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【オリジナル朗読】冬に咲く花



【オリジナル朗読】冬に咲く花

ハロン冬に咲く 花原作水の 直純色 ササ語り長谷川 [音楽] 清遠い昔の 話雪深い山の中を1人の少年が歩いていた 名御すという年の頃は16体は小さくまだ 幼なさが残るあけない顔は冷たい風に当て られ頬を赤く染めて いるゴスは急ぐ足に合わせて息を吐き ながらか無両手に息を吹きかけ たあたりはゴゴと激しく風が鳴り雪は強く 御すの体を打ち付けていく 膝まで降り積もっている雪はややしめりけ を帯び歩くたにずずっと音を立てて 沈み込む足を上げるごとにまとわりつく雪 はまるでごぬ行手を阻むかのようであっ た今朝山に入った時はあんなに晴れていた のにごはそれを見上げた灰色の分厚い雲が 空を覆いにむ気配がない 急げ日が落ちる前に山を降りなければなら ないごは焦っていた吹雪のせいで目の前は 真っ白になり進むべき道も方角も分から なくなっていたの だやっとここまで来たのにこんなところで 死ぬのは嫌 だごは幼い頃に両親をなくし行商人である 仕方の親戚に世話になってい た数年は行商を手伝い食いついできたが ほどなく親方が行商を辞めることになり 五助は行場を失っ た親方は御すに好きなように生きろと言っ たそう言われて御すは江戸に行こうと決め たその時まで漠然と夢見ていたことを 叶えようと思ったからだ親方はそれならば と江戸に行った先でごが困らないように ひとまず食い物を稼ぐための方向先を用意 してくれ た元々五助は江戸の生まれであった幼い頃 家族で暮らした江戸でまた暮らせるように なるのはごにとって感慨深いものであった し希望を持った旅立ちだっ たところがこの吹雪一歩進むのはやっとに なり体はどんどん重くなっていく見渡す 限り真っ白な世界が続いておりもう右に 行けばいいのか左に行けばいいのか登って いるのか下っているのかも分からなくなっ てき た御すの体はどんどんこりさらに重くなっ ていっ たそして次第に意識が遠のく感覚に襲われ てき た おらここで死んでしまうの

かドスがとうとう眠るように降り積もる雪 の上に倒れ込ん [拍手] だそれからいかほどの時が立った か心地よい温かさにごの意識は呼び戻され 吹いていた雪や冷たい風は感じ ないもしあの世に来てしまったのだろう か おげん目を開けると不 に気がついたかいと女の声がしたその声に 驚き御すは身を起こし声のする方へ顔を 向け たそこには1人の女がい たは無表情のままこちらを見ているごは やはり自分は死んでしまったのだと思った なぜなら女はこの世のものとは思えない ほど美しい姿をしていたからで あるごはまじまじと女を見た女の肌は雪の ように白く陶器のような艶やかさを持ち目 は切れ長で涼しげながらも瞳は大きく そしてでいた現実とは思えないほど美しい 女をごは夢心地で見つめてい た お前話せぬのか い女はいぶかしそうに御すの布団を直した そこでごは初めて自分が布団に寝かされて いたことに気がつい た辺りを見てみるとそこは6畳ほどの 小さな小屋で真ん中にはこじまりとした いりが温かく火を灯しておりくべられた薪 がパチパチと音を立てていっ た強い風が小屋のとをガタガタと鳴らし 屋根が吹き飛ぶのではないかと思うくらい 小屋は古かったそして外はまだ吹いてい たおお前さん はここはおら一体どうしてここに 女はゆっくりと 立ち上がりいりにかかる土瓶から湯のみに 温かい湯を注いでゴスケと手渡してやっ たまずはこれを飲みゆっくりとね御すは女 から湯呑みを受け取るとその温かさに ほっとしゆっくりと湯呑みを口につけ た湯は暑すぎずちょうどよくゴスの喉を ゆっくりと通っていった思わず深く息を 吐い た生き返った御すはちらりと女の顔を見た がその表情からは何も読み取れず変わら ない無表情でゴスのそばに座っていた時間 をかけてゆをの見干し気持ちが落ち着くと 御すは改めて女に向き直ったしかし何かを 言おうと口を開きかけたところで美しい女 にじっと見つめられると途端に言葉を失い ただ口をパクパクさせるしかなかっ たそんなごを構うことなく女はごから 湯呑みを取りもういぱ温かい湯を注いで

