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【大人も子供もぐっすり眠れる睡眠朗読】不思議と眠れるとんち特集 彦一とんちばなし 元NHKフリーアナ



【大人も子供もぐっすり眠れる睡眠朗読】不思議と眠れるとんち特集 彦一とんちばなし 元NHKフリーアナ

ぐっすりお休み朗読今回はひこ市の頓知話 上編です小山克夫作改正者文庫さんの本を 許可を得てお借りしています今回は第31 話から第37話までお届けしますだんだん 彦一と殿様が東地のおかげで仲良くなって 一が殿様に物を申すのをハハしながら読ん で楽しんでおります皆様もどうぞお楽しみ くださいそれではおやすみ なさい第31話目隠し 競争彦市の村の若州と隣の村の若州が一緒 に集まりまし た神様が同じなので毎年1度はこうしてお 祭りのことを話し合うのでし たそのお祭りには奉納の余興として相撲と 力くべとがあり ます両方の村から同じ人数の選手を出して 勝ち負けを争うのです がこの2つの競技で勝ったには両方のや さんからお米を5票ずつくださることに なってい ますところ が昨年も一昨年も相撲は彦市の村が勝った が力比べは隣村が勝ちとに一生いっぱいで 勝負がつか ず商品の米は2年もお預けになっているの でし たそこ で今年こそは是非勝負をつけようではない かと話し合いました が選手の力を考えると今年もどうやら一生 いっぱいになりそう ですすると松に控えて一が進み出て口を 開きまし たもしもし皆さん競技が2つだから勝負が つかんのですだから今年1年だけもう1つ 加えたらどうですそうしたらきっと 勝ち負けが決まります よなるほど そういえばそうだだが一体どんな競技を 加えたらいいか な隣村の若州頭が聞き返しまし た彦一は下顔で答えまし た人が見ても面白いものでなければいけ ない目隠し競争はどう でしょう え目隠し 競争両方から目隠しをした選手を1人ずつ 出し杖を頼りに1の鳥居から配電の石段 までの間を2回往復させて早い方が勝ちと 決めるの です わははそりゃ 面白い彦一らしい思いつきだとみんなは手 を叩いて賛成しまし たさてまもなくそのお祭りの日となりまし

た前からの評判 通り相撲は彦市の村が勝ち力比べは隣村が 勝ちまし た力比べというのは大きな石を担いでお宮 の周りを回る競技で一巡りでも多く歩いた 方が勝ちになるの ですさあ今度はいよいよ目隠し競争 です両村の人々は道の両側に黒山を築いて 見物してい ますやがて厳しく目隠しをした選手が1本 の杖を持って1の鳥居の下に現れまし た隣村の選手は見るからにたましい若者 です が彦一の村の選手は痩せてヒョロヒョロし ていますだからみんな隣村の選手が勝つに 違いないと思ってい ますど どん合津の大大子が鳴ると2人の選手は 駆け出しまし たなるほど 隣村の選手は 早い立ちまち45mも前に出ましたが 目隠しをしている悲しさ何かにつまづいて どさりと転びまし たが彦市の村の選手は早くこそないが コツコツと地を叩いてかけていく有様は まるで勘のいいあんまさんのようで つまづきもしなければ戸惑いもせず ぐんぐん前に進んでいき ます一方の隣村の選手も起き上がって一生 懸命駆け出しましたがまたも石段に つまづいて こり果ては方角を失って両側の見物木に 突き当たるという始末 ですその旅に見物人はどっと笑い声をあげ て生やし立て ますこうして彦一の村の選手はぐんぐん 相手を引き離して見事に決勝店へ飛び込み まし たうわあ勝った万歳 万歳味方の割れるような勝ちどきに選手は 嬉しげに当てていた目隠しを外しまし たとこれを見た見物人はああと驚きの声を あげましたが まもなくお腹を抱えて笑い出しまし たそれもそのはず ですその選手はさしという本当に目の見え ない人だったの ですなるほど 目隠ししてのかっこなら目よりも初めから 目の見えない人の方がうまくかけるに違い ありませ んこれも彦一が考え出した頓知でし た第32 話新年

宴会正月になりまし た殿様から彦市のもにお使いが参りまし たその方の度々の手柄を称し特に5日の 宴会に招いて 使わす商を始め村の役人ども8名にて途上 せよという工場 ですはありがたくお受けいたしました がまたしても難題を持ちかけるつもりだ な8人に限ったのが臭いぞと考えまし たしかしそれだけでは何のことかわかり ませ ん小夜さんに相談して他に6人の村役人を 選び 5日になるとみんなで8人が勢揃いをして お城へ参りまし たするとチボに案内されたところは上敷の 大 広間今日はブレ光身の上下を抜きに楽しむ 宴会というので殿様も一緒になり上の家臣 たちが大きく車座を作って汚染に向かって い ます8人は広間の入り口に平服してお祝い の言葉を述べまし た新年おめでとう存じ ます殿様はにっこりされておお8人のもの よくぞい 苦しないずっと事まれそしてその前に つけ は恐る恐るみんなが前を見ると広間の中央 に8人のお前が1列にずらりと並べてあり ますさては食べ方の難しい料理を出し 自分たちを困らせ宴会の余興とするつもり だ な彦一のおかげでひどい目にあったもん だ小夜さん始め村役が彦一を恨みながら 仕方なく前に進み出ようとする とこれ 彦一その方が8人のちょうど真ん中に座る のだ ぞ殿様は急に意地悪そうにおっしゃいまし た彦一はしまったという顔で慌てて商家 さん方を引き止めまし たどうじゃ彦一もしそれができなかったら 目通りかわぬ帰れ 帰れ [音楽] うむさすがの彦一も目を白黒させるばかり です人数が奇数だったらどちらから数えて も真ん中に当たる席順がありますが偶数で はそれができないの です帰ってしまえばそれまでですがそれで は自分が笑われるだけでなく喜んできたや さんや村に申し訳がありませ ん彦市はここが頓知の出しどと珍しく腕を 組んで考え込みまし

た万座の家臣たちはひこ扁桃いかぎと片を 飲んで控えてい ますとやがて彦一はにやりと笑って顔を あげました 申し上げます真ん中でさえあればどんな風 に座ってもよろしございます かうむ今日はブレコじゃその方が真ん中で さえあればいよに座っても苦しない逆立ち しようとあを描こうと大事ないぞ はでは皆さんおいで なされ彦市は7人のものを引き連れてお染 の前に進み出まし たそしてわざと大声 で皆さんただいま殿様からどんな風に座っ てもいいとお許しがあった私たちも車座座 ではありません かこう言うと一のなりに並べてあったお前 を7人分だけ丸く車座に置き換えてその前 に小夜さんたちを座らせまし たそして自分は残った1つのお前を持って 車座の真ん中にちょこんと座り込んから 言いまし たこれでは殿様いかがなもので私が8人の 真ん中でござい ましょうなるほどこれでは飛行一が真ん中 に違いありませ んこの難題はと様自身が考えつかれたもの だったので思わず手をあげ 頭をおかきになりまし たうわっ はっはっは殿も見事に担がれました なあうわっ はは家臣たちも小夜さんたちも どっと笑い転げまし た 第33話彦市の 友達ある日のこと彦市は馬に焚き木を積ん で町に売りに行きまし た焚き木滝はいりません か町をながら歩いていると目がぎょろりと していかにも油断のならない顔をした 風呂屋の主人が呼び止めまし たおいその焚は1はいくら だ1は10問でござい ますそうかではその馬に乗せてあるのを 全部買ってやろうみんなでいくらに なるみんな買ってくださるなら問にして おき ましょうよしよしではご住文渡す ぞありがとうござい ますねぎりもしないで買ってくれたので 彦市は顔に似合わぬ分かった人だと ホクホクして馬ののせから焚きを下ろし まし たではみんなでロパでござい

ますすると主人はぎょろりと目を向いて口 を尖らせまし たこれこれれまだ残っているではない かそんなはずはありませ ん暗が残ってるじゃないか えだって俺は馬に乗せてあるものを全部 買う約束をしたくも買ったうちに入って いるんだよ ああそうだったかししまっ た彦一は思わず叫びまし たうわっ ははひこ一どうだ参った かその主人は初めてひこ一の名を出し手を 叩いて笑いまし た油断 大敵さすがの彦一も返す言葉がなく暗を 下ろしてこそこそと帰っていきまし たところがその翌日のことです彦一が ひょっこり風呂屋ののれから首を出しまし たおお彦一また焚きを売りに来た か主人は勝ち誇った顔で番台の上から声を かけまし た彦一はにっこりし て いや今日は他のことで町へ来たのですが あまり寒いので風呂に入りたいと思っ て風呂ちんはいくらです か風呂ちんは10問だ よ俺だけじゃない友達も入りたいと言って 外で待ってるんです よじゃあ20問 だでもその友達はとても大きいです よははははバカだないくら大きくたって フロチンに変わりはない よそうですかじゃあ友達を連れて くる彦市はフロチンを20問払って外に出 ていきましたがやがて妙に大きな足音がし たかと思うと番台の前にニュっと馬の顔が 現れてヒンと泣きまし た主人は飛び上がって驚きましたうわあ 彦一乱暴するな馬は外についでおき ないや何この馬も一緒に湯に入るんですよ ばばかなだって風チンはちゃんと払って あるでしょ えではお前の友達というのはこの馬 かそうですともだからとても大きいと断っ てあるじゃないですかなああお前が1番の 俺の友達だなさあ一緒に 入ろうまま待って くれ主人は驚いたのなんの番台から 飛び降りて彦一俺が悪かったフチもくも 返すから勘弁して くれと言っ て平謝りに謝りまし た

