「SNSの普及で、多くの人が他人と自分を比較して悩んだり、自分の外見をネガティブに捉える傾向にあり、中には加工をしたセルフィーの自分と実像のギャップに心を病む人すら増える中、広告にもAIモデルを起用する企業も現れました。こんなときだからこそ、私は90年代にUS版『VOGUE』の編集者から聞いたことを思い出すのです。当時さまざまなファッション誌が、目の大きさから唇の形まで“完璧な女性の外見”についての詳細について広く読者にリサーチをしたそうです。そしてその結果をもとに“完璧なモデル”をカバーに起用したのですが、その号はまったく売れなかった。これが一体何を意味しているのか──まさに虚と実は違うということを物語っていると思います」
葛藤多きスーパーモデル時代とデジタル・ドリーム
平均より高い身長に、可能な限り自分を完璧に見せることで人に夢を与え、大金を稼ぐモデルという仕事。しかし、90年代に完璧なルックを武器に世界を魅了したナジャにとって、スーパーモデル時代のメンタルは絶え間ない葛藤と悩みの連続だったという。
「確かに、モデルは外見が売り物の仕事です。ですがそれゆえに私を含め、モデルたちは皆、常に世間の“粗探し”の対象になってきました。言い換えれば、自分が生まれ持ったものがいつも批判の対象になってきたということです。背が高すぎる、小さすぎる、太り過ぎ、痩せ過ぎ、目が小さい大きい云々……私は、常に全力で物事に取り組むタイプですから、こうした批判を受けるたびに自分は完璧ではないといつも傷ついてきたのです」
さらに、「ショーや撮影に向けて日頃から心身のコンディションを万全に整えるモデルはプロスポーツ選手と変わらない」と続ける彼女は、現在の自分を“主婦で母親”としながらも再び悩み多きモデル業に復帰した胸中をこう明かす。
