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【報ステ解説】“地球温暖化”が災害に…気象から考える『LA大規模火災』拡大の原因【報道ステーション】(2025年1月14日)

アメリカ史上最悪規模と言われるロサンゼルスの大火災は、発生から1週間が経とうとしていますが、鎮火には程遠い状況が続いています。なぜこれほど甚大な被害につながったのか。出火原因だと指摘される点が出始め、住民たちからは提訴の動きも出てきました。

■鎮火ほど遠く 新たな火災も発生

現時点で、火災が発生しているのは4カ所。発生からまもなく1週間ですが、被害の一番大きいパリセーズ地区はいまだ14%しか鎮火できていません。

ロサンゼルスの隣のベンチュラ郡では13日、強風を受けて新たな火災も発生しました。現地は今も火災のリスクを抱えたままです。

隣国メキシコからも消防隊が応援に駆け付け、5000人規模の消火活動が続いていますが、風はこれからも断続的に強まる予報です。

ロサンゼルス カレン・バス市長
「国立気象局によると、ハリケーン級の強風が予測されるため、我々は緊急態勢を整えています。我々の最優先事項は人命保護に最善を尽くすことで、市だけでなく郡・州・連邦・政府・国外の消防隊が能動的に人命救助に当たれるようにしています」

アルタデナ地区の市民センターでは、炊き出しの長い行列ができていました。

市民センターに避難中の人
「完全に焼け落ちました。帰る家はなく、何もかも失いました。また風が強くなるそうですが、私たちにどうにもできないので…傍観するしかないかと」

先行きの見えない避難生活。今足りていないのは、子どもの支援物資だといいます。

支援に来た人
「NYの友人が3000ドル分のおもちゃを寄付してくれたので、私はデッドプールに扮してそれを配っています。この姿でおもちゃを配り、写真を撮れば、子どもたちはきょうだけでも楽しめる」

■「要因は送電塔」住民提訴の動き

前代未聞の規模の火災で家を失った住民が知りたいのは、火災がどこから始まったのかということです。大きな被害を受けたイートン地区で、住民がその“始まり”を見ていました。映像からは、山の上にある送電塔の下から、火が上がっているのが分かります。撮影されたのは、この地区で火災が起きたとされる時刻の1分後でした。

ジェフリー・クーさん
「当時は停電していて、火災に気付いたのは車で帰宅中の妻でした。停電で辺りは真っ暗。山も見通せない状態で、妻の話では丘に光が見えて、家に近付くと送電塔の脚部周辺が“燃えていた”と」

地元紙ロサンゼルス・タイムズも、この山の送電塔を当局が調査していると報じていて、地元住民は電力会社を相手取り損害賠償を求める訴訟を起こしました。電力会社側は「調査の結果、送電塔に異常はなかった」としていますが、訴訟の代理人は「強風にもかかわらず送電を止めなかったのが原因だ」としています。

強風であおられた送電線同士が接触して、高温の溶けた金属片が乾燥した地面に落下。それにより送電塔の基部が燃え、住宅地に燃え広がっていった可能性が指摘されています。

さらに、被害が一番大きかったパリセーズ地区で原因として指摘されているのは、大晦日に起きた火災です。

AP通信 ジェイソン・ディアレン氏
「“花火”が原因とされる、住宅のある渓谷の小規模火災。その場所が7日から続く“火災の火元”です。多くの住民が7日に撮影した映像には、1日に起きた火災の近辺が映されています」

花火の不始末から発生したという火災は4時間ほどで消し止められましたが、この時の現場と、今回パリセーズ地区で燃えた場所が近く、残り火があったのではないかというもの。パリセーズ地区では、消火用の貯水池の水が不足していたとして、地元水道局も訴訟を起こされています。

■地球温暖化がもたらした災害

なぜ大規模な火災になったのか、そのメカニズムについて“気象”の面から考えます。異常気象などを研究する、三重大学大学院・立花義裕教授に話を聞きます。

(Q.なぜこのような大規模な火災になったのでしょうか?)

三重大学大学院 立花義裕教授
「一番の大きな要因は地球温暖化。アメリカ西海岸は本来、冬は雨季ですが、温暖化に伴って偏西風が激しく蛇行したため、夏以降ほとんど雨が降らず、乾燥した状態が続いていました。もう1つは、ロサンゼルス特有の地形が関係しています。その地形が原因で強い風が吹き、火災が広がった。この2つの原因が考えられます」

【偏西風の蛇行】

偏西風は、地球の自転や南北の気温差によって発生し、上空1万メートル付近で最も強く、西から東に向かって吹いています。アメリカ西海岸では冬は雨季。偏西風が太平洋上の湿った空気を取り込んで、雨雲が発生して雨を降らせます。

ところが、今年は偏西風が大きく蛇行しているため、雨雲が平年よりも北側に発生。そのため西海岸ではほとんど雨が降らない状況でした。平年であれば7月~12月の降水量は94.4ミリですが、今シーズンは直近6カ月で0.6ミリと、ほとんど雨が降らず、ロサンゼルス近郊は乾燥した状態でした。

(Q.今年は偏西風がここまで大きく蛇行しているのはなぜですか?)

三重大学大学院 立花義裕教授
「地球が温暖化すると偏西風は蛇行しやすくなります。北半球に吹く偏西風は、北の冷たい空気と南の暖かい空気の間で吹きます。温度差が大きければ大きいほど、風は速く流れて、少しずつ蛇行します。しかし、世界で一番温暖化が進んでいるのが北極です。北極と赤道の温度差が縮まって、偏西風の速度が遅くなり、蛇行が大きくなります。例えて言うと、自転車のスピードが遅いと安定せずフラフラします。風も同じで、遅くなると安定せず、フラフラしてしまいます」

【ロサンゼルス特有の地形】

今回の火災の要因として聞くようになった『サンタ・アナの風』は、秋から冬を中心にロサンゼルスの内陸部から海側にかけて吹く乾燥した風のことです。砂漠の冷たく乾燥した空気が、高い山々を越えて激しく吹き降ろします。

(Q.今回、このサンタ・アナの風にも異変があったのでしょうか?)

三重大学大学院 立花義裕教授
「内陸から吹く冬の冷たい風は重たいので、山を越えると落ちてくるので強風になります。日本では“おろし風”といって、赤城おろしや六甲おろしなどがあります。一方、地球温暖化の影響で、数年前から太平洋の広い範囲で海面水温が異常に高くなっています。冷たい風との海面水温の温度の差が激しくなったことで風がさらに強くなり、火災が発生した7日は、最大瞬間風速が約27メートルと非常に強い風が吹きました」

三重大学大学院 立花義裕教授
「今年はサンタ・アナの風をさらに強くする現象も起きました。火災が起きた当日、偏西風が激しく蛇行し、ロサンゼルスの内陸から海に向かって吹く形となりました。上空の偏西風と、地上付近のサンタ・アナの風の両方が同じ方向に吹いたことで、より強い風となりました。これはなかなか起こらないのでびっくりしました」

(Q.今後、火災は収まっていくのでしょうか?)

三重大学大学院 立花義裕教授
「偏西風の激しい蛇行はまだ続いていますが、風は弱まる予想で、あれほど火災が広がることはないと思います。風が弱まっている間に火を消してほしいです」 (C) CABLE NEWS NETWORK 2025
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp

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