アルビオンがNEWoMan横浜で展開する旗艦店「ALBION PHILOSOPHY(アルビオン フィロソフィ)」(売場面積72坪)が2020年6月のオープンから5周年を迎えた。
同社がこだわり続けるものづくりと接客を体現した体験型店ということもあり、コロナ禍での開業は厳しい船出となったが、人流の回復とともに客足が伸び、アルビオンの特別な場所として幅広い客層が来店している。直近2024年度の新規顧客数は4500名を超え、オリジナルアプリの会員は約7000名となった。
営業本部業態開発事業部の坂本一裕ゼネラルマネージャー(兼業態企画グループ長)は「一度でもいいから行ってみたい場所、わざわざでも行きたい場所として存在価値は高まってきた感じはある。フィロソフィだからこそ提供できる新しい形にチャレンジしていきたい」と話す。
新たな一手として9月12日(金)には高輪ゲートウェイにオープンする「NEWoMan 高輪」南館4階に「アルビオンフィロソフィ」2号店を開業する。
ドレッサー、アトリエと共に
専門店とのシナジー創出へ
同社は、「アルビオン」を冠した業態店として、「ALBION PHILOSOPHY」「ALBION DRESSER(アルビオン ドレッサー)」 「ATELIER ALBION(アトリエ アルビオン)」の3種類を展開している。
「アルビオン ドレッサー」は、「キレイを自由に」をコンセプトに雑貨を加えたMDと統一された世界観を演出したセレクトコスメショップで、駅ビルなど集客力の高い立地に出店を進め、化粧品専門店や百貨店など従来の流通では出会えていない顧客との出会いを創出している。
「アトリエ アルビオン」は、アルビオンオンリー店のスタイル提案として立ち上げた専門店向けの業態店で、「地域のサードプレイスを目指したコスメショップ」に位置づけて展開している。
2024年度はアルビオン取扱店のうち、売上高2億円を達成した店舗は13店舗で、そのうち4店舗がドレッサーだった。坂本氏は「新規顧客獲得だけでなく、顧客育成の役割も果たしている」とドレッサーの運営に手応えを感じており、「専門店様とのシナジー創出を図っていきたい」と話す。
「アルビオンのもっと深いサービスを受けたいというお客様に対して、専門店様の強みである接客力で、関係性を深めていただく流れをさらに太くしていきたい」
ものづくりと接客を通じて
ブランド体験の特別な場所に
「アルビオンフィロソフィ」は、オープンラボ(横浜研究室)とトリートメントサロンを併設した直営の旗艦店として2020年6月に開業した。
「ドレッサーとアトリエの2つの業態店が専門店様とのパートナーシップのもと展開しているのに対し、フィロソフィでは旗艦店として、企業そのもの、ブランドそのものといったアルビオンの本質を体現することを目指した。ものづくりや接客を通じて“アルビオンらしさ”を提供することで、コアなファンからビギナーの方まで一度は行きたい、わざわざでも行きたいと思うアルビオンの聖地とも呼べる店づくりを推進していく。ドレッサーとアトリエ、フィロソフィの3つが存在感を発揮することにより、ブランド価値がさらに高まり、ひいてはお客様のLTV向上につながると考えている」(坂本氏)
フィロソフィの特徴の1つが、化粧品づくりを公開するオープンラボ「LAB」だ。同社の研究拠点の1つとして、専門スタッフが常駐することで消費者ニーズを研究活動に反映することを目指している。また、来店客向けにものづくりを体験できるワークショップなども開催している。
「計画当初はラボではなく、工場を作る案もあったが、当社らしく、対面型でお客様とコミュニケーションを取れるオープンラボを設計した。美容部員とは違う関係性を築くことで、新たなブランドの魅力の発見につなげてもらいたい」(坂本氏)
ワークショップでは、ラボや設備などを有効活用し、親子でのハンドクリームやバスボム作りなどを開催してきた。新規来店客が増えている昨今は、各ブランドの主軸となる乳液作りのワークショップを中心に展開している。
