
「ユンス」が2025年12月10〜16日に、「アットコスメトーキョー」で開催したポップアップイベントの様子
「推し活」が広がりを見せる中で、近年は消費行動にも大きな影響を与えている。財務省が2025年11月に公開した広報誌「ファイナンス」でも、「推し活」需要の拡大に言及しており、春の価格改定後も購買が継続される傾向を指摘している。今回は、ビューティ市場におけるアンバサダー起用とその反響について4ブランドを取材。さらに、「推し消費」を支える消費者心理も深掘りした。
「ユンス」はドラバラ店頭卸売上高が
前年同期比311%増
「ユンス」が2025年12月10〜16日に、「アットコスメトーキョー」で開催したポップアップイベントの様子
「ユンス」が2025年12月10〜16日に、「アットコスメトーキョー」で開催したポップアップイベントの様子
「ユンス」が2025年12月10〜16日に、「アットコスメトーキョー」で開催したポップアップイベントの様子
「ユンス」が2025年12月10〜16日に、「アットコスメトーキョー」で開催したポップアップイベントの様子
「ユンス」が2025年12月10〜16日に、「アットコスメトーキョー」で開催したポップアップイベントの様子
「ユンス」が2025年12月10〜16日に、「アットコスメトーキョー」で開催したポップアップイベント来場者の行列
「ユンス」が2025年11月15〜28日に、渋谷ロフトで開催したポップアップストアの様子
「ユンス」が2025年11月15〜28日に、渋谷ロフトで開催したポップアップストアの様子
「ユンス」が2025年11月15〜28日に、渋谷ロフトで開催したポップアップストアの様子
「ユンス(YUNTH)」は25年10月末、BTSのVをブランドアンバサダーに起用した。認知拡大と購買の双方が急速に進み、25年10〜12月のドラッグ&バラエティーストアなどにおける店頭卸売上高は前年同期比311%と大幅に伸長。ブランドを代表する“生VC美白美容液”【医薬部外品】(1mL×28包、3960円)も、入荷直後に完売や品薄が相次いだ。
11月15〜28日に全国の「ロフト(LOFT)」で展開したポップアップストアでは、「ユンス」のポップアップ史上、過去最高売上高を達成。アンバサダーのビジュアル展示を目当てに来店するファンによる「推し消費」が、購買を促した。さらに12月10〜16日に「アットコスメトーキョー(@COSME TOKYO)」で開催したポップアップイベントは、事前予約枠が受付開始直後に満枠に。予約不要のフリー入場時間帯には、気温5度以下という厳しい寒さの中、連日200〜300人規模の行列が発生した。
アンバサダー起用後のブランドに関するSNSでの言及数(10月28日〜12月5日)は、起用前(9月16日〜10月27日)と比較して322倍に拡大。日本語のほか、英語や韓国語、タイ語など多言語での投稿も急増し、海外ファンによる指名買いやまとめ買いの動きも顕在化している。
「エイトザタラソ」は既存客の回帰と
ブランドイメージの定着を実現
「エイトザタラソ」が2025年10月22〜28日に、「アットコスメオーサカ」で開催したポップアップストアの様子
「エイトザタラソ」が2025年10月8〜14日に、「アットコスメトーキョー」で開催したポップアップストアの様子
ヘアケアブランド「エイトザタラソ(8 THE THALASSO)」は、timeleszの起用を通じて、ポップアップストアを起点とした高い反響と購買の広がりを実感している。清水智ステラシード セールス本部 本部長は「最も反響が大きかったのは、『アットコスメトーキョー』および『アットコスメオーサカ(@COSME OSAKA)』で開催したポップアップだ」と話す。「エイトザタラソ」公式SNSでポップアップ開催を告知後、情報はファンの間で即座に拡散され、賑わいを見せた。
ポップアップには多くのtimeleszファンが来場。購入額に応じたノベルティー施策を実施し、複数の製品を購入する姿も目立った。開催期間中は来場者によるSNS投稿が相次ぎ、製品の使用感に対する高評価の声も多く見られた。来場者数は10月8〜14日の「アットコスメトーキョー」で約1800人、22〜28日の「アットコスメオーサカ」で約1700人にのぼった。
清水氏は、「timeleszの起用をきっかけにブランドや製品を初めて知った人が多く、製品の使用感に満足していただけたことで、リピート購入率の向上につながった」と分析する。新規客へのリーチ拡大に加え、他ブランドに流れていた既存客の回帰も確認された。また、「timeleszが出演するCM内でも打ち出している『エイトザタラソ=ぷるん髪』というブランドイメージも、一定以上浸透させることができた」と手応えを感じている。
