櫻坂46

【朗読】大将首 山本周五郎 読み手アリア



【朗読】大将首 山本周五郎 読み手アリア

[音楽] 大正 首1の 1また俺を見て か池老兵はぶるっと身震いをし てもう何十度となく聞いた言葉 だまた檻を見 てしかし少なくとも絶望では ないともかくもまたの折りということが ある奥歯をぐっと噛みしめるが腹の底から 突き上げてくる道具類は押さえようが なかっ たすっかり暮れてしまっ たもう7時に近い だろう朝出る時食べたきりだからひどく 空腹で ある外堀を越して桜の馬場を鍛え曲がると 小川に沿った田んぼ道だ から裸に凍った田を渡ってくる風がそれ こそ骨に通るほど真正面から 吹きつける ふえが待ちかねている だろう襟を固くかきあわせながらそう思う と最生時裏の防府で日のほを見つめながら 小前と風を効いている妻の姿が見えるよう だっ たそうだあの金をもらえばよかっ た老兵はふと呟い た間のツを頼みにその秋からもう45回も あっているこの岡崎班の足軽組頭で上村 野平という老人が今日もまた無駄足になっ たのを気のくそう にこれはわしの尊師だからと束縛の金を 包んで出してくれ た喉から手の出るほど欲しい金ではあった がムロン老兵は辞退してき た本当に親切で出したものだし持って帰っ たら妻がさぞ息をつくだろうとは思った けれどやはり彼にはもらえなかったの だそう だやはりもらわぬ方が本当だっ た六老兵はきっと頭を振っ て筋の多ぬ金をもらうようになってでは 人間もダメだそのくらいなら足軽暴行でも 何でもする方がマ だそう呟いて川沿いの包みを右へ降りおじ 蔵長へかかろうとした時で ある右手の闇に人の気配がするなと思った 途端 えい絶叫とともに何者とも知れず抜き打ち をかけてきた 全くの不で ある六老兵はびっくりして飛びしりながら 続け様に打ち込んでくる剣を3度まで 引っこし誰だ人違いするなと叫んで抜き

あわせ た拙者は池富士六老兵という浪人者だ 闇討ちを仕掛けられる覚えはないぞ人違い するな間違いであろう 誰であろうとこちらにさしえは ない相手は剣を切っ先下がりの正眼につけ 獲物を狙うひのような構えで叫ん だ何誰でも構わぬ と問答無用 だやけにわめくと驚くべき技であっ た先下がりの剣をするすると冗談へ 擦り上げ慢心の気合いと力とで叩きつける ように踏み込んでき た正眼の剣を冗談へ擦り上げて打ち下ろし というのはよほど腕の差がなくてはでき ない技で あるところが相手は見事にそれを観光し たしかも実に確かなさきで あるできると思った切な老兵はさっとタを 外しながら体験を振っ たシュと音がして相手の剣が飛ぶあしまっ た悲鳴をあげながらミの男は23元たらを 踏んでどうと倒れ た六老兵はダットのように飛んでいっ て動くな動くと ぞと剣を突きつけながら言っ た無法なやつだいきなり網打ちを仕掛け たりして一体どういうわけなんだ気候は誰 だ今更何も言うことは ない言わなければわからぬどういうわけで 拙者を切ろうとしたんだ何か遺でもあるの かイコなどは ない見知の男は凍った地上に座ったまま 行っ たただ金が欲しかったんだ金 が金だ と俺は今日で3日も飯を食わないん だ六老兵は呆れて口を開い たそれから急に恐ろしく大きな声で笑い 出した 恐ろしく大きな笑いで ある何を 笑う人の貧乏がそんなにおかしい かいやいや許してくれ六老兵はようやく 笑いを納め袖口で涙を押しにいながら行っ た笑って済まなかっ たしかしこいつが笑わずにいられようかと も分かる前がともかくも拙者のうへ行って 話そう実は拙者も朝食べたキリで空腹なん だいいから一緒に来 られ1の 2岡崎城下の東の外れに近く最正時裏のヤ の中に一の荒屋が ある半ば腐ったの屋根曲がった 柱傾いたのき崩れた壁の穴から火が漏れて

