ユーザーはどのような要素を基準に美容液を選んでいるのか?今回は、「アットコスメ(@COSME)」に寄せられた美容液の口コミから、新井絵里香「アットコスメ」リサーチプランナーがヒットの法則を解説する(集計期間2025年7月1~31日)。

ーー美容液の口コミで象徴的に使われているワードは?

新井 絵里香「アットコスメ」リサーチプランナー(以下、新井):ほかのカテゴリーに比べて「効果」についての言及が多い。特にハリやシミ、キメへの効果が期待されている。「翌朝のハリや顔色、弾力が高まった」といった口コミが寄せられ、「ハリ」は一晩という比較的短期間で実感できる効果感として重視されているようだ。「翌朝にハリを実感できるかどうか」が、美容液を長期的に使い続けるためのモチベーションにもなっているのかもしれない。

アットコスメ2025年7月「美容液」口コミTOP5
1位「シセイドウ(SHISEIDO)」“アルティミューン パワライジング セラム”(30mL、9900円/50mL、1万5180円/レフィル50mL、1万4630円)

「シセイドウ」“アルティミューン パワライジング セラム”(30mL、9900円/50mL、1万5180円/レフィル50mL、1万4630円)

「とろみのあるテクスチャーで保湿力が高く、肌がもっちりするところが人気。一方でべたつかず、化粧ノリを良くしてくれる点も高評価を得ている。特に20~30代からは、『ニキビなどの肌荒れを抑えてくれる』との口コミも。乾燥による肌荒れが気になる人にも好評だ」(新井)。

2位「アヌア(ANUA)」“PDRNヒアルロン酸カプセル100セラム”(30mL、2580円※編集部調べ)

「アヌア」“PDRNヒアルロン酸カプセル100セラム”(30mL、2580円※編集部調べ)

「人気の成分“PDRN”が配合されており、保湿力が高く、肌の水分量を上げてくれると人気。SNSで『水分爆弾』と話題になり、気になり購入したという人も。サラッとしたテクスチャーなので肌になじみやすく、べたつかない点も支持された。化粧水の後の美容液として、洗顔後のファーストステップ導入液として、ファンデーションに1、2滴混ぜて水光肌にするなど、多様な使用方法が話題になっている」(同)。

3位「オーディナリー(THE ORDINARY)」“ナイアシンアミド10%+亜鉛1%”(30mL、1100円/60mL、1980円)

「オーディナリー」“ナイアシンアミド10%+亜鉛1%”(30mL、1100円/60mL、1980円)

「皮脂による肌のべたつき緩和や毛穴の引き締めに効果的な美容液。とろみのあるテクスチャーだが、塗るとサラサラになり、その後のスキンケアやコスメを邪魔しない点も高く評価されている。ナイアシンアミドが配合されている点も人気の理由の一つ」(同)。

4位「ダルバ(D’ALBA)」“ホワイトトリュフファーストスプレーセラム”(100mL、2420円)

「ダルバ」“ホワイトトリュフファーストスプレーセラム”(100mL、2420円)

「トナー、ミスト、セラム、エッセンスの4つの機能を備えた、スプレー式ローション。ミストが細かく、『メイクの上から使用してもメイクがヨレない』『保湿力が高く、肌に艶が出る』との口コミが寄せられている。SNSを中心に大バズりしており、化粧水として、メイク後のキープミストとして、お風呂上がりすぐの乾燥対策としてなど、幅広い用途で支持されている。ホワイトトリュフの香りも好評で、『使うと癒やされる』との口コミが多い」(同)。

5位「ハク(HAKU)」“メラノフォーカスIV”(45g、1万1000円/レフィル1万670円)

「ハク」“メラノフォーカスIV”(45g、1万1000円/レフィル1万670円)

「シミ予防や美白に効果的と人気の美容液。乳液状のテクスチャーで伸びが良く、塗布後はしっとり感がありべたつかないところもポイント。特に夏の時期は紫外線が気になる顧客が多く、『使い続けることでシミ予防やトーンアップを実感した』という声が多い」(同)。

ーー7月に、美容液以外で好調なカテゴリーは?

新井:口コミ件数では、サプリメントが好調。生ビタミンC美容液が人気のスキンケアブランド「ユンス(YUNTH)」が発売した“リポソーム生ビタミンC”(2.5g × 28包、3960円)と、韓国ブランド「カンティーンナイン(CANTEEN9)」“サファーデイスノー”(90粒、5457円)への口コミ件数が大きく増加したことが要因だ。「ユンス」“リポソーム生ビタミンC”は「以前から『ユンス』の化粧品を使っていたので、飲むビタミンCをとても楽しみにしていた」などの口コミに代表されるように、スキンケア化粧品との併用が特徴的。一方で「カンティーンナイン」“サファーデイスノー”はスキンケアでも人気の成分“グルタチオン”を配合したサプリメントで、飲む日焼け対策としてインフルエンサーに紹介されSNSで注目が高まっている。いずれも紫外線・日焼け対策が期待されており、紫外線量が1年で最大となる7月ならではの動きといえる。

ーー今後注目のキーワードなど、“トレンドの芽”は?

新井:日本の6〜8月の平均気温は年々上昇を続けており、化粧品においても「暑さ対策」や「湿気対策」を求める声が大きくなると予測している。ヘアケアでは“ロックオイル”と呼ばれる、湿気からヘアスタイルを“ロック”し、キープしてくれる製品が人気を集めている。また、風呂上がりのドライヤーの時間を少しでも短くする大風量ドライヤーが好評だ。コスメでは、暑い夏でも肌をサラサラに保つフェイスパウダーカテゴリーへの注目が高まっている。

また海外では「サニフィケーション(紫外線から肌を守る“サンケア”と、肌を整える“スキンケア”を統合する)」という考え方が浸透しつつあり、もはや日焼け止めは特定のカテゴリーでなく、全ての化粧品に必要な効果とされる動きがある。いかに快適に暑さと付き合うことができるかという視点で、化粧品の役割も広がるのではないか。

Write A Comment