ルイーザヴィアローマの米ニューヨーク旗艦店 DOUGLAS THOMPSON/COURTESY OF LUISAVIAROMA ©︎FAIRCHILD PUBLISHING, LLC

イタリア発のファッションECルイーザヴィアローマ(LUISAVIAROMA)は8月14日、フィレンツェの裁判所およびイタリア商工会議所(Italian Chamber of Commerce)に、民事再生法の適用を申請した。同社は半年ほど前から財政難に陥っており、取引先への支払いが滞っていたことから、債権者と裁判外で交渉を続けていた。今後は債務を再編しつつ、事業再建を目指すという。

同社のトマソ・マリア・アンドリーニ(Tommaso Maria Andorlini)最高経営責任者(CEO)は、自身のビジネス特化型SNS「リンクトイン(LinkedIn)」のアカウントに、「当社は難しい事態に直面しているが、これは新たな戦略のスタートポイントでもある。債務の再編をツールとして使い、過去の制約から解放されることで、ファッションへの情熱やインスピレーションを喚起するプラットフォームとして今後も運営していく。変化は大きな挑戦だが、必要なものだ」と投稿。一方、会社としての声明などは現時点では発表していない。

1929年オープンのブティックが前身

ルイーザヴィアローマは、1929年にルイーザ・ハキン(Luisa Jaquin)とリド・パンコネージ(Lido Panconesi)がフィレンツエのヴィアローマに開いたブティックを前身とし、その後ラグジュアリーブランドを取り扱うセレクトショップとなった。99年に、現在の中核事業であるECをスタート。2021年には、同社の株式の40%をイタリアの投資ファンド、スタイル キャピタル(STYLE CAPITAL)が1億3000万ユーロ(約223億円)で取得した。創業者の孫にあたるアンドレア・パンコネージ(Andrea Panconesi)元CEOはこれを機に同職から退き、会長に就任。後任として同社に加わったアレッサンドラ・ロッシ(Alessandra Rossi)前CEOは23年7月に退任し、現職のアンドリーニCEOが就任した。なお、ルイーザヴィアローマのECおよび店舗のデザインは、パンコネージ会長の娘であるアナグレタ・パンコネージ(Annagreta Panconesi)=クリエイティブ・ディレクターが手掛けている。

ルイーザヴィアローマの米ニューヨーク旗艦店 DOUGLAS THOMPSON/COURTESY OF LUISAVIAROMA ©︎FAIRCHILD PUBLISHING, LLC

同社は現在、ラグジュアリーおよびデザイナーズブランドに加えて、スポーツやホームウエア、アクセサリー、ビューティなど500ブランド以上を取り扱っており、従業員は300人程度。実店舗はイタリアに7店(ストリートウエアとスニーカーの専門店も含む)、米ニューヨークに1店を構えている。24年度の売上高は3億1000万ユーロ(約533億円)。

6月には人員削減を実施

同社が裁判所に提出した文書によれば、ラグジュアリー市場の減速やコストの高騰、経済環境の先行き不透明感などにより、今年の初め頃から業績が低迷。海外メディアの報道によると、25年1~3月期(第1四半期)の売上高は前年同期比13%減、4~5月は同じく30%以上の減収となり、取引先への支払いが滞る事態になっていたという。このため、6月には本社の人員をおよそ20%削減するなどコスト削減を進めていた。裁判所による債権者からの資産保全の承認やその期間などに関する審理は、8月27日に行われる予定。

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