「初蕾」山本周五郎【一度は読みたい名作】
初 つぼみ山本 清五郎 1花はさりまでという知っている だろう美しいものは美しいさりを過ぎると 忘れられて しまう人間いつまで若くていられるもの じゃないお前だってもう18だろう藤村小 などと言われるのももう半年か1年のこと だ惜しまれるうちに身の始末をするのが 本当じゃない かそれは分かってます けれどお民は客の逆月に尺をしながらふと 考えるような目つきになっ た身の始末をするにしたって幸先のことを 考えますから ね私の世話じゃ不安心だというのかい あなたと限ったことじゃないんですこれ まであなたには誰よりもわがままを言わせ ていただけたし一番気心も分かって くださるからお世話になるとすれば他には ありませんでもそういう身の上の人を何人 も知っていますけれど大抵が据え遂げない ものですから ねこの場合はそれとは違うじゃない か消え門は酒好きを置きタバコを取っ た私のは色気は二の次にしての話だ田川屋 を買う金も私が建て替えるという形にして 上がってくるものから年割で返してもらっ ても いい私としては気楽にわがままの言える家 のんびりと手足を伸ばしてくつろげる場所 そういうことだけでも満足なんだ よそれもよくわかるんですけれどでもそれ ではもし お民はじっと客の目を見守っ たもし私に思う人があるとしたらそれでも 構わないとおっしゃいます かお前に思う人だっ てもし仮にそんな人がいて時々会ったり なんかするとしたらいくらあなただって ああそうかれ住みはなさらない でしょう客はお民の目を静かに見返した それは何か意味を通わせるような視線だっ たお民は我知らず目を伏せ た私が身の始末をしろというのはそれなん だすい助かれたとかいうことは鼻の散ら ないうちの話で添い遂げられる縁ならいい がさもなければやがて悲しい別れをするか 人に後ろ指を刺されるようなことになり やすいそんなにしたくないから相談をする んだ世間を知らないわけじゃないだろう よく考えてみて気持ちが決まったら返事を 聞かせておくれまた23日うちに来るから なお民は何も言えずに目を伏せていたこの
人は知っているのかもしれないふとそう いう気がしたからで あるもしそうならかじ様の親子たちと 話し合いの上でこんな相談を持ちかけたの ではないだろうか半之助様と自分との仲を 咲くためにそう考えるとそれがもう紛れの ない事実のように思えお民は密かにせせら 笑いたい気持ちになっ たどうせ泣くように生まれついたん だお民は客を送り出して後片付けに戻った まま小窓によって自重するようにこを呟い た 鼻が盛りまでのものなら散るまで好きな ように生きるだけさ初めからそういう つもりなんだものどうなったって悔むこと なんかありはしないどうせ泣くよう に捨て場に似たその言葉は決して出任せの ものでは ない最も幼い頃記憶の初めとも言えるもの がすでに悲しい泣き声に濡れているそれは は大きくて広い家のどだった人かえもあり そうな柱や別行色に光るかち屋重そうな 杉野が薄暗い淀んだ空気の中に恐ろしい ほどがっちりと威圧的に見えた兄の太地は 手を引かれお民は母に背負われてい た母はあがりかまのとろに手をついて何か 頼みながら仕切りに辞儀をする 向こうの長場号師の中には人が3人ほどい たがそばを弾いたり帳面を食ったりする だけで誰もこっちの相手にはなってくれ ない母は歌うような調子で何か言っては いつまでもお辞儀をし続け たそしてしまいには5つになる太地にまで お辞儀をさせ一緒に頼みを言わせ たそこがとばの山越というの店であり母が 米を買う銭にを借りに行ったのだという ことはそれから数年の地に知ったのである 山越の船で先導をしていた父が熊のなで ナパした船と一緒に死ぬまでいくたべ同じ ことを頼みに母子3人でその店へ行ったか わから ないお民も母や兄と一緒にお辞儀をし歌う ような調子で店の人に頼み事を言った幼心 にも情けなく恥ずかしくてしまには おろおろと泣き出し ながら父が死んでから母はしべを頼って この二見へ来 た二見ヶ浦の浜にある藤屋という宿へ下女 暴行のような勤めWHOがあり太地とおと 3人物置より惨めな小屋を当てがわれて 新しい暮らしを始めたのであるもちろん そこの活も苦しかっ た母の稼ぎでは3人の米も満足には変えず コのになる太地も8つのお民も走りをし こもりをし水を組み掃除の手伝いをした宿