やっ た お前吹の中で倒れておった私が通りかかっ て良かったのあのままでおったら来年の 春先まで氷付けじゃ確かにあの時死ぬかも しれないと思ったいやあのままだったら 死んでいた御すは先ほどまでのいてつく寒 さを思い出すとぞっとしたおいら急いでい たもんで山に入るまで晴れていたしそのろ な支度もしねえで山に入っちまった おまさんは命の音人だありがとうござい ます御すは布団を跳ねのけ床に頭を こすり付け霊を行っ たもういいさほら頭を 上げありがとうございます本当に ありがとうござい ます分かったからほらちゃんと布団をお かけあ はいごが布団に入ろうとしたところでぎる と御すの腹がなった女はきょとんとした顔 で御すを見た御すは途端に顔を赤くして 謝ったすまねおいら安心したら急に腹が 減っ て御すは恥ずかしさと気まずさで体を 小さくすると女はうんと頷いて口を開いた 弱ったね えここには食べられるものが何もないんだ よどうしようかねそそんな助けてもらった だけで おいらとここまで言うと御すは思い出し た今朝宿を出る際に握り飯を2つ持たされ ていたのだった1つは山に入る前に食べて しまったがまだ1つある 御すは少し考えると女に鍋はあるかと尋ね た女は不思議そうに鍋を取り出しごに渡し た御すは鍋に胃を入れ握り飯をほぐして 煮込み始め た握り飯は味噌で握られており持たされた 漬け物を細かく切って入れるとちょうど 良い塩けになったクツクツと煮込むと次第 に水分が米に座れ柔らかく が出てきたすは2つのお椀によるとさあ 食べましょうと女にお椀を渡し たいいのかいこんなことしかできねけど 食べて くだせ女はごから恐る恐るお椀を受け取る と中を覗いた保安からは温かい湯が 立ち上がりみそのいい匂いがし たは女の口に会うか心配だったので女を ひたすら見守っていたそんな視線を感じて か女は箸を取ると静かに雑炊をすっ た おいしい一口すすって女はそうつぶやくと さらに箸を進め た安心した御すも輪に口をつけ勢いよく口

に入れていっ たあまりで口に入れたものでごは勢いよせ た女はそれを見てふっと表情を緩めごは 照れながらゆっくりと雑炊をすするのだっ たそういえばまだ名前言ってなかったな おいらゴスって言うんだお前さん は ゆきふーんお雪さんかいい名前だな ぴったり だお前はどうしてこの山へ来たん だどこに行くつもりなんだ おいら江戸に1日も早く来たくてさ近道で 山に入ったんだこの山を通ると峠を早く 超えられるって聞いたんだ よそれは違いないが今の季節はけないよ ここで命を落とし お前の親も悲しむ だろう御すは箸を止め た おいら小さい頃に大かじにあってさ弟おは その時に死んじまっ たそうか いユは戸惑いどう言葉をかけていいか わからず箸を止めたそんな雪を見てごはへ へっと笑い勢いよく雑炊をすすっ たその後は親戚で行商をやってるおじさん に世話になってたんだけどおじさん体壊し て行商やめ るっておいらに好きなように生きろて言う ん だ好きなようにそうだからおいらは江戸に 行くって決めたん だどうして江戸に行くんだそりも早く 12万になって生きていくためだおいらの 好きなようにねだって信じられるかいおい らこのまま親方な後ついで行商人になると 思ってたでも今のおいら自由だもたもたし てたらもったいねえ だろ自由 かいいね ああゴスは元気よく返事をしてそれから急 に黙り込んだ ゴス空になった大安を置くとゴスは先ほど までの勢いをなくしぽつりぽつりと話した でもさあ実はこのまま死んでもいいかなっ と思って たどういうことだいおい らもも家族で江戸に住んでいたそれが7年 前の大でおいら1人になっ 江戸に行ったら思い出して足がすんじゃう んじゃない かっておいらが住んでいた長屋近所のおじ ちゃんおばちゃんそれにおとお母を 飲み込んだ地獄みてな大きな 日思い出すと震えてきて怖くてしょうが

