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Interview & Text:高橋梓

Photo:興梠真穂

 2月18日、中島健人が2ndアルバム『IDOL1ST』をリリースした。同作には、これまで中島が築き上げてきたエンターテインメントが詰まっている。No.1アイドルである“ケンティー”の姿と、高いクリエイティビティを持つ“アーティスト”の姿が融合した、唯一無二のアイドル・エンターテインメント作品になっていることは言うまでもない。そんな同作について、中島本人にじっくり語ってもらった。

昔よりも多角的に見られる

“アイドル”を表現するために

――今作も「アイドル」というテーマに焦点が当たっていますが、前作となる2ndシングル『IDOLIC』とはどのような距離感で作った作品なのでしょうか。地続きなのかな、と思ったりもしました。

中島健人:『IDOL1ST』って、「I do list」でもあるんです。なので、“今自分がやるべきリスト”というような意味合いも込めていて。『IDOL1ST』は、いわば僕の“現在地”。アイドル・エンターテインメントを届ける、いちばんベストなシーズンな気がしています。その皮切りになったのが、「IDOLIC」。そこから今作の『IDOL1ST』に繋がっています。

――ふたつの作品は繋がっている、と。

中島:そうですね。前回のインタビューでもお話ししたのですが、「IDOLIC」は「JUST KENTY☆」がきっかけになっています。「IDOLIC」を歌ったことによって、アイドルを語ることで120%の自分を出せると僕自身、そしてチームが気づきました。リスナーの本能を刺激できる何かがもっとあるんじゃないかという話になり、じゃあアルバムは「IDOLIC」の派生がいいよね、と。それでタイトルが決まっていった流れです。

――すべての曲を通して拝聴した時に、「アイドルはこうである」という“定義”ではなく、“羅列”に近い形でアイドルを提示していると感じて。その意図や理由はあるのでしょうか。

中島:昔のアイドルって、人気者で注目を浴びていて、みんなの夢や理想を表している……という画一的な考え方で捉えられていたと思うんです。でも、今はいろんなアイドルがいて。様々な価値観を持っていて、昔よりも多角的に見られる。そこに合わせていこう、と。もっと言うと、多角的な自分を出すことでいろんな角度から「中島健人」を見てもらって、間口を広げるというよりも、間口の数を増やしていこうと考えたんです。

――なるほど。

中島:なので、クールな曲、インターポレーションした曲、(渡辺)直美姉さんとのコラボ曲、キタニティー(キタニタツヤ)の作品、すごくスウィートな曲……といろんな面を作りました。アイドルとしての面をひとつじゃなくて、無数に作りたかったんです。それが今回のアルバムのポイントのひとつかな。それは今の僕の強みでもあって。それに気づいたのは、新しいスタートを切ってから。数年前には気づけなかった、自分の“光”の部分が表現できたと思っています。

――ソロ活動をスタートさせてから。

中島:そうですね。1曲目の「SOL1ST」は“独奏者”という意味でもあって。今の自分を表している言葉です。これまでと今では、フェーズも枠組みも違っていて。だからこそ気づけたことは多いですね。

――それこそ、これまでの経験を活かしつつも、ソロ活動をスタートされた今だからこそできた表現もアルバムの中にあるのではないでしょうか。

中島:僕は21歳くらいから詞と曲を書いていて、作詞に関しては最初に書いたのが15歳くらい。グループにいた時もソロ曲は自分で書いてきました。そういった人生じゃなかったら、きっとこのアルバムのように音楽の方向性を振り切ることはできなかったと思います。昔から作ることが好きだったんですよね。学生時代は授業を聞かずに歌詞を書いていたこともありましたし、大学でも講義を聞かずに「カレカノ!!」の〈恋の単位をあげよう〉なんて歌詞を書いていました(笑)。その「カレカノ!!」は“ver2.0”として今回のアルバムに収録されています。そんな風に昔から作品に対するこだわりが強い人間だったからこそ、中島健人としての活動が作られたと思いますし、今回のアルバムが生まれたと思っています。


