乃木坂46

【朗読】鼠小僧次郎吉 作・芥川龍之介



【朗読】鼠小僧次郎吉 作・芥川龍之介

ネズ小僧 治吉明田川 竜之助 1ある初中の日暮であった潮止の船宿伊谷 の表2階には遊び人らしい2人の男が さっきから差し向かいで仕切りに研修を 重ねていた1人は色の浅黒い小布に太った 男で刀のごとく勇気の人物にハタのひを 閉めたのが上に羽織った小当たり登山の 反転と一緒にその苦み走った男ぶりを一層 イに見せている趣きがあったもう1人は色 の白いどちらかと言えば小柄な男だが手首 まで掘ってある が目立つせいかノの落ちた古形の人物に そば玉の3弱をぐるぐる巻きつけたのも息 というよりはむしろすごみのある自だらく な心持しか起こさせなかったのみならず この男は役者が23枚落ちると見えて相手 の男を呼びかける時にも四十親分という名 を用いてい が年配はかれこれ同じくらいらしくそれ だけまた世間の親分古文よりも打ち解けた 工場が通っていることは互いに指し抑え する逆月の間にも明らかだっ た初中の日暮れとは言いながら向こうに 見える空様の生子壁にはまだ赤赤と入り日 がさして その日を浴びた一株の柳がこんもりと墓を 無しているのもさってまなない残暑の 思い出を新しくするのに十分だっただから この船宿の表2階にも吉こそもう空神に 変わっていたが江戸に未練の残っている夏 は手すりに下がっている伊だやいつからか とに駆けのされたすえの滝の掛け物や あるいはまた2人の間に並べてある前の 水貝や洗いなどにまざまざとつきない 名残りを示していた実際往来を1つ隔てて いる堀割の明るい水の上から時たまここに 流れてくるそよ風も美を帯びた2人の男に は刷Grandを少し左へ曲げた水神の瓶 を吹かれるたびに涼しいとは感じられるに したところがもっと明し嘘寒さを覚え させるようなことはないのであることに色 の白い男の方になるとこればかりは冷た そうな駆け回りの銀guysもちらつく ほど思い入れ古形の胸を広げていたは女中 まで遠ざけてしばらくは何やら密談に ふけっていたがやがてそれも1段落ついた と見えて色の浅黒い小布に太った男は無 増さに直を相手に返すと膝の下のタバコ 入れを取り上げながらというわけでの俺も やっと3年ぶりにまた江戸へ帰ってきたの よ通りでちっとお帰りが遅すぎると思って 癒したよだがまあこうして帰ってきて おくんなさりゃ古文小方のものばかりじゃ