第34 話なぞなぞ 今年10歳になるいたずら盛りの若殿の様 は彦市が大好きでし た彦市が殿様に召されてお城へ行くといつ もよが住むのを待って自分の部屋に 呼び寄せまし たそこでの愉快な笑い話を聞くのを何より 楽しみにしていまし たが生まれつき利発な若殿はそれだけでは 満足できなくなり自分もなんとかして彦一 をやっつけてみたいと思いまし たそのうちに若殿様のお誕生日が そのお祝いの会が開かれることになりまし た日頃の遊び友達を始め同じ年頃の家中の 少年たちが大勢若殿の部屋に 集まり松田には彦市も控えてい ます色々なご馳走や遊びことが人当たり 済むと 若殿の様は少年たちを見回し てなあみんなこれからひこ市に1つずつ ななをかけて遊ぼうじゃないか誰でも彦一 に解けない謎を出したものには褒美を あげるまた彦一はその謎を1つでも解け なかったら廊下を張って玄関まで行くんだ もしみんな解いたらとてもいいものを褒美 にやろうと言いまし たうわあ面白い 面白い少年たちは大喜びでし たそこでみんなは小さな首をひねり次々と 謎をかけまし たが彦一はニコニコしながら片っ端から 解いていき ますそして後には若殿様と過労様のご四則 ハアだけが残りまし たさあ今度はハやお前の番だ ぞ若殿が最速なさると兼ねてから賢い子供 と言われているはやははいただいまやっと 考えつきましたでは彦一行く ぞといかにも自信ありげに口を開きまし た遠く離れれば離れるほど大きく見える ものは何 だなるほど 良い謎を考え出しました なあ彦一はさも難しそうに首をひねって 見せてからすっぱりと答えまし た蜂屋様それは壁に移った影防止でござい ましょう壁を離れれば離れるほど影防止は 大きく見えますから うむその 通りはやは関心して頭を書きまし たよしでは夜が参る ぞ若殿はきっととして身を乗り出しまし た前前から考えて置いたの です今度こそはという顔つきです

いいか彦一解けなかったら廊下を張って いくんだぞ火は物を温め水は物を冷やすが この2つの働きを1つで持っているものが あるそれはなん だ うむ今までは花を持たせるためにと首を ひねって答えていた彦一も本気に考え込み まし たどうじゃ 彦一さすがは若殿の謎だけあって難しい ございます今度は私が負けるかもしれませ ん なところで私が負けたら廊下を張って帰り ますがもし若殿がおまけになったら犬の 真似をして部屋の中を3べ回ることを約束 して くださいいい とも若殿はまだ知心たっぷり ですはて なあ はあわかっ た彦市はにっこりして膝をたきまし たそれは人の息でござい ます寒い時はハーハー息を吐いて手を温め ますが暑いものを食べる時はふーふー息を 吹きかけて冷やし ますさあ若の犬の 真うむま まいっ た若殿様は頭をかきかきワンワンを吠え ながら部屋の中を四つんばいになって回り 始めまし たそのおかしな格好に少年たちも彦一も お腹を抱えて笑い転げまし た 第35 話 石勝ある時のこと彦市は小夜さんの供をし て八代の殿様の五本家細川校の城下町熊本 へお祭り見物に出かけまし たその途中熊本まで25kmの松葉という 町の近くに差し掛かると道の真ん中に 横たわっている大きな石を45人の百姓 たちが懸命に担ぎあげようとしてい ます23日前の大雨で崖から転げ落ちたの ですだが何しろ大きな石なのでビクともし ませ んなんとかならぬかと2人が眺めていると 向こうから1人の老人らしい侍が 通りかかりまし たこらこら百勝その石をどうするの じゃはい邪魔になるので下の外れに運んで いって捨てるのでござい ますみんながこう答えると侍は真面目な顔 でそうかでは拙者が運んで

やろう えお侍さんあなたがお1人でです かうん痩せてはいるが住人力だしかし昼 近くで腹がペコペコに減っている弁当を 食べさせて くれ正直な百姓たちは侍の言葉を信じ持っ ていた握り飯を差し出すとその侍くうわ くうわ立ちまち4人分も平らげてしまい まし たそしてやおら立ち上がり大石の前に背中 を向けてやっと力を入れまし たさあ百勝どもこれから運んでやるから 拙者の肩に乗っけて くれ へお侍様それは無理でございますこれが 持ち上げられるほどなら何もお頼みは いたしませ んいっぱい食ったとは知らぬ百姓たちは枠 して答えまし たと侍はいだかに怒鳴りまし た黙れどこが無理じゃ拙者は運んでいって やるとは言ったが自分で持ち上げるとは 言わなかった ぞみんなは初めて騙されたと気がつきまし たが相手が侍だしまたちゃんと理屈に合っ ているので返す言葉もありませ ん侍はカラカラ笑って立ち去ろうとしまし たするとそれまでニヤニヤ笑いながら聞い ていた彦一が声をかけました お侍様しばらくお待ち くださいななんじゃ 小僧この石をあなたの肩に乗っけさえし たら間違いなく運んでいただけます ね相手が小僧と老人と見くびった侍は ふふんその通り武士に異言はないぞといり 帰りまし た彦市はにやりと笑って百姓たちの耳に 何か囁きまし たすると百姓もにやりと頷くが早いか いきなり 大石のそばの地面をくで掘り始めまし たやいやい 何をするんだと侍はいぶかしげに聞きまし た彦一は巨としてなにこの石が落ち込む ように穴を掘り下からあなたの肩で 受け止めていただくのですよ満一受けきれ なかったらまあ生き埋めというわけです な えさ侍は目を見張りました ははは逃げようだってだめですよご覧 なさい向こうから役民衆がやって くるなるほど両ない見回りの役人らしいの が大勢向こうからやってまり ます侍はまさになってぴたりと彦市の前に 手をつきまし

たせ拙者じじ悪ござった弁当台は払い申す から平にご容赦 くだされ ははは皆さん可いそうだから弁当台を払っ たら許してやろうではありません か彦市が笑いながら言うとみんなも笑って はははよろしございますでは少し高いかも しれぬが握り飯1つ住文いただくことにし ましょうと答えまし た侍は泣けなしの財布の中から40問 取り出して前に並べると近づいてくる役人 の手前えへんと咳払いして歩き出しました 小夜さんも彦市も百姓たちも顔を見合わせ て笑い転げまし たそして百姓たちはまたすぐ穴を掘り始め まし たそれは彦一の言葉で大石を担いで運ぶ よりも穴を掘ってうめた方が手数がかかと 気づいたからでし た第36話犬の 喧嘩殿様の老心にキンタ衛門というとても 頑固な侍がありまし た理屈にあおうが合うまいが一旦言い出し たことはテコでも動かぬという変わり者 ですある日のことですその金太左門とこれ はまたけちんぼで通っている老身の軍兵の 2人が喧嘩を始めたと見え互いにに青筋を 立て ながらおさきを願いますと言って殿様の前 にまかり出まし たいつものことだから殿様は笑っ て 両人いかがいたしたの じゃはい金太左門どののわからず屋には ほとほとれもしまし た実は昨日の こと私の飼犬の白とキタ左衛門殿の飼犬の 黒とが喧嘩を始めましたが白の力やまさり 剣黒が散々の敗北で今朝とうと死んで しまったそう でところが金太衛門殿は苦して戻せ出 なかったら死んだ黒と寸分変わらぬ犬を 探してこいとこう難題を申すのでござい ますこれこれれ 軍兵白の力やまさり剣とはなんだ尋常の 勝負なれば文句は言わぬその方の家臣が白 に力を貸したからうの黒が負けたのじゃ さあ生かして返せ生かして返せなかったら 寸分違わぬ犬を探してこい武士の一言後に は引かぬ ぞそれを聞いていた殿様 は両人ともしばらく待てと仲裁に入りまし た 時に軍兵その方のところにはこの間立派な 犬が生まれたと申したではないか黒の

代わりに1匹金太左門に分けてやっては どう じゃどのとんでもないことをあの子犬は1 匹5両もする名剣でござい ますただやるとはもっての ほいや拙者も敵の子犬などはもらい申さ ぬ ははは困ったやつ じゃ殿様は思わずお笑いになりましたが どちらも変わり者同士だからほっておけば 果たし合いでもしねない 勢いなんとかうまいきはないものかとお 考えになっているうち ふと彦市のことをお思い出しになりまし た幸い今日は若殿の相手をするために彦市 が朝からお城へ来てい ます殿様は早速彦一を呼び寄せて訳を 話しどうじゃ彦一世の明大として2人が 満足するように裁判をしてはくれまいかの とせになりまし た彦一はしばらく考えていましたがやがて にっこり笑ってお受けすると大りで2人の 名を呼びまし たこれ金太左衛門に軍兵表をあげ いこんなこと言わなくとも2人はちゃんと 顔をあげてい ますなんじゃ 彦一なんじゃ 小僧これ殿の明大に向かって失礼であるぞ 時にくべその方犬の喧嘩に家臣を火星に 出すとはふきであるぞ ついてはもし黒と寸分違わぬ犬がいたら それを買い取ってキタ左衛門に返す か寸分違わぬ犬なんているはずがないと 思っている軍兵は平気で答えまし たいかにも買いとって返すで ござろうそうかそれで安心いした幸いよは 黒と寸分違わぬ犬がいるところを知って いるバカ思うせ寸分違わぬ犬なんている もの かところがいるから不思議じゃこれ金太 左衛門せっかく軍兵がその犬を連れてきて もその方が違うといえば無駄にな これから軍兵と一緒にその方も犬を 受け取りに 参れ よろしいもしそんな犬がいるなら軍兵と 一緒に参ろうだがもし輪でも違っていたら ひこその方の首をもらう ぞうむこれは面白い一緒に参ろう 100百章のせがれから呼び捨てにされた 2人はよっぽど尺にさわったらしくこう なればもう彦一が相手とばかりカカに生り 立ちまし た殿様もひこ一目大変なことを言い出した

ものと心配そうな 顔だが彦一は相変わらずニコニコしてい ますしかし両人ちと遠いところだ ぞうむ5理あろうと10理あろうと いやあもっと 遠い20りでも30りでもいやもっと遠い ぞ一体どこ じゃ ふっふふそれは10万億度立てたところ じゃわい えだって両人よく聞け昔から死んだものは 必ず明度へ行くものだと決めてあるだから 黒もきっと言っているに違いない寸分違わ ぬといえばあの世の黒を連れてくる他ない ではない かしかし明戸へそのままでは行かれぬさあ 両人とも腹を 切れおおいかにもその通りじゃ両人とも早 を行って こい殿様もお人が悪い彦一の策略が分かる とおかえて咳立てまし たとさすがの2人もすっかり並行して互い に顔を見合わせまし たのキンタザンドの拙者の子犬を黒の 代わりにもらってくださらぬ かなるほどどれも立派な子犬でござったな では 1匹譲ってもらおう かとケロリとした顔で相談を始めたので殿 様も波いる胡椒たちも彦市ももうたまらず ぷっと 吹き出し果てはどっと笑い出してしまい まし た 第37話振り袖 問答菊武光の一族を祭った菊神社は桜の 名所で花の頃になると毎年細川校は重心 たちを引き連れて になりその折り花見の縁をすのでし た八代の殿様は細川校の客分で第1の重心 ですからその花見が近づくと細川校の奥方 から八の殿様の奥方へ手紙が届きました それに はいよいよ菊神社花見の縁が近づきました が今年は姫を始め家臣の娘たち一同は同じ 色同じ模様の振り袖で似て産経することに 決めまし たジは焼け柱 白色は目の芝 です底本様の姫も間違いなくこのいたち にてご産経くだされたしという意味のこと が書いてありまし たこれを読みになった奥方は困り果てて頭 を抱えてしまいまし たそれもその

