世界最大規模の音楽祭であるコーチェラが開催され、世界中で話題になっていますが、その舞台に藤井風さんやCreepy Nutsなど日本人アーティストも出演し、注目されていることをご存じでしょうか?
なにしろコーチェラと言えば、8つのステージで3日間にわたる多彩なライブが開催され、出演アーティスト数は100組を超えると言われますし、さらにそのプログラムが1週目、2週目と2週間にわたって繰り広げられるため、累計の参加者数は25万人を超えると言われる巨大な音楽フェスです。
今回は日本人アーティストとして、藤井風さん、Creepy Nuts、¥ØU$UK€ ¥UK1MAT$Uさんの3組が選ばれ、それぞれ素晴らしいパフォーマンスを披露していましたので、ご紹介したいと思います。
Creepy Nutsの初日ステージは大成功
まず初日である金曜日に出演したCreepy Nutsは、Gobiというステージで、その日のトリを飾る形での出演となりました。
ステージのトリというと、昨年XGがSaharaのトリを飾ったことが大きく報道されましたが、実はコーチェラにおけるメインステージ以外のトリは、メインステージにおける目玉のヘッドライナーの裏になってしまう関係で集客が難しいと言われています。
しかし、当日は見事にGobiのテントから溢れるほどの人が集まり、大盛況のステージとなりました。
コーチェラがYouTubeに公開している動画を見て頂ければ、1曲目に披露した「ビリケン」から、R-指定さんの「コーチェラ!ジャンプ!ジャンプ!」の掛け声で観客がいきなり巻き込まれて、盛り上がっていることが良く分かると思います。
筆者は当日現地で前の方でこのパフォーマンスを見ることができましたが、驚いたのはステージの前の方も日本人以外の観客が多くを占めているにもかかわらず、「Bling-Bang-Bang-Born」や「オトノケ」などの人気曲では、海外のファンが日本語でも歌唱をしていたことです。
公演が終わってから、まわりにいた何人かに直接お話を聞いたところ、多くの方はやはりアニメ主題歌からCreepy Nutsを聞いてファンになったとのことでした。
ただ、なんと翌日の米国のビルボードの1日目のベストモーメント10組に選ばれていますから、アニメファン以外の広い音楽ファンに彼らの良さが届いた1日だったと言えると思います。
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日本語と英語の楽曲を組み合わせた藤井風
そして2日目の夕方の出演となったのが藤井風さんです。
実は藤井風さんが出演した16時半という時間帯は、午前1時過ぎまでヘッドライナーのステージが続くコーチェラにおいては、かなり早い時間帯のため、これまた集客が難しい時間帯と言われています。
しかし、藤井風さんもMojaveというステージの巨大なテント一杯に観客があつまり、大盛況のステージとなっていました。
藤井風さんといえば、昨年「Prema」という全曲英語詞のアルバムをリリースして大きな話題を呼びましたが、今回のコーチェラのステージでは、日本語曲と英語曲を組み合わせてパフォーマンスを披露。
これまた多くのファンが、日本語の歌詞の歌も歌いながらパフォーマンスを楽しんでいるのが印象的なステージでした。
この時間帯は、後半の夜の出演者のステージの場所取りにくるファンも多い時間帯のため、藤井風さんのことを初見だった方も少なくないと思われますが、そうした初見の方々の心もつかんでいたことは会場全体の盛り上がりを見れば明らかだったと言えるでしょう。
大量の観客をあつめた¥ØU$UK€ ¥UK1MAT$U
なお、今回のコーチェラの日本人アーティストで最も多くの観客を集めたのは、DJの¥ØU$UK€ ¥UK1MAT$Uさんです。
¥ØU$UK€ ¥UK1MAT$Uさんは、藤井風さんの後の時間帯に、去年XGも出演したコーチェラで最も大きい屋根付きSaharaでパフォーマンスを披露。
¥ØU$UK€ ¥UK1MAT$Uさんは、3月にマイアミで開催されたUltraという音楽フェスでもヘッドライナーとして出演されるなど、今世界が注目するDJの一人。
実は、コーチェラにはDJのパフォーマンスを聞きながら踊ることを楽しむ参加者が多く集まっているため、巨大なSaharaのテントに溢れんばかりの人が集まっているのが非常に印象的でした。