Photo:興梠真穂

――なるほど。ある種、中島さんという人間がわかりやすく見える作品でもあると思うのですが、「言葉にしなくても伝わってくれるだろうな」と思う要素をあえて言葉にしていただきたいなと思っていて。

中島:曲で言うと、「最初はキュン!」ですね。

――あ、詳しくお聞きしようと思っていた曲です(笑)。

中島:これは、みんな真似してくれるだろうと確信がありますね。新しいジャンケンの概念。最初にグーを出すんじゃなくて、キュンを出すという(笑)。僕自身も曲を作っている時に笑っちゃいましたもん。めちゃくちゃ面白くなるだろうなって。突然生まれたメロディと、歌詞の世界観の出会いに感謝ですよね。まさに語らずとも答えが出ているというか。

――それこそ「JUST KENTY☆」よりももっと振り切っていて、一瞬でこの曲の虜になりました。

中島:そうなんですよ。「JUST KENTY☆」は言ってもまだカッコつけているから(笑)。しかも純粋に、TikTokを撮りたくなるキャッチーさもありません? ひとりでも撮れるし、カップルや友だちと撮ってもいいし。振り付けもそういう方向に振り切ろうかな。この振りはたぶん僕が作ることになると思います。

――おぉ! 楽しみです。

中島:【THIS IS KENTY -IDOL ver2.0-】(※1月23日~25日に東京・有明アリーナにて開催)では、ジュニアに出てもらったんですよ。彼らにも「アイドルになった日」という曲を僕が書いていて、振り付けもしました。振り付けをした時、スタジオにN’s Performerがいたのですが、みんなその振り付けを真似してくれて。すぐに真似してくれる振りを生み出せたのが嬉しくて、「最初はキュン!」の振りも僕が作りたいなと思っています。

――どんどん振り付けも担当することが増えていっていらっしゃる気がします。

中島:もちろん支えていただきながらなのですが、アイデアが湧いてくることが多くなりました。なので、ある意味「語らずともわかる部分」は僕のクリエイティブの部分なのかも。アルバムは14曲収録されていますが、そのうち10曲は僕が関わっていて。そこでも中島健人らしい“アイドル”が表現できていると思います。

――もはや、「アイドル・中島健人」を「クリエイター・中島健人」がプロデュースしているようにも感じました。

中島:そうかも。「クリエイター・中島健人」が、今の中島健人を見た時にいちばんハマるのがアイドルなんでしょうね。それに、僕は他の人を見るのも好きなんです。ジュニアの曲をプロデュースしたこともそうですが、【THIS IS KENTY -IDOL ver2.0-】の3日目に“けんしげひー”(中島健人、重岡大毅[WEST.]、岩本照[Snow Man]のユニット)がサプライズで登場したんですね。その3人での曲「スリーマンセル」も僕が書いていて。重岡大毅が歌うべき歌詞、岩本照が歌うべき歌詞がそれぞれあって、三者三様の性格を掘り下げて曲を書きました。それは3人の仲が良いことはもちろん、人を見るのがすごく好きな僕だからできたのかなと思います。それに僕、人の機微にすぐ気づくんです。というのも、10代の時に1日5~6万人と握手会をしていた時代があって。1人あたり0.5秒~2秒なんですよ。その間にいかに相手の変化に気がつくかがキーだったので、たぶん身についちゃっているんでしょうね。


Photo:興梠真穂

――今までのすべてが今回のアルバムに繋がっているんですね。曲についてもお聞きしたいのですが、まずはリード曲「XTC」から。サウンドとしては歴史も感じさせつつ、今っぽさもあるハイブリッド曲という印象でした。このテイストをチョイスした狙いを教えてください。