こようというとても人の住まいとは思え ない家だっ た独老兵は見知ぬ男を案内してくると先に 立ってうの中へ入り ながらただいま戻った客人がある ぞお帰り遊ば せ出迎えた妻の疑わしげな顔 へ途中からご案内してきたこちら は佐藤かと 申すさよ佐藤か殿とせ られるようこそお越しなされまし た妻で ござるはあ突然にを捕まりまし てもうよい挨拶はそれ まで六老兵は体験を取って上がり ながらふえ酒の支度をしてくれと言って 慌てて 振り返りさあさう構わずこちらへお通り くださいご覧の通り足立原の1つや同様で ござるまずロバへよってダを取るとし ましょう どうも思いがけの御厄介 でさあ遠慮なく どうぞ2人は炉端に愛対して座っ た池富六郎兵は31歳色の浅黒い骨組の たましい体つきで眉も太いし唇にも力が あるそれに反して佐藤風は年こそほぼ同じ くらいであろうが色白の痩せ形でなんとも 弱々しい体つきをして いるただその相合だけはヒンクを耐えしい できたものの強い意とどこか世に反抗する 激しい光を帯びてい た浪人して5年になり ますかは苦笑いを浮かべながら た出世の道を求めて中国から四国まで巡り ましたがどこも賢も同じ新相のものが群れ ているばかりで出世の道などは左中の玉を 探すより困難でし たそれでだんだん時期になりました ねお恥ずかしい話ですがこのところ3日と いうもの飯粒を口にしないものだから ブーンもこれまでと思ってあんなことをし たの です気候の話がそっくり拙者に当てはまり ますよ六郎兵も笑いながら言っ たただ拙者の方が年数が 多い確かもう7年余日になりましょう か故郷は欧州ですが北陸から長後まで 渡り歩きまし た足軽の口ならあるんだ がそう ですしかし1度足軽になるとそれでもう 一生が決まってしまいますから なだから頑張っているん です世間ではよく時代が悪いと

いう出世などのできる世の中ではないと いう だが拙者はそうは思わ ないそれは生きる力を持たぬものの弱 です けれどしかしこのように老人が多くその上 初代妙が手を引き締めている時代では とても出世の道などないのではありません かみんなそう思うみんなそう言ってます よしてもし戦国の世に生まれていたら大正 首を打ち取ってやり一筋の巧妙は屁でも ないと冗談じゃない六老兵はぐいっと膝を 乗り出し た戦国の世にはもっと武士の数が多かった のです よ日本の国の隅々まで英雄豪傑が雲かみと いたんです よそれがちつ打たれつ攻防整水を経て ようやく今日になったの でしょう先人の中にいく人巧妙手柄をして います か精子に名を止めた人物がどれだけいます か多くは流れ屋に倒れ銃眼に 死しあるいは一平卒のまま誰にも知られず 一生を終わっ た大多数のものがそういう運命をたどった ん です終わり中村の百勝の背が太行にまで 経ったのは戦国の世であったからではなく その人間の才能がそうさせたの ですあれだけのラセに太鼓は彼1人しか出 なかったではありません か失礼です がかはきちんと座り直し て あなたのお話を伺っているとなんだか身内 に力が溜まってくるような気がし ますいかにも時代の罪にするのは未練でし た機構は分かりが早いなそうなくてはなら ぬはずですどうか元気を出して ください戦場にもそう対象首ばかり ゴロゴロ転がってはいませんから ね老兵は力のある声で笑っ たくえ妻の帰ってきた音がしてしばらく すると貧しい食前にカどっくりとサハを2 さ並べ生子を開けてそっと差し出し ながらあなたどうぞこれをと声をかけ てできたか待ちかね待ちた早くここへ持っ てきて くれ恐れいりますが どうぞ体を生じの影へ隠したまま言う六 老兵が立っていくとふえは古いおこずきを かぶってい た寒いものですからこんな格好 でよしよしすまなかっ