はず焼け柱色だのめくの芝の模様なんて これまでに聞いたこともなかったから ですそこで早速染め物屋やご服屋を呼んで お尋ねになりました がただ首を傾けるだけで誰もお答えする ことができませ ん 散々考えあねた末に奥方はひょい とこれはきっと細川校が謎お出しになった に違いないとお考えつきになりまし たそこでこのことを殿様にご相談になると 殿様 はいかにも謎に違いないだが待てよこれ くらいの謎ならわしだって解ける良いか柱 が焼けると黒くなるから焼け柱色というの は黒のことだまためくは芝居を見ても目の 先は真っ黒だだから目の芝居の 模様というのものことだと得意気に言われ まし たなるほど そういえばそうですけれども黒の字に黒の 模様と申せば全部真っ黒になってしまい ます ねいやそこが守行というものだ花見といえ ば男が女の真似をしたりするではないか 同じように娘たちが黒い着物を着て男の ようなふりをしたってちっともおかしくは ないではない かでもなんだ か奥がは女だけにまだ腑落ちぬところが あるよう ですでは念のため彦一に聞いて みよう なあくわしだって漫 がないわけではない ぞ殿様はすっかり南台を解いたつもりで 得意になりすぐ使いを立てて彦市を 呼び寄せになりまし た殿様何事でございます かおお彦一ご苦労ご 苦労実は熊本からこんな手紙がて焼け柱と めくの芝居というのが問題になっているの じゃ父じゃ彦一わかる か へえそうでございますか ふむ手紙を読み終わった彦一はいつもに水 両腕を組み目を閉じてじっとを考え込んで しまいまし たそれを見ると殿様はますます得意になっ てどうじゃ彦一どうしても分からぬとあれ ば考えて使わそう か むむ彦一はそれには答えもせず考え込んで いましたがやがて大きく頷くとパッと目を を開いてにやりと笑いまし

た ああやっとわかりましたが殿様はなんとお 時になりました かうむ焼け柱色というのは黒い色のこと じゃまためくの芝居というのも黒じゃ つまりすっかりも真っ黒な着物のことだ よ高殿様が申されると彦一はお腹を抱えて 笑い出しまし たわっはっはっは と様そりゃ大間違いでございます よ えなんで 違うださそれでは読んでしの通りで 謎の答えではありませんそれにお姫様方が 真っ黒な振り袖を着てお花見なんてまだ 聞いたこともございませ ん うむではどういうわけ じゃた様焼けとは燃えた木のことでござい ましょうだから焼け柱色といえば燃え色 黄色がかった緑のことでございます よなるほど そういえばそうじゃのそれからめくの芝と は菊の模様のことでございます よバカもせめくのしみがなんで聞く だだって目くぎは何も見えない でしょだから真っ黒ではないかいえ何にも 見えないで聞くばかり ですああそうかでは聞くばかりの模様と いうわけかはいそれに間違いはございませ んどの様はいった手前急に関心もできず 思わずをあげて頭をおかきになりまし た奥方はぷっと吹き出されて ほっほっほああよかった危なく姫に男の 着物を着せて花見にやるところでした とお笑いになりまし た ぐっすりお休み朗読今回は彦一の頓知話 上編です小山克夫作改正者文庫さんの本を 許可を得てお借りしています今回は第31 話から第37話までお届けしますだんだん 彦市と殿様がトチのおかげで仲良くなって 一が殿様に物を申すのをハラハラしながら 読んで楽しんでおります皆様もどうぞお 楽しみくださいそれではおやすみ なさい第31話目隠し 競争彦市の村の若州と隣の村の歌が一緒に 集まりまし た内神様が同じなので毎年1度はこうして お祭りのことを話し合うのでし たそのお祭りには奉納の余興として相撲と 力比べとがあり ます両方の村から同じ人数の選手を出して 勝ち負けを争うのです がこの2つの競技で勝った方には両方の

商家さんからお米を5票ずつくださること になってい ますところ が昨年も一昨年も相撲は彦一の村が勝った が力比べは隣村が勝ち共に一生いっぱいで 勝負がつか ず商品のお米は2年もお預けになっている のでし たそこ で今年こそは是非勝負をつけようではない かと話し合いました が選手の力を考えると今年もどうやら一生 になりそう ですすると松田に控えていた彦市が進み出 て口を開きまし たもしもし皆さん競技が2つだから勝負が つかんのですだから今年1年だけもう1つ 加えたらどうですそうしたらきっと 勝ち負けが決まります よなるほど そういえばそうだだが一体どんな競技を 加えたらいいか な隣村の若州頭が聞き返しまし た彦市は下顔で答えまし た人が見ても面白いものでなければいけ ない 目隠し競争はどう でしょう え目隠し 競争両方から目隠しをした選手を1人ずつ 出し杖を頼りに1の鳥居から配電の石段 までの間を2回往復させて早い方が勝ちと 決めるの です わははこりゃ 面白い彦一らしい思いつきだとみんなは手 を叩いて賛成しまし たさて間もなくそのお祭りの日となりまし た前からの評判通り相撲は彦市の村が勝ち 力比べは隣が勝ちまし た力比べというのは大きな石を担いでお宮 の周りを回る競技で一巡りでも多く歩いた 方が勝ちになるの ですさあ今度はいよいよ目隠し競争 です両村の人々は道の両側に黒山を築いて 見物してい ますやがて厳しく目隠しをした選手が1本 の杖を持って1の鳥居の下に現れまし た隣村の選手は見るからにたましい若者 です が彦市の村の選手は痩せてヒョロヒョロし ています だからみんな隣村の選手が勝つに違いない と思ってい ますど

どん合津の大大子が鳴ると2人の選手は かけ出しまし たなるほど 隣村の選手は 早い立ちまち4mも前に出ましたが目隠し をしている悲しさ何かにつまづいてどさり と転びまし たが彦一の村の選手は早くこそないが コツコツと地を叩いてかけていく有様は まるで勘のいいあんまさんのようで つまづきもしなければ戸惑いもせず ぐんぐん前に進んでいき ます 一方の隣村の選手も起き上がって一生懸命 駆け出しましたがまたも石段につまづいて こり果ては方角を失って両側の見物木に 突き当たるという始末 ですその度に見物人はどっと笑い声をあげ て生やしたてます こうして彦一の村の選手はぐんぐん相手を 引き離して見事に決勝店へ飛び込みまし たうわあ勝った万歳 万歳味方の割れるような勝ちどきに選手は 嬉しげに当てていた目隠しを外しまし たとこれを見た見物人はああと驚きの声を あげましたが間もなくお腹を抱えて笑い 出しまし たそれもそのはず ですその選手はさしという本当に目の見え ない人だったの ですなるほど 目隠ししてのかっこなら目よりも初めから 目の見えない人の方がうまくかけるに違い ありませ んこれも彦市が考え出した頓知でし た第32話 新年 宴会お正月になりまし た殿様から彦市の元にお使いが参りまし たその方の度々の手柄を称し特に5日の 宴会に招いて 使わす夜を始め村の役人ども8名にて途上 せよという工場 です彦一はありがたくお受けいたしました がまたしても難題を持ちかけるつもりだ なあ8人に限ったのが臭いぞと考えまし たしかしそれだけでは何のことかわかり ませ ん 小夜さんに相談して他に6人の村役人を 選び5日になるとみんなで8人が勢揃いを してお城へ参りまし たすると茶房主に案内されたところは百敷 の大 広間今日はブレ光身の上を抜に楽しむ宴会

というので殿様も一緒になり総上の家臣 たちが大きく車座を作って汚染に向かって い ます8人は広間の入り口に平服してお祝い の言葉を述べまし た新年おめでとう存じ ますはにっこりされておお8人のものよく ぞまいった苦しないずっと地行参れそして その前 つけ は恐る恐るみんなが前を見ると広間の中央 に8人のお染が1列にずらりと並べてあり ます さては食べ方の難しい料理を出して自分 たちを困らせ宴会の余興とするつもりだ なひこ営のおかげでひどい目あったもん だ小夜さん始め村役がひこ市を恨みながら 仕方なく前に進み出ようとすると これ 彦市その方が8人のちょうど真ん中に座る のだ ぞ殿様は急に意地悪そうにおっしゃいまし た彦一はしまったという顔で慌てて小夜 さん方を引き止めまし たどうじゃ彦一もしそれができなかったら 目通りかわ 帰れ 帰れ [音楽] うむさすがの彦一も目を白黒させるばかり です人数が奇数だったらどちらから数えて も真ん中に当たる席順がありますが偶数で はそれができないの です帰ってしまえばそれまでですがそれで は 自分が笑われるだけでなく喜んできた小夜 さんや村役人に申し訳がありませ ん彦市はここがトチの出しどと珍しく腕を 組んで考え込みまし た万座の家臣たちはひい扁桃いかぎと片を 飲んで控えてい ます とやがて彦一はにやりと笑って顔をあげ まし た申し上げます真ん中でさえあればどんな 風に座ってもよろしございます かうむ今日はブレコじゃその方が真ん中で さえあればいよに座っても苦しない逆立ち しようとあを描こうと大事ない ぞ はでは皆さんおいで なされ彦一は七銀のものを引き連れてお染 の前に進み出まし たそしてわざと大声 で皆さんただいま殿様からどんな風に座っ

