「なぜ自分はアイドルになれないのだろう」 MZ世代脱北者が語る北朝鮮体制への疑問(TBS NEWS DIG Powered by JNN) - Moe Zine

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スヒさんが脱北したのは2023年、春のこと。18歳の時だった。

16歳の時に家族と一緒に脱北を決意し、学校に進学せず工場に就職。2年ほど働き、脱北に必要なお金を集めて、やっと脱北が実現したと話す。

脱北を決意したのは、北朝鮮でみていた韓国ドラマなど海外の映像やアイドルの舞台から、自分の未来は自分で選べる自由な国で生きたいと思ったからだと言う。

■「なぜ自分はアイドルになれないのだろう」脱北の決心

スヒさんは北朝鮮で海外のドラマや歌にとても簡単に接することができたと話す。

チャンマダンと呼ばれる市場ではそれら映像や音声を保存したUSBなどが販売されていて、首都・平壌に住む指導部たちの間でも割と広まっていたと語ってくれた。
一日の終わりに家族と一緒にチャンマダンで購入した韓国ドラマと韓国の音楽番組をみるのが毎日の楽しみだったと北朝鮮での生活を振り返る。

そんな中、一番興味をひかれたのが韓国のアイドル。
最初はアイドルたちの派手な化粧や衣装に抵抗感があったが、自分と年齢が近いと知り、自分はなぜアイドルになれないのだろうと疑問を抱くようになった。

「北朝鮮を逃れて、アイドルになりたい」。家族にそう打ち明けると、家族全員での脱北の話が一気に進んだ。
ブローカーにお願いするか、国境を自力で超えるか。いろんな方法を検討したが、どの道お金が必要ということで、義務教育課程を終了するとお金を稼ぐためにすぐ工場で働いた。

■MZ世代を中心に広がる“金正恩への不信感”

学校でもそうだったが、工場で働く人の中には、KPOPアイドルや韓国のドラマに心酔したMZ世代が多かったとスヒさんは話してくれた。

北朝鮮では金正恩総書記の指示で厳しい思想調査や検閲が実施されていて、韓国ドラマなど韓国の文化にふれていたことが分かれば、銃殺刑に処されることもあるとされる。

実際にスヒさんの町でも、韓国文化にふれたことがバレて処刑された人もいた。
それでも周囲の韓国ドラマなどの人気は収まらなかった。当局が厳しく規制すればするほど、人々の心のなかでは、むしろ北朝鮮体制への不信感が強まっていったという。

“なぜ自分たちは自由に海外の映像をみることができないのか” “なぜ国は自分たちに韓国は貧困国家だと嘘を言っているのか”など、立て続けに浮かぶ素朴な疑問は、“金正恩総書記は何者だ?”という北朝鮮の体制に対する疑問につながった。

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