た酒を買うなどとは無理なことで あるそれは知っていたがしかしどうにも 今夜は飲みたかっ た今日こそはと思っていたのが仇になった 失望も ある3日も食わぬという相手を喜ばしたく もあっ たどうしても飲みたかっ た彼は無理を承知で心に詫びながら酒を 命じたのであった 1の 3そのある朝のことだっ た枕元でそっと呼ぶ声がするので六老兵が 目を覚ますと佐藤かがすっかり出かける 支度をして座ってい たやあどうしたの ですこれで失礼し ます夕べのお話を伺ってどうやら気持ちが 変わってきましたなんだかすじもじっとし ていられないの ですまあそう言っても朝飯くらい はいや食事よりも実はお願いがあるん です風は隣室に寝ているふみえを気遣う よう に花を小がましいお願いですが夕べのお 立ち筋が忘れられませんのでもう一度お 手合わせがしてみたいのです そんなことならお安い御よすぐに支度をし ましょう六老兵は起きて水口へ立っていっ た霊水で身を清め支度をして体験を左手に 表へ出ると2月初めの空はようやく開けた ばかりで地上は一面針を植えたような霜柱 であっ た六老兵は先になって最正時の形代へ入る とここらがいいでしょうと小浪下の下の 薄い場所を選ん だ久しぶりで早朝剣を取り ます存分にやり ましょう2人は静かに体験のさやを払って 左右へ別れ た間3元愛対して互いに正眼に取りながら じっと呼吸を 測る脈にして30 50100と数えるうちにかの白い方に 赤く血色が広がってき た両目も大きく見開き引きてんだ唇は 張り切った譲るのようであるそして正眼の 剣の切先が突き上げてくる投資を漂白する ように波を打ち出し て六老兵は顔色も変わらず目は半眼のまま 静かに相手を見つめて いる踏みた足も脇へつけた肘もゆったりと して少しも凝ったところが ないかを列な作風とすれば老兵はまさに 大刀たる春風と

えよう5と銃と火と水と愛互いに気を計っ ていたがかの額にはいつかじっとりと汗が 吹き出してき たその切である六老兵がひょいっと正眼の 剣を引くと見るやまるで死中を失った口木 のように風はあっと口の中で低く叫び ながら前のめりにひょろひょろと泳ぎ 危うく倒れそうになるのをやっと踏み とまっ たそしてしばらくの間苦しそうに肩で息を していた が参った参りましたとかじて言っ た恐れいりましたとても拙者などの及ぶ ところではございませ ん失礼しました気候は疲れている からいやいやまるで段違い です家は体験を納め ながらあなたほどの腕を持っても浪人して いられるのに未熟者の拙者などが人 がましく6にありつくなどとは身のほど 知らずでしたお笑い くださいそこに気がつかれたのは何より 気候の立ち筋も本種ではないから修行を 積まれたらあっぱれ達人になると信じ ますやり ますかは目を上げていっ た初めからやり直します拙者はもう出世の 道など探そうとは思いません武芸者として 恥ずかしくない腕になるまでは石を抱いて も修行をし ますそして大正首を打ち取り ましょうクロベも体験をさやに収めていっ た大正首ですよ標などは誰にでもくれて やる武士と生まれたからにはどこまでも 武士らしく対象首を狙いましょう ぞ ああ生きることが楽しくなってきまし たかは頬を輝かせながら叫ん だ戦国の世にも太鼓は1人しか出なかった この言葉は忘れませ ん拙者は今日こそ本当に生きていく自信が つきまし たかは感動に震える声で言いながらやがて 再会を訳して東へと立ち去っ た老兵はその後ろ姿を見えなくなるまで 見送ってからうちの方へ戻っ かの下向きな感動が写ったので あろう彼もまた久しく味わったことのない 明るい気持ちで何気なく裏手へ回っていっ た瀬戸の井戸端に妻が米を洗ってい た六老兵は声をかけようとしたが思わず 立ち止まりながら目を見合っ たつの髪の毛がふっくりと切ってあるの だ解けば膝をこすほどの長いつやつやとし た黒髪が襟首の上からふっくりと切れてい