ねえん だ御すは体を小さくして細かく震えた そしてあすまねあったばかりのさんに こんなことと深く息をつい た少しの沈黙な後ユは口を開い たそれ でお前は好きなようにどう生きるんだ い御すは背筋を伸ばすと顔つきを変え ておいら火を従える技を身につつけると 言っ た消しになるのかいいいや火を従えて操る それを見たみんなは手を叩いて喜ぶんだユ にはさっぱりわからなかっ た火はおっかねえけどひえて操ると美しく なるそれで見た人たちを魅了するん だ不思議そうなユを見てゴスは照れくそう に頭を描いた行商に行った先でそれを見た 時おいらの夢は決まったんだ夜空に浮かぶ 大きな火の 花火の花ああ花火 だ 花火ユはまだ不思議そうな顔をしてい た空 に火の花が浮かぶのかそうだよ知らねえの かいこれくらいの玉に薬をて筒に入れる だろそれでどかに火をつつけると玉が勢い よく筒から飛び出すんだビっ てそれで空の高いところまで上がったら 一気に爆発するんだバーンてな玉に詰まっ てたかに火がついて空に散らばるそれが まるで大輪の花に見えるんだ よゆはごの話を聞きながら眩しそうに目を 細め たそれ は綺麗だろう ね ああとっても綺麗だよ行商先でその花火を 見た時なおいらお父に肩車してもらって見 たのを思い出したんだ隣に行ったおっかが 手叩いて喜んでたっけそれでおいらも真似 してて叩いた母を奪だけど大切な思い出を くれたのも日だっ たおいら花火職人になりたいん だユは表情をコロコロと変えて一生懸命 話す少年が面白いと 思っお前 は小さいのに偉い ねごは急に恥ずかしくなってに背を向けた やめてくれよおらもう16なんだぜ子供 扱いはやめてくれ よ 16なんだ私はてっきりてっきりなんだ だって小さくて薄っぺらだからひひどいな おいらこれから大きくなるんだ よありもごのふれつらに勇が思わず小さく

吹き出したなんだ よ悪かったよ そうさ ねもう数年経てば御すも立派な男になる だろうよ ああ見てろ よ2人の間に名かな空気が流れた腹も膨れ 温かい日を前に御すは雪を見ていたゆも 穏やかな表情で御すを 見ユのことが知りたくなった御すは不にユ に問いかけたお雪さんはいつからここに いるんだいおっちゃんやお母さん はいつ からだろう ね気がついたらもうここにいたんだ よ生まれた時から1人 さすまねおいらの話ばかりおいら お雪さんみてな綺麗な人と話すのが初めて でつい舞い上がっちまっ たかやしないよごの話は 面白いもっと続けて おくれ御すはユの境遇を想像したこんな 人里離れた山奥にたった1人話し合いても おらずずっとここで暮らしている雪寂しく ないのだろうかいや寂しいに決まって いるでもそれがユにとっては当たり前の 日常なんだごは目頭が暑くなってきた雪は 物心ついた時からここでたった1人で おそらく寂しいという感情もなく生きてき たの だおいらの境遇なんて鼻水みてなもん だごは湧き出しそうになる涙を止めるため に上を向い たそして深呼吸してそっかならおいらの 親方の話を聞いてくれ よ本当におかしな人なんだと元気よく話し 始めた御すが身振り手ぶりをしながら おかしな話を次から次へと喋るとユは次第 に笑い声をあげるようになったそれがごに は嬉しくさらに話を続け たどれくらいの時が経っただろうか2人で 笑い転げふと静かになったするとさっき まで鳴っていた荒々しい風の音や揺れてい た戸の音が静まっていることに2人は気が つい たどうやら吹雪が収まったよう だやれ やれ体がほて溶けそうだ よユはそう言って小屋の外に出て行った 小屋の中は十分に温まり確かに体が暑く なっていた五助は雪に続いて小屋の外に出 たすると目の前に飛び込んできたのは 真っ暗な空に一面に広がるたくさんの星星 だっ た

