Search for:

記事のポイント

ランコムが米国皮膚科学会で新ライン「アプソリュ ロンジェビティ MD」を発表する。

スイスのバイオテック企業タイムラインと共同開発したウロリチンA成分が中核となる。

タンパク質バイオマーカーで肌の生物学的年齢を測定する無料診断ツールも導入する。

ロンジェビティ(健康寿命の延伸)は、予防医療やサプリメント、クリニックでの治療に対する需要の高まりを受けて、美容業界でもっとも競争の激しい分野のひとつへと急速に成長している。

そして今、ランコム(Lancôme)がロンジェビティ分野に参入しようとしている。しかもそのやり方は、自社の主張が即座に精査されるようなものとなっている。

3月27日、同ブランドはデンバーで開催される米国皮膚科学会(AAD)年次総会において、新ライン「アプソリュ ロンジェビティ MD(Absolue Longevity MD)」を発表。

ローンチに合わせて、デイヴィッド・ルー氏、ティファニー・ムーン氏、ガブリエル・ライオン氏、エイミー・キレン氏で構成される「ロンジェビティMDアドバイザーズ・ボード」も発足する。いずれも予防医療を重視する医師たちである。

この発表の場は、従来の高級ブランドのローンチとは明らかに一線を画している。AADの場を選ぶことで、ランコムは新ラインをクリニカルブランドと並ぶポジションに置き、マーケティングの訴求ではなくデータの評価に慣れた皮膚科医たちの前に提示することになる。

そうすることで、同ブランドは、長年にわたりキャンペーンではなく皮膚科医とデータを通じて信頼性を築いてきたスキンシューティカルズ(SkinCeuticals)やオバジメディカル(Obagi Medical)などのクリニカルプレイヤーに近づくことになる。

ブランドのインターナショナルサイエンティフィックディレクターであるアニー・ブラック博士は次のように述べた。

「我々がAADに行く理由は、米国最大の皮膚科学コンベンションであるこの場で、我々の製品を紹介し、結果を発表し、皮膚科医たちと接点を持ち、ほかのダームブランド(皮膚科学に基づいて開発されたスキンケアブランド)と同様に製品を展示するためである」。

ウロリチンA配合、155〜175ドルの新ライン

このラインは、155〜175ドル(約2万3250〜2万6250円)の価格帯においてランコム製品ラインアップの最上位に位置する見込みであり、世界展開される。

製品は、肌の老化の異なるフェーズに対応するよう設計された「アンティシペイト(Anticipate)」「インターセプト(Intercept)」「リセット(Reset)」の3品で構成。米国ではランコムの公式Webサイトで4月20日に発売され、5月1日には一部の高級小売店でも取り扱いが開始される。

このローンチの中核にあるのが、スイスのロンジェビティバイオテック企業であるタイムライン(Timeline)と共同開発したウロリチンAの一形態であるミトピュア(Mitopure)である。

この成分は、ミトコンドリア機能における役割、具体的にはマイトファジー(損傷したミトコンドリアを除去し、細胞のエネルギーを支えるプロセス)への関与について研究されてきた。

激化するロンジェビティ市場

ランコムはすでに競争の激しい市場に参入しようとしている。タイムラインは、ウロリチンAを軸に、サプリメントからスキンケアへ事業を展開してきた。

一方、NAD+トリートメントや関連製品は、専門クリニックから一般市場へ認知度を高めている。2025年だけでも、ヴィシー・ラボラトワール(Vichy Laboratoires)、タッチャ(Tatcha)、シスレー(Sisley Paris)などのブランドがロンジェビティに特化した製品を発売し、ニベア(Nivea)はこのコンセプトをマスリテールに持ち込んだ。

クラランス(Clarins)のような老舗高級ブランドでさえ、エピジェネティクスや長期的な肌機能にさらに注力している。

ロレアル(L’Oréal)はすでに決算説明会において、ロンジェビティを「症状の修正から根本原因への介入へのシフト」として位置づけている。これはニコラ・イエロニムスCEOの発言である。

このように、同社はロンジェビティを傘下ブランド全体にわたる長期的な成長の原動力として位置づけている。

皮膚科医と共同で開発プロセスを構築

ランコムとしては、ローンチに先立ち、「認定皮膚科医の委員会が、成分の選定、処方、テストプラットフォームなど、プロセス全体を我々と共に進めてくれた」とブラック博士は語った。

「定期的にミーティングを行い、すべてのプロジェクトとテストプラットフォームとしてやりたいことを説明し、フィードバックを得た。その後、いくつかの点を調整し、結果が出たら、彼らの質問に答えられるように結果を共有した」。

ランコムはまた、無料の診断ツール「セルバイオプリント(Cell BioPrint)」も導入する。これはランコムの販売拠点に設置されるもので、タンパク質バイオマーカーを用いて肌の生物学的年齢を測定し、それに応じたスキンケアルーティンを提案するよう設計されている。

「セルバイオプリントは表面タンパク質を測定する」とブラック博士は説明した。「肌のさまざまな状態を予測する5つの異なるマーカーを特定し、肌上の測定値と組み合わせることで、あなたの肌の生物学的年齢を算出する」。

発展途上の科学とブランドの覚悟

同ブランドが診断に注力しているのは、測定可能な健康状態とパーソナライゼーションを求める消費者の動きと合致している。スキンケアも、こうした考え方に沿うことがますます求められるようになっている。

同時に、ロンジェビティスキンケアに関する科学的知見はまだ発展途上である。ウロリチンAに関する研究の多くは、外用ではなく経口摂取に焦点を当てたものであり、目に見える肌への効果との関連性はまだ確立されていない。

「我々は、単にアンチエイジングを単にロンジェビティへ言い換えたいわけではないことを理解してほしい」とブラック博士は述べた。

「これはまったく異なるアプローチであり、新しい成分を使用し、製品の性能を評価する新しい方法を採用しているのだ」。

なお、ランコムの担当者によると、新シリーズの発売は、「一流のアンバサダーと没入型でソーシャルメディアを重視するプロモーション活動」を組み合わせた、インパクトのあるマーケティングキャンペーンによって支えられる予定だという。

[原文:Lancôme takes longevity to dermatologists, raising the bar for beauty’s buzziest category]

Zofia Zwieglinska(翻訳、編集:藏西隆介)

Write A Comment