方に、より興味の重心があるのでしょうか。

あの:どっちも好きだけど、やっぱり服を組み合わせるのは好きですね。パーツの組み合わせって楽しいし、アイテム一つで広がっていくオリジナリティーがある。

ルーズソックス、カバンにもひと工夫

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あの

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あの

——今後発売予定のラインアップにはルーズソックスもあるんですね。

あの:ぼくは平成リバイバルで流行る前からずっとルーズソックスを履いてたし、めっちゃこだわりがあって。欲しい「たるみ感」のこだわりはすごく細かいです。ぼくは雪駄とかもよく履くんですけど、それとルーズソックスを合わせたいと思ったり。このルーズソックスは、指先が分かれてるんですよ。そもそもレッグウォーマーとかだとシルエットがきれいなものがあるけど、ルーズソックスってほんとになくて。一見普通に見えるんですけど、これは真ん中の部分だけたるませることができる形状になってる。特別な形だからソックス工場では作れなくて、ニットの工場で作ってるんです。量産するのも大変で、あぁだから誰もこういうのを作ってないんだなって分かった。

——カバンも、スクールバッグがモチーフなんですね。あのちゃんのシール帳がそのまま中から出てきそうなバッグ。

あの:そうそう(笑)。これも、ぼくがこういうバッグが欲しいというところから着想していきました。KUMONのバッグを想像したりして。かわいくていっぱい入るんですよ。キーホルダーとかじゃらじゃら付けてもかわいいはず。

カッコいいとかわいいが同居する洋服

あの

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——なるほど。洋服で特にこだわったものはありますか?

あの:ジャージはネックレスのチャーム付きにしました。あと、ダメージデニムパンツはダメージの入れ方にかなりこだわった。汚れ加工も入ってて、古着じゃないけど古着っぽくて、形はきれい。こういうのはなかなかないと思う。ジャージのパンツもこだわりましたね。ジャージって、後ろからのシルエットが不格好なものが多いんですよ。だから、テーラードワイドパンツのシルエットを参考にしました。骨盤が大きめでも腰まわりが綺麗に見えるようにね。紐もつけてて、シルエットはきれいだけど楽に履ける。ぼく自身がボーイッシュにしたい時とガーリーにいきたい時の両方があるので、それを表現できるようにも意識しました。だから、どんな人も気分に合わせて着ることができる。テーラードジャケット類はレースがついてるんだけど、それも取り外しできるんです。

——カッコいい要素とかわいい要素がせめぎあっているし、同居してますね。

あの:両方ありますよね。カッコいい要素の方が多いのかな……? どうなんだろう。それも人によって変わると思う。着る人でカッコいいとかわいいのバランスが変化するというか。自由自在です。

——音楽や俳優のお仕事では得られない、ファッションならではのお仕事で得られることって何でしょう?

あの:服って日常的なもので、皆が自然に着るものだから、それが日によって違うって面白いですよね。気分によっても毎日違う。だから、服からインスパイアをもらうことが毎日流動的にあって、そこが刺激的。

——「ヘルブラウ」は、今後もラインナップを増やしていく方向性なんでしょうか。

あの:増やしていきます。今回(1stコレクション)、ぼくが難しいことを言いすぎて、アイテム数としては絞らざるを得なかったんですよね。だから、まだまだ実現できていないアイテムがたくさんあって。ルーズソックスのたわみにこだわりすぎて、それだけで時間経っちゃったみたいな。でも、SS/AWみたいな括りではなく、できたら出すみたいな形にしていきたいです。

「ファンの子たちも喜んでくれるとうれしい」

あの

あの

——今年は音楽活動ではアルバム「BONE BORN BOMB」もリリースしましたけど、今少し経って、反響をどのように受け止めていますか?

あの:いいアルバムだと思ってるけど、もう次を作りたいなって気持ちになってる(笑)。ぼくは何事においてもそういう感じなんですよね。どんどんやりたいことが出てくるし、「はい次!」みたいな。でも、あのアルバムが誰かにとっての御守りとして存在してればいいなとは思ってます。

——次というと、「KILL LOVE」「ミッドナイト全部大丈夫」を収録したニューシングル「呪いをかけて、まぼろしをといて。」もリリースされました。

あの:制作自体はアルバムと同時期に進めていたんですけどね。いつもですけど、聴いてくれる人がどう思うか全く分からないんですよ。なので今は不安ですけど2曲ともぼくの曲というよりみんなの曲になるように作っているので愛されるとうれしいです。

——そういった音楽活動が、今後は「ヘルブラウ」の方にもいい影響が出てくるかもしれないですよね。

あの:そう。音楽の衣装を選ぶ時もそうだし。ぼくの場合はライブ衣装もいろんな人のこだわりが詰まったものが多いし、一点物の手作りもあるから、切っては切れない関係になってくると思います。

——学校が嫌いだった当時のあのちゃんに、自分が作った服を見せたら何て言うでしょうね。きっと喜ぶはず。

あの:昔から好きなものが変わってなくて、むしろ好きなものがどんどん増えていってる感じだから、こういう服は喜ぶと思う。ニットキャップとかルーズソックスとか他にはない物になってるし、特別だなって感じるはず。あの時の暗い生活に、小さい光が射すんじゃないかな。だから、ファンの子たちも喜んでくれるとうれしいです。

あの

あの

PHOTOS:NA JINKYUNG(TRON)
STYLING:MOMOMI KANDA
HAIR&MAKEUP:URI

「ヘルブラウ」概要

あの

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「あの」の「自分が本当に着たいと思える服をつくりたい」という、純粋な想いから生まれたファッションブランド「ヘルブラウ(HELL BLAU)」。あのらしいユーモアと個性を日常にプラスするアイテムを展開する。1stコレクションテーマは“school”。学校が嫌いだったあの自身の経験を元に、あえてスクールテイストのアイテムを制作。第1弾のテーラードジャケット、テーラードワイドパンツ、テーラードハーフパンツ、プリーツミニスカート、L♡nely Tシャツ、ダメージデニムパンツ、TEETH ピンズセット(5個入り)はすでに公式サイトで発売中。今後は、ジャージのセットアップやルーズソックス、さらにバッグやニットキャップなど、こだわりが詰まったアイテムも冬頃に展開を予定している。
https://hell-blau.com/

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