AGSで総合優勝!椎名が予選からトップ独走
東北地方で人気の軽自動車ワンメイクレース「東北660・HA36カップ」が、2025年も開幕しました。開幕戦の舞台となったのは、6月29日に開催されたエビスサーキット東コース。今シーズンも1クラス(MT)と2クラス(AGS=Auto Gear Shift)合わせて19台がエントリーし、熱い戦いが繰り広げられました。
MT勢をしのぐスタート性能?AGSの実力が証明された瞬間
HA36カップはトランスミッションで、5速MTが1クラス、2ペダルの5速AGSが2クラスと分けられている。朝イチの公式練習から決勝レースまで、1度も総合トップを譲らなかったのは、なんと2クラスの47号車・椎名栄一郎だ。
練習のタイムは、1クラストップの963号車・岡部皓輝を0.1秒ほど上まわり、予選では差を詰められるものの、総合トップの座をキープ。決勝も「2ペダルがゆえにスタートは不利」という定説を覆し、追いすがるMT勢を抑えつつトップでチェッカーを受けた。
椎名に限らず、2クラスで準優勝した728号車・高杉俊太郎、また3位の440号車・塩野力也もスタートはMTと遜色なく、シフトダウンのタイミングなど多少の慣れは必要だが、AGSとMTでもはや戦闘力の差はないのかもしれない。
なお高杉は、今や自他ともに認めるAGSマイスターのひとりで、塩野も過去にHA36カップの2クラスで何度も表彰台を獲得している。最初は独特の癖に手こずるかもしれないが、ポテンシャルの高さは疑う余地がないだろう。
何といってもAGSは、中古車の価格がMTよりリーズナブルで、玉数も多く、レースを始めるに際の初期コストが安く済む。レースに限らず、これからサーキットを走るなら、HA36のAGSという選択肢は大いにアリだ。
岡部が悲願のポール・トゥ・ウィン!地元勢を脅かす存在に
続いてはMTの1クラス。予選でポールポジションを獲得した岡部は、長年に渡り地元の京都から参戦を続けている。レースウィーク以外にも東北まで自走して練習はしているものの、さすがに走り込める量は地元のドライバーらに及ぶはずもなく、なかなかタイムや順位に結びつかず、悔しいレースが続いていた。
岡部の努力が実り始めたのは昨シーズンからで、予選のポールポジションや表彰台を経験して、安定感やバトルの駆け引きが身についてきた。そして今回は、とうとう悲願の1クラスにおけるポール・トゥ・ウィンを達成。
前述のとおり総合優勝こそ2クラスの椎名だったが、岡部が今シーズンを牽引することは確実と思われる。
準優勝は、東北660選手権とダブルエントリーした346号車・岩塚真澄。HA36では初のレースと考えれば、上々の結果だろう。マシンに身体がもっと馴染むであろう第2戦・最終戦で、岡部をどこまで追い詰められるか。
また、3位で初の表彰台に立った596号車・田中翔馬も要注目だ。ロードスター専門店『ラヴィッシュモーターワークス』を営み、ドリフトのテクニックと足まわりのセッティングには定評がある。
当初は慣れないグリップに戸惑うシーンも見受けられたが、得意とするサスペンションのセッティングが徐々に熟成されてきたため、ポジションを上げ、虎視眈々と表彰台の中央を狙う。
次戦は、厳しい残暑が予想される9月7日。舞台は宮城県のスポーツランドSUGO。夏のSUGOで行なわれるHA36カップは初めてだけに、クルマもドライバーも「熱」が最大の敵となる可能性が高い!?