ねえ江どっこ一等が喜びやすぜそう言って くれるのは てめえへへおっしゃったものだぜ色の白い 小柄な男はわざと相手を睨めと人が悪そう ににやりと笑って小花姉ちゃんにも聞いて ごらんなせえまし そりゃね親分と呼ばれた男は女心型の キセルを加えたままわずかに苦しの色を 漂わせたがすぐにまた真面目な調子になっ てだがの俺が3年見ねえ間に江戸も めっきり変わったようだいや変わったの 変わらねえの場所なんぞのさびれ方とき ちゃまるで嘘のようでごぜえますぜ こうなると年寄りの言い草じゃねえが やっぱり昔が恋しいの変わらねえのは わっちばかりさへへんなっても一点だ古形 の浴衣を着た男は受けた酒好きをぐいと やるとその手ですぐに口の旗のしずくを 払って自ら預けるように眉を動かしたが今 から見りゃ3年目はまるででこの世の極楽 さねねえ親分おめえさんが江戸を追う なすった自分にゃぬすっととにせあの ネズミ小僧のような石川五衛門とはいか ねえまでもちっとは睨みの聞いた野郎が あったものじゃございませんか飛んだこと を言うぜどこの国に俺とぬすっととを1つ 扱いにするやがあるものだ登山の反転を 引っかけた男はタバコの煙にむせながら 思わずまた苦笑を漏らしたがてかな相手は そんなことに頓着する景色もなく 手弱女頃はご覧なせえケチな稼ぎをするや は放棄で吐くほどやすけれどあのクレな大 泥棒はついぞ聞かねえじゃごぜえません か聞かねえだっていいじゃねか国に盗賊家 にネズミだ大坊なんぞはいねえ方がいい そりゃいねえ方がいいいねえ方がいいにゃ ちげえごぜえませんがね色の白い小柄な男 は掘りものある肘を述べて親分へ直をさし ながらあの自分のことを考えるとへへんで ぬっとせ懐かしくなってきやすのさご承知 にゃちげえねえがあのネズミ小僧という 野郎は心行きが第一嬉しいやねえ親分嘘は ねえぬすっとの知り押しにゃこりゃ爆うち が持ってこいだへへこいつは一番恐れべか と言ってちょいと古形の肩を落としたが こちらは立ちまちまた元気な声になって わっちだって何もぬすっとの肩を持つにゃ 当たらねえけれどあいつは懐のあったけえ 大名屋敷へ忍び込んじゃお手元金という やつをかっさらってその日に追われる貧乏 人へ恵んでやるのだと言いやすぜなるほど 善悪にゃ2つはねえがどうせ盗みをする からにゃ悪党明理にこのクレな陰徳は積ん でおきてとねまあわっちなんぞはって癒す のさそうかそう聞きゃ無理はねえのいや

ネズミ小僧という野郎も海大町の裸松が 悲劇になってくれようとは夢にも思っちゃ いねえだろう思えば妙がぬすっとだ色の 浅黒い小布に太った男は相手に直を返し ながら思いの他しんみりとこう言ったが やがて何かついたらしく応用に膝を進める と急に晴ればれした微傷を浮かべてじゃあ 聞きねえ俺もそのネズミ小僧じゃ飛んだお 茶番を見たことがあっての今でも思い出す たびに腹の川がよれてならねえのよ親分と 呼ばれた男はこういう前置きを聞かせて からまた悠々とキセルを加えて夕日の中に に消えていくタバコの煙の輪と一緒に次の ような話をし始め た 2ちょうど今から3年前俺がボゴ座の上の 縦引きから江戸を売った時のことだ東海道 にちっと差しがあって道は悪いが公衆街道 をミのぶまで出にならねえから忘れもし ねえ極月の11日四谷の荒木町を振り出し にとうとう旅ガラスに身をやしたが成は てめえも知ってた通り勇気つの2枚重ねに 1本どっこの博多の帯道中差しをぶっこん での革色の半がっぱにすげがをかぶってい たと思いねえ元より振り分けの氷の他にゃ 道連れもねえ1人旅だ キハわらじの足腰へは見てくればかり軽 そうだが当分はお膝元の日の目せ拝まれ ねえことを考えりゃ実は肝めいっての古風 じゃあるが人足ごに後ろ髪を惹かれるよう な心持ちよその日がまた意地悪く底のする 雪曇りでのまして公衆街道はどこの山だか 知らねが一面の雲のかかったやつが枯 れっぱ1つガサつかねえ桑畑の上に病夫を 立ててよそのクワの枝を掴んだ日も寒さに 喉を痛めたのか声も立てねえようない方だ おまけに時々身を切るような小仏おろしの 空っ風がやけにざっ吹きまくって横なれに かっぱをありやがる こうなっちゃいくらいっても旅慣れねえ どっこは刀なしよ俺はすげ笠の淵に手を かけちゃ今朝四谷から新宿と踏み出してき た江戸の方を何度振り返ってみたかしれ やしねすると俺の旅慣れねえのが 通りがかりの人目にも気の毒たらしかった のにちげえねえ府中の祝を外れるとらしい わけ男が後から俺に追いついて口まめに 話しかけやがるみりゃ今のかっぱにすげ笠 はこりゃおさまりの旅自宅だが色の冷めた 登山の風色包を首へかけの洗いざらした もめん島にはげちょろの小の帯右の小瓶に ハゲがあって顎の悪くしゃくれたのせ よしんば風ににはふれねえでも懐の寒そう なご人邸だだがの見かけより人はいいと 見えて親切そうに道中の名所戸籍なんぞを

