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戦略的に“汚れた”服をつくることは、美的観点から見れば好みが分かれる選択ではある。だが、今という時代には確かにしっくりとくる。環境的にも、経済的にも、そして政治的にも、世界が多くの側面で困難に直面している。そんな状況下で、あまりにも完璧すぎるファッションは、時代の空気とずれて見えるリスクがあるだろう。デザイナーは、私たちが生きる世界を映し出す服をつくらなければならない。そして2026年の状況は……理想からは程遠い。

もちろん、ファッションデザイナーが“汚れ”を取り入れるのは、これが初めてではない。ファッションは長年にわたり、クローゼットの定番アイテム──たとえば真っ白なスニーカーやクルーネックのニットセーター──を、意図的に“台無しにする”ことに強い関心を寄せてきた。それはハイファッションの世界を脱神秘化する、実に目を引く手法でもある。

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コーチ 2025年春夏コレクションより。

Photo: Armando Grillo / Gorunway.comA scuffed sneaker from the Gucci Resort 2018 runway.

グッチ 2018年リゾートコレクションより。

Photo: Pietro D’Aprano / Getty Images

たとえば2018年リゾートコレクションで、グッチ(GUCCI)は、埃っぽい道でトレイルランニングでもしてきたかのようなスニーカーを披露し、大きな話題を呼んだ。ラグジュアリーな白いシューズ全体に、汚れを思わせるグレーのエフェクトが施されていたのだ。ゴールデン グース(GOLDEN GOOSE)のようなブランドは、以前から同様のスタイルを展開しており、“ダメージ加工もシックになり得る”という考えを体現し続けている。

こうした手法は、ラグジュアリーバッグにも及んでいる。2014年春夏、カール・ラガーフェルド時代のシャネル(CHANEL)は、汚れ加工やグラフィティを施したトートやバックパックのコレクションを発表した(現在では、15,000ドル以上で取引されるものもある)。さらに近年では、2022-23年秋冬にデムナによるバレンシアガ(BALENCIAGA)が、ゴミ袋のように見えるレザーバッグを披露。彼はまた、くしゃくしゃに潰したポテトチップスの袋の形をしたレザーのクラッチバッグも発表している。

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