てもいいとお許しがあった私たちも車座に 座ろうではありません かこう言うと一のなりに並べてあったお染 を7人分だけ丸く車座に置き換えてその前 に商家さんたちを座らせまし たそして自分は残った1つのお全を持って 車座の真ん中にちょこんと座り込んでから 言いまし たこれでは殿様いかがなもので私が8人の 真ん中でござい ましょうなるほどこれでは一が真ん中に 違いありませ んこのは殿様自身が考えつかれたものだっ たので思わず手をあげて頭をおかきになり まし たうわっ はっはっは殿のも見事に担がれました なあうわっ はは家臣たちも小夜さんたちも どっと笑い転げました 第33話彦市の 友達ある日のこと彦市は馬に焚を積んで町 に売りに行きまし た焚き木焚き木はいりません か町をこう言いながら歩いていると目が ぎょろりとしていかにも油断のならない顔 をした風呂屋の主人が呼び止めまし たおいその焚きは1はいくら だ1は10問でござい ますそうかではその馬に乗せてあるのを 全部買って やろうみんなでいくらに なるみんな買ってくださるならご住文にし ておき ましょうよしよしではご住文渡す ぞありがとうござい ますねぎりもしないで買ってくれたので 彦一はは顔に似合わぬ分かった人だと ホクホクして馬の背から焚きを下ろしまし たではみんなでロパでござい ますすると主人はぎょろりと目を向いて口 を尖らせまし たこれこれれまだ残っているではない か そんなはずはありませ ん暗が残ってるじゃないか えだって俺は馬に乗せてあるものを全部 買う約束をしたくも買ったうちに入って いるんだ よ ああそうだったかししまっ た彦一は思わず叫びました うわっ ははひこ一どうだ参った かその主人は初めて彦市の名を出し手を

叩いて笑いまし た油断 大敵さすがの彦一も返す言葉がなくくを 下ろしてこそこそと帰っ行きまし たところがその翌日のことです彦一が ひょっこり風呂屋ののれから首を出しまし たおお彦一また焚きを売りに来た か主人は勝ち誇った顔で番台の上から声を かけまし た彦一はにっこりして いやあ今日は他のことで町へ来たのですが あまり寒いので風呂に入りたいと思っ て風呂ちんはいくらです かフロチンは10問だ よ俺だけじゃない友達も入りたいと言って 外で待ってるんです よじゃあ20問だでももその友達はとても 大きいです よ はははバカだないくら大きくたってフロ チンに変わりはない よそうですかじゃあ友達を連れて くる彦市は風チンを20問払って外に出て いきましたがやがて妙に大きな足音がした かと思うと番台の前にニュっと馬の顔が 現れてヒンと泣きまし た主人は飛び上がって驚きましたうわあ 彦一乱暴するな馬は外についでおき ないや何この馬も一緒に湯に入るんですよ ばバカなだって風チンはちゃんと払って あるでしょ えではお前の友達というのはこの馬 かそうですともだからとても大きいと断っ てあるじゃないですかなあ青お前が1番の 俺の友達だなさあ一に 入ろうまま待って くれ主人は驚いたのなんの番台から 飛び降りて彦一俺が悪かったフチもくも 返すから勘弁して くれと言ってひりに謝りまし た 第34 話なぞなぞ 今年10歳になるいず盛りの若殿様は彦市 が大好きでし た彦市が殿様に召されてお城へ行くといつ も世が住むのを待って 自分の部屋に呼び寄せまし たそこで彦一の愉快な笑い話を聞くのを 何より楽しみにしていまし たが生まれつき利発な若殿はそれだけでは 満足できなくなり自分もなんとかして彦市 をやっつけてみたいと思いました そのうちに若殿様のお誕生日が来てそのお 祝いの会が開かれることになりまし

た日頃の遊び友達を始め同じ年頃の家中の 少年たちが大勢若殿の部屋に 集まり松田には彦市も控えてい ます 色々なご馳走や遊びことが人当たり済むと 若殿の様は少年たちを見回し てなあみんなこれから飛地に1つずつ なぞなぞをかけて遊ぼうじゃないか誰でも ひこに解けない謎を出したものには褒美を あげるまた彦一は その謎を1つでも解けなかったら廊下を 張って玄関まで行くんだもしみんな解い たらとてもいいものを褒美にやろうと言い まし たうわあ面白い 面白い少年たちは大喜びでし たそこでみんなは小さな首ををひり次々と 謎をかけまし たが彦市はニコニコしながら片っ端から 解いていき ますそして後には若殿様と過労様のご四則 蜂屋だけが残りまし たさあ今度はハやお前の番だぞ 若殿が最速なさるとかねてから賢い子供と 言われている蜂屋ははいただいまやっと 考えつきましたでは彦一行く ぞといかにも自信ありげに口を開きまし た遠く離れれば離れるほど 大きく見えるものは何 だなるほど 良い謎を考え出しました なあ彦一はさも難しそうに首をひねって 見せてからすっぱりと答えまし た蜂屋様それは壁に移った影防止でござい ましょう壁を離れれば離れるほど影防止は 大きく見えます から うむその 通りはやは関心して頭をかきまし たよしでは夜が参る ぞ若殿はキっとして身を乗り出しまし た前前から考えておいたの です今度こそはという顔つき ですいいか彦一解けなかったら廊下を張っ ていくんだぞ火は物を温め水は物を冷やす がこの2つの働きを1つで持っているもの が あるそれはなん だ うむ今までは花を持たせるためにわざと首 をひねって答えていた彦一も本気に 考え込みまし たどうじゃ 彦一さすがは若殿の謎だけあって難しい ございます今度は私が負けるかもしれませ

んな ところで私が負けたら廊下を張って帰り ますがもし若殿がおまけになったら犬の 真似をして部屋の中を3べ回ることを約束 して くださいいいとも若殿はまだ自信たっぷり ですはて なあはあ 分かっ た彦市はにっこりして膝を叩きまし たそれは人の息でござい ます寒い時はハーハ息を吐いて手を温め ますが暑いものを食べる時はふーふー息を 吹きかけて冷やし ますさあ若の犬の 真うむままいっ た若殿様は頭をかきかきワンワン吠え ながら部屋の中を四つんばいになって回り 始めまし たそのおかしな格好に少年たちも彦一も お腹を抱えて笑転げまし た第35 話石 かある時のこと彦市は商家さんの音して 八代の殿様の五本家細川校の城下町 熊本へお祭り見物に出かけまし たその途中熊本まで25kmの松葉という 町の近くに差し掛かると道の真ん中に 横たわっている大きな石を45人の百姓 たちが懸命に担あげようとしてい ます23日前の大雨で崖から転げ落ちたの ですだが何しろ大きな石なのでビクともし ませ んなんとかならぬかと2人が眺めていると 向こうから1人の老人らしい侍が 通りかかりまし たこらこら百勝その石をどうするの じゃ はい邪魔になるので道下の外れに運んで いって捨てるのでござい ますみんながこう答えると侍は真面目な顔 でそうかでは拙者が運んで あろう えお侍さんあなたがお1人でです かうん痩せてはいるが住銀力だしかし昼 近くで腹がペコペコに減っている弁当を 食べさせて くれ正直な百姓たちは侍の言葉を信じ持っ ていた握り飯を差し出すとその侍食うわ くうわ立ちまち4人分も平らげてしまい まし たそしてやら立ち上がり大石の前に背中を 向けてやっと力を入れまし たさあ百勝どもこれから運んでやるから 拙者の肩に乗っけて

くれ えお侍様 それは無理でございますこれが持ち上げ られるほどなら何もお頼みはいたしませ んいっぱい食ったとは知らぬ百姓たちは枠 して答えまし たと侍はいだかに怒鳴りまし た黙れどこが無理じゃ拙者は運んでいって やるとは言ったが自分で持ち上げるとは 言わなかった ぞみんなは初めて騙されたと気がつきまし たが相手が侍だしまたちゃんと理屈に合っ ているので返す言葉もありませ ん侍はカラカラ笑って立ち去ろうとしまし たするとそれまでニヤニヤ笑いながら聞い ていた彦一が声をかけまし たお侍様しばらくお待ち くださいななんじゃ 小僧この石をあなたの肩に乗っけさえし たら間違いなく運んでいただけます ね相手が小僧と老人と見くびった侍は ふふんその通り武士に異言はないぞといり 帰りまし た彦一はにやりと笑って百姓たちの耳に 何か囁きまし たすると100勝もにやりと頷くが早いか いきなり 大石のそばの地面をクで掘り始めまし たやいやい何をするんだと侍はいぶかしげ に聞きました彦一は巨としてなにこの石が 落ち込むように穴を掘り下からあなたの肩 で受け止めていただくのですよ満一受け きれなかったらまあ生き埋めというわけ ですな え侍は目を見張りました ははは逃げようだってだめですよごらん なさい向こうから役人集がやって くるなるほど両ない見回りの役人らしいの が大勢向こうからやってまり ます侍はま竿になってぴたりと彦市の前に 手をつきまし たせ接しじじ悪ござった弁当台は払い申す から平にご容赦 くだされ はっはっは皆さんかわいそうだから弁当台 を払ったら許してやろうではありません か小一が笑いながら言うとみんなも笑って はははよろしうございますでは少し高いか もしれぬが握り飯1つ10問いただくこと にしましょうと答えまし た侍は泣けなしの財布の中から40問 取り出して前に並べると近づいる役の手前 えへんと咳払いして歩き出しまし た商家さんも彦一も百姓たちも顔を 見合わせて笑い転げまし

たそして百姓たちはまたすぐ穴を掘り始め まし たそれは彦一の言葉で大石をで運ぶよりも 穴を掘ってうめた方が手数がかからぬと 気づいたからでし た第36話犬の 喧嘩殿様の にキンタ衛門というとても頑固な侍があり まし た理屈にあおうが合うまいが一旦言い出し たことはテコでも動かぬという変わり者 ですある日のこと ですその金太左門とこれはまたけちんぼで 通っている老心の軍兵の2人が喧嘩を始め たと見え互いに青筋を立て ながらおさきを願いますと言って殿様の前 にまり出まし たいつものことだから殿様は笑っ て 両人いかがいたしたの じゃはい 金太左衛門殿の分からず屋にはほとほと 呆れもしまし た実は昨日の こと私の飼犬の白とキタ衛門殿の飼犬の黒 とが喧嘩を始めましたが白の力やまさり剣 黒が散々の敗北で今朝とうとう死んでしま たそう でところが金太左衛門殿は黒を生かして 戻せ出なかったら死んだ黒と寸分変わらぬ 犬を探してこいとこう難題を申すので ござい ますこれこれれ 軍兵白の力やまさり剣とはなんだ尋常の 勝負なればもは言わぬその方の家臣が白に 力を貸したからうちの黒が負けたのじゃ さあ生かして返せ生かして返せなかったら 寸分違わぬ犬を探してこい武士の一言後に は引かぬ ぞそれを聞いていた殿様 は ともしばらく待てと仲裁に入りまし た時に軍兵その方のところにはこの間立派 な犬が生まれたと申したではないか黒の 代わりに1匹金太左衛門に分けてやっては どう じゃどのとんでもないことをあのは1匹5 両もする名剣でござい ますただやるとはもっての ほいや拙者も敵の子犬などはもらい申さ ぬ ははは困ったやつ じゃ殿様は思わずお笑いになりましたが どちらも変わり者同士だからほっておけば 果たし合いでもしかねない