たので あるふみえ ふみえ お前 あ夫の声にぎょっとして振り返る妻の前へ 老兵はめくように寄り ながらお前その 髪お許しくださいまし 私夕べの酒 か六老兵は立前として言っ たふえは袖で表を隠したままかかに頷い た2の 1 今日からいよいよ50国鳥の武士だ ぞ本当におめでとうございまし たこれでお前も貧乏とはお別れだと言って も当分この家にいなければならんのだから まだ貧乏にお別れとは言えないか なヒプは騎代と申し ますふえはいいと古屋の墓を夫の前へ座っ て吐かせながら行っ たご出世の道が開けたのですものそう何も かも一時には参りません わ私にしましてもまだ髪がこのようなあり 様ですから今すぐお屋敷住まいをするより ちゃんと伸びてからの方が恥ずかしく なくっ てその髪は見るに胸を刺される よ まあそれはもうおっしゃらないはずでは ございません のあの晩お2人が楽しそうに話して いらっしゃるのを伺っていた時私もっと 十分にお酒を差し上げることのできないの が悲しございまし た佐藤か喜んでいたから なあのような晩のためなら私何度でも髪を 切って差し上げたいと存じ ます髪の毛は切ってもまたすぐ伸びてき ます もの拙者はなあ ふえ六老兵はふと遠い人に話しかけるよう な声で言っ た己の部分には恵まれない男だが妻だけは 世界唯一の良き妻を持つことができ たこれだけはもしかほをうき一生を終わる としても生まれてきたことを良かったと 思わせてくれる だろうあなたは時々私に赤い顔をさせ なさいます わふえは本当に本を染めて微傷し ながらさあご出し遊ばせわざと咳立てる ように行って体験を捧げながら先に上がり が町へ膝をつい て家を出た六老兵は掃除虹の門を入って

上場東の工事にある上村野平の屋敷を訪れ たさして大きくもないが足軽長屋が身あり ぶと見える建物を2胸持った構えで庭にの 居住が枝を広げてい たそそうとよう見えたまず これ ごめん今日は持ち場の説明をしておき ましょう野平老人は火を六老兵の方へ進め ながら行っ たもう髪の毛はほとんど白く目も口も 大きないかつい顔付きであるが 前歯が2本かけたままになっているので 笑うとひどく高校屋に 見えるわしどもの組は弓の受け持ちで なあやだけ揃えが年々の仕事になっている の ですここに割り付けがあるが川西上野包み 通り山形ぬこの5つに区分して手長と いうこれらから切り出すの 江戸表高義へ上納する1万5000族を 除いてあの9万2族を処理するのが組の 仕事になって いるするとやだけを作るのが仕事です なその他にも臨時の御用はあるがまあまあ やだけを扱っておればそれでいいの です鉄砲組だの槍組だのになると 感情型に石森だの検地だのと使われたり 産金の諸行に地相ぶれの下走りをし たりよほど叶わぬ仕事に追いつかれます から な機殿のような一流の平法化にこんなお役 を当てのは実に侵害なのだ がまあ自性と思ってしばらくご辛抱願い たいそれはもちろん 拙者からお願い申したことです から必ずそのうちに良き折を見てご推挙を いたし ましょうそれで長屋を開けておきましたが いつおういなさる なそのことですが六郎兵は言いにくそう に少子な話で誠にはじいるのですが実は軽 暴行をするということを妻にはひしており ますので無論これには少し主材があるの ですがつまりそういうわけ でいや大概はお察し申しますいえ決してお 察しのような事情ではありませんし失態と 言ってもごく市場に渡ること でしかし妻には50国の分と信じさせて やりたいの です野平はじっと相手を見つめていた がではお住まいは今のままにするおつもり かはあその方が嘘の現れる時期を少しでも 遅くするだろうと存じます から打ち明けてくだすって十々わもできる だけかばって差し上げ

