短命に終わった「デニムジャケットの決定版」
今回ピックアップしたのは、数あるリーバイスのヴィンテージデニムジャケットのなかでも一、二を争う人気を誇るモデル「557XX」です。

人気の理由はたくさんありますが、最初に挙げたいのが希少性の高さです。557XXの通称は“サード”。1900年代初頭から1952年頃まで製造された「506XX」通称“ファースト”、1953年頃から1962年頃まで製造された「507XX」通称“セカンド”に続くモデルとして、1962年頃に登場しました。557XXに続く「70505」通称“フォース”が登場したのは1967年頃。つまり、サードは1962年頃から67年頃までの約5年間しか製造されなかった短命のモデルなんです。セカンドとフォースについてはそれぞれ当連載の過去記事で詳しく紹介しているので、是非ご覧ください。


ちなみに、リーバイスのヴィンテージを象徴する「XX(ダブルエックス)」の表記がなくなったのが、サードの製造期間中だった1966年頃のこと。なので、サードには「XX」表記がない個体も存在しています。

この個体は「557」表記
ワークウェアならではの無骨な雰囲気が魅力
サードの人気の理由は希少性だけではありません。「トラッカージャケットの決定版」とも称される、完成度の高いデザインも魅力です。デニムジャケットは純然たるワークウェアとして誕生しましたが、1960年頃からはファッションアイテムとして着用されることも増えていました。つまり、サードはデニムジャケットがワークウェアからカジュアルウェアに進化する「過渡期」に生まれたモデルということになります。


フォースは着丈が長く全体的にシェイプされたシルエットなので都会的でスタイリッシュに着こなせるシルエットに仕上がっていますが、サードは太いアームホールや短い着丈など、ワークウェアならではの要素がたくさん残っているんです。もちろん、フォース以降のファッション性の高いトラッカージャケットの良さもあるのですが、個人的にはサードの無骨な雰囲気も大好きです。

557XXのデザイン面での最大の特徴は、フロントに走るV字状の切り替えです。セカンドまでは可動域向上などのためにプリーツが用いられていましたが、より強度と生産性を高めるために、この切り替えが開発されたと言われています。また、557XXにはステッチにオレンジ色と黄色の2種類の色が混在して使われている、通称「レインボーステッチ」という個体も存在しています。パッと見ではまず分からないところですが、こういう細かな違いに惹かれてしまうのが、愛好家の性ですね(笑)。

70505はV字の下部が離れているが、557XXはきっちりV字になっている
この557は、新潟のヴィンテージショップ「マッシュルーム(mushroom)」で購入しました。最初に触れた通り、非常に高い人気を集めるモデルなので、状態やサイズにもよりますが相場は20万円以上がだいたいの目安。お値段は張りますが、いつかは手に入れてみたいヴィンテージのひとつですね。


編集:山田耕史 語り:十倍直昭

