波の塔( 1960年制作)
『波の塔』(なみのとう)は、1960年6月に光文社(カッパ・ノベルス)から刊行された松本清張の長編小説。人妻と青年検事の恋愛とその行方を描く、著者の代表的長編恋愛ロマン。
1960年に松竹で映画化、また8度テレビドラマ化されている。
本作は1960年の、松竹大船製作、配給は松竹の作品。
司法修習生の小野木喬夫は、観劇中に隣席の女性が気分を悪くしているのに気づき、医務室へ連れて行く。周囲にその女性の同伴者と思われているうちに、小野木は彼女をタクシーで送ることになり、そのまま縁が切れるのを惜しむ気持ちになる。一週間ほど経ち、小野木のもとに、名刺を渡した彼女-結城頼子から電話が来て、夕食の誘いを受ける。検事になった小野木は、その後も自分を誘ってくれた結城頼子を愛するようになるが、彼女は自分の住所もはっきり答えず、秘密めいたところがあった。気持ちを確かめようとする二人の運命は…。
エピソード
本作刊行後、この本をバッグに入れたまま山梨県の青木ヶ原樹海に入って自殺する女性が増加し、そのたびに編集部と清張宅に警察から連絡が入った。1974年に樹海内にて、本作を枕にした女性の白骨死体が発見され、同樹海内での自殺者はその後も相次いだ。1985年には再び本作と関連付けた報道がなされた。
これを切欠に、「自殺の名所」として青木ヶ原樹海が世に知れ渡ったとされている。
キャスト
• 結城頼子:有馬稲子
• 小野木喬夫:津川雅彦
• 結城庸雄:南原宏治
• 田沢輪香子:桑野みゆき
• 西岡秀子:岸田今日子
• 辺見博:石浜朗
• 佐々木和子:峯京子
• 田沢隆義:二本柳寛
• 田沢加奈子:沢村貞子
• 林弁護士:西村晃
• 柴木一郎:佐藤慶
• 吉岡五郎:佐野浅夫
• 石井検事:石黒達也
• 元検事正:佐々木孝丸
• 土井俊介:深見泰三
• クラブのマダム:幾野道子
• てる子:関千恵子
• 蝶丸:柴田葉子
• 結城家の女中:平松淑美
• 「津の川」のおかみ:高橋とよ
• 眼の鋭い男:田村保
• 原作:松本清張
• 監督:中村登
• 製作:小松秀雄
• 脚色:沢村勉
• 撮影:平瀬静雄
• 音楽:鏑木創
• 美術:芳野尹孝
• 編集:杉原よし
• 録音:吉田庄太郎
• 照明:津吹正