教えてくれるこっちは元より空いてほしや だおめえさんはどこまで行きなさるわしは 幸夫まで参りやす旦那はまたどちらへ私は 何身まりさ時には江戸でござりやしょう 江戸はどの辺へお住まいなせえますか町の 植木だなさおめえさんも江戸かいへえわし は深川の六間堀でこれでもえちご屋重吉と いう小物土星でござりやすとまあ言った 調子での同じ江戸懐かしい話をしながら 互いにいい道連れを見つけた気でよ一緒に 道を急いで行くとおっつけ日祝へかかろう という自分にチラチラ白いものが振り出し がった1人旅であってみね地獄もかれこれ 7つ下がりじゃあるしこの雪空を見上げ ちゃかちりの声も身にしみるようで今夜は どうでも日だまりと出かけなけりゃなら ねえところだがいくら懐は寒そうでもそこ は越後屋重吉という道連れのあるおかげ様 だ旦那へこの雪じゃ明日の道はとても墓が 参りやせんから今日のうちに八王子まで のしておこうじゃござりやせんかと言われ てみりゃその気になっての雪の中を八王子 までたどり着いたと思いねもう空は真っ暗 で遠に白くなった両側の屋根が嫁にも後の 見える街道へ追っかぶさるように 重なり合ったその下に所々掛け安道が赤く 火を入れて帰り遅れた馬の鈴がだんだん 近くなってくるなんぞは手もなく浮の 雪景色よするとその越後屋重吉という野郎 が先に立って雪を踏みながら旦那へ今夜は どうかご一緒に願いとござりやすと何度も うるさく頼みやがるから俺も依存がある わけじゃなしそりゃそう願えれば私も 寂しくなくっていいだが私は愛にと初めて 来た八王子だどこもはごを知らねえがなに あそこの山人というのがわしの常宿で ござりやすと言って俺を連れ込んだのは やっぱり掛け安堂のとっている新店だとか いうはごだがの入り口のどを広く取って その奥はすぐに台所へ続くような構えだっ たらしい俺たち2人が中へ入ると丁場の前 のし火鉢へかじりついていた番頭がまだ すぎをとも言わねえうちに意地の汚ねえ ようだけれど飯のと汁の匂いとが湯やかき と1つになってムと花へ来やがったそれ から早速わらじを脱ぎの安藤を下げた女と 一緒に2階座敷へせり上がったがまず一風 あったまって何はともあれ寒さしのぎと あんで23倍決め出すとその越後屋重吉と いう野郎が始末に終えね紀元後でのただで せ口の真なやつが大方喋ることじゃねえ 旦那へこの酒ならお口に会いやしょうこれ から公州寺へかかってごらんなさいやし とてもこういう酒は飲めませんやへへんい シレだがよえもの女房でわしばかり

