アメリカン・トラッドを継承しつつ、極上のフィット感と着心地を備えたスーツは、多くの人から「世界一美しい」と評される。デビュー以来、ニューヨークのスーツ工房に足繁く通い、自らのスーツを生み出してきたのも、誰にも真似できない完成度を実現するためだった。スーツ愛好家やトラッド好きの心を掴み続けた理由は、そこにある。では、100年後にスーツは残っているか、そう問うと、彼はこう答えた。
「スーツやテーラリングは、これからも決してなくならないと思います。大切なのは、自分自身のテーラリングに対する捉え方を常に進化させていくこと。そして人々がテーラリングをどう見るか、その視点を広げていくことです。そうすることで、スーツやテーラリングは古びることなく、いつまでも新鮮であり続けるのです」。

Wendell Teodoro
まさにスーツの改革者であり、無限の可能性を知るデザイナー。トム・ブラウンのスーツに対する姿勢や信念は、これからも揺らぐことはない。
文・小暮昌弘 写真・Courtesy of Thom Browne、GORUNWAY.COM、Gettyimages
特集:ファッションの”いま”知る10のこと
目まぐるしく世界情勢が変化する2025年。社会を映す鏡と言われるファッションの“いま”を、最新のランウェイルックからサステイナブルファッションの現在地まで、多角的に紹介する。
