ワンメイクレーシングカー「ポルシェ 911 GT3 Cup」に最強ポルシェの秘密を見た! | GENROQ Web(ゲンロク ウェブ) - Moe Zine

“世界最速のワンメイクレース”「ポルシェカレラカップ」。そのレースに使用されるマシンは、ポルシェ911GT3 RSをベースとしたレース専用マシン、通称“カップカー”。公道走行モデルとは何が違うのか? 今回はマシンのディテールをチェックしてみる。(GENROQ 2025年9月号より転載・再構成)

競技車両ならではのオーラ

フロントエプロンと大型リヤウイングを備えたリヤスポイラーとの組み合わせにより空力ダウンフォースを増加。“スワンネック”マウントを備えたリヤウイングは11段階の調整が可能。

フロントエプロンと大型リヤウイングを備えたリヤスポイラーとの組み合わせにより空力ダウンフォースを増加。“スワンネック”マウントを備えたリヤウイングは11段階の調整が可能。
フロントエプロンと大型リヤウイングを備えたリヤスポイラーとの組み合わせにより空力ダウンフォースを増加。“スワンネック”マウントを備えたリヤウイングは11段階の調整が可能。フロントエプロンと大型リヤウイングを備えたリヤスポイラーとの組み合わせにより空力ダウンフォースを増加。“スワンネック”マウントを備えたリヤウイングは11段階の調整が可能。

正式名は911GT3 Cup。カップカーはタイプ996の時代にはじまり、997、991そしてタイプ992へと進化を遂げてきた。現在は前期型のタイプ992Iをベースとしたカップカーによってレースが行われている。カレラカップへの参戦車両は最新モデルであることが義務付けられており、市販車が992IIへとモデルチェンジしたことを受け、今後はカップカーもアップデートされることになる。ちなみに991など一世代前のマシンでもレースが楽しめるよう、2019年からは「ポルシェスプリントチャレンジジャパン」という新しいレースシリーズが始まっており、カップカーが992IIへと移行した際にも、このシリーズでは992Iでの参戦が可能となっている。

低く構えた車高、大きく張り出したフェンダー、大きなリヤウイングと、カップカーを間近で見ると競技車両特有のオーラが伝わってくる。ドアやウインドウなど、ボディは徹底した軽量化が図られている。インテリアも同様で、カーペットもアンダーコートもない鉄板むき出しの状態でドアの内張りはカーボン製、市販車と共通するのは、ダッシュパネルと3ペダルくらいのものだ。フルバケットシートは1脚のみで室内にはロールケージがはりめぐらされ、その隙間に制御系コンピューターなどが配置されている。エンジン本体は市販車と同じものだが、補機類は大きく異なる。組み合わせるトランスミッションも6速のドグミッションだ。クルマ好きならば誰しも、自分の手で運転してみたい、そんな衝動に駆られるはずだ。

購入はカレラカップ参戦者のみ

ステアリングホイールは、911 GT3 R由来のオープントップのカーボンファイバー製のもの。メーターは10.3インチのカラーディスプレイ。エンジン回転数、使用中のギヤ、水温、油温、エラーメッセージ、雨天時には「ウエット」などの情報を表示。各セッション後にドライバーとレースエンジニアが同じ情報を見ることができるようにデザインされている。ステアリング右側にある10個のボタンを備えたラバースイッチパネル(RSP)は、ポルシェ919ハイブリッドのコントロールエレメントに着想を得たもの。照明や換気、ドライからウエットへのタイヤの設定変更、ブレーキバランスの調整などが割り当てられている。

シートは、角度に加えて2段階の高さ調節が可能。調整可能なステアリングコラムとの組み合わせにより、すべてのドライバーの身体にフィットする。6速シーケンシャルドグミッションは、電動シフトアクチュエーター式パドルシフトで操作する。発進停止時のみクラッチ操作が必要。レース用のトリプルプレートメタルクラッチだ。
ステアリングホイールは、911 GT3 R由来のオープントップのカーボンファイバー製のもの。メーターは10.3インチのカラーディスプレイ。エンジン回転数、使用中のギヤ、水温、油温、エラーメッセージ、雨天時には「ウエット」などの情報を表示。各セッション後にドライバーとレースエンジニアが同じ情報を見ることができるようにデザインされている。ステアリング右側にある10個のボタンを備えたラバースイッチパネル(RSP)は、ポルシェ919ハイブリッドのコントロールエレメントに着想を得たもの。照明や換気、ドライからウエットへのタイヤの設定変更、ブレーキバランスの調整などが割り当てられている。シートは、角度に加えて2段階の高さ調節が可能。調整可能なステアリングコラムとの組み合わせにより、すべてのドライバーの身体にフィットする。6速シーケンシャルドグミッションは、電動シフトアクチュエーター式パドルシフトで操作する。発進停止時のみクラッチ操作が必要。レース用のトリプルプレートメタルクラッチだ。