うわあなんて綺麗なん だ おや空なんてどこにでもあるのに初めて 見るのか いこんなに綺麗な空は初めてだよ不思議だ な行商で色々な場所に行ったけど空を見て こんなに感動する なんてもしかしてお雪さんと一緒に見て いるからか な御すは 自分が走った言葉に自分でびっくりし たこんなことを言っちゃうなんてお雪さん はどう思うだろうと急いで雪を見た星に 照らされた雪の横側は恐ろしいほど美しく 御すは心臓の音が高なるのを感じ た私 もこんなに綺麗な空を見るの は初めてかもしれないね ごと一緒に見ているからなのかね えごは驚きさらに鼓動を早くし たユが自分と同じ気持ちなのかも知らない と思うと嬉しさで爆発しそうだっ た見てみたい ねユがぽつりと漏らし たこの空 に火の花が上がっあっ たらさぞかし綺麗だろう よ御すはそんな雪の言葉を聞いてもう一度 空を仰いだ曇りのない真っ暗な空にキーン と住み切った空気が星を美しく見せて いるここは遮るものは何もない小高い山の 頂上だったこの大きな空にどんと音をりか せ大きな大輪の花が咲くのをごは想像した お雪さんに見せたいごは力強く思い無し類 が起こっ た さあ中にお入り風など引いたら大変だおき さんなんだいおいらに5年いや3年 くれ3年したらこの空に大きな花を あげるそれ まで待っててくれねえ かやぶから棒にどうしたんだい おいら俺は江戸に行ったら名のある花火 職人に出入りしてたくさん仕事して経験 積んで1人前になってここに蹴ってくるそ し たらそし たら俺のお嫁さんになってくれね かユはごを見 た星に照らされたわずかな光でも分かる くらい御すの顔は真っ赤だっ たしかし御すの目はまっすぐ雪を見つめて おりその差しは星の光を移したように キラキラと輝いてい たユはごの瞳の中

に花火が上がるのを見たような気がしたユ はその一瞬の間に御すとの未来を描いた そうなれたらどんなにいいだろうとそう 思っ た私が嫁 にこんな子供の嫁 に随分とのぼせ上がっておいでじゃないか い確かに俺はまだ頼りねえかもしれねえで もも必ず1人前の花火職人になるなって みせるだからよしと くれ私は苦しいのは嫌いだよ言いかける 御すの言葉を遮るようにユは強く言った すまね御すは思い上がってしまって自分の 行動をはじ たそうだこんな美しい人が俺の嫁さんに なってくれるはずなんてねえじゃねえか なんだってこのこと言っちまったん だ御すは冷たい空気を肌に感じたさっき までは心地よいと思っていたレイキが今で は肌を刺すように痛い御すは大きく震え たもういいからお 入り子はうれ小屋に入ると後に続く雪が 通しな 低くつぶやい たお前さんが大人になろう が1人前の職人になろう が一緒に なんてなれやしないの さそれはどういうこと だ御すの問いかけに答えずお雪は黙った ままいりのそばに座ると小枝をくすぶって いる火に入れ たおお雪さんもう一度御すは声をかけたが ユは黙って火を見つめて いるごはなぜだかゆがとても苦しんでいる ように思えたお雪 さんそう言ってユの手を取り自分の方を 向かせ顔を見る とユは最初に会った時のように無表情に なっていたそしてただ 静かにじっと御すを見つめてい た御すはその美しくも冷たい視線に雪の 苦しみを 感じ取り言葉を発することができなかっ たなぜだなぜお雪さんはこんなにも辛そう にしているん だいりの中で薪のはる音だけがやけに 大きく感じ られる御すは待っていた ユが本当の胸のうを語ってくれるの をそしてユも御すが待っているのだと感じ たユはゆっくりと御すの手を包み喋り出し た私の て冷たい だろそんな

こと言いかけて御すはお雪の異様な手の 冷たさに気づい たこれ は手だけじゃ ないユは御すの手を自らの頬に当てがっ たどうだ い まるでまるで雪みたいに詰め て そう私は ね 雪雪 そう雪なのっ さ 雪御すはごくりと息を飲ん だ私はこの山に迷い込んだ人間 の正規を吸いながら生きているのさそんな の嘘 だどうして嘘だと思うんだ お前がこの山に入った 時空が晴れていた とだから大丈夫だと山に入ったん だろう あ私はいつもそうやって人間を 誘い込むお前 が行き倒れそうになった吹雪 は私が呼んだんだ えユは御すの驚いた顔を見て寂しそうに 言っ たこんな私 をお前は嫁にするというのか いそんなだっ てじゃどうして俺を助けたん だどうしてだろう ねお前はまだ子供だし お前のような子供の正規を吸うのは寝覚め が悪くなりそうだったからかも ねゴスは言葉が出なかっ たひれでお前を助けた けど久しぶりに誰かと話すことができて 楽しかったよユは御すを優しく見つめ言葉 を続け たそれ にお前は私を嫁にしたいとも言っ たそんな風に真剣な目で言われたの はいつぶりだろう ね懐かしく思うのは人のぬくもりを知って いたから か今となっては覚えていない けどそこから先は全て あかし 今の私 はあかしの中でしか生きられないの さユは寂しげに微笑むと御すの寝ていた 布団を綺麗に直しもう眠るように促し

