ムッシャン(mukcyen)は、2026-27年秋冬ウィメンズコレクションを2026年3月21日(土)に渋谷ヒカリエで発表した。
様々な役割を通して語られるマリー・アントワネットの姿に着目
ムッシャンはこれまで、中国の清代の小説の一篇やポーランド映画、世間を騒がせた予言などをテーマにクリエーションを行ってきた。デザイナー・木村由佳が今季のテーマに選んだのは、マリー・アントワネットだ。ムッシャンがシーズンテーマに実在した人物を選ぶのは今回が初となる。
マリー・アントワネットといえば、18世紀のフランス王妃。オーストリアに生まれたマリー・アントワネットは政略結婚によって王妃となり、国王ルイ16世の妻となり、子どもたちの母親となった。そして、栄華を極めた王宮の象徴的存在となる一方で、後のフランス革命によって権力や家族を奪われることとなる、悲劇的な運命を辿った人物としてのイメージも広く知られている。
木村が着目したのは、王妃、妻、母親、そして時代の象徴的な存在として語られるマリー・アントワネットの“役割”だ。木村自身も、デザイナーやインフルエンサーとして活動する中で、「デザイナー」「インフルエンサー」といった個別の役割を通して認識される自分のイメージと、実際の自分の姿の間で葛藤していたと語る。自分の内面の深い部分でプレッシャーが爆発した時の経験を出発点にしつつ、“時代のアイコン”として様々な役割やイメージで語られ続けるマリー・アントワネットの姿にインスピレーションを見出した。
18世紀フランスの精神性から着想を得たオリジナル生地
ロココ様式をはじめとする、華やかな18世紀フランスの服飾は参照しつつも、その要素をそのまま取り入れるのではなく、当時の流行や装飾の根幹にある“精神”の部分をデザインに反映した。木村が特にフォーカスしたのは、生地。18世紀当時の人々の手によって作られた、普遍的な魅力を備えた生地から着想を得て、ファブリックにおける幅広い表現を試みた。ブランドのアイコンである、肌になじむカットソー生地「セカンドスキン」も含めて、オリジナル生地を使う割合を増やしたという。
葉の揺らめきや花々のシルエットを描く繊細なレース地のフリルブラウスや、植物柄が浮かびあがるようなジャカードのベスト、袖口や襟の端を断ち切りにしても上品さを失わないブラウスなど、真っ白に仕上げることでその表情を際立たせた素材使いのピースが目を引いた。
ニュアンスのあるグレーのスタンドカラージャケットや、艶やかなブラックベルベットのパンツ、深みのあるボルドーから影のようなブラックへと移り変わるグラデーションのブルゾンなど、余韻を残していくような生地を用いたウェアも印象的だ。
宮廷服や騎士を彷彿させる佇まい
ウェアのフォルムにも、18世紀フランスの宮廷服や騎士の装いを思わせるエッセンスを取り入れた。表に出したコルセットはセンシュアルなアクセントをもたらし、ロングコートはパワーショルダーに仕上げることでかっちりとした騎士のような佇まいに仕上げている。テーラードジャケットの上からベストを重ねたスタイリングや、パンツの裾をロングブーツに入れて着るジョッパーズスタイルのルックもまた、当時のフランスを連想させるような佇まいを見せていた。
彫刻的なシルエット
ムッシャンの得意とするカットソーや、ニットのウェアは身体のラインを強調したり、拡張したりするような構築的なデザインに仕上げた。ストライプ地とブラックのニットを組み合わせたアシンメトリーなドレスや、彫刻的な肩の造形が特徴のニットドレス、様々な方向にギャザーを寄せて布地の流れに変化をつけたジャージードレスなどが登場している。






