執筆者:加藤英俊(週刊粧業 社長兼主幹)
専用テープを頬に当て、ゆっくりと剥がす。採取された角層は専門スタッフの手でAIに読み込まれ、約30分後には「自分だけの肌カルテ」が出てくる。ファンケルが3月9日から全国直営店で始めたカウンセリングサービス「FANCL SKIN PATCH」の流れはそれだけだ。料金はかからない。
20年以上の研究開発を経て特許を取得した技術を、なぜ無料で開放するのか。その答えは、同社が直視した市場の実態にある。
8割が「今のケアに自信がない」、
直視した市場実態
サービス開発の直前、ファンケルは20~49歳の男女3574人を対象に調査(2026年2月27日~3月2日)を行った。肌状態に関心がある層のうち、約8割が「今行っているケアが自分の肌に本当に合っているか自信がない」と回答した。「化粧品の種類や成分が多様化しすぎていて、自分に何が必要かわからない」と答えた人も8割を超えた。
情報とケア手段が増えたはずの時代に、消費者の確信は薄れている。3月9日のローンチ発表会で三橋英記代表取締役社長執行役員はこう語った。「デジタルの普及や進化により、ケアの選択肢は飛躍的に広がった一方で、本当に自分に合うものがわからない、今のケアが正しいかわからないという不安や、周囲と比較して自信をなくしてしまうという『不』が生まれている」。FANCL SKIN PATCHはこの「不」を解消するために開発したと三橋社長は位置づける。