た安心を しい今更お前を取って食おうとは思わ ないもう一眠りしたら世が開ける そうし たらお前はここから出て行き なさい五助は未だにユが人ではないことが 信じられなかった確かにユは冷たかったで もごにかける言葉やまなざしにはぬくもり があっ た温かい布団と安らぎを与え命を救って くれたそれに温かい雑炊まで一緒に食べた じゃないか それから御すの話を楽しそうに目を輝かせ て聞いてくれ た雪のあかしだから何だというのだ同じ 人間じゃないか御すは思いが抑えきれなく なった俺はお雪さんが好き だユの顔に戸惑いの表情が浮かんだお雪 さんは俺のこと嫌いか 嫌いじゃなかったらゆきは御すの口を塞い だそれ以上は聞きたくない聞いてどうなる ものでもないの だユの心の中でもう1人の自分が冷たく いっ たそんなに私と一緒にいたい なら私のものにして やろう他の男と同じように優しい言葉を 投げかけ幸せのに食ってしまえばいいいつ だってそうやって欲しいと思えば自分の ものにしてき たそしてごも他の男と同じように私を干し ている1つになりたいと望んで いるだったらそうしてやろうじゃない かゆはごの首を両手で掴んだあまりの冷た さにごはびくっとしたがそのまを見つめて い た雪はごの顔に近づくとふっと息を吐いた 途端に息はレキとなりごの顔を撫ぜたごの まつ毛がまたに凍りつき下が降り たごは食われると思ったしかしなぜだか 恐ろしいとは思わなかった雪が望んでいる ならそれもいいとそう思った ゴスは目をそらさずただユを見つめていた その目はユを思う気持ちで溢れてい た俺をお雪さんのものにして くれどうしてそんな目で私を 見る私には奪うことしかできない今まで ずっとそうしてきたんだ から欲しいと思えば相手が泣き叫んで 命乞いをしようと構わず奪ってきたそれが 雪だった雪はずっと乾いていた手に入れた そから乾いてくる止めどない乾きこの乾き は何なのか欲しい欲しくてたまらない穴が 開いているこの心を埋めるものが 欲しい

しかし欲しいと思うからこそ奪ってはなら ない お前はバカだ え江戸に行っ てやりたいことがあるん だろうそれなのにこんな化け物と一緒に なりたい なんて大バカだよ違うおさんは化け物 なんかじゃないごはまっすぐな目で雪を 見つめたお雪さんは俺の大切な人 だ何の偽りもない正直な目だっ たユはふっと笑ってぽつりと言っ たお前の 花火見てみようか ね御すはユの手を取りそっと下ろすと 優しく抱きしめ たユもそれに答えて御すの背に手を回した そうしてユはごに見られないように一筋の 涙をこぼし [音楽] た翌日昨晩の吹雪が嘘のように空は すっきりと晴れたごは新鮮な空気を胸 いっぱいに吸い込み雪を見 たじゃあ行って くるゆきは頷いた3年後の今日必ず帰って きてお雪のためにここに花火を あげるそれ まで待っていてくれよ な ああお前の帰り を待ってる よ御すは雪から離れがくいつまでも雪を見 ていたかったが気合いを入れると勢いよく 雪に背を向け踏み出し たそして振り返ることなく山を降りて行っ たお雪はそんな御すの後ろ姿を見送り見え なくなるまでずっと手を振ってい たごが見えなくなると雪は小屋に戻ったの 中を見回すと御すが使った湯のみや鍋が そのまま置かれていた隅には今朝まで使っ ていた布団が畳まれてい た雪はそっと布団に触れた布団は冷たく すでに冷え切ってい たそうか いここはこんなに も寒かったんだ ねそれから3年の月日が流れた雪の小屋は 変わらず小高い山の上にあった変わった ことといえばあれから大雪が降らなくなっ たこと山を囲む集落に住む者たちは空に なるごとに降り積もる雪に難儀していたが 随分と暮らしやすくなったと いう日は先ほど沈んだばかりで所々に残っ ている雪が赤色に染まりキラキラと光って い