勢いなんとかうまいさきはないものかとお 考えになっているうち ふと彦市のことをお思い出しになりまし た幸い今日は若殿の相手をするために彦市 が朝からお城へ来てい ますと様は早速彦一を呼び寄せて訳を 話しどうじゃ彦一世の明大として2人が 満足するように裁判をしてはくれまいかの と大勢になりまし た彦一はしばらく考えていましたがやがて にっこり笑ってお受けすると大いりで2人 の名を呼びまし たこれ金太左門に軍兵表をあげ いこんなこと言わなくとも2人はちゃんと 顔をあげてい ますなんじゃ 彦一なんじゃ 小僧これ殿の明大に向かって失礼であるぞ 時に軍兵 その方犬の喧嘩に家臣を火星に出すとは ふきであるぞついてはもし黒と寸分違わぬ 犬がいたらそれを買い取って金左衛門に 返す か寸分違わぬ犬なんているはずがないと 思っている軍兵は平気で答えまし たいかにも買い取って返すで ござろうそうかそれで安心いたした幸いよ は黒と寸分違わぬ犬がいるところを知って いるバカを思うせ寸分違わぬ犬なんている もの か宝がいるから不思議じゃこれキタ門 せっかく軍兵がその犬を連れてきてもその 方が違うと言えば無駄になるこれから軍兵 と一緒にその方も犬を受け取りに 参れ よろしいもしそんな犬がいるなら軍兵と 一緒に参ろうだがもし一輪でも違ってい たらひこ1その方の首をもらうぞ うむこれは面白い一緒に参ろう 100百勝のせがれから呼び捨てにされた 2人はよっぽど尺に触ったらしくこうなれ ばもう彦一が相手とばかりカカにきり立ち まし た殿様も 一目大変なことをしたものと心配そうな 顔だが彦一は相変わらずニコニコしてい ますしかし両人地と遠いところだ ぞうむ5理あろうと10理あろうといやあ もっと 遠い20りでも3 でもいやもっと遠い ぞ一体どこ じゃ ふっふふそれは10万屋戸を隔てたところ じゃわい

えだって両人よく聞け昔から死んだものは 必ず明度へ行くものだと決めてあるだから 黒もきっと言っているに違いない寸分違わ ぬといえばあの世の黒を連れてくる他ない ではない かしかしメドへそのままでは行かれぬさあ 両人とも腹を 切れ おおいかにもその通りじゃ両人とも早を 行って こい 殿様もお人が悪いひこ一の策略が分かると おかしさをこらえて咳き立てまし たとさすがの2人もすっかり並行して互い に顔を見合わせまし たのキンタモンドの拙者の子犬を黒の 代わりにもらってくださらぬか なるほどどれも立派な子犬でござったなで は1匹譲ってもらおう かとけろりとした顔で相談を始めたので殿 様も波いる胡椒たちも彦市ももうたまらず ぷっと 吹き出し果てはどっと笑い出してしまい まし た第37話振り袖 門道菊武光の一族を待った菊神社は桜の 名所 でのになると毎年細川校は獣心たちを 引き連れて御三系になりその折り花見の縁 を催すのでし た八代の殿様は細川校の客分で第1の重心 ですからその花見が近づくと細川港の奥方 から 八代の殿様の奥方へ手紙が届きまし たそれに はいよいよ菊神社花見の縁が近づきました が今年は姫を始め家臣の娘たち一同は同じ 色同じ模様の振り袖で似て産経することに 決めまし たジは焼け柱白色模様はめくの芝居 です底本様の姫も間違いなくこのいでたち にてご産経くだされたしという意味のこと が書いてありまし たこれを読みになった奥方は困りはてて頭 を抱えてしまいまし たそれもその はず焼け柱色だのめくの芝の模様なんて これまでに聞いたこともなかったから ですそこで早速染め物屋やご服屋を呼んで お尋ねになりました がただ首をけるだけで誰もお答えすること ができませ ん散々考えあねた末に奥方はひょい とこれはきっと細川校が謎をお出しになっ たに違いないとお考えつきになりまし

たそこでこのことを殿様にご相談になると 殿様 はいかにも謎に違いないだが待てよこれ くらいの謎ならわしだって 解ける良いか柱が焼けると黒くなるから 焼け色というのは黒のことだまためくは 芝居を見ても目の先は真っ黒だだからめく の芝居身の 模様というのも黒のことだと得意げに言わ れまし たなるほど そういえばそうですけれども黒の字に黒の 模様と申せば全部真っ黒になってしまい ます ねいやそこが守行というものだ花といえば 男が女の真似をしたりするではないか同じ ように娘たちが黒い着物を着て男のような ふりをしたってちっともおかしくはないで はない かでもなんだ か奥方は女だけにまだ腑に落ちぬところが あるよう ですではねのため市に聞いて みようなあおくわしだってまんざらとちが ないわけではない ぞ殿様はすっかり難題を解いたつもりで 得意になりすぐ使いを立てて彦市を 呼び寄せになりまし たと様何事でございます かおう彦一 ご苦労ご 苦労実は熊本からこんな手紙が参って焼け 柱とめくの芝居というのが問題になって いるのじゃ当社彦一分かる か へえそうでございますか ふむ手紙を読み終わった彦一は いつもに水両腕を組み目を閉じてじっと 考え込んでしまいまし たそれを見ると殿様はますます得意になっ てどうじゃ彦一どうしても分からぬとあれ ば考えて使わそう か むむ彦一はそれには答えもせず考え込んで いましたがやがて大きく頷くとパッと目を 開いてにやりと笑いまし た ああやっとわかりましたが殿様はなんとお 時になりました かうむ焼け柱色というのは黒い色のこと じゃまたの芝居というのも黒じゃつまり すっかり真っ黒な着物のことだ よ高殿様が申されると彦一はお腹を抱えて 笑い出しまし たわっはっはっは

殿様そりゃ大間違いでございます よえ なんで 違うださそれでは読んで字の通りで謎の 答えではありませんそれにお姫様方が 真っ黒な振り袖を着てお花見なんてまだ 聞いたこともございませ ん うむではどういうわけ じゃた様焼けとは燃えた木のことでござい ましょうだから焼け柱色といえば 萌木色黄色がかった緑のことでございます よなるほど そういえばそうじゃのそれからめくの芝居 とは菊の模様のことでございます よバカもせめくのがなんで聞く だだって目くぎは何も見えない でしょだから真っ黒ではないかいえ何にも 見えないで聞くばかり ですああそうかでは聞くばかりの模様と いうわけかはいそれに間違いはございませ ん殿様は居った手前急に関心もできず思わ ず手をあげて頭をおかきになりまし た奥方はぷっと吹き出されて ほほほああよかった危なく姫に男の着物を 着せて花見にやるところでした とお笑いになりました ぐっすりお休み朗読今回は彦一の頓知話 上編です小山克夫作改正者文庫さんの本を 許可を得てお借りしています今回は第31 話から37話までお届けしますだんだん 彦一と殿様がトチのおかげで仲良くなって ひこ一が殿様に物を申すのをハラハラし ながら読んで楽しんでおります皆様も どうぞお楽しみくださいそれではおやすみ なさい第31話目隠し 競争 彦市の村の若州と隣の村の若州が一緒に 集まりまし た内神様が同じなので毎年1度はこうして お祭りのことを話し合うのでし たそのお祭りには奉納の余興として相撲と 力比べとがあり ます両方の村から同じ人数の選手を出して 勝ち負けを争うのです がこの2つの競技で勝った方には両方の 商家さんからお米をご票ずつくださること になってい ますところ が昨年も一昨年も相撲はは一の村が勝った が力比べは隣村が勝ちともに一生いっぱい で勝負がつか ず商品のお米は2年もお預けになっている のでし たそこ

で今年こそは是非勝負をつけようではない かと話し合いましたが選手の力を考えると 今年もどうやら一生いっぱいになりそう ですすると松田に控えていた彦市が進み出 て口を開きまし たもしもし皆さん競技が2つだから勝負が つかんのですだから今年1年だけもうもう 1つ加えたらどうですそうしたらきっと 勝ち負けが決まります よなるほど そういえばそうだだが一体どんな競技を 加えたらいいか な隣村の若州頭が聞き返しまし た彦市は下顔で答えました 人が見ても面白いものでなければいけ ない目隠し競争はどう でしょう え目隠し 競争両方から目隠しをした選手を1人ずつ 出し杖を頼りに1の鳥居から配電の石段 までの間を2回往復させ て方が勝ちと決めるの です わははそりゃ 面白い彦一らしい思いつきだとみんなは手 を叩いて賛成しまし たさてまもなくそのお祭りの日となりまし た前からの評判通り相撲は彦市の村が勝ち 力比べは隣村が勝ちまし た力比べというのは大きな石を担いでお宮 の周りを回る競技で一巡りでも多く歩いた 方が勝ちになるの ですさあ今度はいよいよ目隠し競争です 両村の人々は道の両側に黒山を築いて見物 してい ますやがて厳しく目隠しをした選手が1本 の杖を持って1の鳥居の下に現れまし た隣村の選手は見るからにたましい若者 ですが 彦一の村の選手は痩せてヒョロヒョロして いますだからみんな隣村の選手が勝つに 違いないと思ってい ますど ドン合津の大大子が鳴ると2人の選手は 駆け出しまし たなるほど 隣村の選手は 早い4mも前に出ましたが目隠しをして いる悲しさ何かにつまづいてどさりと転び まし たが彦一の村の選手は早くこそないが コツコツと血を叩いてかけていく有様は まるで勘のいいあんまさんのようで つまづきもしなければ 戸惑いもせずぐんぐん前に進んでいき