重ね重ねなどと言っているうちはまだ 良かったが調子が23本もを並ぶように なると目尻を下げて鼻の油を光らせて しくんだ顎を乙に振って酒に恨みが数々 ござるってねわしなんぞも旦那の目だが 茶屋酒のちっ回りすぎたのがとんだ身のあ になりやしたああだないこで迷わせると 震え声で歌い始めやがる俺は実に もてあましてのなんでもこいつは寝かす より他に仕方がねえと思ったから塩先を見 て飯にするとさあ明日が早えから寝なせえ 寝なせと咳立ててのまだとっくりに未練の あるやつをやっと横に鳴らせたがご方便な ものじゃねえかあれほどはしゃいでいた 野郎が枕へ頭をつけたとなると酒くせあび を1つしてあああだ名いこで迷わせると もう一度君の悪い声を出しがったがそれ っきり後はいびきになっていくらネズミが 騒ごうが寝返り1つ打ち上がらねえがこっ ちゃさなんだ何を言うにも江戸を立って 今夜が初めての泊まりじゃあるしその いびきが耳へついて辺りが静かになりゃ なるほど帰って妙に寝つかれねえ外はまだ 雪が止まねえと見えて時々雨戸へさらさら とふっかける音もするようだ隣に寝ている 極道人は夢の中でも鼻歌を歌っているかも しらねえが江戸にゃ俺がいねえばかりに 1人や2人は世の目もねねで暗示ていて くれるものがあるだろうとこれさのろけ じゃねえというにつまらねえことを考える となおのこと俺は目が冴えての早く夜明け になりゃいいとそればっかり思っていた そんなこんなでここのつも聞きの奴を打っ たのも知っていたがそのうちに眠気が刺し たと見えていつかうとうとしたようだった がやがて太目が覚めるとネズミが等身でも 引き上がっか枕元の安藤が消えているその 上隣に寝ている野郎がさっきまではいびき をかいていたくせに今はまるで死んだよう に寝息1つさせやがらねえ果てななんだか おかしな様子だぞとこう思うか思わねえ うちに今度は俺のヤグの中へ人間の手が 入ってきやがったそれもガタガタ震え ながら 童の結び目を探し上がるのよなるほど人は 見かけにゃよらねえものだあのデレがごま の生えとはこいつはちっとできすぎたわい と思ったらすんでのことに俺は吹き出す ところだったがそのごまの生えと今が今 まで一緒に酒を飲んでいたと思や忌々しく もなってきてのあの野郎の手がどの結び目 をほどきにかかり上がるといきなり逆に ひっつかめえてねじりあげたと思いねごま の生えのやつめ驚きやがるめこか慌てて 振りなそうとするところをヤグを頭から

追っかぶせてのまんまと俺がその上へ 馬乗りになってしまったのよするとあの 育児なめ無理無にヤグの下からつだけ外へ 出したと思うとひひ人殺しとお国家が時で も作りしめし規定な声を立てやがった てめえが盗みをしておきながらてめえで人 を呼び世話はねえ東辺僕とは初めから知っ ちゃいるがサリとは男らしくもねえ野郎だ と俺は急に腹が立ったからそこにあった枕 をひっつかんでポカポカそのつを ぶちのめしたじゃねえかさあその騒ぎが 聞こえての隣近所の客も目を覚まし宿の 亭主や方向人も何事が起こったという顔色 で手食の日を先立ちにどかどか2階へ 上がってきやがった来てみりゃ俺のまたぐ からあの野郎がもう硬になって面容なつを 出してやがる始末よこりゃ誰が見ても 大笑いだおい御亭主飛んだのみにたられて の人騒がせをして済まなかった他の客人 にゃおめえからよく詫びを言っておくん なせえそれっりよもう後は訳を話すも話さ ねえもね方向人がすぐにあの野郎を ぐるぐる巻きにふんばってまるで取りまし たかっぱのようによってたって2階から 引きずり下ろしてしまやがったさてその後 で山人の亭主が俺の前へ手をついてのいや どうももっての他の誤歳なんでさぞま驚き でございましたろうがごろよその他別にご 分日ももなかったのはせめてものお幸せで ございますおってはあの野郎も世の明け 次第早速役所へ引き渡すことにいたします からどうか手前どもの届きませんところは いにもご勘弁くださいますようにと何度も 頭を下げるから何ごまの生えとも知らねえ で道連れになったのが私の落ち度だそれを 何もおめさんが謝んなさることはねえのさ こりゃほんのわずかばかりだが世話になっ たわけ主たちにあたけそばの一杯も 振る舞ってやっておくんなせえと祝儀を やって返したがつくづく1人になって 考えりゃ宿場女郎にでもふられや指名し いつまでもとこによっかかって腕組みをし ているのも知恵がねえと言ってこれから寝 られやせず何かといううちにゃむつだろう からこりゃいそ今のうちにちっとは道が暗 ても立ちをするのが上分別だと公試案が 決まったから早速みくに取りかかりの感情 は丁場で払って行こうと他の客の邪魔に ならねえようにそっとはしごまで来てみる と下じゃまだ方向人たちが皆起きていると 見えて何やら話し声も聞こえているすると そのうちにどういうわか度々さっきてめえ の話したネズミ小僧という名が出るじゃ ねえか俺は妙だと思っての両がの氷を下げ たままはしごから下を覗いてみると広いど