の主婦が評判のしまり屋で使い走りも こもりもちゃんと度数で打ちが決まってい たから時にはその度数を多くしたいばかり に 海から吹きつける寒い風にさらされながら 夜遅くまで使いがありはしないかと待ち ふかすこともあっ た 2兄の太地が12で死に母はおが13の年 に亡くなった太地は客の残り物を食べた 中毒で激しい土砂を続けながら医者にも かけることができずわずか5日ばかりで骨 のように痩せ死んだ母はその前からかけを 止み青くむくんだ顔をして肩で息をし ながら足を引きずるように歩くという風 だった太地が死んでから目立って弱り巻き 1た持つのも苦しそうだったが宿のものに 気づかれるのを恐れて倒れるまで達しな ようによい通した母が倒れた気で動けなく なると宿の主婦はお民にへ出ろと言い出し た藤屋の主人の妹が宿屋街の字外れで藤村 という小料理茶屋をやっていたそこで小女 がいるからゆけというどうせお前の働く くらいじゃをつかないがあとは私が足 しまいにしておかさんの面倒は見てあげる とそれが気に入らなければおっかさんを 連れて好きなところへ出て行って おくれ宿の主婦ははっきりとこう言っ たお民はっかさんのそばにいたかった自分 で看病がしたいし何よりそばを離れるのが 嫌だったけれどもそこを追い出されれば母 を抱えて乞食でもする他は ない10歳になったばかりのお民はそれで も母には笑ってみせ近いから毎日でも来 られると慰めて藤村へ方向に出たので あるその時藤屋の主婦は藤村からお民を5 年間の年期暴行にして5両という金を取っ ていた母はそれから90日ほどして 亡くなったが医者にはもちろん薬もろくろ 飲ませずといなど真似事というにもひどい ものだったのにそれがさらに3両何がしと いう釈文になって正文に書き込まれた こういう始末を知ったのはお民が15に なって客の接待に座敷に出るようになった 時のことだった幼い頃から世間は怖いもの 人は信じられないものと考えていたので そう分かっても今更藤屋を恨む気持ちは なかったそれよりもすでに自分が美しく 生まれついたこと客たちに人気があるので 家人が大事にしめたことなどを知って言い よのない自信が身内に生まれ新しい 明け暮れの方へとぐぐん引かれていっ たそれからの3年ありは世の開けたような 生活だっ た藤村小町などと呼ばれて客もよくつき
面白いほど見入りがあっ た通ってくる客の中には好きな相手もでき たし伊勢の山の恩師の息子で二田優という 名の大人しい若者には随分危ないところ まで行ったが山越の店で辞儀をした幼い日 のこと物置のような小屋の隅で冷たくなっ ていた母のことを思い出してなんだいと いう気持ちになりまもなくきっぱりと別れ てしまっ た信じられるのは自分だけだ世間や人を 信じたら泣かされるに決まっているんだ 好きも嫌いもあるものか稼げ 稼げそういう風に自分を消しかけていた8 両何がしという借金を返し着物も2枚3枚 と作れるようになったのは18になった 今年の春からだっ たそこへかじ半之助が現れたので ある初めは島木という名で知られたし消え もの案内できた島木はとばれ海鮮どやをし ている富豪で反抗稲垣家のおって御用も 務めて いる消え門はもう隠居だったが半家の用事 は自分が扱っているので重役たちを連れて しばしば藤村へ来た半之助の父はかじ良門 と言って稲垣家の港業だったからその関係 で半のすをも連れてきたようだったお民は 初めから彼に引きつけられた決して美男で はない笑うと目が糸を引いたように細く なるし背はあまり高くないし声は少し鼻に かかるしよって歌う歌は調子パレだしどこ といって取りえのない風貌であるしかし 全体の人柄が怒りも自然で見えや寺が少し もなく向い合ってとゆったりと大きな 温かいもので静かに押し包まれるような 気持ちにそら れる温かくふんわりと包ま れるお民はその感じに全身をつまれまるで 崩れるように彼の懐へ飛び込んでしまった どうせ一緒にはなれないん だ初めに彼はこう言ったお互いにあっさり 行こうえそうしましょう と言ってわずかに 半月ご旅目に会った時むしろお民の方から 進んで深いちぎりができてしまっ た一緒になんかなれなくってもいいのただ あなたが好きだというだけこうして会う他 には何にも望みはないわ夫婦になっても3 年か5年くすぶった気持ちでいやいや一緒 に暮らすよりも好きなうちにこうて楽しく 会い飽きたらさっぱり別れてしまうこれが 人間らしい生き方じゃないかその約束をし ましょう好きなうちは会う飽きたら飽きた と隠さずに言うそしてあくれなしに 別れるきっとです よこうして夏から秋口まで人目を忍ぶ大世
が続いたので ある3 消えもが来て2日経った明日あたりはまた 返事を聞きに来るで あろうしかしお民の気持ちはどっちとも 決まらなかっ た消え門から世をしようという話の出たの は夏の初め頃だっ たこの二見ヶ浦で同じ料理茶屋をしている 田川屋というのが売りに出ているそれを 買ってお民を主婦に入れるからというなの だ半之助というものがありまだ18の若さ でそんな老人の世話になることはなかった がこの頃になってお民は迷い始め たそれはもうみも体が変だからで あるもしこれが間違いでないとすると そして反のすに迷惑がかけられないとする と少なくとも身2つになるまでは誰かの 世話にならなければならないそれには10 さで方向に来た時から可いがってもらい わがままも許してくれた消えもが誰よりも 頼みやすかった事情なんか聞かずに何もか も引き受けてくれるだろうそう思ってい た色気などは二の次なと言うしそれが嘘で