ます一方の隣村の選手も起き上がって一生 懸命駆け出しましたがまたも石段に つまづいて こり果は方角を失って両側の見物に 突き当たるという始末 ですこの度に見物人はどっと笑い声をあげ て生やし立て ますこうして彦一の村の選手はぐんぐん 相手を引き離して見事に決勝店へ飛び込み まし たうわあ勝った万歳 万歳味方の割れるような勝ちどきに選手は 嬉しげに当てていた目隠しを外しまし たとこれを見た見物人はああと驚きの声を あげましたがまもなくお腹を抱えて笑い 出しまし たそれもそのはず ですその選手はさしという本当に目の見え ない人だの ですなるほど 目隠ししてのかっこなら目よりも初めから 目の見えない人の方がうまくかけるに違い ありませ んこれも彦市が考え出したトチでし た 第32 話新年 宴会お正月になりまし た殿様から彦市のもにお使いが参りまし たその方の度々の手柄を称し特に5日の 宴会にに招いて 使わす小夜を始め村の役人ども8名にて 途上 せよという工場 です彦一はありがたくお受けいたしました がまたしても難題を持ちかけるつもりだ なあ8人に限ったのが臭いぞと考えまし た しかしそれだけでは何のことかわかりませ ん小夜さんに相談して他に6人の村役人を 選び5日になるとみんなで8人が勢揃いを してお城へ参りまし たすると茶房ズに案内されたところは時の 大間今日はブレ光身の上下を抜きに楽しむ 宴会というので殿様も一緒になり総登上の 家臣たちが大きく車座を作って汚染に 向かってい ます8人は広間の入り口に平服してお祝い の言葉を述べました 新年おめでとう存じ ます殿様はにっこりされておお8人のもの よくぞまいった苦しないずっと事まれ そしてその前 け は恐る恐るみんなが前を見ると間の中央に

8人のお前が1列にずらりと並べてあり ますさては食べ方の難しい料理を出して 自分たちを困らせ宴会の余興とするつもり だ な彦一のおかげでひどい目にあったもん だ小夜さん始め村が小いを恨みながら 仕方なく前に進み出ようとする とこれ 彦一その方が8人のちょうど真ん中に座る のだ ぞ殿様は急に意地悪そうにおっしゃいまし た彦一はしまったという顔で慌てて商家 さん方を引き止めました どうじゃ彦一もしそれができなかったら 目通りかわぬ帰れ 帰れ [音楽] うむさすがの彦一も目を白くさせるばかり です人数が奇数だったらどちらから数えて も真ん中に当たる席順がありますが偶数で はそれができないの です帰ってしまえばそれまでですがそれで は自分が笑われるだけでなく喜んできた 小夜さんや村役人に申し訳がありませ ん彦市はここが頓知の出し particularと珍しく腕を組んで 考え込みまし た万座の家臣たちはひこ一扁桃いかぎと片 を飲んで控えてい ますとやがて彦一はにやりと笑って顔を あげまし た申し上げます真ん中でさえあればどんな 風に座ってもよろしございます かうむ今日はブレ光じゃその方が真ん中で さえあればいよに座っても苦しない逆立ち しようとあを描こうと大事ない ぞはでは皆さんおいで なされ彦市は七銀のものを引き連れてお染 の前に進み出まし たそしてわざと声 で皆さんただいま殿様からどんな風に座っ てもいいとお許しがあった私たちも車座に 座ろうではありません かこう言うと一のなりに並べてあったお染 を7人分だけ丸く車座に置き換えてその前 にやさんたちを座らせまし たそして自分は残った1つのお然を持って 車座の真ん中にちょこんと座り込んでから 言いまし たこれでは殿様いかがなもので私が8人の 真ん中でござい ましょうなるほど これでは飛一が真ん中に違いありませ んこの難題は殿様自身が考えつかれたもの だったので思わず手を上げて頭をおかきに

なりまし たうわっ はっはっは殿のも見事に担がれました なうわっ はは家臣たちも大さんたちも どっと笑い転げまし た第33話彦市の 友達ある日のこと彦一はは馬に焚きを積ん で町に売りに行きまし た焚き滝はいりません か町をこう言いながら歩いていると目が ぎょろりとしていかにも油断のならない顔 をした風呂屋の主人が呼び止めまし たおいその焚きは1はいくら だ1は10問でござい ますそうかではその馬に乗せてあるのを 全部買って やろうみんなでいくらに なるみんな買ってくださるならご住文にし ておき ましょうよしよしではご文渡す ぞありがとうござい ますねぎりもしないで買ってくれたので 彦市は顔に似合わぬ分かった人だと ホクホクして馬の背から焚きを下ろしまし たではみんなでロパでござい ますすると主人はぎょろりと目を向いて口 を尖らせました これこれれまだ残っているではない かそんなはずはありませ んクが残ってるじゃないか えだって俺は馬に乗せてあるものを全部 買う約束をしたくも買ったうちに入って いるんだよ ああそうだったかし しまっ た彦一は思わず叫びまし たうわっ ははひこ市どうだ参った かその主人は初めて彦一の名を出し手を 叩いて笑いまし た油断 大敵さすがの彦一も返す言葉がなく暗を 下ろしてこそこそと帰っていきまし たところがその翌日のことです彦市が ひょっこり風呂屋ののれから首を出しまし たおお彦一また滝を売りに来た か主人は勝ち誇った顔でバダの上から声を かけまし た彦一はにっこりし て いや今日は他のことで町へ来たのですが あまり寒いので風呂に入りたいと思っ てフロちんはいくらです かフロちんは10問だ

よ俺だけじゃない友達も入りたいと言って 外でなってるんです よじゃあ20問 だでもその友達はとても大きいです よ はははバカだないくら大きくたってフロ チンに変わりはない よそうですかじゃあ友達を連れて くる彦一はフチを20も払って外に出 ていきましたがやがて妙に大きな足音がし たかと思うと番台の前にニュっと馬の顔が 現れてヒンと泣きまし た主人は飛び上がって驚きましたうわあ 彦一乱暴するな馬は外についでおき なよ何この馬も一緒に湯に入るんですよば バカなだってフロチンはちゃんと払って あるでしょう えではお前の友達というのはこの馬 かそうですともだからとても大きいと断っ てあるじゃないですかなああ お前が1番の俺の友達だなさあ一緒に 入ろうまま待って くれ主人は驚いたのなんの番台から 飛び降りて彦一俺が悪かった風ちんもくも 返すから勘弁して くれと言って平に謝りまし た第34 話謎 なぞ今年10歳になるいたずら盛りの若の 様は彦一が大好きでし た彦が殿様に召されてお城へ行くといつも よが住むのを待って自分の部屋に呼び寄せ まし たそこで彦市の愉快な笑い話を聞くのを 何より楽しみにしていまし たが生まれつき利発な若殿はそれだけでは 満足できなくなり 自分もなんとかして彦市をやっつけてみ たいと思いまし たそのうちに若殿様のお誕生日が来てその お祝いの会が開かれることになりまし た日頃の遊び友達を始め同じ年頃の家中の 少年たちが大勢若殿の部屋につまり松には 彦一も控えてい ます色々なご馳走や遊びことが人当たり 済むと若殿様は少年たちを見回し てなあみんなこれからひこ一に1つずつ なぞなぞをかけて遊ぼうじゃないか誰でも に解けない謎を出したものには褒美を あげるまた彦一はその謎を1つでも解け なかったら廊下を張って玄関まで行くんだ もしみんな解いたらとてもいいものを褒美 にやろうと言いまし たうわあ面白い 面白い少年たちは

大喜びでし たそこでみんなは小さな首をひねり次々と 謎をかけまし たが彦市はニコニコしながら片っ端から 解いていき ますそして後には若の様と過労様のご則 ハアだけが残りました さあ今度はハやお前の番だ ぞ若殿が最速なさると兼ねてから賢い子供 と言われているはやははいただいまやっと 考えつきましたでは彦一行く ぞといかにも自信ありげに口をを開きまし た遠く離れれば離れるほど大きく見える ものは何 だなるほど 良い謎を考え出しました なあ彦一はさも難しそうに首をひねって 見せてからすっぱりと答えまし た様それは壁に移った影防止でござい ましょう壁を離れれば離れるほど影防止は 大きく見えます から うむその 通りはやは関心して頭をかきまし たよしでは夜が参る ぞ若殿はキっとして身を乗り出しまし た前々から考えておいたの です今度こそはという顔つき ですいいか彦一解けなかったら廊下を張っ ていくんだぞ火は物を温め水は物を冷やす がこの2つの働きを1つで持っているもの があるそれはなん だ うむ今までは花を持たせるためにわざと首 をひねって答えていた彦一も本気に 考え込みまし たどうじゃ 彦一さすがは若殿の謎だけあって難ござい ます今度は私が負けるかもしれません なところで私が負けたら廊下を張って帰り ますがもし若殿がおまけになったら犬の 真似をして部屋の中を3べ回ることを約束 して くださいいいと思う若殿はまだ自信ぷり ですはて なあはあ分かっ た彦市はにっこりして膝を叩きまし たそれは人の息でござい ます寒い時はハーハー息を吐いて手を温め ますが熱いものを食べる時はふふふ息を 吹きかけて冷やし ますさあ若殿の犬の 真似うむままいっ た若殿様は頭をかきかきワンワンを吠え ながら部屋の中を四つんばいになって回り

始めまし たそのおかしな格好に少年たちも彦一も お腹を抱えて笑い転げまし た第35 話石 かある時のこと彦一はさんのおをして八代 の殿様の五本家細川校の城下町熊本へお 祭り見物に出かけまし たその途中熊本まで25kmの松葉という 町の近くに差し掛かると道の真ん中に 横たわっている大きな石を45銀の百姓 たちが懸命に担あげようとしてい ます23日前の大雨で崖から転げ落ちたの ですだが何しろ大きな石なのでビクともし ませ んなんとかならぬかと2人が眺めていると 向こうから1人の老人らしい侍が 通りかかりまし た こらこら百勝その石をどうするの じゃはい邪魔になるので道下の外れに運ん でいって捨てるのでござい ますみんながこう答えると侍は真面目な顔 でそうかでは拙者が運んである えお侍さんあなたがお1人でです かうん痩せてはいるが住人力だしかし昼 近くで腹がペコペコに減っている弁当を 食べさせて くれ正直な百たちは侍の言葉を信じて を差し出すとその侍くうわくうわ立ちまち 4人分も平らげてしまいまし たそしてやら立ち上がり大石の前に背中を 向けてやっと力を入れまし たさあ勝どもこれから運んでやるからの肩 に乗っけて くれ へお侍様それは無理でございますこれが 持ち上げられるほどなら何もお頼みは いたしませ ん1杯食ったとは知らぬ百姓たちは枠して 答えまし たと侍は板高にとなりました 黙れどこが無理じゃ拙者は運んでいって やるとは言ったが自分で持ち上げるとは 言わなかった ぞみんなは初めてたされたと気がつきまし たが相手が侍いだしまたちゃんと理屈に あっているので返す言葉もありませ ん侍はカラカラ笑って立ち去ろうとしまし たするとそれまでニヤニヤ笑いながら聞い ていた彦一が声をかけまし たお侍様しばらくお待ち くださいななんじゃ 小僧この石をあなたの肩に乗っけさえし たら間違いなく運んでいただけます