ましょうそれでは同薬のものへお 引き合わせいたそうか なお願い申し ます野平は立って六米を長屋だりの方へと 案内していっ た2の 2池富士六郎兵の新しい生活が始まっ た家を出る時は武士である防府の角口まで 送って妻の目が初めのうちは針のように 痛く感じられ たしかしそれも旅重なると自然に なれる野平の屋敷へつくと武士の面を脱い で足軽に なる竹束を解いて干し広げたりすを揃えて 切ったり荒よりをしたりするのが大部分の 仕事 だこんなことをして何に なるいくたそう思ったかしれ ない俺の一方流はこんな竹を削るために 習ったものではないはず だある時はそう思って小刀を叩きつけた ことも あるけれどもすぐその後から髪を切った妻 の姿を思い出すのであっ たあの姿を見た朝の自分の気持ちを 思い出すのだっ たこうして色々なことに慣れていっ た足軽たちの多くは品性の劣った何の希望 も持たない低い定款にあんじている人たち で ある暇があると手ない食でもして一杯の酒 一夜の優等に共やる ばかりあとはただ与えられた仕事を役目 だけ働いて暮らして いるそういう人々との付き合いもどうやら できるようになるし上役を傘にいりしらす ものがあっても大人しく頭を下げて通れる までになっ た1番困るのはそうしている間に親しく なった一人かの同薬が独老兵の私生活を 知りたがるようになったことで ある組頭の上村野平は常に六老兵の身を かっていてくれるけどそれだけ余計に みんなは六老兵の心情に興味を持っ たどうも池富士の奴は気の知れぬところが ある心山のくせにエロ振る舞ってる なあこまな花だなんとなくあの花の先には 傲慢がぶら下がって 見えるあいつの笑いは我々を見下げた笑い だ ぞどこにもそんな人間がいるもの だ自分たちと同じ低さに降りてこないと 承知しない少しでも自分たちと違った考え を持ち自分たちより伸び上がるとするもの があればできるだけ貶めたり邪魔をしたり

するこういう人間は自分の癒しさをこと するためににあらゆる人を自分たちと同じ 癒しさに落とそうとするの だおい面白いことを聞いた ぞある日のことこの仲間の温ととも言う べきさぎ山伝蔵という男が束をしている 仕事場へ入ってきて大声に言い出し た六老兵が炭の方でせっせと竹束を作って いるのを伝造は目尻で見やり ながら我々はみんな年3両ぶちの足軽だ そうに違いある まところが驚くな我々の仲間に50国鳥の 侍がいるんだ ぞ何をバカな寝言を言うんだこの忙しいの にシレどころじゃない ぞいや冗談でもしれでも ないでは効果を確かめるように波いる人々 を見回しながら言っ た本当に50国取りの武士がいるん だ最もそれは当人の女房だけがいや奥方様 だけがそう信じていることだが な面白そうな話だなはっきり言って みろその女房とか奥方とかいうのはなんだ いやそれは言え ぬ伝造はにやりと笑っ たそれを言うと身も蓋もなくなるから なただ気の毒なのは夫が足軽ぼをしている とも知らず50国鳥の武士の妻だと信じて いるその女房さんいやこれだけは話すわけ にはいかぬ よ言が良い六老兵が静かに声をかけ た静かな声だったがみんなピタッと音を 潜め仕事の手を止めて振り返っ た六老兵は束ねていた竹束を直し ながら50国鳥の四分と妻を偽っている男 は拙者 だ さぎ山それがどうかした かいや拙者は別にタイヤっ て嘘をついたのは悪い妻を偽るのは 悪いそれは確かにその通り だしかしそれは拙者と妻との間のことで 気候にはいさかも関わりはないはず だ初校に少しでも迷惑をかけている か束を直してそばへ置くと老兵は次の束に りながら静かな声で続け た7年余日老老の生活はヒンクのどん底で あっ た妻はよくそれに耐えてくれた一方流の剣 を持って認められるまでは観はせぬという 拙者の望みを尊重してかゆもすれぬ日に さえ対しんでくれ たこの2月初めのこと だ同ような老師に出会い苦しい生き方の話 をしているとどうにも酒が飲みたくなり