ないこともわかるのでことによれば半之助 との仲も黙認してもらえるかもしれない そんな勝手な想像さえしていたそれでせや ふとほのめかしてみたのだが案外にも消え 門は承知しなかっ た世話をする代わりにはそういうものを すっかり始末しろと言われ たそれは相手が反のすだということを知っ ているからのようだった2人の中を咲く ためにそういう手段をこずるようにも思え た苦手な空想は全て破れ2つに1つの現実 へ突き当たったので ある身の安全を取るか半のすを取る かどうせ泣くように生まれついたん だとお民は何度も呟い た物置きみたいな小屋で死んでいったおか さんのことを思えば不幸せになったところ で高が知れている一行くところまで行って みるがいいの さそういう突き詰めた気持ちの後から しかし身内にある小さな命のことがトの 刺さるように心をとめ消えもの世話に なろうかと迷いを誘われるのだっ た午後になってから思いがけなく半之助は 45人連れできた人を連れてきたのは 初めてでもうかなり酔っていたお民は 親しい口も聞け そっと目で心を通わせるばかりだったが やがて彼が手洗いに立つと廊下まで追って いってすがりついた彼の息には悪酔いをし た時の嫌な匂いがあった今日で7日ですよ
どうなすったの今度難度役というのになっ たんだそのことでずっと暇がなかったもの だから彼は青い顔付きでそれでも笑い ながらそう言ったあの連中は役所の新しい 同僚だ恐ろしく酒の強い奴がいるから加減 をしてくれゆっくりしていらっしゃるの でしょうみんなを返してからら少し話が あるんですからと言ってお民は反のすの手 を自分の胸へ抱きしめ溢れるような まなざしで男の目を見 た座の空気はちぐはぐだった中に1人それ が酒の強いという人だろう色の黒い怒り方 のギスギスした調子で話す青年がいてそれ が仕切りに反のすをやり込めていた内容は よくわからないが人間とか秩序道徳尊厳 などという言葉のむやみに出る堅苦しい 議論ばかりだっ たそして彼らを返すどころかかって反のす の方が捕まってしまいまもなく席を 変えようと連れ出されていった別れ際に すぐ帰ってくると言ったが日が暮れても 戻らないし客の多い夜で表も奥もいっぱい になっ たこれなら戻ってくれない方がいいと諦め てい たくれる自分はよく晴れて星がいっぱい だったけれど酔い下がりからこめになり くじを回るとぶりになったので立て込んだ 客も早く 引き上げ10時には2組ほど残るだけに なっ たお民はお伊勢参りの客に出てい た3人連れの江戸の人で裕福な商人と 見える中年の人たちだったこちらにはよく 通じないシレを言われるので困ったが 落ち着いた静かな座敷は気持ちは楽だっ た10時ちょっと過ぎだろうか酒を運んで きたおさという女中がお客様よと言って 目くばせをした離れにいらっしゃるわお民 はその意味を悟り釈をしてそこを立っ た離れへ行くと反のすが来ていた白壁の ように青めた正気のないこった顔で目だけ が大きくギラギラした光を帯びているこれ まで1度も見たことのない顔つきだった そして頭からずっぷりと雨に濡れていた そんなに濡れてどうなさいまし た人を切ってき た はあと民は声をあげた不に目がくらんだ 感じで立っていることができず男の方へ手 を伸ばしながら崩れるように座っ た 4あり合わせ着せ濡れたものをクリアや 乾かすように頼んでからお民は熱くしてき た酒を進めながら細を聞いた相手は森田
キマというあの酒の強い男だった藤村を出 て2件ばかり飲みとえ帰るつもりで伊川を 渡ったその渡船の中で喧嘩になり向こうへ 上がった草原で果たし合いをしたそして彼 はキを切ったのであるそれはそれだけの ことだ立ち合ったものも3人いるし左方 通りの果たし合いだからはじることもなし 後悔もないんだけれども喧嘩の原因は俺が 悪いそれがやりきれないほど俺を苦しめる ん だでもあの人の方がハ様をやり込めに かかっていたじゃありませんかそうじゃ ない森田は正しいことを言っていたんだ俺 はあいつを切ってから雨の中を当てもなく 歩き回るうちにそれが分かった俺がどんな に過当なやしい人間だったかということ もお前とこういう中になっていながら好き なうちは会お飽きたらさっぱり 別れようそんな約束まで平気でしたそれが 人間らしい生き方だなど言って半助はそこ で激しくを振り逆月の酒を毒でも飲むよう に煽った森田はこう言っ たそういう考え方は人間を侮辱するものだ 育10万人といる人間の中から1人の男と 女が結びつくということはそれがすでに 神聖で厳粛だ好きなうちは会う飽きたら 別れるいかにも自由にいているがよく 突き詰めてみろ人間を野獣に引き下げる ようなものだぞ貴様は自分を犬獣にして 恥じないの かこの言葉が果たし合いの原因になったん だ ほでもそれはそれはハ様1人がお悪いの じゃなく私だって喜んだお約束したことだ し2人の身分違いということがいやその ことだけじゃないんだ今日までの俺の生き 方全てがごまかしと身勝手とでたらめで 固まっていたそれがお前との仲まで根を 張ってきたん だ俺は雨に濡れて闇の中を歩きながら育 10万という人間の中から1人と1人の 男女が 結びつくそれがどんなに厳粛な機嫌かと いうことを見にしみて悟ったおには分から ないかおは黙ってつ向いていた顔を上げ お民相談があるんだ半之助はつと手を 伸ばしてお民の肩を抑えた俺はこれから 江戸へ行くそして人間らしいものになって くるどんな苦労をしてもやりいか だもちろん困難だし何年経って望みが 果たせるかわからないだから待っていて くれとは言えないがもしもし俺が人らしく なって帰りその時まだお前が1人見でい たら俺の妻になってもらいたいん だ待っていろとはおっしゃいませんの