中島:楽曲制作をする前にチームと話し合いをした時に、事務所の伝説の楽曲をサンプリングできないかという議題が挙がったんです。今って、名曲をサンプリングして新しい解釈を加える流れが広がっているというか。じゃあ表現のひとつとして、僕も少年隊さんの「仮面舞踏会」をサンプリングしてみたい、と。最初はボーナストラック的な扱いでいこうとしていたのですが、(この曲は)弊社の社歌のような曲なんですよね。だったら、責任を持って僕がクリエイティブをしないとまずいなと思って。そう思っていた中でMONJOEくんが提案してくれたのが、「仮面舞踏会」のBPMそのままでトラックもいじっていないものでした。そこに違うリリックを乗せていく、という流れだったのですが、やっていくうちに「あれ、違うかも」となって。もっとたっぷり、ねっとり、こってりやりたいし、今の自分が表現するならもっと違うものだなと感じていたんです。その時に、今の「XTC」のベースラインが出てきて。そこから「このベースだったらBPMはこれくらいになるよね」というように話が動いて、結果8時間くらいででき上がりました。

――早っ!

中島:第一稿は8時間でできて、残り2時間で「SOL1ST」を作っていましたね。だから1日で2曲できたという。

――2曲ともめちゃくちゃ早いですね。

中島:「メロディを作るのがいちばんおもしろいよね」なんて話をしていたら、できちゃいましたね。と、僕がいちばんポイントにしているのは、最後のアウトロ。ラスト4×8は攻めたくて、ボーカル無しで伸ばした状態で作ってみました。これが好評で、いろんな方にお褒めの言葉をいただけました。

――ずっとSTARTO社で活躍されてきた中島さんだからこそ生まれた曲なんだな、と。

中島:それはあると思います。でも正直、怖さもありましたよ。大批判を浴びる可能性もあったし、「うちの会社の曲をなんてことしてくれるんだ!」と言われていたかもしれない。でも、人のせいにしたくなかったんです。「逃げたくない」という一心でしたね。逃げる余白を作るんだったら、今の活動を選んでいないですからね。

――結果、多くの人に称賛される作品ができあがりました。

中島:「XTC」はXtreme、True、Coreのことですが、Xtreme=絶頂、True=真実、Core=核という意味を持たせています。これってアイドルの本質だと思うんです。ファンのみんなを“絶頂”に連れて行って、その中にアイドルの“真実”があって、真実の中に夢や希望を追い続けている“核”がある。それが人にとっての“XTC”だし、誰かにとっての“Ecstasy”かもしれないな、と。

XTC / 中島健人

――込められている意味にまで中島さんらしさがありますね。1月12日にはMVも公開されました。監督はもはやお馴染みとなったYERDさんです。

中島:YERDさん、めっちゃ好きなんですよね。でもあの人、映画監督は絶対にやらないほうがいい!(笑) めちゃくちゃ厳しいんですよ。「こういう画が撮りたい」と思ったこだわりのシーンは、何テイクでもやる人。職人ですよね。僕、そういう厳しい監督とは何回も組んでいるのでわかるのですが、YERDさんが映画やドラマを撮ったら絶対にヤバいです(笑)。

――(笑)。でもYERDさんと組むのも、もう4回目くらいですよね。

中島:そうですね。めちゃくちゃ感性が合うんですよ。YERDさん自体フィーリングがギャルい感じがしますし。でも、こだわりがブレない。ギャルの仮面を被った職人ですね。ちゃんと追求してくれて、簡単にOKを出さないところが好きです。僕もそういうタイプなので、フィットするんでしょうね。MVを撮影するにあたってつまずいたこともありましたが、それでもクリエイティブに尽力してくれて、「XTC」という作品を救い上げてくれました。僕が出したMVの原案を画にする才能がすごすぎるんです。僕の頭の中にあった映像がそのまま作られていく感覚ですね。むしろ越えています。「XTC」はアイドルの光からの逃避というテーマもあって、光から逃げて神秘の影――自分の素顔戻っても仮面を被って、アイドルとしての宿命を生き続けないといけないという歌。それがドラマになっている、いいMVができたなと思っています。

リリース情報

IDOL1ST

アルバム『IDOL1ST』

中島健人
2026/2/18 RELEASE

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