第7世代となるカップカーはターボ仕様のワイドボディで、おおよそ70%がアルミニウム、30%がスチールで構成されている。ウインドウは軽量ポリカーボネート製。ドア、エンジンフード、リヤウイングはカーボンファイバー強化プラスチック製。アルミニウム材を多く使用するのは、アクシデントの際の修理費用削減を意図したもの。カップカーはシュトゥットガルトにあるポルシェ本社のツッフェンハウゼン工場にて市販版の911と同じラインで生産されている。第7世代となるカップカーはターボ仕様のワイドボディで、おおよそ70%がアルミニウム、30%がスチールで構成されている。ウインドウは軽量ポリカーボネート製。ドア、エンジンフード、リヤウイングはカーボンファイバー強化プラスチック製。アルミニウム材を多く使用するのは、アクシデントの際の修理費用削減を意図したもの。カップカーはシュトゥットガルトにあるポルシェ本社のツッフェンハウゼン工場にて市販版の911と同じラインで生産されている。

では、カップカーを購入するにはどうすればいいのか。一般的には担当ディーラーに相談することから始まるが、実際にはPCCJ(ポルシェカレラカップジャパン)事務局へ申し込みの上、選考に通過して初めて購入可能となる。ちなみにカップカーは車両単体での販売は行っていない。ガレージに並べるためのコレクションとしての購入は禁止されており、シーズンフル参戦が義務づけられている。車両価格は約3700万円と意外にリーズナブルなもの(市販版のGT3 RSは3378万円)。もちろんこれにエントリフィーやタイヤ代、メンテンス費用などが必要にはなる。

厳密なイコールコンディション

ホイールはセンターロック式ワンピース構造で、フロント12J×18、リヤ13J×18。スリックタイヤはミシュラン製Porsche Cup N3R。フロント30/65R18 、リヤ31/71R18。ブレーキはフロント6ピストン、リヤ4ピストンのアルミニウム製モノブロックキャリパー。ブレーキディスクは前後ともスチール製ベンチレーテッドで380mm径/32mm厚。サスペンションは鍛造コントロールアームとトップマウントで剛性強化。形式はフロントは911RSR由来のダブルウィッシュボーン、リヤはマルチリンク。ともに車高およびキャンバー、トーの調整が可能。

ホイールはセンターロック式ワンピース構造で、フロント12J×18、リヤ13J×18。スリックタイヤはミシュラン製Porsche Cup N3R。フロント30/65R18 、リヤ31/71R18。ブレーキはフロント6ピストン、リヤ4ピストンのアルミニウム製モノブロックキャリパー。ブレーキディスクは前後ともスチール製ベンチレーテッドで380mm径/32mm厚。サスペンションは鍛造コントロールアームとトップマウントで剛性強化。形式はフロントは911RSR由来のダブルウィッシュボーン、リヤはマルチリンク。ともに車高およびキャンバー、トーの調整が可能。
ホイールはセンターロック式ワンピース構造で、フロント12J×18、リヤ13J×18。スリックタイヤはミシュラン製Porsche Cup N3R。フロント30/65R18 、リヤ31/71R18。ブレーキはフロント6ピストン、リヤ4ピストンのアルミニウム製モノブロックキャリパー。ブレーキディスクは前後ともスチール製ベンチレーテッドで380mm径/32mm厚。サスペンションは鍛造コントロールアームとトップマウントで剛性強化。形式はフロントは911RSR由来のダブルウィッシュボーン、リヤはマルチリンク。ともに車高およびキャンバー、トーの調整が可能。

フロントトランク内にはエアジャッキが備わる。上に見えるダクトは室内への送風用。エアコンは装備していない。ガソリンタンクは110リッターのFT3セーフティフューエルセル。外気に触れずに給油することがレギュレーションで定められている。フロントトランク内にはエアジャッキが備わる。上に見えるダクトは室内への送風用。エアコンは装備していない。ガソリンタンクは110リッターのFT3セーフティフューエルセル。外気に触れずに給油することがレギュレーションで定められている。

各ドライバーによって変更可能な箇所はアラインメント(キャンバーや車高など)とリヤウイングの角度くらい。ダンパーも減衰力調整式ではない。また、マシンだけでなくタイヤもワンメイクである。グローバルシリーズパートナーであるミシュランから提供され、路面状況によりスリックタイヤとレインタイヤを使い分ける。タイヤマネジメント戦略は、レースの勝敗を分ける非常に重要な要素だ。なおタイヤに予熱を加えることや化学的な処理を施すこと、機械的な加工をすることなどはレギュレーションによって一切認められていない。実力伯仲のレース展開は、参加しているドライバーも、そして観客も楽しめるものだ。カップカーの購入受け付けは基本的に年に一度、6月頃に行われるようなので、参戦を目論む方は来年に向けて準備を始めたほうが良さそうだ。

REPORT/藤野太一(Taichi FUJINO)
PHOTO/田村 弥(Wataru TAMURA)

SPECIFICATIONS

MY2025 Porsche 911 GT3 Cup(Type992)

全長:4585mm
全幅(フロントアクスル):1920mm
全幅(リヤアクスル):1902mm
ホイールベース:2459mm
車両最低重量:1260kg
エンジン:水平対向6気筒自然吸気
総排気量:3996cc
ストローク×ボア:81.5×102mm
最高出力:375kW(510PS)/8400rpm
最大トルク:470Nm/6150rpm
最高許容回転数:8750rpm
トランンスミッション:6速シーケンシャルドグミッション
車両本体価格:3702万500円(税込)

【取材協力】
コックス
〒259-0157
神奈川県足柄郡中井町405
TEL 0465-81-3034

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