さらに¥ØU$UK€ ¥UK1MAT$UさんはDo Labという別のステージでのサプライズでのコラボ出演もされており、その注目度の高さが良く分かる結果と言えると思います。
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コーチェラには、世界中の国からアーティストが招聘
今回、特に藤井風さんとCreepy Nutsのパフォーマンスを現地で体感して感じたのは、日本人による日本語の楽曲が、間違いなく世界の音楽好きの人達に届き始めていると言う手応えでした。
ただ、一方でそれは今まで「日本の歌は世界で通用しない」と思い込んでいた前提に立てば、という条件付きです。
実は今回のコーチェラでは他の非英語圏出身のアーティストも多数出演し、大きな注目を集めています。
象徴的なのは3日目のヘッドライナーを務めたカロルGがコロンビア出身であり、MCをスペイン語中心に行っていたことでしょう。
今年はスーパーボールのハーフタイムショーでプエルトリコ出身の歌手であるバッド・バニーが史上初となる前編スペイン語によるパフォーマンスを行い話題になっていたように、ラテンミュージックが米国で存在感を増していることを象徴するシーンだったと言えます。
またKPOPからはBIGBANG、KATSEYE、TAEMINの3組のアーティストが出演。
特にBIGBANGはカロルGの裏でオープンシアターというコーチェラで2番目に大きい野外ステージのトリを任され、巨大な観衆を集めていました。
筆者も会場で驚いたのは、本当に多様な人種の人達がBIGBANGのパフォーマンスに熱狂的な歓声を送り、英語の歌詞だけでなく韓国語の歌詞も大勢が大合唱で歌っていたことです。
BIGBANGは2006年デビューと、今年20周年を迎える歴史のあるグループですが、6年間もの活動休止期間を経ての活動再開となりますが、そのファンの熱量が未だに非常に高いことが良く分かる結果となりました。
他にも今回のコーチェラにはイスラエルやアイスランドなど、様々なアーティストが出演しており、実はすでにコーチェラは音楽におけるオリンピックやW杯のような位置づけになっていると言えるわけです。
つまり、世界に届きはじめているのは日本の音楽だけでなく、様々な国の音楽も、それぞれ同様に世界に届きはじめている構造になっていると言えます。
国を挙げてBINIの出演を応援しているフィリピン
その象徴と言える存在だったのが、今回東南アジアの女性グループとして初のコーチェラ出演を果たしたBINIです。
BINIはフィリピンで2021年にデビューした8人組のガールズグループですが、フィリピンでは文字通り国民的な人気があるグループのようで、当日のコーチェラ会場にも大量にフィリピンから応援に駆けつけていたようで、そのファンの熱量には筆者も圧倒されるほどでした。
特にBINIとフィリピンのファンダムの凄さは、コーチェラ公式YouTubeやInstagramにアップされているパフォーマンス動画の再生数において、BINIがヘッドライナーやKATSEYEなどの世界的人気のあるアーティストと並んで2位に食い込む勢いを見せている点に現れていると言えます。
一部のファンの方に話を聞いた印象だと、BINIのコーチェラ出演の快挙は、フィリピン国内でも大きな話題になっているようで、テレビなどのメディアでも出演決定時から大きく報道されていたようです。
また、BINIのファンダムも「BINI PPOP PRIDE」を合い言葉に、P-POP(フィリピンPOP)の代表としてのBINIを応援する大キャンペーンを展開。
その結果、多くのフィリピンのファンがBINIのパフォーマンスをYouTubeで生で視聴し、SNSにも大量の投稿を実施し、「#BINI_CoachellaWk1」というハッシュタグが、Xで世界トレンド1位を獲得する快挙を達成しているのです。
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フィリピンの国民的ガールズグループ BINIが、世界最大級の音楽フェスティバル「コーチェラ2026」に出演し、フィリピン人
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J-POPの未来に必要なのは、メディアの関心かもしれない