ねお民はややしばらく考えてからこう言っ てそっと男を見上げ た約束ではないんですね約束じゃないいつ 帰るともいや生涯帰れないかもしれないん だから待てということは今の俺にはでき ないただちょうどいい折りだから言って おこうおお民俺は本当にお前を愛していた 心から愛していたん だあんな約束はしたけれど気持ちには嘘は なかっ たこれだけがお前にやれる選別だ よのグイグイと高まっていく感情には到底 お民はついてゆけなかっ た早くからそういう世界にいてすいて明た ちぎる別れるなどの単純な嬉しさ悲しさは 見もし自分で味わいもしたが人間を侮辱 するとか厳粛な機嫌とかこの際になって 本当に愛していたなどと言われることには 慣れていなかった彼女にはただ男がにわか に自分から離れて別の世界の人になって しまったように 思えとうとう泣く時が来たという悲しさの 中で息を潜めるばかりだった男なんて子供 みたいなもの だ反のすを送り出してからすっかりふけた 冷えるヤグの中でお民は1人こをつぶやい たこれから江戸へ行っで人間らしくなる何 年かかるか人間らしくなって帰れるかどう かもわからないけれどいつか帰ったら嫁に なってくれ なんて女がこんな教外にいてそれまで 間違いもなしに待っていられると思うの かしらどうして食べて行くと思うん だろうもう会えないという悲しさの中で お民は泣き笑いをするように男の単純さを 笑ったそその日その日の生活に追われ食う 着る寝るの苦労を骨身で味わってきたおた にはそれ以上の考え方はなかったので あるでもこれで迷うこともなくなった わ稼げるうち面白く稼いであは島木さんの ご引居に頼むんだ子供が生まれたらどこか へやって身軽になって田屋を立派に 売り出してやろうヤグの襟を引き上げて それで涙を吹きながらお民は自分を消し かけるようにそう言っ たそしてもうすいたすれたはこっきりだよ おたみちゃんこれからは女王のない女に なって稼ぐんだしっかりするんだ よ 5島の国鳥羽の城下から日山を西へ越えた 懐にという完成な村がある鳥羽とはわずか な距離だが山1つ超えるために環境がひび ているし打ち重なる給料の彼方に浅山を 望む優れた眺めがあるので真中には城下の 人たちがよく揺さに来たその村のうちに
古くから島木の陰居所があっ たほんの小さなありふれた建物でクリアを 入れて20つばばりしかない庭もざっした ものでしらけた石が5つばかりあは家を 取り巻いて松が林を作っていた久しく しまった霧で時々人が掃除に来るくらいの ものだったが去年の冬から武家の老夫婦が 来てそのままもう1年近く住みついていた 老人と言ってもアジの方は 556夫人は50歳ほどだろう 静かな人柄で召使いも置かずほとんど訪ね てくる人もなくひっそりとつましやかに 暮らしてい た村人たちは知るよしもないが2人はかじ 財もと妻のハ女である半之助が森田キマを 切ってそのまま行え知れずになった幸い キマは死なずに住んだが左門は攻めを追っ て死したそれまでには及ぶまと言われた けれど我が子の行方知れずということが 面木に関わりどうしても致死せざるを負え なかったの だ彼は貯蓄も火もきちんと整理し全てを 綺麗に返上して浄化を立ちのいたその始末 の潔良さが反抗に聞こえて終身15人ぶを つかわすこと領内に永住することの2つの おさがあっ た特別のさだったのでお受けをしたがそれ さえ彼には心苦しいようだっ た家が見つからないので進められるままに 島や消え門の陰居所を借りたがこれも給食 を利用するようで落ち着くまでには随分気 を病んだものであっ た夏を送り秋を迎えたが明け暮れの無いに はなかなかなれなかった庭外れに菜園を 作り2人で素材を育てたり思いついては 手前の松の枝を揃えたりする他に何をこれ という仕事もなく気持ちも動か ないこんなことならせめてご将棋でも覚え ておけばよかっ た両左門は思い余ったという風にしばしば そう呟いた何にも仕事をしないということ がこんなに疲れるものだとは気がつか なかった肩ばかりこってどうにもしようが ない毎日決めて山でもお気になりまし たらこの周りは大抵尽くしたし何しろ風流 というものに遠慮意処分だからな山水を 楽しむなどといった芸が全くないんだ からお書物の氷でも開けましては とある時見かねて浜女が言ったこれからは 夜長になりますからご初見でも遊ばせば いくらか気の保よにはなります でしょう両左門は返事をしなかった黙って 向こうを見ている片付の厳しい冷やかな 姿勢に気づいて浜は息を引きながらああ 行けなかったと思った何もかも炎上した中