無理を承知で酒を買えと命じ た妻は機嫌よく酒を買ってくれ た男はバカなもので時にはそんな無理が 通るものと 思う妻は酒を買ってくれたがそれは自分の 黒髪を切って売った金だった 老兵は縄を閉めるために言葉を切っ た広い仕事場の中はまるで無人の家のよう にひっそりとしてどこかにすっと鼻を すする音さえ聞こえてい た拙者は髪を切った妻の姿を見て自分の 憲法だけを守るのに救急としてきた己れの わがままさをはっきりと悟った この妻のためならば足軽暴行をもいわぬ そう思っ たそしてこの通りおふをいただく身になっ たの だ3の 1しかし長い間ヒンクに耐えながら希望を 持ち続けてきた妻に足軽暴行をするとは どうしても言えなかっ た嘘を満重も誠にはならぬ必ず分かる時が 来るそれを承知しながらやはり足軽暴行と 言うことはできなかったの だ池富殿もう いい波いる人たちの中から親しくしている 23人が立ってきて声をあげ たみんな今の話を聞い たろう拙者から改めて言うが今後もし池富 殿についてやかの噂をするものがあれば 拙者どもが捨ててはおかんぞいいか さぎ山謝った拙者は馬鹿者 ださすがに伝造は深く神戸を垂れてうめい た池富士殿のお心を知らぬものだから馬鹿 なことを言って申し訳がない 分かれば よいもっと言いたいのだ が池富士殿の話を聞いた以上みんな考える ことは同じだろう拙者 は言いかけたままぷつりと言葉を切って3 人はそのまま元の場所へ戻っ た六老兵は黙って竹を束ねてい た人々の態度がそれを機械に変わっ たもう白い目で見るものもないし陰口や 警部の声も聞こえなくなっ たそしていは4月になっ た毎年4月になるとぬ手長でまず2年だけ の切り出しを 始めるこれはうっかりすると梅にかかるの で忙しい時には足軽も切り出しを足すけ なければなら ないその日がちょうどそれで上村野平の 組下は安保村へ出張ってい た昼の弁当を使って間もなく六老兵が 切り出した初の竹束を背負って東のための

場へ行こうとしていた時向こうから3人 連れの武士がひどく急いでくるのと出会っ た 3人とも立派な衣服で相当な身分のものと いうことはすぐ分かったからロベは 立ち止まってタを避け た道が狭いので八木の竹束が少し邪魔に なるが無論通れないほどのことは ないところが足早に来た戦闘の武士はゲロ 邪魔になるぞと言いへ手をかけると力任せ に突き放し た後ろは水田で ある不を食った六老兵はかわすこともでき ず竹束を背負ったまま仰向け様に転落し た見ていた足たちが思わず無法なことと色 を変えた 時老兵は竹束を肩から外し濡れのまま道へ やがると急ぎ足に去っていく3人の後ろへ 待てと叫びながら追いせ まる右手にきらり脇差しが光ったと見ると しんがりにいた1人が悲鳴を上げながら 左手の草村の中へ横倒しになっ たそして足軽たちがあっと叫びながら慌て て走り集まった時には次の1人をも 切り出せた六老兵が戦闘にいた武士を麦畑 の下へ追い詰めてい た相手は四重 ありメズであろう両便の抜け上がった眉の 太い尺豊かの虚で ある集まってきた足軽たちはその顔を一目 見るなり打たれたように立ちすくん だ大横田殿のだご犯役だご犯役とご兄弟 たち だそれは岡崎班の剣道市犯役大横手前と その弟う道之助の3人であっ たしかしもう今となっては止めることは でき ないみんな息を殺して見守るばかりで ある手前は2発寸あまりの 体験六老兵は短い脇差しで あるしかも麦畑の下まで追い詰めてから 初めて彼は相手が非凡な剣士であるのを 知っ た怒りに任せて切った2人とは格段に違う ことによると自分より上を使うかもしれ ぬそう気がついた時老兵は説明しよのない 激しさで投資の湧のを覚え た長い間寝かしもになっていた一法流が 初めて不足のない相手にあったの だわずかの淵であんじて矢岳を削っていた が今こそ全身を叩きつけて戦えるの だ えい独は足のつま先から生いのってくる火 のような投資で絶叫し た手前の体験が固を返し六老兵の状態が

伸びたそして一瞬2人の感覚が広がると見 たが続いて起った絶叫とともに手前は冗談 から猛然と断の勢いで 切り下げが左へ身をひねったと見ると手前 の鯛は 切り下げたようにのめっていって水田の中 へしぶきをあげながら転落し た3の 2ふみえふえはおらぬ か水と田にまみれたまま内へ戻ってきた六 老兵は井戸端へ回りながら呼び立てた 急いで裏口へ出てきたふえは夫の異様な姿 を見ると色を失って立ちすくん だ あなたどう遊ばしまし た死体は後で話す拙者の着物を出してお前 も新しい下着に着替えるの だふえはガクっと膝頭をふわせた 裸になって頭から足まですっかり体を流し 清めた六老兵は脱ぎ捨てたものを片隅へ 片付けておいて打ち上がっ たふえは出しておいた衣服を夫に着せて から黙って難度へ入っていっ たそしてややしばらくして出てきたのを 見るともう年降りてはいるが白を着てい た帰ってきた時の夫の姿を見新しい下着と いうだけ聞けば武の妻ならおよそ覚悟す べき場合だということは分かる だろうしかしその当然のことが今の六老兵 には耐えがいほど辛かっ たそこへ座って くれ軒先をかめてけが1はけたたましく 泣きながら飛ん だつつましく座る妻を前にロロ兵は しばらく黙っていた 後何よりも先に詫びなければならぬことが あると言っ た今日までお前を偽っていたが接しは50 国取りの志間をしたのではなかっ た実を言うと おっしゃらないでください ましふえが俯いたまま静かに遮っ た私存じておりまし た何知ってい た目を見張る夫の顔をふえはそっと見上げ ながら言っ た存じておりまし たそして ありがたいと泣いておりまし たそう か私のために隠して足軽暴行をなすって くださるかと思いますともったいなくて 申し訳なくてでも嬉しくございまし たふえはそれで表を覆っ た結婚して10年妻が初めて夫に見せる涙

で あるどんなヒンクの中でも暗い顔1度見せ たことのない妻が今初めて夫の前に泣い たよく言ってくれ た六老兵は声を詰まらせ ながらその嬉しかったという一言が拙者に とっては何よりの花 だたえ足軽暴行はしても万に1つ出世の 糸口があろうやもしれぬと思いその時こそ はお前を偽った詫びをしようと考えていた が所詮は好みの運で あろう今日竹がりに出役した先で反の市販 役とその弟2人を切っ たプレーをいたしましたのです ね武士として忍びがい ブレダ武道の意地として抜かずにはいられ なかっ たこれだけ申せば分かるで あろうお前にはついに日の目を見せずに しまった がこれも一生だと諦めて くれご勝負の模様はいかがでございまし た3人とも1等ずつだった 自分で申すのは少子かもしれぬが拙者の 一方流は思っていたよりも上を 使う初めて存分に自分の腕いっぱいに勝負 し たそれを伺えばもう何も心残りはござい ませ んふえは涙を押しにって微傷し た 色々なものを手放した中でこれだけはと 残しておいた白むがお役に立ち ますそれは嫁入りの時の 品 はいこれを着てあなたとご一緒にお供物 できるのは本毛でござい ます仏壇に明をあげて くれふが静かに立とうとし 表に慌しい馬庭の音と何やらわめく人声が 殺してき たはっとして六老兵が見ると組頭の上村 野平老人に目付け役のものが2人うの前で 馬から降りるところだっ たふえどうやらご剣士が来たらしい ぞ あなたお城へ引かれるのでしょう か 落ち着けいずれにしろ俺が一緒 だ六老兵は素早く絵門をたし取り散らした ものを押し片付けながら上がり花へ出 たやあ間に合った か野平が息を切らせてほとんど走り込む ようにしながら行った 偉いことをやったな偉い