た空は雲1つなく太陽を追いかけるように 濃厚の闇が迫っていた一番星が見え始めた そんな 頃 ピューと一筋の影が上へと空を走った そしてまもなく ドーンと大きな音を立ってて大輪の花が空 に咲いた赤色から濃厚へ変わる曖昧な夕闇 にリンとした美しい花が咲いたかと思うと 続いて小さな花が一際は美しく花開いた次 から次へと上がる花はどれも美しく住み 切った空によく生えた星星が輝き始めると 誇る花がさらに華やかに見え たこんな田舎の山奥で見事な花火が上がっ たもんだと山の麓に住む村人たちは空を 見上げて喜ん だしばらくして闇の 中山を上がっていく五助の姿があった背も 伸び力仕事をしてきたであろう肩や背中の 肉づきもよく炭聖な顔立ちは一目見て1人 前の青年と認められる御すははあはあと息 を切らして雪の小屋へと向かっていた ようやく帰ってこれたお雪が待っていて くれてるだろう か五助は生える気持ちに胸を膨らませ ながら急ぎ山を登っていったもうすぐつく もうすぐお雪に 会えるようやく登り切りごは星明かりに 照らされた雪の小屋を見つけ た途端に御すはまっすぐに走り出した お雪御すは勢いよ屋の戸を開けたしかし そこに雪の姿はなかった御すは小屋を出る と周りを探したもしかしたらまだ外にいる のかもしれないおき俺だゴスだ蹴ってきた ぞゴスは山中に声を響かせて雪を探した 輝く星星のわずかな明りでは遠くまで 見渡すことができず生き物の気配を感じ られないことに不安を感じた御すは小屋に 戻っ た小屋の中は暗くカと誇りの匂いがした星 のわずかな光が入り口から差し込み目が 慣れてくるといりのそばに湯呑みとひびた 鍋とが2つ置いてあるのが見えたまるで あの日のままのよう に視線をずらすと隅に畳まれた布団が見え そして見覚えのある着物が不自然に落ちて いるのに気がつい たその着物は着ていた人間が突然消えたか のような形で落ちてい たごにはその着物を着ていた人間がまるで 布団のぬりを確かいるように見え た 雪 そしてふと3年前の晩を思い出したお雪と 2人でこの布団に入って身を寄せ合い

ながら過ごしたあの 晩冷たかったユの体が御すの体温で だんだんと温かくなっていくごにとって それは嬉しく幸せな一晩だっただがユに とっては命をかけた一晩だったの だゴスは全てを悟っ たゴスは着物を手にしあるわけのない雪の ぬくもりを探し たしかし着物からは雪のぬくもりを 見つけることができなかった御すは着物を 抱きしめると声にならない叫びをあげた そして一晩中泣き続け たそれから数年 後江戸ではある花火職人の話題で持ち切り になったその職人は花火を冬にしかあげ ないという花火といえば夏の風物師だが 珍しいものが好きな江どっこたちはこぞっ てその冬の花火を見たがった 流行りに乗ったとある大臣が通い詰めて いる吉原の乱のために冬に花火をあげて ほしいと職人に依頼をしたそうして江戸中 が待ちかねた話題の職人の花火が冬の冷え た空に咲いたその花火は夏に上がるような 派手さはなく見たものによっては物足り なく感じるものもいたそうだが繊細な美し さに さと切なさを感じ取り涙を流すものもいた と いう冬の住み切った空気によく生える花火 だと金を持て余している者たちはこぞって その職人を抱え込むとしたが職人は首を横 に振り続け たその後職人は各地を巡りながら冬になる と花火を至るところであげ続けた 何のために誰のためにあげるのか知るもの はいなかっ たただ職人は命尽きるまで冬に花を咲かせ たと [音楽] いう [音楽] T

【読み手】長谷川稀世

6歳で初舞台を踏む。
以降、映画、テレビドラマへの出演多数、商業演劇、新派、新劇(劇団青年座)を経て現在に至る。

2002年度青年座公演に於いて読売演劇大賞 優秀女優賞を受賞している。
2010年には朗読「響の会」の発足、定期的に「読み語り 響の会」を上演している。
またNHKでは「蓼食う虫」(著・谷崎潤一郎)の長編を朗読。
最近の出演舞台では「ザ、ウェルキン」(劇場コクーン)、 「老後の資金がありません」(新橋演舞場)があり、現在も意欲的に舞台やテレビドラマに出演している。

