【ライブレポート】YOASOBI、WEMBLEY ARENAの熱狂、ロンドンに鳴り響く「夜に駆ける」J-POP
2024年に結成5周年を記念したドーム公演を成功させ、日本人アーティスト最大級となる7都市14公演のアジアアリーナツアーを完走したYOASOBIが、スペイン・バルセロナで開催されたヨーロッパ最大級の音楽フェス<Primavera Sound 2025>に登場、堂々たるパフォーマンスで、国境を越えてその存在感を刻みつけた。
そして迎えたのは、YOASOBIにとって初となるヨーロッパ単独公演。その舞台は、“英国ロックの殿堂”と称されるロンドン・WEMBLEY ARENA。数々の音楽の伝説が息づくその場所に、新たなページが静かに、そして鮮烈に刻まれた。
冷たい風が残るロンドンの空気。しかし、会場を満たす熱気はその寒さを吹き飛ばすほどに濃密だった。現地時間20時、暗転したステージに鳴り響くSEが不穏な緊張と期待を煽る中、YOASOBIの“超現実”を象徴する巨大なモンスターバルーンが浮かび上がる。怪しくも美しいその造形に導かれるように、Ayaseとikuraがステージに現れると、歓声が轟き渡り、空気が震えた。
「We are YOASOBI from Japan」ikuraの高らかな宣言で、ロンドンの歴史あるアリーナが熱狂に包まれた。オープニングは「セブンティーン」。加速するバンドサウンドが空間を突き抜け、続く「祝福」「UNDEAD」へと、息つく間もなく展開が続く。観客の体温が一気に上がっていくのがわかる。
MCでは、初めて訪れたロンドンへの想いや、目の前に広がる光景への感謝が丁寧に語られた。続いて披露されたのは「PLAYERS」。ゲームという共通言語をモチーフに、国も言葉も超えて共鳴するその楽曲は、「Play on! You & Me! Set on the legacy!」の合図とともに、観客の心に確かな火を灯した。
「好きだ」「ハルジオン」では、軽やかなリズムに身を委ねるように、オーディエンスが一斉に揺れ動く。音楽が、言葉以上に深く人と人をつなげることをまさに感じさせる瞬間となった。
そして、最新曲「Watch me!」を初披露。待ち望んだ観客の歓喜が爆発する。キュートなメロディに、バンドの力強い演奏が重なり、ステージ全体が温かさに包まれた。
「ここからがRound 2、ついて来れるかロンドン」Ayaseの熱のこもった呼びかけに、会場のボルテージはさらに上昇。続いて披露された「怪物」では、観客が拳を突き上げ、熱狂の渦が巻き起こる。続く「アイドル」では、イントロとともに、レーザーが空間を切り裂いた瞬間、会場の興奮は最高潮に。全身全霊のコールが波のように押し寄せ、最大級の盛り上がりを見せた。
アンコール1曲目は、「舞台に立って」を披露。エレキギターをかき鳴らしながら、堂々と歌い上げるikuraの姿が観客の視線を惹きつける。その熱量に呼応するようにバンドが音を重ね、力強いロックチューンが会場全体を再び高揚感で包み込んだ。そして最後を飾ったのは、YOASOBIの原点「夜に駆ける」。ikuraのタイトルコールとともに、今日一番の歓声が響き渡る。日本語で歌われたJ-POPが、海を越え、文化を越え、ここロンドンの地で確かに共鳴していた。音楽が“共通言語”であることを強く感じさせる瞬間だった。
そして7月から日本全国14箇所40公演に渡るYOASOBI史上最長のホールツアーを実施する。アジア、アメリカ、そしてヨーロッパを経て、さらに進化し続けるYOASOBIのこれからに期待が高まる。
<YOASOBI LIVE AT WEMBLEY ARENA @OVO Arena Wembley>
2025年6月8日(日)、9日(月)
1.セブンティーン
2.祝福
3.UNDEAD
4.PLAYERS
5.New me(DAY1)/ 好きだ(DAY2)
6.ハルジオン
7.Watch me!
8.たぶん
9.モノトーン
10.優しい彗星
11.怪物
12.勇者
13.あの夢をなぞって
14.アイドル
15.HEART BEAT
16.群青
En1.舞台に立って
En2.夜に駆ける