の真ん中にゃあの大小屋重吉という牧年神 がなじりは柱にくられながら大を描いて やがるその周りにゃまたわけものが番頭も 一緒に3人ばかり八件の明りに照らされ ながら腕まくりをしているじゃねえか中で もその番頭が片手にそばをひっつかの夜間 頭から湯を立てて忌々しそうに何か言うの を 聞きゃほんによこんなごまの生えも今に 甲羅を経てみさっしネズミ小僧なんぞは そのの大になるかもしれねえほんによそう なった日にゃこいつのおかげで街道筋の はごがみんなのれに傷がつくわなそのこと を思や今のうちにぶっ殺した方が人助けよ というそばからじじ無さ髭の伸びた孫万天 がじろじろごまの生えのつを覗き込んで万 東丼ともあろうものがいやはやまた当事も ねことを言ったものだなんでこんなまけ 野郎にネズミ小僧の役が勤まるべ大方ごま の生えも気がつええと言ったらつを見た ばかりでもしれべえわさちげえねえ たかだかいち小僧ぐれなところだろう こりゃひきだけを獲物にした宿のわけもの が言ったことだほんによそういやこの野坊 は人の胴巻きもまだ盗まねえうちにうが ふんどしを先へ盗まれそうなつだ下手な 道中稼ぎなんぞするよりゃ棒切れの先へ 取持ちをつけの子供と一緒に賽銭箱のビタ 線でもくすねていりゃいい何それよりゃ かかし代わりにオラが後ろの阿畑へ つったっているが予感べこう皆がなりもに するとあの小屋重吉目ちっとの間は悔し そうに目ばかりパチかせて嫌がったが やがて宿のわけえものがひきだけを顎の下 へやってぐいとツをもたげさせると急に 巻舌になりがってやいやいやいこいつらは 飛んだやつじゃねえかえ誰だと思ってたご を突きがるこう見えてもこのおにさんはな 日本中をまたにかけたちっとはつの売れて いるごまの生えだ不僕にもほどがあらうが 土百勝の分際で聞いた風な御託を並べ やがるこれには皆驚いたにちげえねえ実は はしごを折りかけた俺もあんまりあの野郎 の見幕がごたそうなものだからまた中段に 足を止めてもう少し下の成行を眺めている 気になったのよまして人の良さそうな番頭 なんぞはそばまで持ち出したのも忘れた ように呆れてあの野郎を見つめやがったが 気のつえのは孫番でのこいつだけはまだ髭 を撫でながらどこを風が吹くというつで何 がごまの生えがらかんべ3年名の王たちに 様を手取りにした横山塾のカタとはオが ことだオが未もを1つすりゃうがような ごまのハは踏み殺すれるということを死ん ねえかと傘にかかって脅したがごまの生え