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さあ!!満を持して!!!あのボケ倒しのはにまろんが!!
完全オリジナルの超大作スーパー巨編朗読に挑みます!!
最初は軽い気持ちで代表水野が飲みの席で思いついたお話しだったのですが…いつの間にやら、色んな方々が助けてくれたりして…もはや別の作品でございます(笑)
あまりにもちゃんとした作品になったので、もはや僕の名前は外してくださいと懇願したんですが、sasaさんお心遣いで原案で名前が入っております!!
しかし!!もはや文芸作品と言っても、芸術作品、いやアートそのものと言っても過言ではない作品に昇華してくれたのは、あくまでsasaさんのお力です!!そう!!まさに聴く純文学!!
耳で楽しむ芸術!!こころあらわれる文芸作品!!!
そして、sasaさんの素晴らしい作品に、そして素晴らしい人柄に共感してとんでもない大物女優さんが参加してくれる事になりました!!
長谷川稀世さん!!!ご存知昭和の大スター!!名俳優の長谷川一夫さんのご息女で、数多くの作品に引っ張りだこの素晴らしい女優さんです。その活躍は映画にテレビに舞台にと大忙し!!
なのに!!!うちみたいな小さいチャンネルにも「いい作品だから」と快諾してくださいました!!
もはや僕も音響してくれた稲垣も緊張で手も声も震えっぱなしですよ!!
そして、残された編集作業をしながら代表みずのは悔しい思いでいっぱいでした。
これだけの作品!!こんなすごいキャスト!!!
うちではもて余す!!もったいない!!これはもうNHKとかの朗読番組おはなしのくにレベルなのに!!!
その悔しさをバネにチャンネルの成長を改めて自分に誓いました!!! 
だってですよ?長谷川一夫先生といえば、昭和を代表する二枚目の時代劇スター!!
綺羅星の如く輝く、時代劇六大スタアの一人!!
阪東妻三郎さん、大河内傳次郎さん、嵐寛寿郎さん、片岡千恵蔵さん、市川右太衛門さんと並び称され、昭和の激動のなかで輝き続け、映画銭形平次捕物控や雪之丞変化などの名作に主演され、晩年には宝塚歌劇の「ベルサイユのばら」の初演で演出もされたそうです。
そんな、昭和の大スタアのご息女である長谷川稀世さんにご参加いただけるのに!!!
うちのチャンネル!!!小さすぎ!!!悔しい!!!sasaさんのシナリオもいいのに!!!
長谷川稀世さんの朗読もすごい迫力なのに!!!
でも、嘆いていても仕方ありません。ここは開き直って…

さあ!!sasaさんの良質なシナリオと、長谷川稀世さんが長年女優として積み上げ続けてきた素晴らしい珠玉の言葉の数々をお楽しみ下さい。
ある山小屋に住まう妖艶な美女と、遭難して死にかけた、まだ年端もいかぬ主人公。
少年の真っ直ぐな想いと、美女の抱える苦悩。触れ合う指、そして心。
刹那の芸術、一瞬の花火のように重なり合う二人、一夜の恋。消えぬ愛、永遠の傷。
ああ。書いていて代表みずのは涙が止まらず、パソコンのモニターが滲んでいきます!!!
こんな良作に出会えたこと、製作に関われたこと、何より編集させてもらえたことははにまろんの、そしてみずのの大きな財産になりました!!
この概要欄をかりて…潤色、そしてキャスティングからディレクションまですべてこなしたsasaさん。お忙しい中、快く出演を引き受けてくださった長谷川稀世さん。同じく忙しいのに無理やり召喚されて音響オペから整音作業まで素早く仕上げてくれた稲垣杏橘君に厚く御礼申し上げます。

sasaさんの代表作「call me」はこちら⇩⇩⇩

sasaさんのイラストが楽しめる作品「マッチ売りの少年」はこちら⇩⇩⇩

sasaさん朗読してる怖いお話し「エレベーターの花嫁」はこちら⇩⇩⇩

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1 Comment

  1. 皆様、ご覧いただきありがとうございます!!
    YouTube劇団はにまろんです。
    コメントもぜひぜひお待ちしております!!
    YouTube劇団はにまろんの代表作「ウソがきらいな王様」もよろしくお願いいたします!!
    https://youtu.be/psa1461yWIw

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