マルジェラ期のエルメスなどを所蔵するMoMu館長が語る、ヴィンテージファッションの価値と未来 | Vogue Japan - Moe Zine

Kunst en mode

Kunst en mode© MoMu – ModeMuseum Antwerpen, foto Stany Dederen

さらに、カートはヴィンテージ ブームの課題にも言及する。「若者は低価格の古着市場で、再販す ることまで考えて服を購入しますが、結果的に物を大切にする意識 が希薄になりがちです。私たちは、自分がどれほどの衣服を本当に必要としているのか、消費の在り方を問い直すべき時に来ているので はないでしょうか」

MoMuでは、未来の訪問者で あり消費者でもある若者たちに向 けて、修理や制作のワークショッ プを開催し、単なる展示にとどまらない教育活動を行っている。

マルジェラ期のエルメスなどを所蔵するMoMu館長が語る、ヴィンテージファッションの価値と未来マルジェラ期のエルメスなどを所蔵するMoMu館長が語る、ヴィンテージファッションの価値と未来

「ファストファッションの台頭により、使い捨て文化が広まってしまいました。しかし、衣服は修復や再利用の長い歴史を持つ工芸であり、大切に扱うという意識を次世代に伝えることが重要です」 同時に、MoMuは道徳的な押し付けを避ける姿勢を貫く。「『これを 買ってはいけない』と決めつけることは適切ではありません。重要なのは、自分が何を消費し、どのように衣服を大事にするかを考えることです」とカート。素材の特性を理解し、再利用可能な服を選ぶことも、環境への配慮につながる。ファッションの背景にある職人技や製造過程への理解を深め、衣服への愛着を持つことが、持続可能な消費の第一歩になるのだ。

ヴィンテージブームは単なる一過性のトレンドではなく、ファッションの歴史と未来を見据えた新たな価値観の形成へとつながっている。今こそ、メディア、博物館、業界が協力し、変革を生み出す時なのかもしれない。

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