表題曲は小坂菜緒センター、全員曲で描く“自分を愛す”強さ
——そんな五期生が加わった新体制での初シングル『Love yourself!』がリリースされました。表題曲はここ数作と比べてだいぶ大人っぽい雰囲気が伝わり新鮮ですが、この曲を初めて聴いた時はどう感じましたか?
森本:新体制での最初のシングルということで私たちもどういった楽曲が来るのか気になってました。それこそ初期の「キュン」とか「ドレミソラシド」みたいにキャッチーで恋愛をモチーフにした楽曲がくるのかなと予想していたら、聴いている人を鼓舞するような応援歌が届いて、最初はすごく驚きましたね。でも、実際に歌って踊ってみると、私までこの曲に励まされるなって思う瞬間が増えていって、早く皆さんにお届けしたい気持ちがどんどん強くなっていきました。
松田:森本が言ったように、日向坂46のシングル表題曲は恋愛をテーマにした歌詞が多いんですけど、今回は「もっと自己肯定をしていいんだよ、自分を愛してあげていいんだよ」みたいな歌詞だったので、これまでと違った新しさが伝わりました。曲調に関しても、リリースタイミング的に夏に向けて弾けたものになるのかなとみんなで予想していたんですけど、爽やかな中にも落ち着いた感じがある、聴き手に寄り添ってくれるようなミディアムテンポということにも驚いて。たぶん5月後半って、ゴールデンウィークが終わって5月病になる人もいるかもしれないので、タイミング的にもすごくぴったりな曲調じゃないかなと思います。
——皆さんがおっしゃるように、僕も新体制最初の楽曲なので日向坂46の王道ともいえる「キュン」や「ドレミソラシド」タイプの曲調を予想していたので、いい意味で裏切られました。加えて、グループとしては7年目に突入したということもあり、「キュン」や「ドレミソラシド」の頃よりも大人になった日向坂46を見せたかったのかなという印象もあって。
松田:そうですね。こういう曲調って、初期の頃だったら表現するのも難しかったかもしれませんし。あと、今回はセンターが(小坂)菜緒というのもあると思うんですけど、菜緒自身も初期は周りの先輩に支えてもらいながらセンターに立っていたところを、前作の「卒業写真だけが知ってる」では両サイドに四期生の後輩を迎えてグループを引っ張っていくようなセンターに成長した。いろんな移り変わりがある中で新体制として再出発する、しかも久しぶりの全員曲で菜緒がセンターに立つということにも、いろんな意味を感じています。
——確かに「卒業写真だけが知ってる」や今回の「Love yourself!」でセンターに立つ小坂さんからは、絶対的な頼もしさが伝わりますものね。歌詞に関してもう少し聞かせてほしいのですが、歌っていてすごく印象に残るフレーズとか好きなフレーズはありますか?
森本:私は〈辛いことが もしあれば/涙 見せていい 僕が腕の中 抱き締めてやる〉っていう歌詞が、特に印象的でした。今までの楽曲では「もっと自信を持っていいんだよ」って言葉を通じて語りかけてくる感じが強かったんですけど、今回は〈僕が腕の中 抱き締めてやる〉っていうフレーズからすごく近い距離で自分を大切に思ってくれている感じが伝わってきて。よりグッときますし、臨場感が溢れていて私はすごく気に入っています。このパートの振り付けは〈抱き締めてやる〉にぴったりな動きが入っていて、自分自身を強く抱きしめるんですけど、ここは振り付け含めて私自身すごく力をもらえますね。
——今おっしゃったような表現含めて、6年間積み重ねてきた成長が伝わりますよね。
森本:確かに。「ここで私たちが強く構えているから、君はそこで自由でいなさい」みたいな頼もしさは、何年もグループ活動してきた今だから表現できることなのかなと思います。
松田:私はサビの〈誰に何を言われても 自信を持て〉ってフレーズかな。自分では「こうあるべきだ」とわかっていても、人から言われたちょっとした一言で「やっぱり大丈夫だったのかな?」と不安になってしまうことってあるじゃないですか。そうやって考える時間も大切だとは思うんですけど、このサビは足を止めて考えることなく自信を持って進んでいいんだ、って思わせてくれる言葉だなって。特にこの活動を通じて、自信を持ったままでいることが難しいと感じる瞬間もたまにあるんですけど、この曲をいただいた時に今一度自分を大切にして自信を持とうと思わせてもらえたので、特に好きなフレーズです。
新曲MVは“可愛い”を追求! 五期生初の期別曲の意外性も
日向坂46『Love yourself!』MUSIC VIDEO
——振り付けのお話も出ましたが、MVもすでに制作しているんですよね? 現時点では完成したものを拝見できていないので、今回はどんな内容か教えていただけますか?
松田:前作「卒業写真だけが知ってる」から引き続き、スミスさんが監督を担当しているんですけど、今回はストーリー性があるMVという感じではなくて。ダンスシーンとメンバーのイメージカットが中心で、「皆さんをひたすら可愛く撮ります!」とおっしゃっていました。
森本:「可愛くないと(撮影が)終わりません!」と言ってましたよね(笑)。
松田:言ってた(笑)。それぐらいの意気込みだということを伝えてくださったので、全体を通じて今の日向坂46のカタログになるようなMVになっていると思います。私たちも(現時点で)まだ完成した映像を観ていないので、今から仕上がりが楽しみです。
森本:イメージシーンもいろんな動きや表情を撮っていただいたんですけど、「ありのままの自分でいいんだよ」という楽曲のテーマにもすごく合っている気がして。私たちの、作り込んでいない素の部分をたくさん楽しめるんじゃないかと思います。あと、振り付けにハートがたくさん詰め込まれていて、そこも見どころです。
松田:今回もCRE8BOYさんが振り付けを担当してくださったんですけど、さっきの〈抱き締めてやる〉で自分を抱き締めるみたいに歌詞とリンクした動きがすごく多くて。そのほうがパフォーマンスする上でも気持ちを乗せやすいので、実際に踊っていてすごく楽しいです。
——また、本作には五期生による初の期別曲「ジャーマンアイリス」も収録されています。四期生の初期別曲「ブルーベリー&ラズベリー」と比べると、だいぶ大人っぽくて落ち着いた印象の楽曲ですよね。
日向坂46『ジャーマンアイリス』MUSIC VIDEO
森本:私も最初に聴いた時、新鮮でびっくりしました。四期生の時ってメンバーから受けた最初の印象がそのまま曲調にも反映されているような、フレッシュで可愛らしい感じだったんですけど、五期生はみんなの歌声がちょっと大人っぽいじゃないですか。そういうところが曲調にも反映されたのかなと感じましたし、「新人です! フレッシュです! 頑張ります!」というよりは「任せてください!」みたいな頼もしさも伝わりました。
松田:私も最初にこの曲を聴いた時、「あれ、これ本当に五期生曲で合ってる?」って確認しちゃいましたし。それくらい大人っぽい曲調で、みんなの歌も上手。五期生にとってはデビュー曲なので、“ザ・フレッシュ”みたいな曲がくるのかなと勝手に思い込んでいたから、意外性が強かったんですけど、私自身は加入まもない若い子たちがこういう大人っぽい曲を歌うのが結構好きなんですよ。それこそ、二期生が最初にいただいた期別曲「半分の記憶」も割と大人っぽい曲調でしたし。なので、私自身はデビューしたてだった頃の二期生と重なるものがありました。