のやはせせら笑ってへんコケが66部に 立山の話でもききゃ指名し頭から脅かしを 食ってたまるものかえこれ眠気ざましにゃ もったいねえが俺の崇を洗ってやるから耳 の穴をかっぽじって聞きあがれと怖いにし ちゃゴの悪い単価を切り出したところは 合成だがのつを見りゃ寒いと見えて 水っぱなが鼻の下に光っているおまけに俺 の殴ったところが小瓶のハゲから顎へかけ てまるでツが歪んだように晴れ上がっ いようというものだがそれでも田舎者にゃ あの野郎のポンポン言うことがちっとは 聞き目があったのだろうあいつがおにそり になってガキの時から悪字を覚えた雪たて を喋っているうちにゃ雷獣を手取りにした とかいう髭のじじ無性孫万天もおいおい あのごまの生えをどつかなくなってきた じゃねえかそれを見るとあの野郎目 いよいよしんだ後を振りの3人の奴らを めめしてへんこの六法人目らてめえたちを 怖がるようなよいよいだとでも思い上がっ たかいんにゃさただのごまの生えだと思う と相手が違うぞてめえたちも覚えている だろうが去年の秋の嵐の晩にこの宿の小夜 へ忍び込みのあり金を残らずかっさらった のは誰でもねえこの俺だうがあの小夜様へ こう言ったのは番頭ばかりじゃねえひき だけ思ったわけものもさすがに肝を潰した と見えて思わず大きな声を出しながら二足 みし後へ下がりがったそうよそんな仕事に 驚くようじゃてめえたちはまだあもだこう よく聞けよついこの中も小仏峠で金客が 2人殺されたのは誰の仕業だと思 やがるあの野郎は水っぱなをすり込んじゃ やれ府中で土蔵を破ったのやれ日宿で つけ火をしたのやれ厚木街道の山の中で 純礼の女を慰みだのだんだんと方もねえ 悪事を喋り立てたが妙なことにゃそれに 連れて番頭始め2人の野郎がいつの間にか あの牧年人へイギになって来やがった中で も図体の大きな孫万天が馬鹿力のありそう な腕を組んでまじまじあの野郎のつを眺め ながらおめえさんという人はなんたるまた 悪とだんべと唸るような声を出した時にゃ 俺はおかしさがこみ上げての危なく 吹き出すところだったましてあのごまの ハエがもう酔いも冷めたのだろういかにも 寒そうな顔色で歯の根も合わねえほど震え ながら口先ばかりゃ勢いよくなんとちっと は少年がついたかだが俺の貫禄はまだまだ そんなことじゃねえ今度江戸をずらかった のはへそくりがが欲しいばかりに2人と ねえお袋を俺の手にかけてしめしたその 化けの川がはげたからよと大きな見を切っ た時にゃ3人ともあっと息を引いての占領

役者でも出てきは指名し小瓶から 晴れ上がったあいつのつをありがたそうに 見つめやがった俺はあんまり馬鹿らしい からもう見ているがものはねえと思って 23段はしごを折りかけたがその途端に 番頭の夜間頭めなんと思い上がったか横手 を打っていや読めたぞ読めたぞあのネズミ 小僧というのはさてはお主のあだなだなと 東京な声を出しがったから俺はふとまた気 が変わってあいつがなんと抜かしがるか それが聞きたさにもう一度薄くはしごの 集団へ足を止めたと思いねえするとあの ごまの生めじろりと番頭を睨みながら図星 を刺されちゃ仕方がねえいかにも江戸で噂 のたけネズミ小僧とは俺のことだと王兵に せせら笑やがったがそういうか言わねえ うちに道部類を1つしたと思うと2つ3つ 続け様に色気のねえくしゃみをしやがった からせっかくの睨みも台無しよそれでも3 人の野郎たちは勝ち相撲の名乗りでもきき しめしあの重吉のまけ野郎をあに立てねえ ばかりにしておらもそうだろうと思ってい た3年名の大雄たちに来住様を手取りにし た横山塾のカタと言っちゃ泣こも黙るオ だんべそれをオの目へ出てビクともする 様子が見えねえだちげえねえそういやどこ か目の中にすすいところがあるようだ ほんによだから俺は初めから何でもこの人 は一端の大泥棒になると言っていたわな ほんによ今夜は工房にも筆の謝り上手の手 からも水がもるす持ったがこれがもらねえ で見ねえ2階中の客はは裸にされるぜと縄 こそ解こうとはしねえけれど口口に ちやほやしやがるのよするとまたあのごま の生め大方いることじゃねえこう番頭さん ネズミ小僧のお宿をしたのはおめえのうち の旦那が運がいいのだそういう俺の口を 干しちゃは明利が尽きるだろうぜますで いいからご号ばかり酒をつけくんねえな こういう野郎も図々しいがそれをまた正直 に聞いてやる番頭もまけじゃねえか俺は八 件の明りの下で夜間頭の番頭があの のんだくれのごまの生えにマスの酒を飲ま せているのを見たら何もこの山人の方向人 ばかりとは限らねえ世間の奴らの バカバカしさがおかしくっておかしくて 固定られなかったなぜと言いね同じ悪党と は言いながら押し込みおりゃかっぱらい 火つけよりゃ巾着切りがまだしも罪は軽い じゃねえかそれなら世間もそのように大 ヌスよりゃコスっに哀れみをかけてくれ そうなものだところが人はそうじゃねえ 三下た野郎に無くっても緊迫つきの悪党に 向こうから頭を下げやがるネズミ小僧と いや酒も飲ますがただのごまの生えといや

