写真は左から、2025年(第43回)毎日ファッション大賞の大賞を受賞した「オーラリー」の岩井良太と、新人賞・資生堂奨励賞を受賞した「フェティコ」の舟山瑛美
毎日新聞社は9月1日、2025年(第43回)毎日ファッション大賞の受賞者を発表した。大賞には「オーラリー(AURALEE)」デザイナーの岩井良太、新人賞・資生堂奨励賞には「フェティコ(FETICO)」デザイナーの舟山瑛美が選出された。
写真は左から、2025年(第43回)毎日ファッション大賞の大賞を受賞した「オーラリー」の岩井良太
「オーラリー」の2025-26年秋冬コレクションから
大賞を受賞した岩井は、1983年生まれ。大学卒業後、文化服装学院夜間部に通いながら、パタンナーやデザイナーとしての経験を積んだ。2015年春夏シーズンに「オーラリー」を立ち上げ、17年に東京・南青山に初の直営店をオープンした。18年には「FASHION PRIZE OF TOKYO」を受賞し、翌年からパリでのコレクション発表を開始。19年には「第37回毎日ファッション大賞」新人賞・資生堂奨励賞を受賞している。ブランド設立から10年、良質な素材選びと丁寧な縫製にこだわり、エイジレスかつジェンダーレスなクリエイションで現代の価値観に寄り添うスタイルが高く評価された。
2025年(第43回)毎日ファッション大賞の新人賞・資生堂奨励賞を受賞した「フェティコ」の舟山瑛美
「フェティコ」の2025-26年秋冬コレクションから
新人賞・資生堂奨励賞の舟山は1986年生まれ。高校卒業後に渡英し、帰国後にエスモードジャポン東京校に入学して2010年に卒業した。コレクションブランドなどでデザイナーの経験を積み、2020年に「フェティコ」を立ち上げた。身体観を再構築したデザインが特徴で、上品な色気と曲線美を追求したスタイルが多くの支持を集めている。22年には「JFW NEXT BRAND AWARD 2023」および「TOKYO FASHION AWARD 2023」を受賞した。25年8月にはワコールのランジェリーブランド「ユエ(YUE)」とのコラボ商品を発表。9月3日には楽天の「by R」プロジェクトを通じて26年春夏のランウエイショーを開催する。
鯨岡阿美子賞を受賞した、糸編代表取締役でファッションキュレーターの宮浦晋哉
宮浦晋哉による、2017年に開校した「産地の学校」1期生への講義の様子
このほか鯨岡阿美子賞には、糸編代表取締役でファッションキュレーターの宮浦晋哉が選ばれた。宮浦代表は「日本のものづくりの発展と創出」を掲げ、年間200以上の繊維産地や工場を訪問し、素材開発・展示企画・メディア運営などを通じて地域産業の魅力を発信している。
「YKKファスニングアワード」の入賞作品のファッションショー
話題賞にはYKKの「YKKファスニングアワード」が選出された。同アワードは若手クリエーターの国際的な活躍を支援する目的で2001年に創設された日本最大級の学生向けファッションデザインコンテストで、今年で第25回。
選考委員特別賞に選ばれた「ミナペルホネン」の皆川明
PHOTO:SHOJI ONUMA
皆川によるタンバリン(1999-2000年秋冬コレクションから)
選考委員特別賞には「ミナペルホネン(MINA PERHONEN)」の皆川明デザイナーが選ばれた。1967年生まれの皆川は1995年に「ミナ」(2003年に現在の名前に改称)を設立。06年に「毎日ファッション大賞」大賞、16年には「毎日デザイン賞」を受賞している。職人による刺しゅうの温かみあるステッチや、チョウや植物など自然をモチーフにした普遍的なデザインは、世代を超えて多くの人々に支持されている。
受賞者インタビューを含む特集記事は、10月中旬の「毎日新聞」朝刊に掲載予定だ。同賞は「毎日新聞」の創刊110年を記念して1982年に創設された。ファッションに携わる人々の優れた業績を称えるとともに、新たな才能を発掘し、ファッション界の振興および文化の育成に貢献することを目的としている。