「アヌア」は
若年層への浸透を加速
「アヌア」が1月28日〜2月3日に、「アットコスメトーキョー」で開催したポップアップストアの様子
「アヌア」が1月28日〜2月3日に、「アットコスメトーキョー」で開催したポップアップストアの様子
「アヌア(ANUA)」は、なにわ男子の大橋和也を起用したテレビCMやプロモーションを通じて、SNSでの反響拡大と売り上げの伸長につなげている。チェ・ヨンジ「アヌア」メディアマネージャーは、「CM公開直後から、なにわ男子のファン層を中心に反響が広がり、関連投稿が急増した」と話す。24年10月に公開した第1弾CMと同時に実施したXのキャンペーン投稿は約650万ビューを記録し、リアルタイムトレンドにもランクインした。
購買面では、CMを契機に売り上げが伸びている。第1弾CM放映後の売り上げは、直前月比で116%増、25年4月の第2弾CM後も同124%増を記録。チェ氏は「新規客の多くが、同CMをきっかけにブランドを初めて認知したという。話題化にとどまらず、購買の伸びとして数字に表れている点は大きな成果だと感じている」と述べる。また、起用以前の中心顧客層は20〜30代女性だったが、起用後は10代後半〜20代前半の若年層も獲得した。
6月には、「アットコスメナゴヤ(@COSME NAGOYA)」でポップアップストアを開催した。会場では同CMの世界観を反映したビジュアルを展開し、来場者の約60%以上をファン層が占めた。10〜20代を中心に「推しぬいフォト(アイドルやアニメキャラクターのぬいぐるみを日常の風景の中で撮影すること)」を楽しむ姿も多く見られ、体験そのものがファン活動の一部として機能。会場では、“PDRNヒアルロン酸カプセル100セラム”(1mL×10、2800円/30mL、オンライン価格3450円/30mL、オフライン価格2970円)の指名買いが最も多かった。
「ビオールオーガニクス」は
20代の新規ファン層を獲得

「ビオールオーガニクス」“プレヴィータ デュー”(30mL、4950円)(左)と夜用美容液“レヴィータ デュー”(30mL、4950円)
「ビオールオーガニクス(BIOR ORGANICS)」は、24年6月末からTravis Japanをアンバサダーに起用している。26年2月5日の日中美容液“プレヴィータ デュー”(30mL、4950円)と夜用美容液“レヴィータ デュー”(30mL、4950円)の発売に際しては、同製品または、それらに美顔ローラーをつけたスペシャル3点セット(9900円※数量限定のためなくなり次第終了)のいずれかを購入すると、Travis Japanの肖像入りのオリジナルポーチを1個プレゼントする施策を実施した。
工藤洋史ビオールオーガニクス取締役は、「タレントの起用は初回購入のきっかけとなり、製品の品質や使い心地が評価されることでリピートにつながるケースも多い」と話す。同社は比較的早い段階から男性タレントを起用し、新規客層との接点を拡大。顧客層は従来の30〜60代中心から20代前半まで広がり、親子三世代での利用も増えている。一方で、「近年は業界全体で『推し活』施策の飽和も感じており、今後はタレント起用による入り口づくりに加え、製品価値を伝える施策の重要性が高まるだろう」と指摘した。
“推し”が起用された製品を買うのは
「応援」と「感謝」の気持ち
「推し消費」には、認知や購買のきっかけを超えた独自の動機が存在する。その実態について、timeleszの松島聡を10年にわたり応援するビューティブランドPR担当者に聞いた。同氏は、「推しの広告起用は、新しい製品やブランドと出合うきっかけになることが多く、購入の理由になるケースも少なくない。初見のブランドはより深く知りたいと思い、迷っていた製品に対しては“最後の一押し”になる」と語る。「自分の推しを起用してもらえたことが率直に嬉しく、企業への感謝の気持ちから購入することも多い」とし、価格のハードルも下がると感じているという。
一方で、「無条件に何でも買うわけではなく、推し本人の個性やイメージ、生活感と、ブランドや製品コンセプトとの親和性は重視している」とも話す。推しが関わる製品を買う行為は、「応援」と「感謝」に近く、ブランド側にも成功してほしいという意識が働く。その上で、「実際に使ってみて納得できた製品は、コラボレーション終了後もリピートするケースが多い」と語った。