張り倒すのだ思や俺もぬすっとだったら ぬすっとにゃなりたくねえとまあ俺は考え たがさていつまでもべべとこんな茶番も見 ちゃいられねえからわざと音をさせて はしごを折りの上がり口へ荷物を放り出し ておい番頭さん私は早田と出かけるから ちょいと感情をしておくんなせえと声を かけるといや番頭の夜間頭めてれまいこと か慌ててマスを孫番手に渡しながら何度も 小瓶へ手をやってこれはまたお早いお立ち でええ何とぞお腹立ちになりゃせんように また先ほどはえ手前どもにもわざわざお 心づけをいただきまして最もいい安梅に雪 も晴れたようでゲスがなどとわけのわから ねえことを並べやがるから俺はおかしさも おかしくなって今オシに小耳に挟んだが このごまのハエは評判のネズミ小僧とか いう野郎だそうだのへい作用だそうでおい 早くおわらじを持ってきさしおかさお かっぱはここにありとどうも大した ぬすっとだそうでゲスなへいただ今お感情 をいたしやす番頭のやは照れ隠しにわけえ もを叱りながらそこそこ丁場の皇子の中へ 入ると彩らしく加筆でそばをパチパチやり だしがった俺はその間にわを履いてさて 一服つけたがみりゃあのごまのハエはもう お道が回ったと見えて小瓶のハゲまで赤く しながらさすがにちっとは恥ずかしいのか なるべく俺の方を見ねえように脇目ばかり 使ってやがるそのみすぼらしい様子を見る と俺は今更のようにあの野郎が可いそうに もなってきたからおいえちご屋さんいさ 重吉さんつまらねえ冗談は言わねえものだ おめえがネズミ小僧だなどと言うと人の いい田舎者は本当にするぜそれじゃ割が 悪かろうがと親切づくに言ってやりゃあの アホの豪天井目まだ芝居がしたりねえのか なんだと俺がネズミ小僧じゃねえとんだ おめえは物知りだのこう旦那旦那と立てて いりゃ これさそんな単価が切りたけりゃここに いる孫や和手がちょうどおめえにゃいい 相手だだがそれもさっきからじゃもうたて 切り明き太郎第一おめえが紛れもねえ日本 一の大泥棒なら何も好き好んでベラベラと ためにもならねえ給Whatを並べ立てる はずがねえわなこれさまあ黙って聞きねえ ということにそりゃおめえが何でもかでも ネズミ小僧だと強情をはり役人はめ真実 おめえがネズミ小僧だと思うかもしれねえ がその時には軽くてごも重くて張り付けは 逃れねえぜそれでもおめえはネズミ小僧か と言われたらどうする気だとこう1本 突っ込むとあの育児なめみるみるうちに唇 の色まで変えやがってへいなんとも申し訳