で氷3つに入れた書物だけはこの家へ持っ てきてあったそれは反のすのものだっ た幼少の頃から学問の好きな子で反の楽塾 では主催と言われ17歳の時には塾の助教 を命じられたくらいである夫がそういう ことに興味を持たないし元よりハジには 分からなかったが22歳の時彼の思想が 老子の遺に類すると言われ助教の席を追わ れてしまっ た様子の変わったのはその後のことだった が彼の増殖はその筆記類と一緒に氷に収め て持ってきたのだっ たあの出来事があってから半之助のことは 決して口にするなと言われていた書物の氷 を開けるということから夫はおそらく 反のすのことを思い出したのであろう 心づきにしたと思いハジはそっと夫のそば から離れた下月になったが例年より温かい 日が続き中旬過ぎてから初めて下を見た その夜のことで ある久しぶりに少量の酒を飲んだので両 左門は酔いのうちに寝床へ入り女が1人 明りを引き寄せて解きをしてい たすると9時頃だったろうか夫が呼ぶので 言ってみると表へ人が来ているのではない かと聞い たさっきから赤子の声がするようだが 心づきませんでしたが見てまいり ましょうこんな時刻に来るものもなかろう そう思いながら手職に火を移ししてみ た角口には人のいる様子はなかったがどこ かで赤子のぐずりなきの声が 聞こえる浜は外へ出て手食をあげながら 辺りを見回し た玄関を囲うようにアの袖がきがあるその 柿の下に熱い布子飯店でくるんだ赤子と かなりかばった包みとが置かれてあっ た浜JUはどなたかおいでなさるかと呼ん でみ た曇ったのだろうか星1つ見えず風もない 静かな夜であったもう一度呼んで耳を 済ましたが答える声も聞こえず人のいる 様子も ない浜女は赤を抱き上げともかくも手食を 玄関に置いて部屋へ入っ た 6 まさか捨て子ではあるまい なこんなところまで来てこうしてるものも ございますまいがどうしたことでござい ましょう か包みに何か所場でもありはしない か両左門も起きてきてそう言いながら包み を解いてみ た着替が23枚にむつきそれとへそのおき
があるだけで手紙のようなものは見当たら ないなかっ た街中なら知らずわざわざこんな山里へ来 て捨てをするということも考えられない 何か必要があってそこに置き戻るのに手 まっているのだろうそう語りながら待って みたけれどふけてもそんな様子はなく父を 求めて泣こを怪しすかしながら夫婦は ほとんど眠らずに世を明かし たどれ少しか 明け方になって両左門がこを抱きとった世 が開けたらなしへ届けるんだなこれは 捨て子に違い ないこの村には父の巫女のある家はござい ませんでしたろうか村になくとも浄化には あるだろう いいえ女はさりげない調子で言ったもし村 に父があってもいができたら私育てて みようかと思いまし てバカなことを言ってはいけないこんな身 の上になって今更こを育ててどうするのだ ましてうも崇も知れぬものをこう言い ながら彼はふと妻の方へ目をやっ たクアへ立っていく妻の後ろ姿に何やら 寂しげな気配が感じられたからだ 彼は大たこの顔を見た子は眠っていた黒い 髪のたっぷりある唇つきの引き締まった眉 のはっきりした品の良い顔立ちで ある彼は自分の手に伝わってくる赤の体温 の締めっぽい感じに遠い記憶を呼び覚まさ れ た半のすをこうして抱いたことがあっ た心のうちで彼はこう呟い たあれからもう24年になるそしてもし 半之助にあんなことさえなければもうこの くらいの孫を抱いていたかもしれ ない浜もそう考えたのではなかろう かおそらく妻も同じように考えたので あろうあれ以来どんなことがあっても助の ことはにせずお互いに安んずるそぶりも 見せなかったしかし1日として忘れたこと はないので ある半之助が学術の助教をめんぜられたの は彼の才能を妬む人たちのザブレあっ た学問をし受学に入ればロソを叩くのは 自然である趣旨以外に目をつることは単に 御洋学者としてもと言わなければなるまい 半之助が熟成に老師の抗議をしたのなら別 なが遺の風があるなどという漠然とした 理由で結局爪を切らされた形になった時は 親として随分不便に耐えなかったのである それから性格が変わって酒を飲んだり茶屋 出入りをするようになりついに森田との 間違いを起こしたのだがそんな風に気持ち の崩れていった原因を思うと彼だけを憎む
