ジル サンダーでのシモーネ・ベロッティの仕事については、「彼に任せておけば大丈夫」以上の言葉は見つからない。昨年3月にメゾンのクリエイティブ・ディレクターに就任したベロッティは、9月のデビューショーであることを明確にした。彼はメゾンの革新を目指すのではない。自身を学生に喩えながら、ジル サンダーの歴史を謙虚に研究していくと宣言したのだ。
デビューショーは新たなクリエイティブ・ディレクターへの期待に応えるものだったが、2度目のショーはメゾンの未来を描き出すうえで、より重要な役割を果たしたといえるだろう。新たなコレクションにはベロッティの独自性がどれだけ表れるのかが注目された。ベロッティについてはバリーの頃から何度も書いてきたが、彼の最大の才能のひとつは、ブランドのDNAを変えることなく、さりげない形で自身のオリジナリティを織り交ぜることができる点にある。それは、今回のコレクションでも同様だった。

Estrop/Getty Images

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第2弾コレクションの着想源は「家」
「発想の起点となったのは家の概念。家というのは気分がいいときにいたい場所であると同時に、新しい領域を探求するために離れたくなる場所でもあります」と、ベロッティはショーのバックステージで語った。「家(メゾン)」というのはもちろん、ファッションブランドのメタファーだ。気分がいいとはその規範を尊重することであり、そこを離れることとは新しいことに挑戦することを意味する。「最初のシーズンではクリーンで正確なラインを追求し、生地を減らして空間を生み出すという欲求に従いました。今回はその逆をやりたかったのです」
ショーの冒頭、キム・ゴードンの声でキアラ・バルツィーニの詩『The House Above the Sea(海辺の家)』が朗読された。「新しい家。ほら、もう家具もある。私たちがここにいる姿が目に浮かぶようだ」