はござりやせん実はネズミ小僧でも何でも ねえただのごまの生えでござりやすそう だろうそうなくっちゃならねえはずだだが 日付けや押し込みまで散々したというから にゃおめえもいい悪党だどうせ傘の台は 飛ぶだろうぜとかまちでキセルをはき ながら大真面目にこれが冷やかすとあいつ は酔いも覚めたと見えてまた水っぱなを すり込みの中ばかりの声を出して何あれも みんな嘘でござりやすわしは旦那に 申し上げた通りえちご屋重吉という小物 土星で年にきっと12度はこの街道を 登り下りしやすからよかれ足かれ色々な噂 を知っておりやすのでつい口から出任せに 何でもかんでもポンポンとおいおいおめえ は今ごまのハエだと言ったじゃねえかごま のハエが小物を売るとはご入国以来聞か ねえことだ のいえ人様のものに手をかけたのは今夜が まだ初めてでござりやすこの秋女房に逃げ られやしてそれから引き続き下回りなこと ばかりををござりやしたから品すりゃどん すると申す通りふとした一時の出来心から 飛んだ失礼な真似をいたしやした俺は いくらトチでもとにかくごまの生えだとは 思っていたからこういう話を聞かされた時 にキセルへタバコを詰めかけたまま飽きれ て物も言えなかったが俺は呆れただけだっ たが孫番とわけえものとは腹を立てたの 立てねえのじゃねえ俺が止めようと思う うちにいきなりあの野郎を引きずり倒しの うぬよくも人を馬鹿にしやがったなその ほげを張りのめしてくれべえとわめき 立てる声の下からひきだけが飛ぶマスが 降るよかわいそうにえちご屋重吉はあんな に横つらを晴らした上へ頭でコブだらけに なりがっ た 3話というのはこっきりよ色の浅黒い小布 に太った男はこう一部四十を語り終わると 今まで観客されていた前の上の直を 取り上げた向こうに見える空様の生壁には いつか入り日の光が刺さなくなって堀割に 望んだ一株の早にもそろそろ暴食が濃く なってきたと思うと3塩山造祥寺の金の根 が静かに塩の匂いのする段階の空気を ゆすりながら今更のように暦の秋を2人の 客の胸に染み渡らせた風に動いているすれ 浜御殿の森のカラスの声それから2人の間 にある廃線の水の冷たい光女中の運ぶ食台 の火が赤く穂先をなびかせながらはしご団 の下から現れるのももう鼓がないのに そういあまい古形の人へを着た男は相手が 直を取り上げたのを見ると の尻を抑えながらいやはやとんでもねえ

たけがあるものだ日本のぬすっとの守り 本尊わっちのひきのネズミ小僧をなんだと 思ってやがる親分なら知らねえことわっち だったらその野郎をきっと張り倒してやし たぜ何もそれほどに豪を癒すことはねえ あんなまけな野郎でもネズミ小僧と名乗っ たばかりに大きなつができたことを思や ネズミ小僧もさぞ本もだろうだっとって おめえさんそんな駆け出しのごまの生えに ネズミ小僧の名を語られちゃ織り物のある 小柄な男はまだ言い争いたい景色を見せた が色の浅黒い登山の反転を羽織った男は 悠ゆうと微傷を含みながらはてこの俺が 言うのだから本毛にちげえねえじゃねえか てめえにゃまだ明かさなかったが3年前に ネズミ小僧と江戸で噂が高かったのはと 言うと直を控えたまま鋭くありへ目を配っ てこの泉屋の自吉のこと だ大正8年12月 [音楽] JA

【朗読】鼠小僧次郎吉 作・芥川龍之介

【冒頭紹介】

  一
 或初秋の日暮であつた。
 汐留の船宿、伊豆屋の表二階には、遊び人らしい二人の男が、さつきから差し向ひで、頻に献酬を重ねてゐた。
 一人は色の浅黒い、小肥りに肥つた男で、形の如く結城の単衣物に、八反の平ぐけを締めたのが、上に羽織つた古渡り唐桟の半天と一しよに、その苦みばしつた男ぶりを、一層いなせに見せてゐる趣があつた。

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当チャンネルの朗読作品は、青空文庫に掲載されているものを使わせていただいております。
ボランティアの皆様にこの場を借りて、お礼申し上げます。

青空文庫図書カード:図書カード:No.108
https://www.aozora.gr.jp/cards/000879/card108.html

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