2025年7月2日、株式会社TOKIOが公式サイトを通じて法人の廃業を正式発表。同時に、同社が運営していた農業体験施設「TOKIO-BA(トキオバ)」の閉園も明らかになった。アイドルグループTOKIOのファンのみならず、活動内容から多くの国民の共感・支持を集めた企業の廃業ということで注目されたが、法人の廃業には多くの税務・法務手続きが伴い、少なからぬ税金コストが発生することもある。※本連載は、THE GOLD ONLINE編集部ニュース取材班が担当する。
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国民的グループの「法人としての終焉」
1994年にCDデビューしたTOKIOは、『ザ!鉄腕!DASH!!』などを通じて「芸能×地方創生」という新しい価値観を提示し、農業や林業、自治体との連携など、芸能の枠を超えた活動で高く評価されてきた。
しかし、2025年6月、日本テレビが国分太一氏のコンプライアンス違反を公表。同氏は無期限の活動休止に入り、6月25日にはグループの解散が正式に発表された。その流れを受けて、2020年7月に設立した「株式会社TOKIO」の法人としての活動継続も困難となり、廃業を選択するに至った。
リリースでは「グループTOKIOの解散に伴い、所定の事務手続きおよび関係各位へのご説明等を終え次第、廃業する運びとなりました」と報告されている。
法人をやめるにもお金がかかる──「終わりの税金」に注意
個人の芸能活動と異なり、法人の廃業には多くの税務・法務手続きが伴う。とくに資産の処分や株主への分配には慎重な対応が求められる。主な税務上のポイントをピックアップしてみた。
1. 資産売却
TOKIO-BAのような不動産や設備、備品などを売却すれば、帳簿価額との差額が「譲渡益」として法人税の課税対象となる。
また、これらを無償あるいは著しく低い価格で譲渡した場合でも、税務上は「時価で譲渡した」とみなされ、法人税および消費税の対象となる。
2. 出資金の分配
解散・清算に伴い株主へ分配される資金のうち、「資本金等の額」(資本金+資本剰余金)までは非課税とされるが、それを超える分は「みなし配当」とされ、20.42%の源泉所得税の対象となる。このみなし配当は、配当所得として総合課税の対象となり、総合課税の税率は、所得金額に応じて5%から45%まで変動する。
なお、帳簿上の資本金と税務上の「資本金等の額」は一致しないことが多く、過剰に税金がかからないよう慎重な判定が求められる。
3. 消費税の「みなし課税」にも要注意
社用車や什器を従業員や役員に無償で譲渡した場合も、消費税法上は「課税売上」とみなされるケースがある。たとえ現金のやり取りがなくても、時価による譲渡があったとされ、消費税の申告義務が生じる可能性がある。
4. 従業員の整理と社会保険・源泉徴収
従業員がいる場合には、退職手当の源泉徴収、雇用保険・社会保険の資格喪失届などが必要になる。労務管理上の手続きも、税務と並ぶ重要な業務である。