わけにはいかなかったこの頃ではむしろ どこかれ無事に生きているように強く 立ち直ってくれるようにと密かに祈って さえいるくらいだったそうだ半之助も今 どこかで人の情けを受けて暮らしているか もわから ない両左門は冷え切った浅から赤を守る ように布子を頭の周りにかき寄せながら 静かに日よけのそばを立っ たお前にその気持ちがあるなら育てて みようそう言われた時浜女の目には一種の 感動が現れた彼女もまた両左門と同じ 気持ちを夫の上に感じたので ある朝食の後で両左門は自分から名の家に 行き 捨て子のあったことを告げ父の巫女のある 家がないかどうか尋ねたお育てなさるので ございますかと名主の老人は傷かわしげに 首をかげたが幸い半年ほどの父があるから ともかく後から連れてまりましょうと答え た老人はすぐに若い百勝の女房を連れてき た喉を鳴らして吸いつく顔を見ながら若い 女房はその子の親を呪うように行って 涙ぐん だこの間に良門は名と立ち合いでへその おがを開けてみ法令4年6月某日誕生名は 松太郎ということを確かめたせいも親の名 もないのは産んだ時すでに手元に置けない 事情があったので あろうそれなら幸せな過去と縁を切る意味 で名を変える方が良いと思い両毛は改めて 小太郎と呼ぶことにした100章の女房は 45日せっせと通ってきてくれたこの間に 財門は城下の島屋へ使いをやり荒まの事情 を書いて適当なUBの世話を頼ん だ消え門は5日目にまだ娘のように裏若い 女を連れてやってきたがしかし随分 気まぐれなことだと笑いながら意見を言っ たこういうことはとか末のうまくゆかる ものですおやめなさるがよろしくはござい ません かそうも思うがもへ捨てられたのも何かの 縁であろうしと両門はふと真面目な調子で こう言っ たそれにさし向いの山がぐらしも退屈な ものだからなお孫様代わりでございますか 消え門はわざとのように渋い顔をし たうまく参ればようございますが な 7消えもの連れてきた女は名を梅と言っ た伊勢の国松坂のもので1度貸して幸運だ がとの折り合いが悪く生まれて5ヶ月の父 のみ女を置いて利益したのだと いう小さな商人の家に生まれて年は十幼い 自分父母に死別して苦しい育ち方をした
そうだがそのため だろう見かけは年より若く娘娘しているの に立ちや言葉付きはずっとよなれて少し はわに思えるほどパキパキとしていた 初めに言っておき ましょうハジはまずこう言ったお父をやる 時は清らかな正しい心で姿勢もきちんと するようにして ください父をやるものの気持ちや心構えは 父と一緒にみな声伝わるものですからね 小太郎はサの子ですからそれだけは忘れず に守っていただきますよ梅は目を伏せて 頷い たよくわからないのだなハジはそう気づき 当分のうち自分で教えなければなるまいと 思った実際梅には欠点が多かった寝る時に 脱いだ着物をそのまま丸めておくし少し 急ぐと引っかけ帯で 歩き回るお乳に触るから化粧は控えるよう にと言っても忘れるとすぐベニアおしいを つつける肌着もなかなか脱ぎかえない旅は 裏の黒くなるまで吐く子が泣いたりぐっ たりすると時間に構わず父を含ませる 添え字をしたままネ たがる取り上げて言えば目につくこと ばかりでなるほどこれでは根気ともうまく いかなかったであろうと頷けたしかしただ 1つ赤子の世話だけはは真味になってした どこがどうと言えないところによく気が 回る虫気で寝れる夜が続く時風邪けれ具合 の悪い時など背負ったままいくよか寝ずに いて嫌な顔もしないその点が浜女の気持ち を引きつけ た子供にさえよくしてくれればあとは少し ずつ根気で教えていってもよいそう考える ようになっのである浜女の努力が生優しい ものでなかったのと同様に梅にとっても それは辛抱を要することだったジクという 年になってからまるで違う生活の中に入っ たので あるしかもそれが菊のきちんとした左方の 厳しい武となると細かい習慣の差は もちろん心構えまで変えなければならない それが日常末なことに多いのでめんど くさいと思うともう手も足も出なくなる 事実そう思うことがしばしばあっ た私にはとてもできないこれで行けなけれ ば出ていくまで さそんなやけな気持ちになったことも3度 や5度ではなかったので ある女とは違った意味で梅が辛抱したのも つまり小太郎というものがあるためだった 長いことではないせいぜいもうつき誕生が 来て乳離れするまでだから彼女はそう考え ながらできるだけ家人に逆らわないように
教えられることに従うようにと務めていっ たあなたは集字をなさらないか年が開けて 2月になったある日浜女が何か思いついた という様子でそう言った読み書きぐらいは 覚えておいて損ないものですよかったらお 手引きぐらいはしてあげます からその頃には梅の気持ちも少しずつハジ の方へ傾いていたので素直に教えて いただきたいと頼んだこれが新しい生活へ 踏み出すきっかけとなっ た姿勢を正しすをする手本を開き髪を述べ 呼吸を整え静かにすりへ筆を 入れる心よい炭の香りが立って言いよも なく心が 静まる初めは肩が凝り気に詰まったけれど 金文字を5つ7つと覚え始めるにつれ集字 をした後の清々しく落ち着く気持ちと 何かしら良いことをしたという満足感は梅 にとっては初めての大きな喜びであっ た父をやる時はは清らかな正しい気持ちで とおっしゃったあれはこのような気持ちを 言うのだ な梅はある時ふとそう気がついた髪へ 初めて筆を下ろす時の姿勢の正しい 落ち着いたこの 気持ち本当にこういう気持ちでやる父なら 子に対しても恥ずかしくはない だろう目が開けば今まで検討のつかなかっ たこともず分かるようになる過剰差 いちいち面倒だと思った事柄がいつか自分 からそうしなければ済まぬようになり初の 泣き出す頃には両財門などまるで人が違っ たようだと言い始めた浜女が喜んだことは 言うまでもあるまい時々訪ねてくる消えも も大変なご性でしたなと浜女の努力につい て簡単の声をあげ たある日そういう話の後で浜女は梅との 約束について消えもに相談を持ち出し た誕生までという期限をもう少し伸ばして もらえないかというので ある小太郎もあの通り慣れてしまったし せめて立ち歩きのできるまでいてくれると 助かるのですが ねそうでございますな 消え門は何か考える風だったがやがてこう 言っ たではその前に1つ打ち明けたお話を いたし ましょう 8約束の期限を伸ばしてくれぬかそう言わ れた時梅は喜んで承知し た島屋のご引局様はご承知でござい ましょうかきえ門には話しました それではお世話になりとうございますこう 言いながら梅はその時何故ともなく肩を
すぼめるような身振りをし た誕生までという約束は鍛池に対してと 同様彼女が自分のために固く心に決めた ものであったそれ以上はけない子に愛を 持ってしまっては身が引けなく なる深い愛情のうちに 出ようそう決心をしていたの だしかし恐れていたその愛情はすでに 抜き差しならぬ激しさで彼女を小太郎に 結びつけたそれだけではない今では小太郎 を通してカジ夫婦にまでその愛情は繋がっ てしまったのであるこんなつもりでは なかった梅はそのことに気づくたべに立前 とした これでは班様にも申し訳がないどうにか 考えなくて は梅がお民であることは念を押すまでも ないだろうこれまでのことは全て消え門に 相談の上でやった初めは生まれたらどこか へやるつもりだったが半之助という父が ありカ池というものがある以上一応は縁を たってみるのが本当だもし縁のないもの なら仕方がないからそういうことで角口へ 捨てたのであるUBになってきてもそれは 乳離れまでの付き合いであとは1日も早く 身軽になって出直すつもりだったけれども 日行き月が立つに従ってお民の考え方は 次第に変わってきた父をやるには清らかな 正しい気持ちでそういう女の葉が分かって から次々と色々なことに目が開いた好きな うちは愛し飽きたらさっぱりと 別れようそういう考え方が人間を侮辱する ものだということもその意味通りにでは ないが理解でき た幾10万人という人間の中から1人の男 と1人の女が 結びつくこれはそのまま厳粛で神聖なこと だそういう言葉も悲しく痛いほど身にしみ て分かるようになっ た2人の人間が結びつき心を1つに 愛し合うことは遊びではない育っていく 小太郎を見るごとにその気持ちはおの胸を 締めつけ た浜女からしつけられたことのハハが さらに強くその気持ちを支え力づけてくれ た早く身軽になろう そう考えていたのが今ではこの家を出たら どうなるだろうという不安と恐れに変わっ て いるこの家を出て昔の生活へ帰る自分を 考えるとお小は肌寒くなるような縁を 感ずるのだった半之助様には申し訳がない けれどお民はそう考えながら浜女の頼みに こちらからすがりつく思い出立ち歩きの できるまで鍛池にとまることになっ
た6月に誕生日を迎え秋には小太郎は歩き 始め たしかし冬になってもその年が暮れても 約束の期限について家人から何の話も なかったそればかりでなく年が開けると 左門が素読を教えようと言い出し毎日 決まっ少しずつ稽古をしてくれるように なっ た集字は戦事問を続けていたし夜には 縫い物の手ほどきも受け た小太郎は端を軽く済ませた後よく憎いて 丈夫に育ちつき口元などびっっくりする ほど反のすに似始めたもしご夫婦に気づか れたらどうしようそういう心配はあった けれどお民はそれが身の震えるような喜び で人目のないところでは我知らず抱きしめ て嫌がるほどほりをせずにはいられないの だっ たこうして月日は立っていった3年となり 4年となった取り交わした約束はそのまま でどちらからも触れようとせずお民はいつ か家の家族と同じ気持ちであけくれを送っ ていた小太郎は6つの年放送にかったその 時おはかがるのを欠かせないために七中夜 というもの一睡もせずに看病をしたおかげ で小太郎はアを残さずに住んだがお民は 過労に負けで倒れ余病が出たりしてつき あまり寝たり起きたりが続い た攻撃11年を迎えた 正月小太郎は墓の祝いをし たそのの日城下からまたの高代優という 老身が訪ねてき たまたのは元難度業を務め両財門とはごく 久しくしていたがこちらが地球を固く守っ ていたため訪問を遠慮していたのである 現在では国家郎の席にあり髪の毛なども 目立って白くなってい た実は珍しい知らせを持ってき た休の挨拶が終わると広代優はこちらの目 を見ながらそう言い出し たおそらくこなたには想像もつくうまい反 のす殿の居所が分かったの だ 9鋭い痛みを感じたように眉をしかめ ながらしかし富には信じかねるような両 左門の顔に広代優は微傷の目をやりながら 言っ た 去11月のことだ殿が小平校の行光日光に 出られたすると後段に登ったのが反のす殿 だったおそばについていたものが気づいて 申し上げ抗議の後でかかりのものに訪ねる とそれにそういないことが分かっ たそれで殿は大学の紙に遭われた災を問わ れたところ7年前に堀郎というの塾へ入り
