掲載日
2026年1月16日
ミラノ・ファッション・ウィークのメンズウェアのシーズンは、金曜日の午後、名門ブランド、ゼニアによる壮大なショーと画期的なコレクションで幕を開けました。ミラノ東部の真っ白な巨大アイススケートリンク、パラッツォ・デル・ギアッチョに設えられた会場は、紳士のドレッシングルームのように再構築され、モデルたちは巨大なクローゼットの扉から登場しました。
クリエイティブ・ディレクター、アレッサンドロ・サルトリによるゼニアのブランド・ヘリテージの解釈 – FashionNetwork.com
クリエイティブ・ディレクターのアレッサンドロ・サルトリは、メゾンの洗練されたエレガンスというコードを弄びながら、それらをテーラリングの革新と新素材で巧みに覆しました。たとえば、彼の秀逸な新作「ホリゾンタル・スリー」ジャケットは、体に沿うダブルブレストのブレザーで、隠しの第3ボタンを使うことで、ぐっとゆとりのあるシルエットへと広げられる仕掛けです。
生地に関しては、アレッサンドロはカシミアと紙をブレンドした新素材を考案し、チェックのカーディガンジャケットに採用しました。内ポケットを排し、意外性のある手触りながら、見事な落ち感を見せました。
ショーの招待状はトランプカードで、コレクションのタイトル「Memorie」を示していました。イタリア・トリヴェロでの創業から115年、4代目の兄弟であるエドアルドとアンジェロが新共同CEOに就任したばかりという、ブランドの深い歴史へのオマージュでもあります。これはまた、幼い頃に父を亡くしたアレッサンドロ・サルトリ自身の記憶にも結びついています。
ゼニアのモノクロームレイヤード – FashionNetwork.com
「最も強く残っている記憶のひとつは、父がスーツやジャケットに袖を通す姿です。後に父の写真を見つけたとき、服を通して父を再発見しました」と、物憂げに語るサルトリ。
このデザイナーの巧みなストーリーテリングを示す最新例として、創業者エルメネジルド・ゼニアのために、自社のミルで織られたオーストラリア産ウールで仕立てられた1930年代初期のスーツも披露されました。ショー会場の入り口にはミュージアムのガラスケースが置かれ、「Abito 1(ファーストスーツ)」と記されたサインが添えられていました。
近隣のアルプスから冷たい湿気が降りてくる、典型的な1月の曇天のロンバルディアにふさわしいコレクション。なかでも、ドネガルツイード風の美しいベージュやブラウンの霜降りスーツのシリーズが印象的でした。レザーのボタンをあしらった上質なウールシャツと合わせて。
歴史的にビジネススーツ中心だった事業を、カジュアル・ラグジュアリーの新時代へとこれほど大胆に舵を切った大手イタリアン・テーラリングブランドは、ゼニアをおいてほかにありません。その大きな理由は、クリエイティブ・ディレクター、アレッサンドロ・サルトリの手腕にあります。
ゼニアの最新スーツ – FashionNetwork.com
とはいえ、サルトリは、ワイドでありながら控えめなストライプに大ぶりのノッチドラペルを配したモダニストなスーツを多数披露。肩まわりをしなやかに仕立てた優れたコートも数多く見せました。洒脱でありながら常に気品があり、カーペット敷きのフロアを多世代のキャストが行進します。
ニック・ケイヴの『イントゥ・マイ・アームズ』とマックス・リヒターの『イン・ザ・ガーデン』をブレンドしたサウンドトラックに支えられ、これ以上なく磨き上げられたファッション・ステートメントとなりました。サルトリはゼニアのDNAを決して断ち切ることなく、しなやかに引き延ばし続けたのです。
「私はゼニア・ファミリーのワードローブの守り手です」と、ショー後に微笑んだアレッサンドロ。続いて「ホリゾンタル・スリー」を自ら試着し、その仕組みの妙を披露すると、会場は大きな拍手に包まれました。