ことまに単量をつまりまし て一等だそうではないかあの大横た 手前一等で仕留めたそうではない かいや聞でんならそうであろう場は別に 不思議とも思わぬしかしみんな驚いている ぞ何しろ相手が大横だから なしかも兄弟3人みんな一等ずつというの だからこれは 驚くして申し私 は六老兵は静かに遮切っていっ たここで説服を許されましょうかそれとも ご上中 で 待て服どころか殿がお召し だなんと おっしゃる大横ためあの時ひどく急いでい たろうあれは女将にブレーを働いて逃亡 する途中だったの だすでに話しちのおってもかかってい たつまりあの3人は誰かが切らなければ ならなかったの だ 老兵はア然と息を飲ん だ殿にはきこが1人で3人を仕留めたと 聞こしめされ既得なやつすぐ目れよとの魚 だここにおめけから差しといも見えている ぞそれでは音はないのです か音どころか池富士自説だ自説到来だ ぞドロ兵衛は呆然として妻へ振り返っ たふえの目は万感の梅雨を含んでひと 食い入るように夫の目を受け止め て大正首 だ六老兵は胸いっぱいに叫ん だ [音楽] T [音楽] [音楽]

いつもご視聴ありがとうございます。癒しの朗読屋アリアです。青空文庫より朗読しています。作業用BGM、読み聞かせにおすすめです。山本周五郎作「大将首」です。この作品は昭和15年キングに掲載されました。37歳の作品です。

⏬目次 
◎時間をクリックすると、そこから聞けます◎
途中から聴きたい方、続きを聴きたい方、コチラからどうぞ↓↓↓

00:00:00 – イントロ
00:00:20 – 1の1
00:07:17 – 1の2
00:15:32 – 1の3
00:22:55 – 2の1
00:29:44 – 2の2
00:37:41 – 3の1
00:44:42 – 3の2
00:53:56 – エンディング

この作品には、今日からみれば、不適切と受け取られる可能性のある表現がみられますが、そのままの形で作品を公開します。

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【音楽】
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【動画】
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【写真】
Unsplashよりhttps://unsplash.com/
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#山本周五郎 #朗読 #アリア #大将首 #武家もの

8 Comments

  1. アリアさんこんばんは♪
    こういう女性と夫婦になれるなら結婚も悪くないなと思います。
    でもどう考えても小説の中ですよね。
    男(私)は肝心なところで抜けているから、いやきっと現代でもそういう女性は
    きっといるはずだと祈ったりします。
    この作品も、妻を少しでも幸せにしてやりたくて嘘をついたことがことの始まり。
    話しが上手すぎるのは目をつぶって良いでしょう。
    夫婦で掴んだ幸せがずっと続くようにと祈ってしまいます。
    他人のことであっても幸せになる話しはとても嬉しいです。
    今日も素敵な声をありがとうございました😊😊😊

  2. 大将首?はてなんの合戦のお話だったっけかなと聴き始めて、組頭からのお金を返して後悔する辺りから、あっ、奥様が髪を切ってというお話ねと思い出す。あとはすらすらストーリーが浮かんで来る。惚けてるんだか大丈夫なんだか😅。
    池藤六郎兵衛と文江の浪人暮らし。雨あがるや芋粥おもかげ抄等等夫婦で浪々の苦労旅というお話は好きです❤️。このお話は士官が叶うというハッピーエンドで余計好き(ネタバレ🙏)。
    日本語以外のコメントにびっくり。山本周五郎もアリア様も世界を駆け回る🌎😊

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