ね相手が小僧と老人と見くびったサは ふふんその通り武士に異言はないぞといり 帰りまし た彦一はにやりと笑って百姓たちの耳に 何か囁きまし たすると100勝もにやりと頷くが早いか いきなり 大石のそばの地面をクで掘り始めまし たやいやい何をするんだと侍はいぶかしげ に聞きまし た彦一はきんとし てなにこの石が落ち込むように穴を掘り下 からあなたの肩で受け止めていただくの ですよ満一受けきれなかったらまあ生きと いうわけですな え侍は目を見張りました ははは逃げようたってだめですよご覧 なさい向こうから役人衆がやって くるなるほど 両見回りの役らしのが大勢向こうからやっ てまり ます侍はまさになってぴたりと彦市の前に 手をつきまし たせ拙者11悪ござった弁当台は払い申す から平にご容赦 くだされ ははは皆さんかわいそうだから弁当台を 払ったら許してやろうではありません か彦一が笑いながら言うとみんなも笑って はははよろしうございますでは少し高いか もしれぬが握り飯1つ住文いただくことに しましょうと答えまし た侍は泣けなしの財布の中から40問 取り出して前に並べると近づいてくる役人 の手前えへんと咳払いして歩き出しまし た商やさんも彦一も百姓たちも顔を 見合わせて笑い転げまし たそして勝たちはまたすぐ穴を掘り始め まし たそれは彦一の言葉で大石を担いで運ぶ よりも穴を掘ってうめた方が手数がかから ぬと気づいたからでし た第36は犬の 喧嘩殿様の老心にキタ衛門というとても 頑固な侍がありまし た理屈にあおが合うまいが一旦言い出した ことはテコでも動かぬという変わり者 ですある日のことです その金太左門とこれはまたけちんぼで通っ ている老身の軍兵の2人が喧嘩を始めたと 見え互いに青筋を立て ながらおさきを願いますと言って殿様の前 にまかり出まし たいつものことだから殿様は笑って 両人いかがいたしたの

じゃはい金太左門殿の分からず屋には ほとほと呆れもしまし た実は昨日の こと私の飼犬の白と金太左門殿の飼犬の黒 とが喧嘩を始めましたが白の力やまさり剣 黒が散々の敗北で今朝とうとう死んで しまったそう でところが金太左衛門殿は黒を生かして 戻せ出なかったら死んだ黒と寸分変わらぬ 犬を探してこいとこうなんだを申すので ござい ますこれこれれ 軍兵の力やまさり剣とはなんだ尋常の勝負 なれば文句は言わぬその方の家臣が白に力 を貸したからうちの黒が負けたのじゃさあ 活かして返せ生かして返せなかったら寸分 違わぬ犬を探してこい武士の一言後には 引かぬぞ それを聞いていた殿様 は両人ともしばらく待てと仲裁に入りまし た時に軍兵その方のところにはこの間立派 な犬が生まれたと申したではないか黒の 代わりに1匹金太左門に分けてやっては どうじゃ どのとんでもないことをあの子犬は1匹 御料もする名剣でござい ますただやるとはもっての ほいや拙者も敵の子犬などはもらい申さ ぬ ははは困ったやつ じゃ殿様は思わずお笑いになりましたが どちらも変わり者同士だからほっておけば 果たし合いでもしねない 勢いなんとかうまいさきはないものかとお 考えになっているうち ふと彦一のことをお思い出しになりまし た幸い今日は若殿の相手をするたに彦が朝 からお城へ来てい ます殿様は早速彦一を呼び寄せて訳を 話しどうじゃ彦一世の明大として2人が 満足するように裁判をしてはくれまいかの とせになりまし た彦一はしばらく考えいましたがやがて にっこり笑ってお受けすると大りで2人の 名を呼びまし たこれ金太左衛門に軍兵手をあげ いこんなことを言わなくとも2人は ちゃんと顔をあげてい ますなんじゃ 彦一なんじゃ 小僧これ殿の明大に向かって失礼であるぞ 時にくべその方犬の喧嘩に家臣を火星に 出すとはふきであるぞついてはもし黒と 寸分違わぬ犬がいたらそれを買い取って 金左衛門に返す

か寸分違わぬ犬なんているはずがないと 思っている軍兵は平気で答えまし たいかにも買い取って返すで ござろうそうかそれで安心いたした幸いよ は黒と寸分違わぬ犬がいるところを知って いるバカを申せ寸分違わぬ犬なんている もの かところがいるから不思議じゃこれ金太 左衛門せっかく軍兵がその犬を連れてきて もその方が違うと言えば無駄になるこれ から軍兵と一緒にその方も犬を受け取りに まれ よろしいもしそんな犬がいるなら軍兵と 一緒に参ろうだがもし輪でも違っていたら 彦一その方の首をもらう ぞうむこれは面白い一緒に参ろう 100百勝のこがれから呼び捨てにされた 2人はよっぽど尺に触ったらしくこうなれ ばもう彦一が相手とばかりカカに生り立ち ました 殿様もひこ一目大変なことを言い出した ものと心配そうな 顔だが彦一は相変わらずニコニコしてい ますしかし両人地と遠いところだ ぞうむごりあろうとじりあろうと いやあもっと 遠い20りでも30りでもいやもっと遠い ぞ一体どこ じゃ ふっふっふそれは10万億を隔てたところ じゃわい えだって両人よく聞け昔から死んだものは 必ず明度へ行くものだと決めてあるだから 黒もきっと言っているに違いない寸分違わ ぬといえばあの世の黒を連れてくる他ない ではない かしかし明度へそのままでは行かれぬさあ 両人とも腹を 切れおお いかにもその通りじゃ両人ともはを行って こい殿様もお人が悪い彦一の策略が別れと おかしさをこらえて咳たてまし たとさすがの2人もすっかり並行して互い に顔を見合わせまし たのキタモンドの 拙者の子犬を黒の代わりにもらって くださらぬ かなるほどどれも立派な子犬でござったな では1匹譲ってもらおう かとけろりとした顔で相談を始めたのでと 様も波いる胡椒たちも彦市ももうたまらず プっと 吹き出し果てはどっと笑い出してしまい まし た第37話振袖

問答菊のをった菊神社は桜の名所で花の頃 になると毎年細川校は獣心たちを引き連れ て御三系になりその折り花見の縁を催すの でし た八代の殿様は細川校の客分で第1の重心 ですから その花見が近づくと細川港の奥方 から八代の殿様の奥方へ手紙が届きまし たそれに はいよいよ菊神社花見の縁が近づきました が今年は姫を始め家臣の娘たち一同は 同じ色同じ模様の振り袖で似て産経する ことに決めまし たジは焼け柱白色模様はめくの芝 です底本様の姫も間違いなくこのいたち にてご産経くだされたしという意味のこが 書いてありまし たこれを読みになった奥方は困りはてて頭 を抱えてしまいまし たそれもその はず焼けばら色だのめくの芝の模様なんて これまでに聞いたこともなかったから ですそこで早速物屋や服屋を呼んでお尋ね になりました がただ首を傾けるだけで誰もお答えする ことができませ ん散々考えあねた末に奥方はひょい とこれはきっと細川校が謎を出しになった に違いないとお考えつき気になりまし たそこでこのことを殿様にご相談になると 殿様 はいかにも謎に違いないだが待てよこれ くらいの謎ならわしだって解ける良いか柱 が焼けると黒くなるから焼け色というのは 黒のことだ またメクは芝居を見ても目の先は真っ黒だ だからメクの芝居身の 模様というのも黒のことだと得意気に言わ れまし たなるほど そういえばそうですけれども黒の字に黒の 模様と申せば全部真っ黒になってしまい ます ねいやそこが守行というものだ花見といえ ば男が女の真似をしたりするではないか 同じように娘たちが黒い着物を着て男の ようなふりをしたってちっともおかしくは ないではない かでもなんだ か奥方は女だけにまだ腑落ちぬところが あるよう ですでは念のため彦一に聞いてみようなあ おくわしだってまんざら頓知がないわけで はない ぞ殿様はすっかり南台を解いたつもりで

得意になりすぐ使いを立てて彦市を 呼び寄せになりまし た殿様何事でございます かお彦一ご苦労ご 苦労実は熊本からこんな手紙が参って 焼けとめくの芝居というのが問題になって いるのじゃどうじゃ彦一わかる か へえそうでございます ふむ手紙を読み終わった彦一はいつもに 両腕を組み目を閉じてじっと考え込んで しまいまし たそれを見ると殿様はますます得意になっ てどうじゃ彦一どうしても分からぬとあれ ば考えて使わそうか むむ彦一はそれには答えもせず考え込んで いましたがやがて大きく頷くとパッと目を 開いてにやりと笑いまし た ああやっとわかりましたが殿様はなんとお 時になりました かうむ 焼け柱色というのは黒い色のことじゃまた めくのしみというのも黒じゃつまり すっかり真っ黒な着物のことだ よ高殿様が申されると彦一はお腹を抱えて 笑い出しまし たわっはっはっは と様まそりゃ大間違いでございます よ えなんで 違う棚様それでは読んでしの通りで謎の 答えではありませんそれにお姫様方が 真っ黒な振り袖を着てお花見なんてまだ 聞いたこともございませ ん うむではどいうわけ じゃた様焼けとは燃えた木のことでござい ましょうだから焼け色といえばもぎ色黄色 がかった緑のことでございます よなるほど そういえばそうじゃのそれからめくの芝居 とはの模様のことでございます よバカもせめくのしみがなんで聞く だだってめくには何も見えない でしょうだから真っ黒ではないかいえ何に も見えないで聞くばかり ですああそうかでは聞くばかりの模様と いうけかはいそれに間違いはございませ ん殿様は居った手前急に関心もできず思わ ず手を上げて頭をおかきになりまし た奥方はぷっと吹き出されてほっほっほ ああよかった危なく姫に男の着物を着せて 花見にやるところでしたとお笑いになり まし