その他、同社の「おもてなし」を基にした美容部員の講師によるマナー講座など商品に直接関係ない講座も人気で、フィロソフィだから実施できるサービスを生み出しながら、旗艦店としての存在価値を高めている。
「LAB」に隣接したスペースで提供する、本格的な肌分析機器「VISIA」を使用した肌分析サービスもオープン当初から注目を集め、現在も予約がすぐに埋まってしまう状況が続いている。肌診断サービスを受けた顧客の約7割が診断結果に基づく自分に合った化粧品を購入していくという。
「自分の肌を知ると、もっと肌を知りたい、よく見てほしいという気持ちから、来店頻度が上がってくることも見えてきた。情報量が増えることで自分の肌に合った化粧品を選びたいというニーズが高まってきているのを感じる」(坂本氏)
個々のニーズに応えられるブランドであることをフィロソフィから発信し、専門店をはじめ取扱店舗への来店促進につなげている。
蓄積している肌データや知見は、研究や新たな商品・サービスの開発に活かしていく計画だ。
トリートメントサロン「THE BED」も、他の業態にはないフィロソフィ唯一の施設だ。「THE BED」では、プレステージブランド「エクシア」や「アンベアージュ」によるフェイシャル&ボディトリートメントを提供している。
アフターコロナ以降は「ここでしか体験できない」サービスとして顕著にサロンの稼働率も上がっている。特に体験ギフトチケット経由での予約が増えており、「予約が取りづらい状況が続いている。より多くの方に体験していただけるよう体制を整えていく」(坂本氏)という。
エステやワークショップなどの予約は全てオリジナルアプリ上で行うことができる。アプリを起点に顧客とのコミュニケーションを図る。
アプリでは、購入履歴のある商品に限り、モバイルオーダーのサービスもいち早く導入した。リピート商品の購入がスムーズになるサービスとして用意したが、現状の利用は月十数件に留まる。
「来店した際には肌を診てもらいたい、新商品などを紹介してもらいたいというお客様が大多数であるのはアルビオンらしい部分でもあると思う。少数ではあるが、利用価値を感じている方もいらっしゃるので、今後もサービスは継続していくつもりだ」(坂本氏)
2号店をニュウマン高輪に
ブランドの新たな魅力創造へ
フィロソフィ唯一のサービスに対する顧客満足度が高く、会員の来店回数も多い。乳液の愛用者率はオープンから5年で全国トップクラスにランクインするようになった。
「SNSの普及で、お客様のニーズや化粧品の買い方も変化し、リアル店舗は受けたい接客や体験など人を介したホスピタリティの重要性が増していると感じている。リアル店舗の醍醐味である接客はアルビオンのこだわりの1つでもあり、旗艦店として知識や技術だけでなく、おもてなしのレベルを含め、さらに高めていきたい」(坂本氏)
初めて来店した顧客へのアンケートでは、店前を通りかかって店舗を知ったという方が多い。
「再来店率は良いので、“アルビオンらしさ”を維持しながら、新しいお客様をいかにもっと増やしていけるかが課題になってきている。5階の奥まった場所にあるので、お店に足を運んでいただけるような施策をさらに強化していく。インスタライブや新製品プロモーションなど企業イベントでもフィロソフィの利用を促し、ブランドコミュニケーションのハブ機能としても存在価値を高めていきたい」(坂本氏)
9月12日(金)には「アルビオンフィロソフィ」2号店(売場面積約39坪)を「NEWoMan高輪」(南館4階)にオープンする。旗艦店としてブランドイメージの浸透をもっと図っていきたいと考える中で、フィロソフィ業態を広げる構想を進めたという。
「フィロソフィは、旗艦店としてだけでなく、パイロット店舗として新しいことにチャレンジし、アルビオンの進化につなげる役割も担っている。新たにオープンする高輪店では、グローバル発信の拠点として魅力的な商業施設でもある。横浜の旗艦店とは違った形で“アルビオンらしさ”を伝えていきたい」(坂本氏)