翻って日本の現状を鑑みると、実は日本では日本人アーティストのコーチェラ出演は、出演後はまだしも、出演前にはそれほど大きく報道されていないことが分かります。
特にテレビ局が日本人アーティストの出演映像を生でYouTubeライブで視聴できることを事前に紹介することは希でしょう。
もちろん、今回が東南アジア初という歴史的な快挙になったBINIと、日本のアーティストを単純比較することには意味がありませんし、日本人アーティストは1999年にCorneliusが出演して以降、X JAPANやPerfumeなど様々なアーティストがコーチェラに出演を果たしていますから、珍しくなくなっている面はあるのかもしれません。
ただ今回BINIがコーチェラをきっかけに、世界中から注目される存在になっていることには、明らかにフィリピン国内の大きな盛り上がりも貢献しています。
昨年のXGは、BINI同様にSNS上でも世界中のXGファンが連携して「#XG_Coachella」というハッシュタグ投稿をすることで、Xで世界トレンド2位に入る結果になっていましたから、実は日本人アーティストでも可能であることは証明されています。
コーチェラで世界トレンド2位のXGに学ぶ、デジタル時代に価値を増すライブの意義(徳力基彦) – エキスパート – Yahoo!ニュース
世界最大規模の音楽フェスとして有名なコーチェラにおいて、XGが初週に引き続き2週目も素晴らしいステージを見せたことが世界中
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実はJーPOPのアーティストがコーチェラの舞台という機会を最大限活かしてさらに多くの世界の音楽ファンを増やすためには、実は日本のメディアとファンの関心が日本人アーティストのコーチェラ出演自体に向かうことが必要ではないかとも考えられるわけです。
日本人の歌やラップ、DJのスキルは世界に通用する
今回、Creepy NutsのR-指定さんが、最後の曲の前のMCで、「日本からラップとDJという自分達の武器だけを持って、このコーチェラという世界最高のフェスにやってまいりました。」と話されていたのが非常に印象的です。
これまでコーチェラに挑戦している日本人アーティストの多くは、KPOPのような国の支援があるわけではなく、自分達の歌やスキルの可能性を信じて海外に挑戦してきた先駆者と言えます。
またR-指定さんは「俺たちの言葉と相方の音が、言語やいろんなものを乗り越えて伝わって、皆さんと一つになれて一緒になれた瞬間、そんなものをこのコーチェラで見せてもらいました。」とも話されていましたが、藤井風さんとCreepy Nuts、そして¥ØU$UK€ ¥UK1MAT$Uさんが証明してくれたように、日本人の歌やラップ、DJのテクニックが世界に通用することはもはや疑いようがない事実です。
その魅力をさらに多くの世界の人達に知ってもらうためには、実は筆者も含め日本のメディアや日本人自身がもっとコーチェラのような世界の音楽の舞台への日本人アーティストの挑戦に興味をもって応援し、盛り上げることが、重要なのかもしれない。
そんなことを感じたコーチェラの舞台でした。
コーチェラは2週連続で同じアーティストがパフォーマンスを行いますので、実は藤井風さんやCreepy Nuts、¥ØU$UK€ ¥UK1MAT$Uさんのコーチェラでの出演は、今週末にもう一度YouTubeで生で視聴するチャンスがあります。
皆さんも、是非彼らの挑戦を日本から生で応援してみてください。
この記事は2026年4月16日Yahoo!ニュース寄稿記事の全文転載です。
藤井風やCreepy Nutsのコーチェラでの躍動で考えるJ-POPの世界での可能性(徳力基彦) – エキスパート – Yahoo!ニュース
世界最大規模の音楽祭であるコーチェラが開催され、世界中で話題になっていますが、その舞台に藤井風さんやCreepy Nuts
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徳力基彦さんのページ – エキスパート – Yahoo!ニュース
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