たぐっすりお休み朗読今回は飛行市のトジ 話上編です小山克を作改正者文庫さんの本 を許可を得てお借りしています今回は第 31話から第37話までお届けします だんだんひこ一と殿様がトチのおかげで 仲良くなってひこ一が殿様に物を申すのを ハラハラしながら読んで楽しんでおります 皆様もどうぞお楽しみくださいそれではお やすみ なさい 第31話目隠し 競争彦市の村の若州と隣の村の若州が一緒 に集まりまし た内神様が同じなので毎年1度はこうして お祭りのことを話し合うのでし たそのお祭りには能の余として相撲と 力比べとがあり ます両方の村から同じ人数の選手を出して 勝ち負けを争うのです がこの2つの競技で勝った方には両方の 商家さんからお米を5票ずつくださること になってい ます ところ が昨年も一昨年も相撲は彦一の村が勝った が力比べは隣村が勝ち共に一生いっぱいで 勝負がつか ず商品のお米は2年もお預けになっている のでし たそこ で今年は是非勝負をつけようではないかと 話し合いました が選手の力を考えると今年もどうやら一生 いっぱいになりそう ですすると松田に控えていた彦市が進み出 て口を開きまし たもしもし皆さん競技が2つだから 勝負がつかんのですだから今年1年だけ もう1つ加えたらどうですそうしたら きっと勝ち負けが決まります よなるほど そういえばそうだだが一体どんな競技を 加えたらいいか な隣村の若州が聞き返しまし た彦一はしたり顔で答えまし た人が見ても面白いものでなければいけ ない目隠し競争はどう でしょう え目隠し 競争両方から目隠しをした選手を1人ずつ 出し杖を頼りに1の鳥から配電の石段まで の間を2階往復させて早い方が勝ちと 決めるの です わははそりゃ

面白い彦一らしい思いつきだとみんなは手 を叩いて賛成しまし たさてまもなくそのお祭りの日となります 前からの評判通り相撲は飛市の村が勝ち 力比べは隣村が勝ちまし た力比べというのは大きな石を担いでお宮 の周りを回る競技で一巡りでも多く歩いた 方が勝ちになるのです さあ今度はいよいよ目隠し競争 です両村の人々は道の両側に黒山を築いて 見物してい ますやがて厳しく目隠しをした選手が1本 の杖を持って1の鳥居の下に現れました 隣村の選手は見るからにたましい若者です が彦一の村の選手は痩せてヒョロヒョロし ていますだからみんな隣村の選手が勝つに 違いないと思ってい ますと どん合津の大大子が鳴ると2人の選手は 駆け出しました なるほど 隣村の選手は 早い立ちまち45mも前に出ましたが 目隠しをしている悲しさ何かにつまづいて どさりと転びまし たが彦一の村の選手は早くこそないが コツコツと地を叩いてかけていく有様は まるで勘のいいあんまさんのようで つまづきもしなければ戸惑いもせず ぐんぐん前に進んでいき ます一方の隣村の選手も起き上がって一生 懸命駆け出しましたがまたも石田に つまづいて こり果ては方角を失って両側の見物銀に 突き当たるという始末 ですその度に見物人はどっと笑い声をあげ て生やし立て ますこうして彦一の村の選手はぐんぐん 相手を引き離して見事に決勝点へ飛び込み まし たうわあ勝ったバザ 万歳味方の割れるような勝ちどきに選手は 嬉しげに当てていた目隠しを外しまし たとこれを見た見物人はああと驚きの声を あげましたがまもなくお腹を抱えて笑い 出しまし たそれもそのはずですその選手はさしと いう本当に目の見えない人だったの ですなるほど 目隠ししてのかっこなら目よりも初めから 目の見えない人の方がうまくかけるに違い ありませ んこれも彦市が考え出した頓知でし た 第32

話新年 宴会お正月になりまし た殿様から彦市の元にお使いが参りまし たその方の度々の手柄を少し特に5日の 宴会に招いて 使わす小夜を始め村の役人ども8名にて 途上 せよという向上 です彦一はありがたくお受けいたしました がまたしても難題を持ちかけるつもりだ なあは8人に限ったのが臭いぞと考えまし たしかしそれだけでは何のことかわかり ませ ん長夜さんに相談して他に6人の村役人を 選び5日になるとみんなで8人が生いをし てお城へ参りまし た すると茶房主に案内されたところは百敷の 大 広間今日はブレ光身の上下を抜きに楽しむ 宴会というので殿様も一緒になり総登上の 家臣たちが大きく車座を作って汚染に 向かってい ます8人は広間の入り口に平服してお祝い の言葉を述べまし た新年おめでとう存じ ます殿様はぎっされて おお8人のものよくぞまいった苦しない ずっとちまれそしてその前 けは 恐る恐るみんなが前を見ると広間の中央に 8人のお染が1列にずらりと並べてあり ますさては食べ方の難しい料理を出して 自分たちを困らせ宴会の余興とするつもり だ な彦のおかげでひどい目もん だ小夜さん始め村役がひこ市を恨みながら 仕方なく前に進み出ようとする とこれ 彦市その方が8人のちょうど真ん中に座る のだ ぞと様は急に意地悪そうにおっしゃいまし た彦一ははしまったという顔で慌てて小夜 さん方を引き止めまし たどうじゃ彦一もしそれができなかったら 目通り叶わぬ帰れ 帰れ [音楽] うむさすがの彦一も目を白黒させるばかり です人数が奇数だったらどちらから数えて も 真ん中に当たる席順がありますが偶数では それができないの です帰ってしまえばそれまでですがそれで は自分が笑われるだけでなく喜んできた

小夜さんや村役人に申し訳がありませ ん彦市はここがトの出しと珍しく手を組ん で考え込みまし た万座の家臣たちはひこ扁桃をいかぎと片 を飲んで控えてい ますとやがて彦一はにやりと笑って顔を あげまし た申し上げます真ん中でさえあればどんな 風に座ってもよろしござえます かうむ今日はブレ光じゃその方が真ん中で さえあればいよに座っても苦しない逆立ち しようとあを描こうと大事ない ぞ はでは皆さんおいで なされ彦一は七銀のものを引き連れてお染 の前に進み出まし たそしてわざと大声 で皆さんただいま殿様からどんな風に座っ てもいいとお許しがあった私たちも車座に 座ろうではありません かこう言うと一のなりに並べてあったお染 を七 だけ丸く車座に置き換えてその前にやさん たちを座らせまし たそして自分は残った1つのお然を持って 車座の真ん中にちょこんと座り込んでから 言いまし たこれでは殿様いかがなもので私がが8人 の真ん中でござい ましょうなるほどこれでは飛1が真ん中に 違いありませ んこの難題は殿様自身が考えつかれたもの だったので思わず手を上げて頭をおかきに なりまし たうわっ はっはっは殿も見事にれましたなうわっ はは家臣たちも商家さんたちも どっと笑い転げまし た第33話彦市の友達 ある日のこと彦一は馬に焚きを積んで町に 売りに行きまし た焚き木焚き木はいりません か町をこう言いながら歩いていると目が ぎょろりとしていかにも油断のならない顔 をした風呂屋の主人が呼びまし たおいその焚きは1はいくら だ1は10問でござい ますそうかではその馬に乗せてあるのを 全部買って やろうみんなでいくらに なるみんな買ってくださるならご文にして おき ましょうよしよしではご住文渡す ぞありがとうござい ます値切りもしないで買ってくれたので

彦一は顔に似合わぬ分かった人だと ホクホクして馬の背から焚きを下ろしまし たではみんなでロパでござい ますと主人はぎょろりと目を向いて口を 尖らせまし たこれこれれまだ残っているではない かそんなはずはありませ ん暗が残ってるじゃないか えだって俺は馬に乗せてあるものを全部 買う約束をしたくも買ったうちにいるんだ よ ああそうだったかししまっ た彦一は思わず叫びまし たうわ ははひこ一どうだ参った かその主人は初めて彦市の名を出し手を 叩いて笑いました 油断 大敵さすがの彦一も返す言葉がなくくを 下ろしてこそこそと帰っていきまし たところがその翌日のことです彦市が ひょっこり風呂屋ののれから首を出しまし たおお彦一また焚きを売りに来た か主人は勝ち誇った顔で番台の上から声を かけまし た彦一はにっこりし ていやあ今日は他のことで町へ来たのです があまり寒いので風呂に入りたいと思っ て風チンはいくらです かフロチンは10問だよ 俺だけじゃない友達も入りたいと言って外 で待ってるんです よじゃあ20問 だでもその友達はとても大きいです よ はははバカだないくら大きくたってフロ チンに変わりはない よそうですかじゃあ友達を連れて くる彦市はフロチンを20問払って外に出 ていきましたがやがて妙に大きな足音がし たかと思うと番台の前にニュっと馬の顔が 現れてヒンと泣きまし た主人は飛び上がって驚きましたうわ 乱暴するな馬は外についでおき ないや何この馬も一緒に湯に入るんですよ ばバカなだってフロチンはちゃんと払って あるでしょ えではお前の友達というのはこの馬 かそうですともだからとても大きいと断っ てあるじゃないですかなあ青お前が1番の 俺の友達だなさあ一緒に 入ろうまま待って くれ主人は驚いたのなんの番台から 飛び降りて彦一俺が悪かったふちもくも 返すから勘弁して

くれと言って平りに謝りまし た

今回は小山勝清 彦一とんちばなし(上)の第四弾です。彦一の大ファンになってきています。彦一の活躍の舞台が大きくなってきています!6才の息子は、「ごまのはい」がお気に入りなのですが、あなたのお気に入りのお話は?よろしければコメントお待ちしています。
それでは、どうぞお楽しみください。

第31話 目かくしきょうそう
第32話 新年宴会 
第33話 彦一の友だち
第34話 なぞなぞ
第35話 石かつぎ
第36話 犬のけんか
第37話 ふりそで問答 

#昔話 #朗読 #読み聞かせ

過去の彦一特集はこちらよりどうぞ

【大人も子供も眠れる睡眠朗読】クスッと笑える楽しいとんち 彦一特集11選①

【大人も子供も眠れる睡眠朗読】クスッと笑える彦一とんち特集9選②

【大人も子供もぐっすり眠れる睡眠朗読】不思議と眠れるとんち特集 彦一とんちばなし③

5 Comments

  1. こんばんは。友香さん😊毎晩、朗読を聞くたびに、コメントを書こう書こうと思いながら眠りに落ちてしまいました。
    とんち特集大好きです。第23話、面白かったですよ。😋彦一と三太郎のやりとりにくすっと笑ってました。
    友香さんの男の子の声、とても良いですよ。登場人物の声になろうとせず、自然に力まずに発声されてるのが好き。
    それと、最初の『おやすみなさい』& 途中の『お、し、ま、い 』が大好きで、とても落ち着いて聞いていられます。
    今夜もまた、眠りのおともに聞かせて頂きますね。

    『おやすみなさい』

  2. いつもありがとうございます。優しいお声にゆったりとした心でお聞きしております。(^_^)

  3. 今夜も素敵な朗読をありがとうございます😊

    大好きなトンチ話嬉しいです❤

    では、おやすみなさいませ〜🌙💤✨

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