それから学問所へ通ううち才能を認められ て助教にあげられたのだそうでもちろん 身の上は隠してあるから諸子としては 極めて慰霊だということだっ た殿は非常なご満足で休暇は構いなし受信 として新たに飯抱えるというせで江戸屋敷 ではすでに家臣の待遇を受けているそうだ しかしあのようなことがあってと両左門は 苦しげに言っ た女の行員はともかくも半之助が作用な 合点を受けするはずはないと思う が若いもにはまたそれだけの試案があるの だろう殿のご帰国はこのとかだおそらく 半之助殿はおをするだろうその時は意地を 張らずにて迎えてやってほしいこなたの心 よく迎えてやることが半之助殿には何より の褒美だと 思う隣の部屋で体を固くしながら話をここ まで聞いていたお民はそれ以上は座に痛ま れず胸苦しい気持ちで廊下へ出ていっ たあの方がお帰りになる助様 がそのことだけが頭いっぱいになってどう していいかも分からず何もかも見えなく なる感じだったばあやどこへ 行く小太郎がそう叫ん だボも連れててボ も門を出ようとすると小太郎が追ってきた しかしお民はすぐ帰りますからと言い捨て たまま半ば夢中でずんずん歩いていった どこへ行くとも知らずどこをどうたどった かもわからない気がついた時は日山のバリ の中へ来てい た子供を連れてよく海を見に来るところで ある東南に開いている斜面の彼方に梅と 松戸の林を越して鳥羽ワの青い海と美しい 島々が眺められるああいつもの場所 だ気づくのと同時にもう小太郎とここへ 来ることもできないという悲しさが こみ上げてお民は思わず両手で表を覆い ながら泣き出し たどうしてお泣きなさる の突然後ろでそういう声がした飛び上がる ほど驚いて振り返ると浜女が小太郎を連れ て立ってい た半之助が帰ってくるのです喜んでもいい はずではない かあなたがお民殿だということも小太郎が 半之助の子だということも私たちには ずっと以前から分かっていたのですよでも ご委居様私は けしておっしゃるな消えもどのからあなた の気持ちはみんな聞いています過ぎ去った ことは忘れましょう反のすが帰ってくるこ と小太郎お中に新しい月日の始まる ことあなたはそれだけを考えていればいい
の です私にはできませ んお民は泣きながら言っ た私には鍛池の読みになる資格はござい ませんそうするつもりもございませんし 半之助様に対して ももう1度いいます過ぎ去ったことは忘れ ましょう7年前のあなたと現在のあなたと の違いは私たちが朝夕一緒にいて拝見して い ます旦那様がなぜ素の稽古までなすったか あなたにも分からないことはないはずです 浜女はそう言ってつと傍の梅の枝を指さし たご覧なさいこの梅にはまたつぼみが 膨らみかけていますよ去年の花の散った ことは忘れたようにどの枝も初めて花を 咲かせるような新しさで生き生きとつぼみ を膨らませてい ます帰ってくる半之助にとって自分が初 つぼみであるよう にあなたの考えることはそれだけです 女にとってはどんな義理よりも夫婦の愛と いうものが大切なのです よお民は梅の枝を見守っ た小太郎がそっとすり寄った そしてわあやと低く呼びながらお民の手に すがりついた時彼女は高引き寄せ重く 慎ましく神戸を垂れた顔を上げなさいたさ よく辛抱をなすったこと ね お母様お民はそう言って目をあげたが まるで何かの崩れるように泣きながら浜女 の胸へもたれかかっ た
「一生に一度は読むべき名作」朗読チャンネルへようこそ🌙
山本周五郎の『初蕾』は、運命に翻弄されながらも純粋な愛を貫こうとする女性・お民の物語です。厳しい運命に立ち向かい、失われた時間を取り戻すための彼女の闘いは、読者の心を深く打ちます。この物語は、人間の強さと、時を超えて変わらぬ真実の愛を描き出し、過去の過ちを乗り越えて新たな未来へと歩み出す希望を示しています。愛と再生のドラマを、美しい言葉で綴った山本周五郎の傑作を、ぜひお楽しみください。
【本チャンネルについて】
夜の帳(とばり)が下り、星が輝き始めたら、「眠りの森」が開かれます。
眠りの森で、女性の優しい朗読が夜の疲れを優しく包み込みます。
眠れないあなたの心を、森の中の穏やかな物語で安らぎへと導きます。
おやすみ前の静かなひとときを過ごしてください。
今日も一日お疲れ様でした。
◆チャンネル登録はこちら
@yomazu
#睡眠朗読 #睡眠導入 #日本文学全集 #睡眠用BGM #山本周五郎 #初蕾
