PROFILE: サム・ヴィッサー/YSL BEAUTY グローバル メイクアップ アーティストサム・ヴィッサー/YSL BEAUTY グローバル メイクアップ アーティスト

PROFILE: 1999年生まれ、アメリカ・ロサンゼルス出身。幼少期からメイクアップに魅せられ、学生時代には数々の有名な撮影現場でアシスタントを務め、経験を積んだ。デジタルと現実世界をつなぐビジョンを持ち、70〜80年代のアイコニックなスタイルと未来的な要素を融合させ、メイクアップを究極の自己表現へと昇華させる。2025年3月、「イヴ・サンローラン」のグローバル メイクアップ アーティストに就任した PHOTO : KAZUSHI TOYOTA

3月に「イヴ・サンローラン(YVES SAINT LAURENT以下、YSL)」のグローバル メイクアップ アーティストに就任したサム・ヴィッサー(Sam Visser)は、7月11日に発売した“YSL ラブシャイン グロスプランパー”(全10色、各4950円)に合わせて来日した。ヴィッサーの前任は、8年間にわたりグローバル ビューティ ディレクターを務めたトム・ペシュー(Tom Pecheux)。その後任をわずか25歳で任されたヴィッサーに、「YSL」との出合いや創業者ムッシュ イヴ・サンローラン(Monsieur Yves Saint Laurent)との共通点などを聞いた。

WWD:「YSL」との出合いは?

サム・ヴィッサーYSL BEAUTY グローバル メイクアップ アーティスト(以下、ヴィッサー):12歳の頃に、当時暮らしていたロサンゼルスの近くの小さな街の化粧品専門チェーンで「YSL」と出合った。母親へのプレゼント用に、“ルージュ ヴォリュプテ シャイン”を買いに行ったんだ。初めてフランス製のラグジュアリーブランドに触れ、パッケージの美しさや色の豊富さに心を打たれたことを覚えているよ。

WWD:「YSL」のグローバル メイクアップ アーティスト就任が決まった際はどんな気持ちだった?

ヴィッサー:「YSL」のような歴史と格式のあるメゾンで仕事ができるなんて、身に余る光栄だ。長年憧れていたブランドでもあるので、夢のようだと思ったね。

WWD:メイクアップのインスピレーション源は?

ヴィッサー:自分を取り巻く世界の全てからインスパイアされている。旅行もそうで、特に日本は大きなインスピレーション源だ。日本の文化や伝統、色彩などの全てが心を突き動かす。そのほかには映画や音楽、建築、自然などからもインスピレーションを受けている。

サム・ヴィッサーYSL BEAUTY グローバル メイクアップ アーティスト PHOTO : KAZUSHI TOYOTA

WWD:これまでに日本を訪れたことは?

ヴィッサー:4月ごろに、桜を見に来たのが1回目だ。滞在中は主に京都にいたが、祇園を探索し、伝統に触れた。色彩溢れる樹木や石畳の道、花々など、これまでにないほどインスパイアリングで帰りたくないと思ったよ。今回が2回目の来日だ。

WWD:「YSL」ビューティをどのように捉えている?

ヴィッサー:「YSL」は、メイクアップを通して人々に自信を与えるブランドだと思う。常にビューティのルールを打ち破り、自分自身の意志を貫く。また、怖がらずに大胆でいること、ありのままの自分を肯定し受け入れることを尊重する。ムッシュ イヴ・サンローランは、ファッションを通して女性に自信と美しさをもたらした。それはビューティにも通ずる。

WWD:ムッシュ イヴ・サンローランとの共通点や共感する点は?

ヴィッサー:ムッシュ イヴ・サンローランは、常にクリエイティビティーを恐れていなかった。自分も全くその通りだとはいえないが、彼の姿勢からインスピレーションを受けている。彼は美しさに対するピュアなビジョンを持っており、クリエイションがそこからそれることはなかった。私も、メイクアップでこれを体現したい。また、ムッシュ イヴ・サンローランの色彩への情熱にも共感する。私も長年、色に対する強い思いがある。最近モロッコのマラケシュを訪れたが、彼がそこで「本当の意味で色と出合った」と言った理由が分かった気がした。

“YSL ラブシャイン グロスプランパー”(全10色、各4950円)PHOTO : KAZUSHI TOYOTA

一番好きな色は、「YSL」においても大きな意味を持つ色

WWD:一番好きな色は?

ヴィッサー:昔からコバルトブルーが好きだったが、これはたまたま「YSL」でも大きな意味を持つ色だった。コバルトブルーは、ムッシュ イヴ・サンローランがその美しさに心を奪われて取得したマラケシュの「マジョレル庭園」のメインカラーでもある。現在は“YSLブルー”として、「YSL」のビジュアルや世界観において象徴的な色となっている。コバルトブルーは自分の人生にインスピレーションを与え続けてきた色で、海や空のブルーにも通じ、本当に美しいと思っている。

WWD:メイクアップで好んで使う色はあるか?

ヴィッサー:人はみんな違うので、一つの色を選ぶのは難しい。自分にとってメイクアップはクチュールのようなもの。一人一人に合わせてカスタマイズするので、ファッションよりもテーラーメード性が高いといえるだろう。メイクアップをするときは本当にたくさんの色を使う。色を混ぜることもあり、その人に一番似合い、その人自身が美しいと感じられる色を見つける。

WWD:「YSL」ではどのようなことに挑戦する?

ヴィッサー:これまでの現場ではあらゆる状況に対応してきた。さまざまなスタイル、肌の質感や色、肌悩みと向き合い、メイクアップでできることに取り組んだ。「YSL」では、現代的なアイデアを追求し続けたい。また、70〜80年代のメイクアップや色使いに未来的な要素を融合させ、メイクアップを究極の自己表現へと昇華させる。かつ、科学進歩による新たなフォーミュラやメイクアップの手法、美の価値観を取り入れながら、アイコニックな「YSL」のコードに新しい視点を持ち込みたい。

サム・ヴィッサーYSL BEAUTY グローバル メイクアップ アーティスト PHOTO : KAZUSHI TOYOTA

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